If I could turn back time 作:暇をなくした暇人の集
「いや、どこよ?」
"キングズクロス駅の時計前に行けば一目で分かるよ。" 院長にそう言われ、私は今ホグワーツからの補助員を待っている。
天気は上々、気分は最悪。
通勤ラッシュ真っ最中のキングズクロス駅の時計付近、なんだか居心地が悪いのだ。
別に誰かが睨んでくるというわけではない。が、数えきれない程の人々が時間に追われている中で立ち止まっている私。生まれ持った自分の異常さ、そして昨日知った自分の異常さを見せつけられているような気になってくる。
不思議なことだ。人々は私の能力を羨むことだろう。しかし私はそんな彼ら彼女らに憧れている。
私が望んだ平穏で平凡な人生は最早手の届かぬ所に行ってしまった。いや、私が遠ざかってしまったのだ。
私の意思などお構いなしに神はダイスを振ったようだ。
孤児院に十字架や聖書がなかった理由がよく分かる。
「一度孤児院に帰らないとダメか・・・」
駅前広場に背を向けようとした瞬間、人の群れから巨大な男が出てきた。
どうやら待った甲斐はあったらしい。院長の言葉通り"一目で分かる"。
「貴方がハグリットさん?」
これで違ったら孤児院に帰ろう。
「おお、お前さん咲夜か?」
答えになって無い!!
どうしてこう、ホグワーツとやらの関係者は言葉が通じないんだ?
「あー、ハグリット、多分答えになってないよそれ。」
良かった、どうやら英語を話せる人も居るようだ。
「僕はハリー・ポッター。えーと、君は?」
「サクヤ・イザヨイよ。ホグワーツの入学準備の案内をハグリットさんに頼んでてね。」
「そうなんだ!!僕もおんなじさ。
僕のことはハリーって呼んでよ。よろしくね、サクヤ。」
「もうすでに俺のことは聞いちょるだろうが、俺はハグリット。ホグワーツの森番みてえなもんだ。」
何センチぐらいあるんだろう、ハグリットさんって。
魔法界にはこんなのが溢れてるんだろうか。
だとしたら低身長の私じゃやっていける気がしない。
「で、ハグリットさん。」
「ハグリットと呼んでくれ。さん付けはなんだかむず痒い。」
「じゃあハグリット、何でこんなに遅れたの?暇すぎて帰ろところだったわ。」
「む、それはすまねえ。もう少し早く出れば良かったんだがな、なんせ舟が沈んじまってな。途中から水を掬いながらボートを漕いでたもんで・・・」
何してるんだこの人は。この人も魔法使いのはずだし、魔法でどうにかならなかったのか?
いや、そういや院長が"一応"魔法使いって言ってたし、何か事情があるんだろうか。
まあ、どうでもいい。
「大変だったのね・・・
じゃあ、今日は一日よろしくお願いします。」
「おお、それじゃあまずはグリンゴッツ銀行へ行かなきゃなんねえ。グリンゴッツ銀行っていうのは・・・」
私とハリーはハグリットの説明を聞きながら歩きだした。
低身長というのは、イギリスの西洋人基準です。第一サクヤにはまだ第二次成長期が来てないので当然です。