不自然だと思った場所を探してみてください
「…あなたのことは知っています。連邦生徒会長が呼び出した不可解な存在。
あのオーパーツ「シッテムの箱」の持ち主であり、連邦捜査部シャーレの先生、そして、」
「方舟で造られし生命体」
「お前、何者だ」
「返答次第ではただではおかんぞ」
最後の言葉を聞き、イエローとヴェロナの警戒度はほぼMAXに上昇した。なにせ、人造生命体であることを話したのは対策委員会にのみ。コイツがそれを知れるとは思いがたい。
ホシノが話せば知り得るだろうが、そもそもホシノは黒服に対して警戒度MAXどころか限界オーバーしている。
そんなホシノが話すわけないだろう。
ならば、どうやって知った?
「…おっと、自己紹介がまだでした。私たちはあなた方と同じ、キヴォトスの外の存在…ですが、あなた方とはまた違った領域の存在です。
適切な名前がありましたので、今はそれを拝借して使っております。私たちのことはゲマトリアとお呼びください。
そして私のことは黒服とでもお呼びください。この名前が気に入ってましてね。」
「私たちは、観察者であり、探究者であり、研究者です。故に、我々ゲマトリアはイエロー先生、ヴェロナ先生、あなた方をずっと見ているのです。
あなた方と同じ、不可解な存在だと考えていただいて問題ございません。」
研究者という言葉に、イエローはさらに嫌悪感を覚える。
どうしても、故郷であるアベレーションで対峙した
"あの存在"を思い出してしまうのだ。
「…それで、呼びつけてなんの用だ?話したいってだけならバックれるけど。」
「…単刀直入に申し上げます。
「無い」「誰が貴様らと協力するものか」…クックック、即答ですか。」
「真理と秘儀を手に入れられるこの提案を断ってまで、あなた方はキヴォトスで何を探究するおつもりなのですか?」
「言っとくけどさぁ…俺らそんな提案に興味ないのよ。ここにはただホシノを返してもらうために来ただけ。」
「…クックック、あなた方の行動に正当性がないことにお気づきですか?先生。今のあなた方に、何の権利があって、そんな要求をされているのでしょう?
小鳥遊ホシノさんはもうアビドスの生徒ではありません。届け出を確認されていないのですか?」
「ヘッヘッヘ…その届け出にな?不備があるんだぜぃ。」
「不備?」
「ここを見てみろ。」
ヴェロナは退学届…正確には、退学届の左下を見せる
「ここに顧問と書いてある。つまり、俺達のどちらかがここにサインをしない限り、この書類は効力を発揮しない。」
「つまり、ホシノはまだアビドスの生徒で、副会長で、俺らの生徒ってわけだ。…ヴェロナ。」
「了解。」
イエローはヴェロナに合図を送る。そして、ヴェロナは類に退学届対してトゲマシンガンを放った後、ビリビリに破いた。
「…元より効力のない書類だ。破いても構わないだろう。そして、これでこの退学届は退学届の体を成さなくなった。つまり、その効力は二度と発揮されることはない。」
「…なるほど。あなた方が先生である以上、生徒の去就にはあなた方のどちらかのサインが必要、ということですか。学校の生徒、そして先生…ふむ、なかなかに厄介な概念ですね。」
「こんぐらい厄介な方がええのよ。お前みたいな大人に利用されないためにはな。」
「貴様のせいでどれだけホシノが苦しんだか…いや貴様はその苦しみを増長させただけか…その苦しみの根源はきっと……ともかく!貴様らはホシノの…対策委員会の苦しみを利用した外道だ。」
「ええ、確かに、私たちは他人の不幸より自分たちの利益を優先しました。それを否定はしません。私たちの行動は、善か悪かと問われればきっと悪でしょう。」
「…ほう、意外だな。てっきり「俺は悪くねぇ!」…のような事を言うと思ったのだがな。」
「分かってるなら何で辞めようとしねーんだろうなぁ…」
「しかし、それはルールの範疇です。そこは誤解しないでいただきましょうか。
アビドスに降りかかった災難は、私たちのせいではありません。アビドスを襲ったあの砂嵐は、たいへん珍しいこととはいえ、一定の確率で起こりうる自然現象です。」
「何者かによって意図的に起こされる場合もありますが…それは全て、"自然そのもの"と言ってもいい存在の手によってです。それすらも悪意を以って砂嵐を起こしているわけではない、誰か明確な悪役がいるわけではない、それが天変地異というものです。」
(天変地異…か。そういや、前に大異変を引き起こしたゴア・マガラとか言う奴も悪気はなかったのかねぇ…)
「私たちはあくまでそれを利用しただけ。
砂漠で水を求めて死にゆくものに、水を提供する…ただし、一生奴隷として働いても返済できない額で。ただそれだけのことです。
さして珍しくもない、世の中にはありふれた話です。何も私たちが特別心を痛め、すべての責任を取るべきことではありません。」
「私たちが初めて作った事例でもなければ、私たちがそれをしなかった所で消えるものでもないのですから。持つものが、持たざるものから搾取する、知識の多いものが、そうでないものから搾取する。
そして、力の強いものが、弱いものから搾取する。
弱肉強食…あなた方も当然ご存知でしょう?」
「そういうことですから…アビドスを手を引いていただけませんでしょうか、イエロー先生、ヴェロナ先生。
小鳥遊ホシノ…彼女さえ諦めていただければ、あの学校については守ることを約束しましょう。
カイザーPMCの事も、私たちの方で解決いたします。」
「断る。そもそもアビドスはネオ・楽しみ隊が守ってくれるって言ってるし、PMCについては近々壊滅させる予定だから、お前らの助けなんか要らねーんだよ。」
「…どうして?
