遊戯王SPIRITERS   作:オンドゥル暇人

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お待たせしました。第8話です。
皆さんは「ORIGINAL ARTWORK COLLECTION」買えましたか?
私はいつも購入してる店が予約してなかったので無理でした。
KONAMIさん。お願いですから地方にも配分増やして。



第8話 恭二とディアベルスター

 

恭二 LP:4000 手札4枚

《モンスターゾーン》

・蛇眼の炎燐(スネークアイズ・ポプルス) 星1 DEF:200

・スネークアイ・ワイトバーチ 星1 DEF:2100

《魔法・罠ゾーン》

・伏せカード×1

 

 

エリュシクトーン LP:1000 手札0枚

《モンスターゾーン》

・デーモンの降臨 星6 ATK:3000

・デーモンの根源 星6 ATK:3000

・飢渇聖徒(アザミナ・ソル)エリュシクトーン 星6 ATK:2600

《魔法・罠ゾーン》

・デーモンの召喚(永続魔法)

《フィールドゾーン》

・伏魔殿(デーモンパレス)-悪魔の迷宮-

 

 

恭二「飢渇聖徒(アザミナ・ソル)エリュシクトーン……これがアイツの本当の姿か。なんだか、全身の毛が逆立つ感じがするぜ」

 

ディア(この感覚……前にもどこかで?)

 

 

フィールドに現れたエリュシクトーンが放つ圧に硬直する恭二とディアベルスター。そんな2人を余所に、エリュシクトーンはデュエルを続ける。

 

 

エリュシクトーン「僕は僕自身、飢渇聖徒エリュシクトーンの効果を発動!僕が召喚された時、場のカード1枚を破壊する。僕が破壊するのは、スネークアイ・ワイトバーチ!」

 

 

エリュシクトーンが大斧を振るい、糸も容易くワイトバーチを切り裂いた。

 

 

エリュシクトーン「バトル!デーモンの降臨で蛇眼の炎燐(スネークアイズ・ポプルス)を攻撃!」

 

 

青いデーモンが放つ青い雷撃がポプルスに落ち、粉砕する。守備表示だった為、恭二にダメージは無かったが、攻撃の衝撃が恭二を襲う。

 

 

恭二「守備表示なのに、ここまで響いてくるものなのかよ!」

 

エリュシクトーン「今度は、本当のダメージを喰らいなよ!デーモンの根源でダイレクトアタック!”魔降雷”‼︎」

 

恭二「ガァアアア⁉︎」

 

ディア「恭二!」

 

 

恭二 LP:4000 → 1000

 

 

 

デーモンの放った黒い雷を受けた恭二が、体から黒い煙が上げて倒れる寸前、実体化したディアベルスターが駆け寄り、体を支える。恭二が受けたダメージを負っていたが、ギリギリ意識を保っていた。

 

 

エリュシクトーン「まだライフは残っている。最後は、僕自身の手で葬ってあげよう!」

 

ディア「恭二!次の攻撃が来るわよ!」

 

恭二「分かってる。罠(トラップ)発動『ダメージ・ワクチンΩMAX(オメガマックス)』」

 

 

『ダメージ・ワクチンΩMAX(オメガマックス)』 通常罠

自分が戦闘またはカードの効果によってダメージを受けた時に発動する事ができる。自分が受けたそのダメージの数値分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

 

恭二「この効果で俺は今受けた戦闘ダメージ分、ライフを回復する」

 

 

恭二 LP:1000 → 4000

 

 

ライフが回復すると同時に、恭二が受けた傷が癒えていく。しかしダメージを受けた事実が消えた訳ではない。恭二はディアベルスターの肩を借りて何とか立ち上がり、デュエルディスクを構る。

 

 

エリュシクトーン「ライフを回復したか。だけど次の僕自身の攻撃に、君の精神は持ちこたえられるかな?飢渇聖徒エリュシクトーンの攻撃!"永劫飢刃(エターナル・ハンガー)"‼」

 

 

