遊戯王アウトサイダーズ   作:とある遊戯王プレイヤー

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帰って来た男―準決勝開始

 

『ベスト4まで歩を進めたのは、マナカ ユウ選手!! 見事にメタマスターのオオタケ デルタ選手を下しましたー! いやぁ実に手に汗握る攻防の見られた決闘でありましたねぇ!!』

 

 と、解説のアルレキーノ。

 

 彼の言葉通り、ユウはベスト4へと進んだ。

 あと2回勝利すれば優勝となる。

 

 歓声の上がる中、デュエルディスクを閉じようとしたユウに、『マナカ ユウ…』と、アクシスク・ドラゴンが直接脳内に語り掛けて来た。

 

『マナカ ユウ。我が使用者よ…よく聞くのだ』

 

 他の精霊らと違い、普段は口を開かないドラゴン勢が、こうして自分から来るのは珍しい。

 ユウはディスクの電源を維持し、その言葉に意識を向けた。

 

『今、私達は危うい状況にある。決して私達を神龍に融合するな。例え神龍の力が必要だとしてもだ』

 

「っ!? 何があった!?」

 

『私達にも分からぬ。だが神龍となった時に、私達はその力を失う事となる予感がするのだ。心せよ…』

 

 そう言い残し、黒血龍は姿を消した。

 デュエルディスクの電源を落とし、ステージを後にするユウ。

 

(ほほう、あのドラゴンはお気付きなのですな。しかしマナカ ユウは神龍を呼びざるを得なくなりますよ…何せ決勝相手は彼なのですから)

 

 アルレキーノは、彼の背中を一瞥し口端を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

――選手控室に戻ったユウは、デュエルディスクのデッキに手を置くと、精霊世界へとアクセスした。

 彼は、精霊世界に訪れる手段を得てからは、度々こうして入り込んでいる。

 

 次にユウの意識が覚醒した場所は、草むらの上だった。

 精霊世界に着地出来た彼は、早速いつもの場所へと向かう。

 

 そこは彼のデッキの切り込み隊長、ミッドソードナイトが鍛錬を積んでいる場所だった。

 森を抜け、だだっ広い平地に出れば…あいも変わらず剣の素振りに勤しむミッドと、それを傍らから見守るヒールマジシャンの姿があった。

 

『あ、マスターじゃんどしたの? 大会中じゃなかった?』

 

 マジシャンが気さくに話し掛けて来る。

 ミッドはチラリとこちらを見たが、すぐに正面を向き素振りを続けていた。

 

「妙なこと聞くんだがよォ…神龍は何処に居ンだ?」

 

『神龍サマ? その気になればテレパシー的なヤツでお話しは出来ると思うけど〜……むむむ〜〜……あれ、返事無いね、念波悪い?』

 

『休まれているのだろう。数日前より、本調子ではないと言っていた気がする』

 

 ミッドが言う。

 

「本調子じゃない、か。実はさっき黒血龍に言われたんだよなァ…神龍が危うい状況にあるから呼ぶなってよ」

 

『黒血龍サマが? う〜ん…何だろ? 病気とか?』

 

『神龍様は我々より遥かに頑丈で頑強な御方だ。病原菌など取り付けもしないだろう』

 

「だがそんな頑丈なヤツも、今は音信不通か…だけど、召喚すんなっつっても、こっから先は呼ばねえ訳にもいかなくなンだよなァ」

 

『オーーーーイ!! ヘイ、マスター!! 今日は何事よ??』

 

 そんな時、上空から急降下、降り立つストームメイカー。

 彼は眼球保護ゴーグルを外しながら尋ねて来た。

 

「お前か…今、神龍と連絡取れねーみてぇだが、何か知らないか?」

 

『ん、ん、んーー? 神龍様? そういや見ないねぇ! それに俺に分かんのは風の機嫌くらいさ』

 

「なンだよ風の機嫌って…」

 

『オイオイご存知ない? 風が乱れは心の乱れ、空気乾けば心も乾く、過剰な湿度は危うい印、風は大事なんだぜイェアァーー!!』

 

『ストームメイカー殿の言う事は出鱈目ではないぞマスター。彼の風を通して感じる能力は毎度、的中している』

 

