所属 連邦生徒会
部活 副会長兼会長代理
年齢 16歳
誕生日 2月11日
身長 142cm
武器
・ブラックドーン AR
・ブルーホワイト SMG
・レッドライト HG
詳細
連邦生徒会副会長にして会長代理を務めるキヴォトス唯一の男子生徒。髪は青髪に白が少し入っているショートで、全体的に華奢な体付きをしている。いわゆる男の娘。本作の主人公。
そんな彼だが、実は前世の記憶を保有している。だが、前世の人格がそのまま引き継がれているわけではなく、あくまで知識として保有している。それでも性格や口調などに影響は多少なりともあったらしい。
その弊害が下手したらキヴォトスで滅ぶかもしれない事件が起きるとわかってしまったことから、それの防止にしばらく奔走することになる。しかし、それでも防げないとわかってからは、今まで紡いできた人脈をフル活用してキヴォトス混乱をできるだけ抑え続けた。その結果、先生が来ないというイレギュラーがありつつも原作より平和である。
ちなみにこの作品における先生のポジションにたっているのが彼である。生徒でありながら先生がいないために、前世の記憶によって未来で起こりうるキヴォトスの危機を知る彼が奔走することになった。尚、連邦生徒会会長は原作通り失踪している。
シッテムの箱については彼が保有している。先生不在、彼が先生ポジションというのが相まって起動ができた。それ以降、シッテムの箱は彼が保有している。アロナやプラナに関しては、仲はとにかく友好らしい(アロナが会長かもしれないと勘付いているが黙っている)。
この世界線におけるシッテムの箱はタブレット型ではなくスマホ型。
武器については、前世の記憶がある故に自分で作っている。彼の前世はオタクの類の人間で、要はロマンを求めた結果、自分で作るということになった。武器は作者の別の作品「皇国の幻想」シリーズで出てくる武器をそのまま転用する。
・ブラックドーン AR
通常よりも高い威力と連射速度、射程能力を誇る39式自動小銃。彼がよくカスタムしている銃であり、神秘と併用すれば狙撃銃並みの射程を発揮することが可能。カラーは白の銃身に青のラインが入っている。何故か見た目は日本の20式自動小銃に酷似している。
・ブルーホワイト SMG
ハンドガンタイプのSMG。手軽に持ち運びできるためによく愛用している。よく使うのは大体この銃で、二丁拳銃スタイルで戦う。ブラックドーンを使うのは、ワカモやホシノ、ヒナなどの実力者たちと同レベルの相手に対して戦う時に使う。つまり、本気を出すとブラックドーンを使用して、手加減する時はブルーホワイトを使うというのが彼の戦い方だ。例外はあるらしいが。カラーは銃身は青でグリップは白、同場所にペロロのキーホルダーがついている。
・レッドライト
高い耐久性と威力を誇っているHG。反動が少ないため、扱いやすいようになっている。見た目はグロック19に酷似している。カラーは銃身は赤、グリップは青、こちらもペロロのキーホルダーがついている。
第一話 特異現象
学園都市キヴォトス 連邦生徒会 会議室
「これより、キヴォトスにおける未知の現象に対する緊急会議を行う」
学園都市キヴォトス。そこは数千の学園が集まっている都市である。そこの本邦、連邦生徒会にて、突如として起こった未知の現象に対する対策会議が開かれていた。
事の発端は昨日まで遡る。
その日、キヴォトスではいつも通りの日常を謳歌していた。だが、いきなり地震らしき揺れが全国規模で起こると、すぐに目の前を閃光が覆った。それらが収まると、そこはいつものキヴォトスで見られていた光景ではあったが、いつもと違うところがあった。それはキヴォトスではまだオーパーツである人工衛星から届いていたGPSが使えなくなったということだ。また、空を見ればヘイローのような輪は消失しており、それだけでも異常であることがわかる。
「まず、リン行政官。現在の状況を」
「はい。まず、今回の騒動に関しての混乱は比較的小規模です。地震と閃光による被害が多いものの、それ以外はいつも通りです」
「交通網は一時的に止まったけどね〜」
リンがそう説明しているが、実際、地震と閃光による被害はそこまで大きくない。むしろいつもより少し多いかな?くらいである。地震はキヴォトスでは滅多におきない。それ故に多少の混乱はあった。閃光についても、交通事故が多発したぐらいでそこまで大きな被害はなかった。逆に普通の日常を謳歌している。
