If I could turn back time 作:暇をなくした暇人の集
"マーリン基金課"
そう書かれた看板を見つけるのはそう難しい話ではなかった。
話しかけないことにはなにも始まらないのでとりあえず担当のゴブリンに話かける。
「すいません。マーリン基金?というものを受け取りに来たんですが。」
「名前は?」
そんな機嫌の悪そうな顔をしないでほしいのだが。正直言って怖い。
「あ、すいません。サクヤ・イザヨイです。」
「サクヤ・イザヨイねえ・・・
ああ、確かにダンブルドア教授から申請を受けているようだ。
じゃあマーリン基金の使い方を説明するから、記憶の片隅にでも置いといてくれ。」
すごく面倒くさそうだ。
「はい。」
「マーリン基金は君みたいな・・・あー孤児とか生活困窮家庭で生まれた子供に対する就学支援制度だ。君の場合は孤児院暮らしだから一年に300ガリオンの支給がある。そこから教科書やら消耗品、制服やら杖を購入してくれ。まあ、余りは好きにしてくれたら良い。何か特別な事情がある場合はここにきて申請してくれ。余程変な目的じゃなければ大体通る。」
三百ガリオンって言われてもいまいち想像がつかない。まあ、後でハグリットにでも聞いてみるのが良いだろう。
「はい。わかりました。ありがとうございました。」
「良い学校生活を、サクヤ・イザヨイ。」
さて、お金も受け取ったしあとは二人を待つだけだ。せっかくだからグリンゴッツの中を見ておこうか、などと考えながら私は歩き出した。
半刻ほどたっただろうか。二人が戻ってきた。ハリーは元気そうだがハグリットは随分きつそうだ。
どうやらハリーの金庫は見るに堪えないものだったらしい。
「二人ともお帰り。ところでハリー、ハグリットはどうしたの?なんか死んでるみたいだけど。」
「トロッコ酔いだよ。グリンゴッツの地下はトロッコで移動するようになってるんだ。」
「それは面白そうね。」
「面白れえって思うんなら今度乗ってみることだな。ダンブルドア先生の指示じゃなけりゃもう二度と乗りたくねえ。」
おっと、これは本気できつそうだ。どうやら魔法界で買い物をしたければ酔い止めが必須らしい。それか強力な三半規管だ。
「俺はちょっと元気薬を一杯探してくるからお前さんらはあそこの"マダム・マルキンの洋装店"で服を買っといてくれ。」
「服屋ね、分かったわ。それが終わったらどこで待ってれば良いの?」
「店にそのまま居といてくれ。俺の方はそう時間はかからんからな。」
「はい。じゃあハリー、行きましょうか。」