 フォローを入れるミッドに、肩を組み『サンキューマイフレーンド!』と騒ぐストームメイカー。

 だが糞真面目なミッドが言うのだし、せっかくだから聞いてみるのもアリか、と思う。

 

「そんじゃ今日の風の機嫌とやらは?」

 

『うん? うーーーんそだなー!! 異常ナァァシ!!』

 

 ダメだこりゃ、と言わんばかりのユウに、

 

『てか、そういう事ならフォーチュン・テラーさんに訊けばいいじゃん。未来予知とかするよあの人』

 

 確かに、フォーチュン・テラーは見た目からして占い師然としている。

 

『そんじゃマスター俺に捕まれぇぇい!! テラーさんトコは俺なら…2分だ!』

 

 ストームメイカーのジェット機並の速度で2分は、相当に遠い所に住んでいるらしい。

 

(またあのアクロバット飛行されんのか…)

 

『ヘイヘイどーしたぁ!? 早く捕まれってぇ!!』

 

「真っ直ぐ飛べよ? 意味不明なアクロバットはいらねぇ!」

 

 そう言った時…現実の方で動きがあった。

 

『マスター、あちらで名前を呼ばれている。次の戦いではないか?』

 

「はぁ!? もうか?」

 

『あちらとこちらでは時間の流れも相違がある。取り敢えずは戻られよ』

 

「チ、仕方ねぇ! 戻る!」

 

 ユウの意識は急速に遠退いてゆく。

 

 

 

 

 

――選手、及びマナカ ユウ選手はステージに起こし下さいませ!』

 

 現実世界にて意識を取り戻したユウが最初に聞いたアナウンスである。

 彼は慌ててステージへと向かった。

 

 その様子を見ていた参加者や敗退者は、

 

「アイツ…準決前だってのに寝てやがったぜ」

「マジかよ。あれが強者の余裕ってヤツか…」

 

 等と述べていた。

 一方で、片隅のサングラスの男は

 

(ハッ、余裕だねェルーキー。だがな、テメェだろうがヤツだろうが、決勝で俺様に敗退すンのさァ!!)

 

 と、拳を握り締めていた。

 

 ステージに姿を現したユウ。

 対戦相手の方は既に中央にて仁王立ちしている。

 これ見よがしに腕を組み、指を、爪先を忙しなく動かして、待ってんだけどアピールをしていた。

 

『マナカ ユウ選手ゥ! ようやくの入場でぇす、お手洗いにでも行かれてた? ともあれこれで準決勝が開始出来ますねぇ! 両者ともデュエルディスクをセットして下さぁい!』

 

「ワリーワリー、ちょいと色々あってなァ!」

 

 と、ユウは相手のマーカー付き大男に言った。

 大男のこめかみに、青筋が1つ増える。

 

「ケッ、別にいいゼ、この大舞台でお前をぶっ倒せるんダカラなマナカ ユウ!!!」

 

「あら? アンタ、オレの事知ってんのか?」

 

 大男のこめかみに、青筋がまた増えた。

 

「知ってるダァ!? 俺様をおちょくってンのカァチビ! 【NO・KING佐野】ダァ!」

 

「……スマンが、誰かマジで分からん」

 

 この大男は、ユウがセキュリティに捕縛される原因となった大会の、決勝の相手であった佐野だ。

 

 が、ユウが覚えていないのも無理はない。

 彼にしてみれば、優勝商品であった黒血龍までの間に立ちはだかる壁の1つだった、程度の認識しかなかったからだ。

 

「ぐっ…ヌヌヌ! いいだロウ! 俺様の最強デッキで2度と立てねえ様にしてヤルゼ!!」

 

「そいつぁこっちのセリフだデカブツ! 覚悟しやがれ!」

 

 互いにデュエルディスクを起動。

 カードを5枚ドローし、開始が宣言された。

 

「「デュエル!!」」

 

 佐野 LP4000

 

 ユウ LP4000

 





NO・KING佐野
ユウが捕まる切っ掛けとなったデュエルの、決勝の相手だった大男。頭は余り良くないが、決闘者としての腕はかなりのものである。一撃必殺のガーゼットデッキを使用していた。しかしユウには覚えられていない。ちなみに妹が居るが、彼とはまるで似ていない。
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