エリュシクトーンが恭二たちに詰め寄り、その手に持つ斧槍を振り上げると、巨大な牙の幻影がエリュシクトーンと重なり、それを見たディアベルスターは咄嗟に攻撃から恭二を守るようにダガーを構えて恭二の前に立つ。

 

 

恭二「っ、ディアベルスター!」

 

 

大斧が振り下ろされると同時に、恭二はディアベルスターの隣に立つと、デュエルディスクを前に突き出して、ダガーを構えるディアベルスターと共にエリュシクトーンの攻撃を受け止める。

 

 

恭二・ディア「「グッ、ダァアアア‼」」

 

 

だが、圧倒的な力で押し切られ、2人はフィールドの端まで吹き飛ばされた。

 

 

恭二 LP:4000 → 1400

 

 

ディア「……恭二、無事よね?」

 

恭二「……何とかな。ったく、召喚もしてないのに前に出るなよ。危ないだろ」

 

ディア「守ってやったんでしょうが。礼ぐらい言いなさいよ」

 

 

互いに軽口を叩き合いながら立ち上がる2人。2人分の力で攻撃を受け止めたお陰で、何とか立ち上がれてはいるものの、恭二の方は先程受けたダメージが残っているのか、すぐに片膝を付いてしまう。そんな恭二にディアベルスターは再び肩を貸し、立ち上がらせる。

 

 

エリュシクトーン「ふーん、まだ立ち上がれるのか。流石にその精神力は脱帽ものだ。まあどちらにせよ、次のターンで僕の勝利は確定だけどね。ターンエンド」

 

 

エリュシクトーン LP:1000 手札:0枚

《モンスターゾーン》

・デーモンの降臨 星6 ATK:3000

・デーモンの根源 星6 ATK:3000

・飢渇聖徒(アザミナ・ソル)エリュシクトーン 星6 ATK:2600

《魔法・罠ゾーン》

・デーモンの召喚(永続魔法)

《フィールドゾーン》

・伏魔殿(デーモンパレス)-悪魔の迷宮-

 

 

ディア「しっかりしなさい恭二。アンタにはまだこんな所で死なれちゃ困るのよ」

 

恭二「心配すんな。俺もこんな奴にやられる気はねえよ。死ぬなんて真っ平ごめんだ!」

 

 

恭二は自分を支えるディアベルスターの腕をそっと押し退け、ふらつきながら再びデュエルディスクを構え直す。

 

 

恭二「それに、まだお前との約束も果たせてないしな」

 

ディア「覚えてたのね」

 

恭二「当ったり前だろ。俺とお前が初めて出会った時にした最初の約束だぜ?」

 

ディア「そう……だったわね」

 

 

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

 

7年前――

 

 

男子「モンスターでダイレクトアタックだ!」

 

恭二「のわぁっ⁉」 LP:1000 → 0

 

男子「相変わらず弱いな、恭二」

 

恭二「うっせぇ!見てろよ、ぜってー強くなってオメエら見返してやるからな!」

 

 

デュエルに負けた恭二を馬鹿にするクラスメイト達に、彼は声を荒げて言い返す。だが当時の恭二はお世辞にもデュエルが上手いとは言えず、初心者が相手でも負ける程度の実力だった。

 

だがそんなある日、恭二の人生に転機が訪れた。

 

その日は朝から酷い雨だった。学校から帰る途中、不意に聞こえてきた呻き声に、恭二は足を止めて路地裏に入っていく。すると、そこにはボロボロの黒いフードを被った傷だらけの女性が蹲っていた。

 

 

恭二「あの、大丈夫ですか?」

 

??「ッ!あんた、私の事が見えてるの?」

 

恭二「見えるも何も……ああ、アンタ精霊か」

 

精霊「驚かないのね」

 

恭二「見慣れてるから。それより怪我してるんだろ。見せてみなよ」

 

 

恭二は鞄から救急セットを取り出すと精霊、後に自身の相棒となるディアベルスターの手を取り、慣れた手つきで手当を進めていく。

 

 

ディア「慣れてるのね」

 

