ゲーム開発部の部室に入ってきたのは、ミレニアムサイエンススクール生徒会:セミナー所属にして、イエロー&ヴェロナがキヴォトスに来た時に初めて会った生徒の一人、早瀬ユウカ。
「本当なら先生には色々と話したいことがありますが、それは後にしておいて…モモイ、本当に諦めが悪いわね…廃部を食い止めるために、わざわざシャーレまで巻き込むだなんて。」
「そもそも、ゲーム開発部は何故廃部になろうとしているんだ?生徒会所属であるユウカであれば、詳しい事情も分かっているはず。
何もかも知らない俺たちに事情を話してはくれないか?」
「頼むぜユウカ〜!」
「…分かりました。何故ゲーム開発部が廃部になろうとしているのかをお話します。
結論から申しますと、ミレニアムの部活には存続するための"条件"があります。」
「ほうほう。」
「1つ、部員が最低4人いること。
2つ、部員として見合う成果を出していること
この2つの内どちらかを満たしていれば部活を続けることが出来るのですが…」
「…どちらも満たしていない、という理由か。」
「はい…この子たちは部員数も足りず、部活としての成果を証明出来るものも無いまま、何ヶ月もこの状態なんです。」
「…何ヶ月も?」
「ええ。その時に、
2つの条件の内どちらかが達成できれば良し。もし出来なかったら廃部で、部費はもちろん部室も没収すると忠告したのですが…」
「…あれ、もしかしてさ…
モモイ、ミドリ…ひたすらゲームしてたとか無いよな?流石に無いと言ってくれよ?」
「流石にずっとゲームしてたわけじゃないよ!
ちゃんと全力で部活動してた!
だから…上場閣僚?みたいなのもあって良いと思う!」
「それを言うなら情状酌量だぞ…」
「ヴェロナ先生の言う通りよ。
それよりも…今なんて言ったかしら?全力で部活動してる?
笑わせないで!」
「ヒェッ…」
「あー…これはユウカ結構キレてるか?」
「校内に変な建物を建てたと思ったら、まるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、」
「アビドス対策委員会の定例会議の案に比べれば割とマシでは…?」
「…そんなに酷かったんですか?」
ミドリがそんなに酷かったのかと聞いてくる。そりゃもう酷かったですよ。
「えーとな…ある生徒*1はマルチ商法に騙されて、またある生徒*2は生徒数増やすために他校のバスをハイジャックするとかいい出すし、ある生徒*3は平然と銀行を襲うとかいい出すし、対策委員会の案の中で一番マトモな案が、ある生徒*4が出してくれた"対策委員会全員でアイドルやりましょう"だったし…」
イエローは懐かしい思い出を語る。
「その方達大丈夫なんですか???
というか本当にやってませんよね…?」
「ダイジョブダイジョブ。今んところ(銀行強盗以外)全部未遂で終わってるから。
…で、この子らがやらかしたのってギャンブル大会開催だけなんか?」
「い、いえ。
他にもレトロゲームを探すといいながら古代史研究会を襲撃したりなど…色々な所に迷惑をかけていて…」
「…oh」
そしてユウカはモモイに向き直る。
「確かに全力なのは分かるけど、部活動としては間違ってるわ!これだけ各所に迷惑をかけておいてよく毎度のように部費なんか請求出来るわね!?」
「と、時には結果よりも心意気を評価してあげることも必要…」
「…ええ、確かにそうかもしれないわね。
けど、ミレニアムでは"結果"が全て「け、結果ならあるもん!私たちもゲーム開発してるんだから!」あぁ、あれのことね…」
「そ、そうですよ!"テイルズ・サガ・クロニクル"はちゃんと、あのコンテストで受賞、も………」
「テイルズ・サガ・クロニクル?」
「…聞いたことが無いな。」
「テイルズ・サガ・クロニクルは、このゲーム開発部における唯一の成果です。」
「…あれ。一つだけとは言えどちゃんと成果出してんじゃん。」
「それを踏まえた上でもやはり廃部なのか?」
「…もし、もしもテイルズ・サガ・クロニクルが"しっかりとした普通の"ゲームなら、私ももう少し猶予を伸ばしていたかもしれません。」
「…普通のゲームなら?」
「…ゲームそのものもさることながら、レビューが大変印象的…としか言えません。
…これを見てください。」
「ん?どれどれ…」
テイルズ・サガ・クロニクルのレビュー一例
【私がやってきたゲーム史上、ダントツで「絶望的」なRPG。いや、シナリオの内容とかじゃなくて、ゲームとしての完成度が】
【このゲームに何が足りていないのかを数えだしたらキリが無いけど…まぁ、一番足りてないのは「正気」だろうね】
【このゲームをプレイした後だと、「デッドクリームゾーン」はもしかして名作の部類に入るんじゃ…って思っちゃうわ】
「おお…逆に気になるな…」
「こ れ は ひ ど い」*5
「わ、私たちのゲームは、インターネットの悪意何かには屈しない…!」
「たとえユーザー数が無限にいたとしても、たくさんの評価が収束すれば、それは真実に一番近い結果よ。
それに、あなたたちが持っている結果は、その【今年のクソゲーランキング1位】だけでしょう?
