遊戯王アウトサイダーズ 作:とある遊戯王プレイヤー
――「ファング長官! 邪神龍カードのデータインプット、完了致しました!」
セキュリティ機密研究所、モニターに投影された邪神龍を見るなり、ファングは強く頷いた。
「よくやりました、ご協力に感謝します。あと…私はまだ、副長官ですよ主任」
「ハッ、失礼しました!」
「では後ほど、そちらに伺いますから準備をお願いしますね」
そう言い、モニターを切り替える。
次に写ったのはUCS会場であった。
しかし映像の中は地獄の様相を呈している。
飛び交う悲鳴、怒号。
我先にと押し合いになる人々。
だがそれらにファングは一切の興味はない。
このままUCSは終焉を迎えるのは、決定事項であるからだ。
裏デュエルに集まる犯罪者や、後ろ暗い者らなど排除して然るべき…そう考えるファングである。
邪神龍解放のついでの、犯罪者らをカード化するこの計画こそ、世界を獲る前準備なのだ。
そして――彼の唯一の興味の先が、アルレキーノの前に立っていた。
その姿を認めた時、ファングは口の端を僅かに吊り上げた。
『アルレキーノ! オレとデュエルしやがれ!』
「ククク…この期に及んでデュエルときたか。だが、そうでなくてはな」
ファングは音声通信をアクティブにすると、アルレキーノに指示を飛ばした。
――UCS会場。
『何故、私が貴方とデュエルをする必要があるのでしょうか、マナカ ユウ様。申し訳ありませんが私は忙しい身、デュエルをお受けする事は――』
「面白いではないか。マナカ ユウとデュエルをしろ」
決闘を拒否しようとしたアルレキーノに、通信の主はそう言った。
その言葉を受けた彼は、だらんと腕を垂らし…ハットを弄ると視線をあげた。
『……分かりました。マナカ ユウ様、わざわざ私の元に辿り着いて頂いたのですし、決闘を致しましょう! 貴方が勝てばファントムの放出を直ちに止めてもいい』
「ホントは拒否したかったんじゃねえか? どういう風の吹き回しか知らねーけどよォ!」
『中間管理職は辛いもの、とだけ。フリーターの貴方には理解し難い事でしょうけどね…では、始めましょうか?』
『「デュエル!!」』
『では私の先攻で行きますよ。手札より【カードファントム・A】を通常召喚しますねぇ』
と、アルレキーノはデュエルディスクにカードをセットした。
だがそのカードに対応するソリッドビジョンがない。
映像として投影されなかったのである。
「おい、テメェのモンスターが見えねぇぞ!」
『それはそうでしょう、カードファントムは未だに契約を勝ち取れていないモンスターらの総称ですから。彼にも本当の名前があろうかと思われるのですがねぇ…ファントムAの効果により手札・デッキより同名のファントムA2体をフィールドに特殊召喚しますよ』
更に2枚のカードをディスクにセットするアルレキーノだが、フィールドに何も現れない。
(ステータスさえ分からねぇモンスターだとォ……)
『カードファントムはルール上、【】として扱い、あらゆる効果、戦闘、ルール効果、その全てに干渉致しません。つまりはまだ、
「へえ、だったらソイツら無視して直接テメェをボコれんだなァ!」
『まあ、そうではありますが…はてさて、結末や如何に、ですなぁ。魔法・罠ゾーンに2枚のカードを伏せてターンエンドです』
「オレのターン、ドロー!」
アルレキーノのフィールドにモンスターは3体。
だがいずれも存在していない扱いとなっている。
ならば警戒すべきは2枚の伏せカードとなるが、相手の戦略がまるで読めない以上、油断は禁物であろう。
「手札から【SSリザードマン】を召喚! そのままリザードマンの効果発ど――」
『ああ、お待ち下さいユウ様。ルールにより、SSリザードマンはフィールドに出る前に裏側表示で除外され、このデュエル中貴方は同名カードは使用できません。そして――』
【SSリザードマン・(ファントム)】
レベル4、光、爬虫類族、ATK1600
「なっ……!?」
ユウが驚愕するのも無理はない。
何せ自分の召喚したモンスターが突然フィールドから消え去り、相手フィールドにそれと全く同じ姿形をしたものが現れたのだから。
『おや、説明した筈ですが? 彼らは姿形を求めて彷徨っている、と』
そうは言われても、理解が出来ない。
実際、存在するカードにこのような効果を持つものなど無いのだから。
「ぐっ…召喚した扱いにもならねぇってか? カードを2枚伏せてターンエンドだ!」
『まあ、そういう事ですなぁ…私のターン、ドロー! さて、ファントムは一切ゲームに干渉出来ない故、このままバトルに入りますよ』
「……なるほど、テメェのモンスターは他のヤツが居なけりゃ何も出来ねえらしいな」
『その通り。ですが、貴方のモンスターはフィールドに出す事さえ叶わない。これでは勝負にもならないでしょうな…SSリザードマンで攻撃致します!』
ユウ LP4000 → 2400
「チィッ…」
『私はこれでターンを終了致します。さあ、ファントムに捧げる次の肉体を、お出し下さいませ』
「…オレのターン、ドロー!」
カードを引いたユウは、相手フィールドの、見えざる敵を睨み付けていた。
(あと2体の亡霊が、ヤツのフィールドに彷徨ってやがるのか…)
『フフフ…どうなさいました? 私に決闘を挑んだ事、後悔なさっておいでですか?』
「ハッ、んな訳ねーだろ! 行くぜオラァ!」
ユウは手札に手を掛けた。
【カードファントム・A】
このカードはルール上、【】として扱い、そしてカードとして扱わない。(カードルールを適用しない)
相手がモンスターをフィールドに表側表示で出す場合、そのカードは裏側表情で除外され、このカードを裏側除外されたカードとして扱う(カードルールを適用する)