恭二「昔から良く見るんだよ。実体化した精霊が人間界(こっち)に来るのを。大半は偶々繋がったゲートを通ってきたみたいでさ、その中にはアンタみたいに傷ついて動けない奴もいた。そういう奴等を手当てして、送り返してるんだ。まあ、普通の人は精霊が見えないから、お陰で昔から変人扱いされてるけど」

 

ディア「飛んだお人好しね。私が悪人だったらどうするつもり?」

 

恭二「それ、最近できた友達にも言われた。確かに助けた中には悪い精霊もいたし、その度に周りの人に迷惑もかけた。でも、今ここでアンタを助けないで、もしアンタが悪人じゃなかったら後味悪いし。それに自分の事を悪人って言う奴ほど、実は善人でしたってのは良くある話じゃん?それに俺は、アンタみたいな美人が悪人だとは到底思えないけどね」

 

ディア「……あっそ」

 

 

恭二の言葉に、ディアベルスターは照れくさそうにして眼を逸らす。2人の間に長い沈黙が流れるが、恭二は気にせず淡々と処置を続けた。

 

 

恭二「良し!これで終わり。後はアンタが通ってきたゲートに送り返すだけだな。何処にあるんだ?送るぜ」

 

ディア「無いわ。気が付いたらココにいたもの。どうやってこの世界に来たのか分からないのよ。ただ直前まで、強敵と戦っていた。それだけは覚えてるわ……っ!」

 

恭二「おい!傷の手当したって言っても応急処置なんだから無茶するなって!」

 

 

ディアベルスターは立ち上がろうとしたが、受けた傷が響くようで、その場に倒れ込む。彼女の言う通り近くにゲートらしきものは見当たらず精霊界に帰す事もできない。仕方なく、恭二は一旦ディアベルスターにカードの状態になってもらって游真を呼んで家で本格的な処置を彼女に施した。

 

 

恭二(游真に後で「見知らぬ精霊をホイホイ助けるな!」ってめっちゃ怒られたけど)

 

 

翌日、ディアベルスターの傷は完治し、状態もすっかり良くなっていた。

 

 

ディア「世話になったわ」

 

恭二「おうよ。元気になって良かったな!……それで、アンタこれからどうするんだ?」

 

ディア「さあね。今すぐにでも私をボコしてくれた奴に借りを返したいけど、ゲートが見つからない事には精霊界に帰れないし。このまま人間界に居続てもいつか魔力が尽きて消滅するだろうし」

 

恭二「ようは、行く当てがないって事か。ならさ、俺と相棒にならないか?」

 

ディア「あんた、言葉の意味わかってんの?普通のデュエリストならまだしも、あんたみたいな精霊を認識できるデュエリストと精霊の契約ってのは、色々と面倒な制約が付くのよ」

 

 

出て行こうとするディアベルスターに恭二が相棒になる提案を持ち掛けると、彼女は怪訝な表情で恭二を睨む。恭二自身も精霊と相棒になる事がどういう意味か理解している。

 

 

恭二「デュエリストと精霊、互いにどちらかが死ぬまで離れる事を許さず、互いに危害を加える事を許さず、それを1つでも破れば、デュエリストと精霊の両方に罰が下されるだったか。まあこれも游真の、昨日アンタの回復に手を貸してくれた友達の受け売りだけど」

 

ディア「そこまで知ってて良く提案できたわね」

 

恭二「でも悪い事ばかりじゃねえだろ?俺はデュエルの実力が上がって、精霊(アンタ)も消滅せずに済むし、運が良ければ力が上がって進化できる。俺はデュエリストとしてもっと強くなりたいんだ。それに俺は精霊と関わる事が多い。いつかアンタを酷い目に遭わせた奴ってのに会えるかもしれない。その時は、俺達2人でぶっ飛ばしてやろうぜ!」

 

ディア「……はっ、ははは!今まで色んな奴と会って来たけど、あんたみたいなお人好しの面白い奴は初めてだよ。いいわ、契約よ」

 

 

そう言って高らかに笑うディアベルスターが手を差し出すと、恭二は差し出された手を握った。その瞬間、2人の間に言葉では形容できない不思議な力が廻っていく。

 