どうあっても私たちと敵対するk「「勿論」」クックック…判断が早いですね。ですが、どうやって私たちと戦うつもりですか?その牙で、もしくはその爪や棘でですか?」
「それもあるけど…コレも悪れてもらっちゃ困るぜぃ。」
イエローは謎のカードを見せた。
「……………これは…一体…?」
「え、知らんの?」
「…ええ、コレについては私でもその一切が理解できません。完全な未知です。
「大人のカード」にも似ていますが…」
黒服はそれに触れる。
『ず っ と み て い る よ』
「!?」
「…どしたん?」
「…いえ、何でもありません。こちらはお返しいたします。
さて…あなた方はどうしても、アビドスを見捨てないということですか?」
「そのとーり。」
「愚問だな。」
「…なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
…理解できません。なぜ…」
「言ってもお前らじゃ理解できねーわ。」
「…先生、あなたはキヴォトスの支配者にもなり得ました。この学園都市の莫大な権限と権力、そしてこの学園都市に存在する神秘。そのすべてが、一時的とはいえあなた方の掌の上にありました。
…しかし、あなた方は迷わずそれを手放した。
何故ですか?理解できません。その選択に何の意味があるというのですか?あらゆる全てを捨てるなんていう無意味な選択を、どうして!」
「答えは簡単。「そんな権力いらないから」。」
「俺達が欲しいのは権力でも権限でも、神秘とやらでも何でもない。」
「…最後にお聞かせください。なぜ、あなた方はそうアビドスに肩入れするのですか?あなた方とアビドスは、数日前に出会っただけの、赤の他人だというのに。」
「ハァー…あのなぁ。俺らを観てきたんならわかるだろ?俺らは元々敵だろうとなんだろうとな?味方になったらもうその時点で友達よ。
そこのヴェロナも元々、俺に攻撃してきたこともあったし。」
「ずいぶん懐かしい出来事をよく覚えているな…」
「…先生、彼女を…小鳥遊ホシノを助けたいですか?」
「「当然。」」
『教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ教えろ』
「…彼女は、アビドス砂漠のPMC基地の中央にある、実験室にいます。」
「…ずいぶんあっさり教えてくれるな」
「クックック…こうしなければ少々、いえ、かなり厄介なことになりそうですから。」
「…?」
「ミメシスで観測した神秘の裏側、つまり恐怖。それを生きている生徒に適用することができるのか…そんな実験を始めるつもりです。
そういうことですので、精々頑張って生徒を助けるとよいでしょう。微力ながら、幸運を祈ります。」
「なら、全力かつ全速力で取り返すまでだ。」
「…イエロー先生、ヴェロナ先生、ゲマトリアは、あなたのことをずっと見ていますよ」
そうしてイエローとヴェロナは帰った。
「クックック…先生、彼らは非常に興味深いですね…ですが、それ以上に…あの物質は興味深い。まるで…」
そう、黒服が何かを言いかけた時
ジャキン!
「…!」
黒服の首に、何者かによって漆黒の刃物が当てられた
…後に黒服はこう語ったらしい。
「生きた心地がしなかった」
…と。
「PMC基地の中央…か。んじゃあ、さっさと帰って…」
「少し待ってもらいたい。」
唯一イエロー達に同行していた鳳凰が謎のカードから姿を現し、イエローに待ったをかけた。
「ん?どうした、鳳凰」
「…我らが主のお目見えだ」
『やぁ、イエロー、ヴェロナ。君たちのことをずっと見ていたよ』
「「!!」」
イエローとヴェロナは後ろを振り返る。そこには…
『それにしても、ご苦労だったな、鳳凰』
「お褒めにあずかり光栄でございます…!」
半透明の紫色の球体、アンノウンがいた。
キャラ解説
黒服の首に刃を当てた何者か
誰なんでしょうねぇ…
ヒント:黒を英語に訳すとBlack
そして刃物を"ナイフ"と解釈すると…?
アンノウン
遂に接触