遊戯王アウトサイダーズ 作:とある遊戯王プレイヤー
モハンの戦術的目論見はこうだった。
①ユウがキングレギュラスを対象に取る
②フォートレスでダイレクトアタック。ユウLP4000 → 1500
③バトル終了時、ドレッドノイドにグスタフ・マックスを重ねてエクシーズ召喚
④グスタフ・マックスの効果で2000ポイントのダメージ。ユウのライフ0
これは即死ルートであった。
ユウがドレッドノイドを対象に取った場合も、フォートレスでのダイレクトアタックが通り、ライフが減じる。
レギュラスが残っている以上は、幾らでも手があった。
しかしユウはそのどちらでもない、フォートレスを対象に取った。
その一手をモハンは予期していなかった。
繰り返すが、フォートレスはモンスター効果に対象に取られた場合、効果適用前に相手の手札を確認し、1枚を捨てられる。
手札情報を見られ、戦術の選択を減らされるのは大きな損失だ。
決闘者であるなら、率先して避けたくなるようなもの。
だが相手が積極的に飛び込んで来たとなると、事情が異なってくる。
(何だ…? 一体何を考えている?)
「どうしたモハンさんよォ! 意外だったか?」
(狙いは? フォートレスを対象にする必要はない筈だ。単純に戦闘ダメージを避けたいだけか?)
『モハン選手、中々対応しませんね!! これはそれほど難しい展開なのでしょうか、灰流うららさん?』
『ええ〜こっちに振っちゃう? あたしはプレイヤーの監視が仕事だよ〜どの道デッキから特殊召喚したり手札に加えたりドローする効果じゃないから興味ない〜』
『はい、ありがとうございました! 難しい様ですね!』
アルレキーノが実況で漫才をする間、モハンは決断した。
「いいよ、ならホワイト・ラミアの効果適用前に、君の手札を見せて貰おう」
「ほらよ! 好きなのを捨てなァ!」
ユウの手札にあったのは【SSリザードマン】【SSリクルート】の2枚。
「なるほど…墓地効果のあるSSリクルートは、捨てられても問題ないのか。だけど蘇生は困る。SSリクルートを捨てて貰うよ」
SSリクルートが墓地に送られ、マシンナーズ・フォートレスは攻撃が不可能となる。
フォートレス ATK2500 → 1500
「ならこうしようか。バトルを終了し、ドレッドノイドの効果を発動! 自身に【超巨大空中宮殿ガンガリディア】を重ねてエクシーズ召喚! メイン2、ガンガリディアの効果…エクシーズ素材を1つ取り除き、SSディーリングを破壊! 1000のダメージだ」
「ぐっ…」
ユウ LP4000 → 3000
「さて、これで私はカードを1枚伏せてターンエンドかな」
モハン
キングレギュラス ATK2800(デスペラード装備)
フォートレス ATK1500(効果発動、攻撃不可)
ガンガリディア ATK3400
魔法・罠 伏せ1
「エンド時、墓地のホワイト・ラミアがフィールドに特殊召喚されるぜ」
「いいよ。さあ、その手札でどうするのかな?」
「ソイツぁカードを引いてから考えさせて貰うぜ! オレのターン、ドロー! よし、オレはこのままメインに入るぜェェ!」
(……何を引いた?)
