これは、イエローとヴェロナが来る少し前のこと。
学園都市キヴォトスの北端にある学園である【レッドウィンター連邦学園】。学園領土はキヴォトス最大と言われる広さではあるが、一年中雪が積もっているため、人口は校舎周辺に集中しており、規模としてはそこそこといった程度のようだ。
そんなレッドウィンター領の何処かにある永久凍土の洞窟の最深部に、何かが眠っている。
それは飛竜だった。所々に緑色の氷のトゲを生やし、凄まじい冷気を纏っていた。
それだけならば、イエローが元いた次元の
【ラグナロク】という場所に生息するアイスワイバーンと呼ばれる飛竜の一種と変わらない見た目だろう。…しかし、ソレは明らかにアイスワイバーンとは異なっていた。
巨大すぎるのだ。その体格は、通常のアイスワイバーンの数倍にも及ぶ程。
その大きさは、水晶だらけの島に存在するという、身体からクリスタルを生やしたワイバーンの女王にも引けを取らないほどの大きさだろう。
そして周囲には、巨大な飛竜を囲むようにして
巨大な(それでも目の前にいる飛竜よりは小さい)ワームのような生物がいる。
しかし、そのワーム達は飛竜を襲って食べようとする気はないようだ。寧ろ、飛竜を守っているかのようにも感じられる。
飛竜は、未だにぐっすりと眠ったままだ。しかし、遅かれ早かれ、いずれは起きるだろう。
「アイツの名はヌタナク…イエロー、ヴェロナ。君たちにとっては完全に未知の相手。だが、これは通過点。そして、鍵でもある。…かの水晶を纏う飛竜の女王と同等かそれ以上の力を持つ強敵。奴に…どうか、打ち勝ってくれ。」
そして、イエローとヴェロナが来る前日、
「困ったな…一体ここはどこなんだ?」
白いリーパーキングがある場所にいた。イエローとは違い、姿は成体のままだ。
「それにしても…人工物や建物もあるにはあるが…随分と劣化しているな。」
白いリーパーキングがいる場所には人工物はあったが、随分と劣化している。ほとんど手入れがされていないようだ。
「それにこの匂い…この匂いは死臭、それも人間らしき匂い…」
この場所には、強い死臭が満ちている。しかも人間らしき存在の。
「…ここで一体、何があったんだろうな。なぁ、そこの君?」
「…気づいてたの?」
「生憎、気配探知は得意なものでね。」
白いリーパーキングは近くに隠れていた少女を見つけた。
藍色の髪の毛をしている。
少女の背はそこそこ高く、163程はある。
「それで、私をどうするの?…もしかして、食べるの?」
「いや、食べるわけがないだろう…と言っても、信じでもらえないだろうが。…それで、君は先程から俺を見ていたみたいだが、何か言いたいこととかあったのか?」
「えっと…失礼かもしれないけど…食料を持ってない?」
「食料?少し待っててくれ。」
白いリーパーキングは自分のインベントリを見る。
生肉×243
腐肉×127
石の矢×21
麻酔矢×3
石のピッケル×4
石の斧×6
ティントベリー×13
アズールベリー×8
アマルベリー×7
メジョベリー×5
スティムベリー×6
ナルコベリー×4
生の肉は論外。スティムベリーは他のベリーよりも空腹を満たし、眠気が消えるが、喉が渇くというデメリットもある。
ナルコベリーは食べると急激な眠気に襲われるデメリットがある。
そのため、目の前の少女に適した食料は4種のベリーしかない。
「…多いとは言えないが、このベリーで良いか?」
「うん、大丈夫。量もいつもの食事よりも多いし。」
「…そうか。」
目の前の少女は決して量の多いとは言えないベリーを見て、いつもよりも多いと言った。白いリーパーキングはこれでも多いというのなら、普段はどれだけ少ない量なのだろうかと考えた。
「…おいしい!」
「はは、それは良かった。…にしても、普段は一体、どんな物を食べていたんだ?」
「普段はパンと薄いスープだけ…でも、昔はネズミの丸焼きとか、ムカデ…」
「よし、もう言わなくてよろしい。」
「…それと、一つだけ、あなたに…そういえば、貴方に名前ってあるの?」
「あぁそういえば、名乗るのを忘れていたな。俺はホワイト。少々訳あって旅に出ているんだ。」
「ホワイト…私は月中エル。エルって呼んで。」
「分かった、エル。それで、聞きたい事とは?」
「…vanitas_vanitatum_et_omnia_vanitasって知ってる?」
「…いや、知らないな。どういう意味なんだ?」
「全ては虚しい。どこまで行こうとも全ては虚しいもの…って意味。ホワイトはどう思う?本当に、全ては虚しいものなのかな…?」