 

ディア「ディアベルスター」

 

恭二「ん?」

 

ディア「私の名前よ。黒魔女ディアベルスター。周りからは『罪宝狩りの悪魔』って呼ばれてる」

 

恭二「ディアベルスターね。OK覚えた。俺は宝城恭二。気軽に恭二って呼んでくれ。これからよろしくな相棒」

 

ディア「ええ。よろしく恭二」

 

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

 

ディア「……恭二、さっきの攻撃を受けて、1つ確信した事があるわ。アイツ、アンタと会う直前まで私が戦ってた奴の仲間よ」

 

恭二「マジか⁉意外な所で繋がるもんだな」

 

ディア「そうね。でも当時はコイツみたいなのはいなかった。多分、この7年の中で手駒を何体か作ったんでしょうね」

 

恭二「コイツがその内の一体って訳か。もしかしたら、コイツを倒せばお前を殺しかけた奴の手掛かりが掴めるとか?」

 

ディア「そこまでは分からない。でも、可能性はあるでしょうね」

 

恭二「そいつは俄然やる気が出てきたぜ!」

 

 

ディアベルスターの言葉に奮起する恭二。そんな2人のやり取りを見ていたエリュシクトーンは嘲笑うかのような表情で2人を見る。

 

 

エリュシクトーン「一体何の話をしているかは知らないけど、僕に勝つ気でいるならそれは不可能だよ!それに忘れてないよね?僕はこの体を使っているだけ。僕を攻撃すれば、キミがさっき受けたのと同じ現実のダメージがこの体を襲う。それでも良いのかい?」

 

恭二「チッ、そういえばこのダメージを受けるのはあっちも同じだったっけ。どうすっかな……」

 

ディア「……成功する可能性はかなり低いけど、1つだけこの状況を打開する方法があるわ。でも危険な賭けよ。どうする?」

 

恭二「答えるまでもないぜ相棒。その賭け乗った!」

 

ディア「なら、このターンで必ず私を引きなさい。そしてどんな方法でもいいからフィールドに居座ってるアイツの分身をぶっ飛ばしな!」

 

恭二「全く、難しい事言うぜ。よし!行くぜラストターン、ドロー!」

 

 

恭二 手札:4枚 → 5枚

 

 

エリュシクトーン「このスタンバイフェイズ、この僕、エリュシクトーンの効果を発動!僕の墓地から罪宝合戦を手札に加える。これでこのターン、キミがどんなモンスターを出したとしても、次のターンこのカードで破壊してあげるよ!」

 

恭二「悪いが、それは無理だぜ。このターンでお前は終わりだからな!」

 

エリュシクトー「はっ!そんなハッタリが、僕に通じると思っているのかい?」

 

恭二「ハッタリじゃないって事を、今から証明してやるぜ!まずは下準備だ。俺は手札から『反逆の罪宝-スネークアイ』を発動!"デーモンの根源"を永続魔法にするぜ!」

 

 

フィールドに出現したスネークアイの妖しい光に当てられたデーモンの根源は瞬く間に石化した。

 

 

恭二「続けて魔法カード『死者蘇生』を発動!敵味方問わず墓地から一体のモンスターを復活させる!俺が復活させるのは勿論コイツだ!蘇れ、蛇眼の炎龍(スネークアイズ・フランベルジュ・ドラゴン)‼︎」

 

 

・蛇眼の炎龍(スネークアイズ・フランベルジュ・ドラゴン) 星8 ATK:3000

 

 

恭二「フランベルジュの効果発動!デーモンの降臨を永続魔法扱いにするぜ!」

 

 

再び恭二のフィールドに舞い戻ったフランベルジュは出現と同時に額の眼を輝かせ、デーモンの降臨を石化させた。

 

 

恭二「次で最後だ!さあ、待たせたな相棒!手札1枚を墓地に送り、俺は手札からこのカードを特殊召喚する!現れろ!罪宝狩りの悪魔、『黒魔女ディアベルスター』‼」

 

 