あなたたちのような部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷つけるだけ。」
「…もしも廃部が嫌だと言うのなら、証明してみせなさい。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって、何度も言っているはずよ。」
「証明って例えばどんな事よ?」
イエローがユウカに証明の定義を質問する。
「例えば、スポーツならインターハイに出る、
エンジニア部なら発表を公表する、この子たちの場合は…自作のゲームで賞を取ると言った感じです
…勿論、クソゲーランキング以外で。」
「…分かった。全部結果で示すよ。
そのための準備だってもう出来てるんだから!」
モモイは、結果で示すとユウカに宣言した。
「え?」
「そうなの!?」
「いや知らんのかい!?」
「なんでミドリが驚くのさ!?」
「報連相がなっていないのか…?」
「とにかく、私たちには切り札がある。
その切り札を使って、今回のミレニアムプライスに、私たちのゲーム…テイルズ・サガ・クロニクルの続編、テイルズ・サガ・クロニクル2を出すんだから!」
「ミレニアムプライス?」
「ミレニアムプライスっていうのは、ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアム最大級のコンテストのこと!ここで受賞すれば、いくら何でも文句は言えないでしょ!」
ミレニアムプライスが何なのか分からないヴェロナに、モモイがミレニアムプライスについて教える。
どうやらミレニアム最大級のコンテストとのことで、ここで受賞すれば廃部は撤回できそうだ。
「えぇ、そうね。もし仮にミレニアムプライスに受賞すれば、廃部は撤回するって約束するわ。」
「…ちなみに受賞しなかったら?」
「…ゲーム開発部は、廃部となります。」
「絶対成功させなきゃダメじゃねぇか!?
俺戦闘とか忍び込むとかは行けるけどゲーム開発なんて論外ぞ?」
「そもそもあの子たちの成果物を出さなければいけないので先生が直接的にゲーム開発をするのはダメです…!」
「あ、そっか。
…で、どーすんのユウカ。」
「私もなんだかんだでこの子たちがどんなゲームを作るのか楽しみになってきましたし、今日からミレニアムプライスまでの2週間待つことにします。
この短い時間でどんな結果が出せるのか、楽しみにしてるわ、モモイ。」
「…それにしても、まさか先生方の前でこんな可愛くないところを見せてしまうことになるなんて…
ただ、これも生徒会の仕事なので。」
「…ユウカ。今度何か奢るわ。」
「あ、ありがとうございます。では、次はもっと落ち着いた状況でお会いしましょうね、先生。それではまた。」
ユウカは、ゲーム開発部の部室から去っていった。
「じゃあの〜!…行ったな。
それでよ、さっき言ってた"切り札"って何のことなんだ?」
「それはもちろん、先生のことだよ!」
「????????????????」
「…はぁ?」
「え、先生?」
「そう、先生。」
「いやいやいや。俺がなんかゲーム開発で役に立つことあるんか…?
俺は戦闘とか忍び込むこととかは得意だけど、ゲーム開発なんて何も出来ないぜぃ。」
「俺も同じくだ。ゲーム開発なんぞやったこともない。」
「えーっと…まず私の話を聞いて?」
「りょ〜かい。」
「まず、私たちの目的は廃墟にあるの。
廃墟っていうのは、元々は連邦生徒会が出入りを制限してた、ミレニアム近郊の謎の領域。」
「…成程。そこへ行きたいんだな?」
「大分略されちゃったけど、まぁそういう事!」
「そこに何があるのか分からんけど…まぁジーっとしててもドーにもならないし行ってみっか!」
「そうだな。」
(こいつらは本気でここを守ろうとしている。ゲームしてぐうたらしたいだけならば協力する気はなかったが…これならば協力して良い…いや、しなければならない。それが先生というものなのだから。)
「あ、ありがとうございます…!先生…!」
「いいっていいって、気にすんなよ!
…と言ってもゲーム開発に関しては手伝えんけどな…
…それで、俺らは廃墟で何を探すんだ?」
「それはね、先生…」
「G.Bibleだよ。」
エデン条約編………
-
己の道は己で選べ
-
ライフサポート
-
コード・レッド