遊戯王アウトサイダーズ 作:とある遊戯王プレイヤー
「テメェらは八百長防止の為に組織されたんだろーがよ!! なら俺様の疑問にも納得いく返答が必要なんじゃねーのか、あぁん?」
尚もピースは、ユウの不正について意見を発信している。
これを受けた観客らもまた、続々と彼の主張に賛同してゆく。
遂にはピースコールまでもが広がり、ユウを始め審判団らもアウェイとなっていく。
これに気を良くしたピースは更に詰め寄り、
「それとも審判団は、マナカと繋がってやがんのか!? おいおいソイツぁ笑えねーぜ!」
と、アルレキーノの胸ぐらを掴みあげた。
これにはさしものアルレキーノも、張り付けた笑みを剥ぎ捨てた。
胡散臭ささえあった笑顔が失せたアルレキーノは、どこまでも人形の様な無表情で、虚無の瞳を抗議者へと向けていた。
『……はぁぁ、実に些事に拘られていらっしゃる』
「は、な、なンだコラァ!? ふざけた態度しやがってよォ!」
『威勢の良い御方だ。でしたら貴方様が最初になって貰いましょうかねぇ…
「クっ!?」
アルレキーノがピースを振り払う。
突き飛ばされたピースがよろめいた瞬間、アルレキーノの手のひらより【人魂】らしいものが放たれた。
その人魂はピースに取り憑き、肉体へと浸透してゆくかの様に、皮膚から中へと入り込んだ。
そこより彼を内部から変えてゆく。
「ぐ、ぐああああああ!? なんだこりゃあああ!!」
人魂にアタックを受けたピースは、1枚のカードとなりステージに落ちた。
アルレキーノは、かつてピースだったそれを拾いあげる。
【決闘者ジッパー・ピース】
レベル3、戦士族、闇、ATK800 DEF200
①1ターンに1度、相手フィールドのモンスターを対象に発動する。そのカードの攻撃力を500ポイント下げる。
『ノーマルカードといった所でしょうか。威勢の割にはイマイチですねぇ』
そう呟くと、頭を上げるアルレキーノ。
観客席は、静寂に包まれていた。
おやおや…とハットを直し、再び顔に笑みを貼り付けて…マイク越しに宣言した。
『少々トラブルはございましたが……観客の皆様! これより次なるイベントを開始致しますよ!!』
――『マナカ ユウさん……今すぐ、逃げて……下さい…』
幽鬼うさぎが、普段と変わらぬ調子で言った。
しかしながらその表情からは深刻さが伝わって来る。
「とは言うが、一体何が起こるってんだよ」
『それは……』
「ぐああああああ!!?」
その時、ピースの悲鳴が響く。
ユウがそちらに目を向けた時には…
信じ難い事だが、ピースの姿が萎んでゆき…1枚のカードとなって床に落ちた。
「なっ…!?」
『アレが起こります…だから早く…』
「チィッ、ビックリドッキリ、オカルトイベントってかァ!?」
――『ルールは簡単ですよォ! 亡霊を放ちますから、その亡霊から死に物狂いでお逃げ下さるだけ!! 亡霊に捕まれば、このようにカードに成り果ててしまいますのでご注意を! 時間は無制限! 観客の皆様も全員参加でさあ、レッツスタートォォ!!』
そう宣言したアルレキーノの全身…文字通り身体中から、先程の人魂、【ファントム】が無数に放たれた。
それらは人間目掛け…客席を目掛けて飛んでゆく!