・黒魔女ディアベルスター 星7 ATK:2500

 

 

恭二がカードをデュエルディスクに置くと、ディアベルスターは待っていましたっと言わんばかりに意気揚々と飛び出すと、怒気を孕んだ目でエリュシクトーンを睨み付ける。

 

 

ディア「さあ、さっさとこのクソ野郎をぶっ飛ばすわよ!」

 

恭二「ああ頼むぜ相棒!バトル!まずは、蛇眼の炎龍(スネークアイズ・フランベルジュ・ドラゴン)で、飢渇聖徒(アザミナ・ソル)エリュシクトーンを攻撃‼喰らいやがれ!"蛇烈(じゃれつ)のバーンストリーム"‼」

 

 

フランベルジュが放つ蒼炎のブレスがエリュシクトーンの厚い鎧を一瞬で溶かし、顕になった骨だけの体を焼き尽くす。

 

 

エリュシクトーン「ぐぅおおおおお‼」 LP:1000 → 400

 

ディア「見えた、そこ!」

 

 

エリシュクトーンの分身体が焼き尽くされる中、ディアベルスターは突然、指の先から魔力で形成されたピンクの糸のようなものを飛ばす。魔力の糸は赤いコアのような物にくっつき、ディアベルスターがその紐を引くと、憑依されている人間からエリュシクトーンの本体が引きずり出された。

 

 

エリュシクトーン「な、何⁉」

 

ディア「これはアタシの昔馴染みの受け売りなんだけど、分身体を作るには自分の魂の一部を物質的な核に憑依させて操る必要があって、その魂の一部ってのは霊術師でもなければ完全に切り離す事はできないのよね?アンタ、相当な力を持ってるみたいだけど、霊魂を操る能力には長けてないみたいね。お陰で、アンタが媒体にしてた核が完全に崩壊する前に、核とアンタの魂をくっつける事ができた。今すぐ、アンタをその体から引き剥がしてやんよ!」

 

 

ディアベルスターは魔力の糸を腕に巻き付け、力の限り糸を引き抜くと、エリュシクトーンの本体は憑依していた人間と完全に分離した。

 

 

ディア「出てきたわよ!」

 

恭二「ナイスだディアベルスター!いっけー!そのままダイレクトアタック‼」

 

 

ディアベルスターは再び糸を引き、無防備なエリュシクトーンを自身の方に近づける。そしてダガーを逆手に地を蹴ると、エリュシクトーンを十字に切り裂いた。

 

 

エリュシクトーン「僕が、消える。ボ、クが……」 LP:400 → 0

 

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

 

デュエルが終わって、俺達が立っていた不気味な城はソリットビジョンが消えると同時に元の廃ビルに戻っていた。

 

 

恭二「ふぅ、何とか勝てたな……っとと」

 

 

さっきのデュエルで受けたダメージのせいか、視界が揺れて俺は思わず倒れそうになるが、すぐに踏みとどまる。そしてさっきまでデュエルをしていた相手に近づく。闇のゲームってやつのせいで気を失ってるけど、ディアベルスターの作戦のお陰か、死んではいないみたいだ。

 

 

ディア「デッキを確かめるわよ。もしかしたら、何か手掛かりが残ってるかも」

 

恭二「おいおい、勝手に人のデッキを……ってあれ?」

 

 

意識がない状態とはいえ、勝手に他人のデッキを覗き見るようとするディアベルスターを咎めようとするが、そんな俺よりも早くディアベルスターが男の腕から取り外したデュエルディスク――正確には、そこに40枚収められていた筈のカードが1枚しかないのを――を見て、俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

 

 

恭二「ど、どういう事だ?」

 

ディア「証拠隠滅って所かしらね。そう簡単に尻尾を掴ませてくれないみたいね。ただ……」

 

 

そう言いながらディアベルスターはデュエルディスクに唯一残っていたカード、"罪宝合戦"を俺に渡してきた。

 

 

ディア「きっとこれは始まりに過ぎないって事よ」

 

恭二「そうかもな……」

 

 