「さぁな。そもそも考え方なんてそれぞれだ。ある者にとっては楽園でも、ある者にとっては地獄かもしれない。もしかしたら、本当に全ては虚しいのかもしれないし、そんな事はないかもしれない。まぁ、どうしても気になるって言うなら…自分で確かめろ。見て、聞いて、感じて…その先に答えはあるはずだ。…少なくとも、リーダーならそう言うな。」
「リーダー?」
「あぁ、元々いたチームのリーダーだよ。…本当に強くて、それでいていい人だった。メンバーも皆、いいヤツで…本当にあいつらと居られる事が幸せだったな。」
「…でも、今は違うんでしょ?」
「あぁ、放浪の旅に出てる。」
「なんで離れちゃったの?いい人たちだったんでしょ?」
「…ま、そうだな。これは過去の話になるんだかな、俺達はある日、強い強敵と戦った。そこで、俺は重傷を負った。それで、皆して負傷した俺を守ってくれた。
本当に、嬉しかった。だけど、それと同時に…このままだと、また自分のせいで迷惑をかけてしまう…って思ったんだ。」
「…」
「それで、俺は修行の旅に出ることにしたんだ。今度は逆に、皆に助けられるんじゃなく、皆を助けられるように。それをリーダーに告げたら驚いてたさ。…でも、リーダーは快く送り出してくれたんだ。「お前なら絶対に強くなれる。だから、強くなったらまた戻ってこい」とね。」
「いい人?だね。」
「そうだな。」
「ねぇ、ホワイト、その強敵って…あ、そろそろ帰らなきゃ。…ねぇ、また、明日もここに来てもいい?」
「もちろんだよ。…あ、でも、俺のことは…」
「大丈夫。他の皆には言わないでおくから。」
「ありがとうな。それじゃ、また明日。」
「うん。また明日。」
「私が明日、生きていられるかもわからない。でも…明日を生きる希望は持てたかな…。」
本来であれば、紡がれなかったはずの縁。この縁が、未来にどんな影響を及ぼすかは…
「それは神のみぞ知る…って所だろうね。」
用語解説
ラグナロク
カスタムマップと呼ばれる、ストーリーが一切無いマップのうちの一つ。
非常に面積が広く、架空の生物も生息している。
さらに高いレベルの生物が湧きやすいという特徴があり、ボス戦の戦力等を集めるにはもってこいなマップでもある。
難易度はそこまで高くなく、強いて言うなら高レベルの生物が多いので、序盤がほんの少しキツい程度。
ただし、火山地帯にあるワイバーンの巣等の危険地帯も存在する。
また、このマップにしか居ない中ボスが2体存在する。
ちなみに、リメイク版では大ボスが変更されている。
巨大な飛竜
アイスワイバーンのような見た目をしている巨大な飛竜。その大きさはあるマップのボスである
"クリスタルを生やしたワイバーンの女王"にも引けを取らない。
ということは…
アイスワイバーン
ラグナロク、もしくはバルゲロというマップに生息する氷属性の飛竜。
主に雪原に生息している。
属性違いの他の飛竜とステータスは変わらないが、ブレスが氷属性に変化しており、当たった相手に鈍足効果を付与できる。
遠距離×鈍足の組み合わせは強い。これ鉄則(異論は認める)
月中エル
オリキャラ。
作者がまだアンポンタン三昧していた時に考えたオリキャラ。
同時期に考えた2人のオリキャラよりも身長が高い…が、2人のオリキャラより胸は小さ(殴
ばにたすに染まっている他の生徒と違い、彼女は
世界は本当にどこまで行っても虚しいのかと、疑問に思っている。
今回、ホワイトが語った事で、外に対する憧れがより強くなった。
武器種はMG。
ノノミのように反動を完全にコントロールできているらしい。もう少し筋力が付けば2丁持ちも夢じゃないと本人は語っているが…
ちなみに14歳。まだ中等部。
ホワイト
強くなるための旅に出ている放浪のリーパーキング。
あるボスにチームで挑んだ際、自分がほぼ足手まといになってしまった事を悔いており、そのため強くなろうと旅に出ることにした。リーダーと呼ばれた個体(リーパーキング)は最初は戸惑ったが、快く彼を送り出した。
そのためリーダーへの忠誠心はかなり高い。
本当は対策委員会編を書こうとしたんですけど、思いついてしまったのでこうして書きました。
次回からは本当に対策委員会編を書く…ハズ。
評価、お気に入り登録や感想をくださる皆様、本当にありがとうございます!
お陰様で作者のパピパピメータ(幸福度?)は100%フルマックスでございます。
そして、アンケートにおいて、5番に投票してくださった方がいました。本当にありがたいのですが、5番のそれ以外を選んだ方は活動報告に何を登場させて欲しいかの書き込みをお願い致します。