「まずは墓地のSSリクルートを除外し、デッキからミディエイト・サイキッカーを手札に加える。そして、手札からSSリザードマンを召喚、効果を発動!」
リザードマンの召喚時効果は、手札のサイキック族SSモンスターの特殊召喚である。
「これでサイキッカーを出すつもりか…キングレギュラスの効果発動! 自身を墓地に送りリザードマンの効果を無効にする」
これは単にリザードマンの効果を封殺するだけではない。
キングレギュラスに装備されたデスペラード・リボルバー・ドラゴンを一緒に墓地へ送る事で、効果を発動する。
「デスペラードの効果で、私は【リボルバー・ドラゴン】を手札に加える」
「だがようやく目障りなヤツが消えてくれたなァ! リザードマンの③の効果だ! 自分以外のSSモンスターがフィールドに居る時、相手フィールドのモンスター1体を破壊する! 対象はガンガリディア!」
「やるね…ガンガリディアは破壊される」
「そんじゃココで、さっき引いた魔法カード【SSサクセション】を発動! 手札のサイキッカーをコストで捨て、デッキから2枚ドローする!」
「はは、ドローで運を引き寄せるって? 駄目だよ。リバースカードオープン【ブリザード】! ブリザードは魔法カード…SSサクセションがフィールドで発動する効果を無効化する…代わりに、サクセションは手札に戻るけどね」
サクセションを発動するためのコストで、サイキッカーを墓地に送ってしまった。
ユウの手札は発動さえ出来ないサクセション1枚となってしまったのだ。
(これで彼の手札は死んだ。こちらもフォートレスだけになったが、コイツは戦闘破壊されれば、墓地効果で相手フィールドのカード1枚を破壊する。もう私を倒し切る事は出来ない)
「ヒヒヒ…まぁ、相手を調べるのが大好きなテメェの事だ、このくれぇはやって来ンだろうとは思ってたぜェ」
「へえ、まるでまだ手がある様な言い方だね」
「あるぜ。リバースカード【SSサモンリピート】を発動! リザードマンをリリースし、デッキからSSミッドソードナイト、SSヒールマジシャンを特殊召喚!」
「なんだって!?」
ここでモハンは、己の過ちに気が付いた。
いつの間にかユウのリバースカードから意識が完全に外れてしまっていたのだ。
(…ま、まさか!?)
何故、意識から外れていたのか?
そこで思い当たったのは、ユウの手札をフォートレスで覗き込んだ時だった。
(戦術を誘導されていたのは私の方だとでも!?)
ユウは手札バレした状態で展開していた。
リザードマンにしろ、サクセションにしろ…モハン視点では、ユウの手札が分かっているからこそ、苦し紛れの抵抗にしか見えなかった事だろう。
それらを無効化する判断を下せたのは…ひとえに情報があったから。
(コイツは…伏せカードから注意を逸らす為に、わざと手札を公開して私に過度に情報を与えて来たとでも!?)
見えているから…分かっているから封じたい。
その心理を巧みに利用された気でいるモハンは、今更ながらユウの見方を変える必要があった。
「特殊召喚に成功したミッドソードナイトとヒールマジシャンの効果により、SSエッジストーンゴーレムとSSホワイト・スネークを手札に加える! 更に、ヒールマジシャンの効果で1枚ドロー!」
(くそっ、認識を改めなければ!)
「ミッドソードナイトとヒールマジシャンでエクシーズ召喚! 現れろランク4【SSHセイント・パラディン】! セイント・パラディンの効果発動! 次のターン終了まで攻撃力を3500にし、コイツが戦闘を行うダメージステップ終了までの間、相手はモンスター効果、魔法、罠を使えない」
セイント・パラディン ATK2200 → 3500
「という事は…フォートレスの効果が使えない?」
「そういう事だなァ! ホワイト・ラミアを攻撃表示にしバトル! セイント・パラディンでフォートレスを攻撃ィィ!」
セイント・パラディン ATK3500
マシンナーズ・フォートレス ATK1500
モハン LP4000 → 2000
「ぐっ…」
「トドメだァァ! ホワイト・ラミアでダイレクトアタックゥゥ!」
ユウは最後の攻撃を宣言した。
灰流うらら
カードモンスター。デッキからカードを手札に加える、デッキからモンスターを特殊召喚する等の効果に対して、手札から捨てる事でそれらを無効にする強力な効果を持つ。
当然ながら超レアカードであり、これを持つ決闘者はそれなりの高所得者か豪運の持ち主となる。
今回はアルレキーノらと同じく謎の実体化をし、審判として参戦している。