ディアベルスターの言葉にそう返し、俺は罪宝合戦のカードをデッキに入れる。

 

 

游真「恭二!無事だったか!」

 

 

その直後、屋上の扉が勢いよく開き、険しい表情をした游真が飛び出してきた。

 

 

恭二「游真!良くここが分かったな!」

 

游真「黒い狼(シルウィア)の目撃情報があって、もしかしたらって思ったんだ。それで、デーモンパレスが現れたのを見て急いで来たんだけど、どうにか勝てたみたいだな」

 

恭二「当ったり前だろ!なんたって、俺には最高の相棒がいるんだしな!」

 

ディア「ば、馬鹿な事言ってないで、早くそこに倒れてるソイツを運びなさいよ!」

 

恭二「はいはい。游真、手伝ってくれ」

 

游真「分かった」

 

 

照れ隠しのつもりか、いつもより声を荒げるディアベルスターに急かされ、俺は游真と協力して倒れている彼を病院へと運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

……そしてその後、2人して大遅刻した事で先生にめちゃくちゃ怒られた。

 

 

恭二「人助けしたってのに、世知辛い世の中だぜ……」

 

游真「……だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

▼

 

 

 

 

 

 

Noside――

 

 

 

 

游真と恭二が去った直後、白魔女が廃ビルの屋上に降り立つ。

 

 

白魔女「可哀想な王様。飢餓の呪いで死んでもずっと飢えたまま。最期はこんな寂れた場所で飢えを満たせず逝っちゃうなんてね」

 

 

白魔女は不敵な笑みを浮かべつつ、エリュシクトーンが消滅した場所を長い爪で撫でる。

 

 

白魔女「んー、モルガナの時みたいに何か残ってると思ったんだけど、そう毎回都合のいい事、ある訳ないか……っ!」

 

 

何かを探しているような白魔女だったが、自分の求めているモノがないと分かると、すぐにその場から立ち去ろうとした直前、彼女の背後から二つの赤い斬撃が迫る。白魔女は襲撃者の攻撃を避けると、屋上の柵の上に優雅に着地した。

 

 

白魔女「いきなり攻撃してくるなんて随分な挨拶じゃない。それとも、それがそっちの常識なのかしら?」

 

 

皮肉交じりの白魔女の言葉に襲撃者の少女は何も返さず、バイザー越しに白魔女を見つめたまま、ゆっくりと白魔女の反対側に降り立つ。それと同時に、屋上の扉が開き、そこからデュエルディスクを付けた黒髪ストレートのショートボブで、前髪に隠れた深紅の瞳を覗かせた少女が現れる。

 

 

??「まあまあ許してあげてよ『ディアベルゼ』。キミの周りで立て続けに仲間がやられてるもんだから『ロゼ』も殺気立ってるだけなんだからさ」

 

ロゼ「マスター、私は殺気立ってなんかない。ただ、怪しい動きをしていたアイツを斬ろうとしただけ」

 

夜羽「こーら!それでもし彼女がボク達のために行動してただけだったら、怒られるのはボク達なんだから。すぐに決めつけて斬りかかっちゃ駄目でしょ。それにボクの事は『夜羽(よるは)』って呼んでって昔から言ってるじゃん!」

 

ロゼ「それは無理。マスターは『マスター』だから」

 

夜羽「全く……相変わらず頑固だねーロゼは」

 

ベルゼ「ねー!アタシを放ったらかして2人だけでイチャつかないでくれるー?あんた達は何しに来たのよー?」

 

 

勝手に喧嘩を売られて、勝手に何事も無かったかのように目の前でお喋りを始めた2人――「黒瀬夜羽(くろせ よるは)」と「閃刀姫-ロゼ」――にディアベルゼは突っ込みを入れた。

 

 

夜羽「ごめんごめん!でも、ボク達が来た理由はキミも分かってるでしょ?キミと同じで計画を進めるためにボク達が派遣された。って言うのは建前で、キミから霞理游真の報告を聞いた時に、ボクが“彼”に無理言ってゲートを開いてもらったんだけどね。だから、キミの個人的な悪巧みの邪魔はしないから心配しないでよ」