「ですが、そうでない場所があり、アビドス高校からアビドス砂漠が海になっていると報告が上がっています」
その言葉に一同はざわめいた。キヴォトスの歴史上、このようなことは一度もない。アビドスが砂漠化するという現象は前にあったが、それがいきなり海になるというのは一度もなかった。それも少しずつならわかる。しかし、リン曰く、いきなりほとんどの砂漠が海になったという。このような事象はどう考えてもおかしい。
「カヤ防衛室長、現在のヴァルキューレの状況はどうなっている?」
「はい。現在、各地で起きた混乱の対応にあたっています」
今回の騒動における混乱で大きなものはない。しかし、小さなものはいくつもあった。それをヴァルキューレ警察学校が対応している。
カヤと呼ばれた人物が話しているヴァルキューレ警察学校とは、簡単に言えば名の通り警察のことである。
「アオイ財務室長、経済の混乱は?」
「はい、今回の現象により、交通網が一時的に麻痺しましたので多少の影響があると考えていますが、今のところそのような報告はあがってきておりません」
突然の未知の現象は生徒を混乱させた。だが、生活に影響が少ないとわかるといつも通りの生活に戻っている。
一同は混乱が少ないことにホッとしていた。連邦生徒会長失踪の時のように大規模な混乱が起きると仕事が倍増するからだ。
「さて、被害状況がまとまったところで、特異現象捜査部に聞きたい。この現象について何か心当たりはあるか?」
「ありません。ただ、可能性が高い仮説ならありますよ」
「それでいい。その仮説を説明してほしい」
「わかりました」
キヴォトスの中で最先端の学園であるミレミアムからリモートで会議に出席しているヒマリは、自身が立てたある仮説を発表した。その仮説は、本来ならあり得ないと一蹴されるものであった。
「これまでの未知の現象、空の変化。それらが表すのは、キヴォトスが別世界に転移した………と私たちは考えています」
その言葉に場はざわめき出す。さすがのキヴォトスでも、転移のような事象はあり得ないからだ。キヴォトス中に未だに大量に眠っていると思われるオーパーツを使ったらあり得るかもしれないが、そのようなオーパーツはまだ見つかっていない。しかし、アビドス砂漠が海になる現象も空のヘイローのような輪がなくなる現象も、キヴォトスが転移したという説しか説明できない。そして、転移という仮説を他の現象に当てはまると、地震はキヴォトスが転移したことによる地殻変動、閃光は転移したことによる世界の跳躍による現象というように説明がつく。
「転移か。確かにその可能性はある。異世界転移の物語のテンプレのような展開だからな」
「そういえば、そういう噂も出回っているみたいです」
アユムがそう言う。書類の振り分けなどの業務を行う彼女には、そういった関連の書類も振り分けていた。
異世界転移の物語は、キヴォトスでは最近ブームになっていた。そうした物語の大半がキヴォトスの外を題材にしている。キヴォトスの外のことは誰も知らないが故に、そうした外の世界での物語がブームになった。
この話題で盛り上がっている中、突然、ある学園から報告があった。
「副会長!!オデュッセイア海洋高等学校から「水平線が遠くなった」と報告が!!」
一人の生徒が入ってきて言ったその報告は、今議論している仮説『転移論』を確実化するものであった。
このような報告が入るのは、副会長が未知の現象を確認した後すぐに、情報が連邦生徒会に集まるように各校に通達したからだ。そのおかげで何があっても即座に対処できる態勢が整えられていた。
彼女らが副会長と呼ぶ人物、青髪に白が入っている髪をしていて華奢な体つきをしているその人物、白鳥アオイは、その報告の内容を聞くと、頭を抱えた。
「転移論が確実化した今、我々がやるべきことは周りの探索だ。外は未知が多過ぎる」
「はい。前世界にいた頃は、外界と遮断されていて世界にはキヴォトスしかなかったため今までと同じようにするだけで大丈夫でしたが、それがない今、外界と接触してこの世界について知らなければなりません」
