「相変わらず客来ねぇなー」
新エリー都にあるとある靴屋、そのレジに座り携帯を弄っている店員がいた
彼の職場とする靴屋は、言っては何だが全く人気がない。店がある場所の立地は悪く、良く言えば年季の入った店、悪く言えば時代遅れの店、なので客として足を運ぶものは極僅かで、接客をする頻度はごくごく少数のレトロ店である
彼がここで働く理由は至極単純、就職に失敗したからだ。学業を疎かにし青春という甘い蜜を啜りすぎた結果、どこの企業にも就職出来ず仕方なく親の店を引き継いだのである
しかし、上記の説明で分かる通り、店で働こうとやることはほとんどなく、1日中座って携帯をいじって怠惰な生活を送る毎日
カランカラン
「いらっしゃいませ~」
そんなある日、滅多に開かない扉が開き1つの人影が入ってくる。店員、もとい店長は入ってきた客に気だるげな声で挨拶をする
店に入ってきたのは、赤と白のストライプ模様のしましま模様に04と書かれた服(囚人服)を着たウサギ。体毛はピンクで、左の耳に安全ピンを1つ刺していた
店員はボンプを持つ誰かが代わりに買い物にでも来たのかと当たりをつけ、変わった型のボンプの動向を見守る
ボンプは周囲を少し見渡すと、店長の元へスタスタと歩き、店長のいるカウンターの前へと来るとカウンターへ飛び乗り、懐から黒いカバンを取り出しカウンターへと置く
ボンプが黒いカバンを開けると、カバンの厚さに見合わない量の紙束が現れた
その光景に驚く店長を他所に、ボンプは何束かを取り出し店員に無言で押しつけ、すぐさまカウンターから飛び降り店内を歩き靴を拾い上げていく
唖然とする店長だったが、渡された紙束を確認するとカウンターから出て靴を拾い上げている客へと近づき頭を掴む
「お使いか冷やかしかは知らんが、こんな紙の束渡されてもそれはやれねぇよ、靴が欲しいならディニー*1を貰ってから来るんだな。分かったらその靴戻して帰んな」
ボンプは頭を掴まれたまま店長の方をじっと見つめ続け、急に視線を外し、店長のことを無視するようにずかずかとカウンターへと戻ると、開きっぱなしの黒カバンを掴む
カバンを閉まって帰るんだなと思う店長。だが、次の瞬間、黒カバンに入っていた紙の束は金の延棒へと変わり、店長は目玉が飛び出すほど仰天する
ボンプは金の延棒を何個か持つと紙束と同じように店長へと押しつけ、すぐに靴の元へと歩いていき拾い上げる作業に戻っていった
しばらくして、山のように積み重なった靴を持った客は、未だ金の延棒が露出している黒カバンの前へ来ると、どうやったのか金の延棒をカバンの奥へ押し込み山積みの靴を中へと収納しカバンを閉じる。未だ混乱の最中の店長を無視し、スタスタと店を後にした
「……はっ! ボンプは!?…いない、帰ったのか…」
客が出て数分後、再起動した店長が店を見渡すがそこにはいつも通り人っ子一人いない店内が広がっていた
「夢………なわけ無いか」
その手に持つ金色に輝くずっしりとした延棒と、ガラガラになった靴立てにあの出来事が現実であったと思い知らされる
その後、渡された延棒は換金するのも捨てるのも怖いので金庫に厳重に管理したのであった
靴屋から出たボンプは、無表情のまま当てもなく新エリー都を歩き続けていた
「キャアアアアア!!」
歩いている最中、女性の叫び声が聞こえそちらに目をやると、2組の男女がこの世のものとは思えない腕が刃と盾になっている人型の化け物に襲われていた
しかし、ボンプはその光景を一目見るや否や視線を外しスタスタとその場を離れ─
「Graaaaa!!」
─ようと歩き出した瞬間、別の獣型の化け物が現れウサギの頭に噛み付いてきた
その光景を遠目から見ていた男女は、自分たちの末路を悟り顔色がどんどん悪くなり、それぞれ互いに抱きつき体を震わせた
「……」
一方、噛みつかれたウサギは、噛まれたことにより
(ʘ言ʘ) ブチーン!!
切れた
眉間に皺が寄り表情が険しくなったボンプは、頭に噛みついていた獣型の化け物の顎を掴むと無理やり口を開かせ、そのまま布を上下に振るように化け物を地面に叩きつける
化け物はボンプにされるがまま地面に叩きつけられ、衝撃で地面は揺れ、地面には化け物型のクレーターやヒビが発生。何度も化け物を地面に叩きつけたボンプは、化け物を上空に放り投げ、化け物はそのまま空へと消えていった
一部始終を見ていた人達は目を丸くし驚き、人を襲っていた人型の化け物は襲っていた人たちから意識を外し、ボンプへと体を向け同胞を倒したボンプへと襲いかかる
ボンプは向かってくる化け物に気づき、刃となった手を向け襲いかかってくる化け物に視線を向けるが、その頃には刃はボンプの真横へと来ており、化け物の刃がボンプを襲う─
バキン!
─はずが、ボンプの放ったただの横パンチによって化け物の刃は真っ二つに砕かれ、空中に飛んだウサギの回転右ストレートによって、人型の化け物は地面に叩きつけられ頭から地面に沈んだ
ボンプは、人型の化け物を殴りつけ地面に着地すると、険しくなっていた表情は元の無表情の顔に戻り、地面に置いていた黒カバンを持ち上げ、カバンについた埃を払い再びスタスタと歩き出す
襲われていた人たちは、ウサギが
彼の名はキレネンコ。別の世界で終身刑を言い渡された囚人にして、マフィアのボス。そしてスニーカー大好きな最強ウサギである
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・キレネンコ
ケダムスキーとの壮絶なる空中追いかけっこの末、時空を歪めるほどのスピードを出してしまい、ゼンレスゾーンゼロの新エリー都に迷い込んでしまった。
ケダムスキーをぶん殴りカバンを回収したキレネンコは、現在当てもなく彷徨っている
・ケダムスキー
時空を歪めるほどの空中追いかけっこを繰り広げたが、新エリー都についた瞬間キレネンコに追いつかれ殴り飛ばされ、そのまま八つ裂きコースになり現在気絶中
・プーチン
キレネンコを追うため、改造したメカネンコ2号に乗り、
時空を超えた影響でキレネンコたちの身長はゼンゼロにいるボンプと同程度しかなく現地人にボンプと間違えられている
身体能力は全く変わっていないので、虚狩り狐といい勝負か少し弱い程度と認識しています。(スーパーキレネンコなら絶対負けないと思っています)
次回:②輸送の始まり