 

ベルゼ「げっ、どんだけ知ってるのよこの悪女」

 

夜羽「キミに悪女って言われるのは心外だなー。ま、つまりはそういう事だから、お互いそれぞれの目的のために頑張ろう!」

 

ベルゼ「はいはい。せいぜいアタシの邪魔だけはしないでねー」

 

夜羽「それはこっちの台詞だよ。ディアベルゼ」

 

 

怠そうな受け答えをするディアベルゼに対し、終始笑顔を絶やさない夜羽。そんな彼女に対し、ディアベルゼはまるで不気味で気色悪いとでも言いたげな表情を夜羽に見せた後、廃ビルの屋上から飛び降りた。

 

自分の主を侮辱されたように感じ、我慢ができなくなったロゼがすぐに後を追おうとしたが、既に飛び降りた筈のディアベルゼの姿は何処にもなかった。

 

 

ロゼ「あの女、次会ったら絶対に斬る……!」

 

夜羽「まあまあ、放っときなよ。どうせボク等も好き勝手やるだけだしさー。それにしても……この景色は本当、変わらないな―。あれから10年も経ってるのに」

 

 

ディアベルゼが去り、未だ怒りが納まらないロゼを諫めながら夜羽は廃ビルの屋上から周囲の景色を見渡し、乾いた笑い声を上げた。

 

 

ロゼ「マスター、本当に気持ちは変わらない?」

 

夜羽「ロゼ……何度聞かれても、ボクの決意は変わらないよ。"彼"に出会ってから……ううん、キミと契約した時から、ずっと考えてた事だから」

 

 

ロゼからの問いに夜羽は静かにそう返すと、ロゼの方へと向き直り、満面の笑みをロゼに見せる。

 

 

夜羽「ボクを拒絶したこんな世界なんか、綺麗さっぱり滅んじゃえばいいんだよ!」

 

 

嬉々とした声でそう言い放つ夜羽。表情とは裏腹に、彼女の瞳の奥で赤く怪しい光が灯っていた。

 

 





今回はここまで。それではまた次回。
↓今回の話で追加したキャラと新設定


▼キャラクター紹介
〇黒瀬 夜羽(くろせ よるは) 16歳 女性
・容姿
黒髪ストレートのショートボブ
普段は前髪で目が隠れているが、気持ちが昂ると自然と前髪が流れ、瞳に光が灯る
釣り目で相棒の「閃刀姫-ロゼ」と同じ深紅の瞳が特徴的
黒と赤を基調としたミリタリー系ファッションで、襟元にロゼが所属の帝国「スペクトラ」の紋章バッチを付けている
・性格
普段は軽口を叩くお調子者で、デュエル中も相手を挑発する事が多いが、一度スイッチが入ると冷徹な判断で相手を叩きのめす
・使用デッキ:閃刀姫

〇閃刀姫-ロゼ
「閃刀姫-レイ」と対となる存在
夜羽と契約している相棒の精霊
夜羽との出会い契約までの経緯は不明

〇"彼"と呼ばれる存在
・性別が男ということ意外の詳細は不明
・第2話でディアベルゼと会話していた人物
・人間界と精霊界を繋ぐゲートを開く事ができる
・自分自身で開いたゲートを通る事はできない
・謎の計画を進めており、精霊たちを人間界に送っている
→"カギ"と呼ばれるものを探している


▼世界観の追加設定
〇デュエリストと精霊の契約について
・精霊の存在を認識できるデュエリストと人間界で実体を持つ精霊のみが行える
・デュエリスト側のメリット
デュエリストとしての実力の飛躍的な上昇
精霊による精神干渉への耐性
精霊界での精神汚染への耐性
・精霊側のメリット
精霊としての能力の増幅(運が良ければ進化できる)
人間界での実体の維持
人間界での力の行使
・契約によるリスク
意図的に互いの縁を切る、互いに危害を加える行為を禁ずる制約がある
→シンプルな内容だが、この制約を破ればデュエリストと精霊の両方に死より重い罰が与えられる
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