リンが補足する。確かに彼女が言っていることは実際にその通りであった。キヴォトスの外の知識は少ししかキヴォトスに入ってきていない。その「少し」も、キヴォトスの外の人はヘイローを持たないだとか大人が国を治めているだとか、そういう情報だけだ。もしかしたら、転移後の世界はその僅かな情報が頼りにならないかもしれない。また、この世界独自の文化や常識があるかもしれない。故に、少しでもこの世界の情報を集めなければならない。
「ヒマリ、エンジニア部に人工衛星の開発を急ピッチで行うように要請してくれ。それまでは各学園に設置されているレーダーや航空機による哨戒でカバーする」
「わかりました。伝えときますね」
「ありがとう。それと、アビドス砂漠に調査員を派遣する。いきなりできた海を調べるんだ。これに関してもミレミアムに協力を要請したいんだが構わないか?」
「構いませんよ」
ヒマリは微笑みながら、そう答える。副会長は続ける。
「この決定に異議のある者は?」
誰も手を挙げなかった。そうして、この対応策が可決されたのだった。
ミレミアム 廃都市エリア
「ロケット点火、5秒前。5、4、3、2、1、点火!!」
実験区域として廃都市の一部の改造して、そこに作ったロケット発射場からロケットが打ち上がる。このロケットは前倒しで完成させた開発中だった人工衛星を搭載していた。
「1段目、分離します!!」
このロケットを開発したエンジニア部の部員の一人、豊見コトリがストップウォッチを見ながらそう言う。
ロケットは3段に分かれていて、1段目の推進力がなくなったら切り離して、2段目を点火して再び推進力を得る。このように不要な部分を徐々に切り離しながら飛行することで、ロケットは目標の高度まで飛び立つことができる。
「2段目、分離します!!」
ついに2段目が分離されて3段目が点火される。この頃になると、目標の高度に近くなってきていた。
宇宙空間で切り離された3段目のロケットは、やがて、人工衛星が軌道する高度に到達する。
「人工衛星、展開します!!」
転移から一ヶ月経ったこの日、キヴォトス初の人工衛星が打ち上げられて軌道にのった。ロケットと人工衛星はシュミレーション通りに動き、新たな惑星の周りを観測し始めている。
「通信、繋がりました!!」
実験用に作成した巨大なモニターに衛星からの画像がリアルタイムで届いて映る。その画像には、キヴォトスの衛星画像が綺麗にはっきりと映っていた。それを見たエンジニア部は狂喜乱舞した。
「やったー!!!」
「ようやくだ!!」
人工衛星は前世界にいる時から開発が行われていた。だが、その難易度は高く、何度も打ち上げに失敗した。この世界に来たことで惑星の大きさが変わって、さらに難易度が高くなってからも、何度も挑戦して失敗した。それでも諦めず挑戦した結果、転移から一ヶ月でようやく打ち上げに成功したのだ。
「後は量産だ。みんな、行けるかい?」
「はい!!もちろんです!!」
「いけるよ」
エンジニア部が打ち上げた人工衛星は量産を前提として作られていた。それは早くこの世界の情報が欲しい連邦生徒会からの催促があったことに関係しているが、一番は、エンジニア部自体が早く宇宙開発がしたがっていたからである。
量産は企業に手伝ってもらいながら行われた。
こうして、エンジニア部一同は一週間の間に5基という驚異的なスピードで人工衛星を打ち上げていった。
アビドス 海岸エリア
ここに連邦生徒会から派遣されている複数の調査員たちがいた。ここは元々砂漠だった場所で、今は海になっている。この光景を最初に発見した砂狼シロコ曰く、当初幻覚かと思ったらしい。
「何の異常もないですね」
不思議そうにそう呟くのはミレミアムの特殊部隊C&Cの室笠アカネだ。彼女の他にも、この場には同じ部活の部員である角楯カリンがいた。彼女たちは、連邦生徒会からの要請を特異現象捜査部経由で受けて、アビドス砂漠に調査しに来たのである。
「ん、いっぱい釣れそう」
「シロコ先輩、せめて調査が終わってからにしてください」
そんな彼女たちのそばで調査の様子を眺めている生徒がいた。アビドス高校の生徒、砂狼シロコと奥空アヤネである。シロコは近くに海ができたことに興奮して釣りを始めようとするが、未知が多い中での釣りは危険であるとしてアヤネが必死に止めていた。特に、いきなり海になった場所は安全かどうか確かめてからでないと何があるかわからないのだ。
「水深もそれなりにありますね………どうしますか?」