未だに何が起きているか処理し切れていない観客が、ファントムに触れてカードとなった。
悲鳴をあげ、逃げ惑う主催者の会長がカードに。
他者を蹴落とし逃げ仰せようとした犯罪者崩れがカードに。
仲間を逃がそうと肉壁となった男が、女が、カードに。
幽鬼うさぎの言う通りだった。
僅か数分の間に会場は混乱の坩堝と化していたのである。
観覧席のアミやオガタもまた、我先に避難を急ぐ者らに阻まれ進めずにいた。
「何で扉が閉じてんだよォォ!!」
「会場から出ろ、出ろ!!」
「道を開けろコラァァァ!!」
「くっそ、どいつもこいつも! こーいう時は一旦落ち着けよなあ!!」
と、オガタはブチギレながら叫んだが、聞く者など居はしない。
どころか肘打ち蹴り等を貰う始末だ。
「ダメよオジサマ、通路から離れて」
観客らの波から身を離す様に促すアミ。
二人は辛うじて人の居ないスペースを発見したものの、そこは敵からも丸見えである。
人魂……カードファントムらが、アミやオガタを捉えて殺到して来る。
「オイオイオイこっち来てんぞアミちゃん! 早く逃げ――」
「ライオ!!」
アミの呼びかけに、デッキから姿を現したカードの精霊【月光舞獅子姫】
『おぅ、呼んだか?』
「アレを斬りなさい!!」
咄嗟に言われた彼女であったが、阿吽の呼吸とも言うべきか。
『任せな!!』と偃月刀を振り抜くライオ。
ライオの攻撃を受けたカードファントムは、断末魔をあげて消滅していった。
「やっぱり…島の時と一緒よ、精霊なら倒せる!」
「そ、そうか! なら……俺を守ってくれライオちゃん!!」
『なら下がってな。お前らには指一本触れさせねーからよ!』
――「皆、アタシの側に集まって!」
ルシア・イヴの言葉に、素直に従った信徒らはファントムによる襲撃を凌げていた。
理由は簡単で、ルシアの周りには精霊である堕天使らが展開している。
ルシフェルやイシュタムを始めとしたメンツが、襲い来る亡霊らを蹴散らしていたのだ。
「皆…そこに居るのね。お願い、皆を守って!」
彼女の目にはまだ堕天使らは映らないが、それでも声は届く。
軍団を統率しているルシフェルが檄を飛ばし一人でも多くの観客を防衛していた。
――「ぐっ、危ねっ!!」
ユウは最前線、アルレキーノの間近に居るためかファントムの襲撃もより激しく、数も尋常ではない。
前後左右、あらゆる方向から襲撃を仕掛けてくる亡霊らに、迂闊に動けずに居た。
『ユウさん…こうなった以上、逃げ切るのは…厳しいかと』
使い魔を駆使してどうにかファントムを払いながら、幽鬼うさぎが言う。
「みてーだなァ! どーすりゃいい、アルレキーノの野郎を倒しゃいいのか!?」
『それで解決はしませんが……目の前の脅威を払うには、それしかありません…』
と、簡単には言うものの、繰り返しになるがファントムがそこらを飛び回っているのだ。
やすやすと接近さえ出来ない。
(くっ…せめてあの野郎に一撃入れられるまで近付かねーと)
『マナカ ユウ! 助太刀に来た!』
そこへ、ファントムを薙ぎ払いながら現れたのは…堕天使ルシフェルである。
「なっ!? お前、なんで――」
『我が主の命令だ。露払いは務めるから、とっととあの道化を打ち倒して来い』
「チッ、しゃーねえなぁ!! ならしっかり連れてってくれよォ!!」
直後、ルシフェルが前に出てファントムらを次々に撃破殲滅し、血路を開いてゆく。
ユウは彼の後ろをひたすら、置いていかれぬ様に駆ける。
だが…
『『『『『ちょっと待った!!』』』』』
立ちはだかるのはファントムらだけではない。
審判団…幽鬼うさぎを除く他の連中は、どうやらアルレキーノ側らしい。
さしものルシフェルもこれには不意を撃たれた。が…
『邪魔だぁ! そりゃぁぁぁぁ!!』
そこに弾丸が如き一撃が地面を砕き、大気を割いて飛び込んだ。
振り返れば本気を出した舞獅子姫…いや、舞獅子神姫が偃月刀から斬撃を飛ばしていたのだ。
これに弾かれた審判団は『『『『『きゃああああああああああああああ!!!???』』』』』とどこかへ飛んで行って星になった。
『ほぅ…とんでもない暴れ馬だ』
『これで邪魔はねぇ! 行けぇユウ!!』
「ったく、分かったよ!!」
こうして、何とかアルレキーノの前に立ったユウはデュエルディスクを起動し、宣言した。
「さぁ、オレとデュエルしやがれ、アルレキーノ!!」
カードファントム
※このカードはデータ入力前のカードです。今は何者でもなく種類も名前もありません。取り扱いにご注意下さい