『水深がそれなりにあるんだったら、港でも作ろう。シロコとアヤネはどう思う?』
「作ろう!!」
「シロコ先輩!?」
アカネはドローンから出ているホログラムに向けて問いかける。そのホログラムは連邦生徒会副会長の姿をしており、副会長と通信していることがわかる。
アカネの問いかけに対して、副会長は港を作ることを提案する。その提案に真っ先に賛成したのはシロコだった。目を輝かせているので、釣り目的だということは容易に理解できた。
『釣り目的の港でも問題ないが、軍港にもする予定だ。そこのところを他のアビドス生徒に聞いてきてくれないか?』
「はい!すぐに聞いてきます!!」
アヤネはモモトークで他のアビドス生徒に事の顛末を説明しつつ、副会長の質問の内容も伝える。結果、全員が賛成した。唯一ホシノだけが難色を示したものの、港が造られるとなるとアビドス復興に繋がる可能性があるため、港の管理権をアビドス高校が持つ形で了承した。
港はこの2日後から建設が開始された。この建設には、ヘルメット団などの不良を積極的に雇って労働力を確保しつつ、副会長が主導となって進められた。時々、アビドス高校の生徒も手伝いに参加した。
港は見る見るうちに出来上がってきて、建設開始からたった2週間と経たずに完成した。砂漠だけだった街は、港を建設するにあたって住宅地や店などが作られて、その結果、人が戻ってきていた。雇われた不良生徒は、これを機に更生してアビドス高校に入学を果たし、アビドス高校の生徒数は爆増した。この生徒数の増加に、アビドス廃校対策委員会の5人は大喜びしたとかしないとか。
ゲヘナ学園 市街地エリア
一方、ゲヘナ学園の市街地にはある人物が歩いていた。その人物は連邦生徒会副会長、白鳥アオイである。彼は、
「思ったより栄えているな。
アオイは色々な店を見渡すが、気になった店がないのか歩き続けている。その様子を周りの人は彼を見て騒いでいる。例えるなら、テレビに映っている有名人を見たような反応だ。スマホを彼に向けている人もいる。
アオイはそれらを気にせず、何の店がいいか悩んでいた。好物のカレーを食べるべきか、目の前のジャガイモ専門店で芋料理を食べるべきか、判断に迷っている。腕時計を見てみると、要件までまだ1時間もあった。
「副会長?」
アオイが道路の真ん中にあるベンチに座って何を食べるか迷っている時、彼の後ろから知っている声がかかった。彼が振り向くと、白い髪をした小さな生徒がそこにいた。
「ヒナ?」
その人物は空崎ヒナ。ゲヘナ学園の治安維持をする組織、風紀委員会の風紀委員長である。彼女の姿をよく見ると、制服を着ていて背中には自身の銃である「終幕:デストロイヤー」が背負われていた。
「鎮圧帰りか?」
「えぇ」
ゲヘナ学園はキヴォトスの中でも特に治安が悪いことで有名である。故に、治安維持のために風紀委員会がよく駆り出されている。その中でも最強と呼び名が高いのが彼女であり、今回も何件もの治安維持に出動していた。その帰りにヒナはアオイに会ったのである。
「混乱はそれほどでもないようだな」
「そうね。あの公表があってすぐは増加したけど、連邦生徒会長失踪の時よりはマシだわ」
あの公表とは、副会長が「キヴォトスは別世界に転移した」と大々的に公表したことである。情報統制してそれがバレた時の混乱よりも、今公表してある程度の混乱で済ませる方がいい。そう判断して副会長は公表した。そして、懸念された治安の一時的な悪化もそれほどでもなく、ここまで治安が原作より良くなっているのは、ひとえにアオイがハッピーエンドを目指して奮闘したからである。
「………クマがすごいぞ。寝れているのか?」
「…そういえば、最近寝れてないわね」
ヒナは昼間は治安維持、夜間は書類仕事と一日中仕事をしていた。彼女がこのようなワーカーホリックになっているのは、彼女がなんでも人並み以上にできるために他者を頼ることが苦手となっているからだった。故に、アオイはそんなヒナを心配していた。過去にも、アオイは、たまにヒナのところに行っては書類仕事を手伝ったりしていた。
「はぁ、全く、少しだけなら大丈夫だから寝ろ」
「え?ちょっ!?」
目の下に真っ黒なクマを作っているヒナの頭をアオイは無理矢理自身の膝に乗せさせ、頭を撫でながら、ゆっくりあやすようにする。ヒナは、突然のことに驚いて声を上げるも、疲れていたのかすぐに寝てしまった。
「おやすみ、ヒナ」
尚、この仮眠のおかげか、この日のヒナの機嫌はすこぶる良かったという。
30分ほど経ってヒナを起こしたアオイは、一人で
「よく来たな!!白鳥アオイ!!」
「久しいな、イブキ」
「アオイ先輩!!お久しぶりです!!」
満面の笑みで挨拶するイブキ。その近くでは元宮チアキがイブキの写真をこっそり撮っているのが窺えた。アオイはそれを無視しつつ、イブキの横にいる棗イロハにも挨拶する。
「イロハもチアキも久しいな」
「はい、お久しぶりです」
「お久しぶりです!!副会長!」
気怠げに返事するイロハと元気に挨拶するチアキ。そこにマコトからツッコミが入る。
「おい!!無視するな!!」
「……俺は例の件について話すために来たんだけど」
「スルーするな!!まぁ、いい。それで、
マコトはアオイが事前に送っていた資料に書いてあったことを言う。
新型戦車の開発。何故、アオイがゲヘナにこの件を持ちかけたのか。理由は簡単だ。キヴォトスの中で、戦車の技術レベルが高い学園のうちの一つにゲヘナが入るからだ。また、ゲヘナはキヴォトス三大学園に入るほどの影響力を持っており、そこでキヴォトス中に新型戦車の話が広まると、各校も新型戦車の開発・配備に走るようになるとアオイは算段を立てていた。
「これも
「さすがにわかりますか。外は未だに未知ですから、出来る限りの対策は立てておかないといけません。それに、ゲヘナには設計図が既に完成していると小耳に挟みましたので」
「何ィ!?一体、誰から聞いた!?」
アオイの言葉に驚くマコト。新型戦車の設計図に関してはまだ機密だったはずだ。それに設計図が完成したのはつい1週間前である。いくらアオイが連邦生徒会副会長兼会長代理で、設計図を作る時に伝えていたとしても、完成してから伝わるのが早すぎる。これは、アオイが優秀な情報網を持っていることに他ならない証拠であった。
アオイの持つ情報網に戦慄するマコトだが、真実を知っているイロハやチアキは平然としていた。その理由はすぐに明かされることになる。
「……ねぇ、マコト先輩。教えちゃダメだった?」
イブキが涙目にしながらマコトにそう問いかける。そう、アオイが設計図について知ったのはイブキから聞いたからだった。ある日、アオイはイブキとイロハに会う機会があり、その時に聞いたのだ。
「そんなことないぞ!!先にアオイ副会長に伝えてくれるなんてお手柄だ!」
マコトは凄い勢いでイブキを肯定する。それを見たアオイたちは、ため息をついてマコトが落ち着くまで待つことにした。
3分後、ようやく落ち着いたマコトを見たアオイは、本題に入っていく。
「これが新型戦車の設計図だ」
そう言ってマコトが渡した設計図をアオイは受け取り、その場で中身を見てみる。設計図には、 巨大な戦車が描かれており、その外見は、アオイが持つ前世の記憶の中である戦車と一致していた。
(これは、ティーガーIIにマウスか?)
アオイはそれらの戦車と外見が似ていることに驚きながらも、設計図に書いてあるスペックを見る。そこにも、それらの戦車とほぼ同じスペックが書かれていた。ティーガーIIと似ている方は、ティーガーIと似ている超無敵鉄甲虎丸、通称「虎丸」の欠点を克服している設計になっているために防御力や攻撃力は上がっているが、機動力が下がっている。マウスと似ている方は、防御力と攻撃力は高いが、機動力が低かった。
これらを総合すると、防御力と攻撃力を上げる代わりに機動力を下げるという戦車の長所が失われる設計になっていた。
「……スペックそのままで軽量化は無理か?」
「無理に決まってるだろう」
「なら、ミレミアムに俺から伝えとくか?共同開発すれば、これより強力な戦車を作ることができるかもしれないだろう?イブキも強い戦車欲しいよね?」
「うん!!イブキ、強い戦車欲しい!!」
アオイは、自身の提案をイブキに同調させる。何故なら、
「イブキもそう言っていることだし、どうですか?」
「…良いだろう。ミレミアムと最強の戦車を作ろうではないか!!」
「あぁ、また簡単に乗せられてる」
「私的には面白いから良いんですけどね〜」
チアキはそう言って、アオイとイブキ、マコトが入るように、手元のカメラのシャッターを切った。
尚、共同開発した戦車が、何故か「レオパルド2」に酷似していたのは別の話。