「皆さん!!早く隠れて下さい!!」
パーパルディアの戦列艦の艦砲射撃の中、ミヤコの声が響き渡る。その声を聞いて、アルタラス陸軍はすぐさま物陰に隠れる。
彼女らの頭上を無数の砲弾が飛び交い、沿岸部を耕していく。猛烈な砲撃が、彼らの反撃する隙をなくす。
数十分ほど経つと、パーパルディアの揚陸艦が接近してきた。50隻の揚陸艦は、次々と歩兵を降ろしていく。
(約1500ですか……)
ミヤコは影からパーパルディア兵の様子を見ていた。揚陸艦は、おそらく全ての人員を降ろしており、少しずつ海岸から遠ざかっていた。
やがて、艦砲射撃が止むと、パーパルディア軍はゆっくりと進軍していく。彼らの装備はマスケット銃、位が高い者にはサーベルも装備していた。故に、誰が指揮官なのか、アルタラス陸軍及びRABBIT小隊はすぐに判別できた。
現在の彼女たちの配置は、高台の影にミユ、前線にサキとミヤコ、後方にモエと分かれていた。それは、各人の適所に合っている配置だった。
その中の高台の影にいる人物、コールサイン「RABBIT4」のミユは、スコープを覗いて、敵の指揮官クラスと思われる人物に照準を合わせた。
『RABBIT4、お願いします』
前線にいるミヤコからの要請が耳のインカムから入る。それに合わせて、ミユは自身が持っている狙撃銃『RABBIT-39式小銃』の引き金を引いた。
ミユから敵の指揮官クラスまでの距離は約1.5km。並の狙撃では到底命中することなど不可能な距離だ。だが、彼女は違った。そもそも彼女は、転移前のキヴォトスで2kmの狙撃に成功している。それより短い距離の狙撃なのだ。できないはずがない。
「なっ!?どこからやられた!?」
ミユが放った銃弾は寸分の狂いなく命中した。敵の頭からは血が流れ出て、敵の部下が駆け寄ると既に死亡していた。
指揮官クラスの突然の死亡にパーパルディア軍は大混乱に陥る。パニックが伝染し、統率が一瞬にして乱れる。
『命中。続けてお願いします』
ミヤコはさらなる混乱に陥らせようとミユにさらなる狙撃の要請をする。それに応えるかのように、ミユは次々と一発で敵に命中させて仕留めていく。
この一方的な遠距離からの
だからなのか、一部の兵士たちは突撃を開始した。逃走しようにも、魔信機で助けを呼ぼうとした瞬間に悉くその魔信機が撃ち抜かれるのだ。その場で止まって黙ってやられるよりか、突撃して突破口を作り出した方が良いと彼らは判断した。
前提としてアルタラス王国軍の装備はパーパルディアより弱い。前者は弓なのに対し、後者はマスケット銃だ。それだけでも技術格差があるのがわかる。だが、その事実による慢心が上の判断を下させた。それも狙撃という恐怖を見ないふりしてだ。
「「「「皇帝陛下、バンザァァァァァァァァイ!!!」」」」
彼らは、姿の見えないアルタラス軍を警戒していないのか、半狂乱になりながら奥地へと進んでいく。それを狙撃で殺された指揮官の次に位の高い人物が静止するが、その様子を遠くから見ていたミユに狙撃される。そして、さらに混乱が広がる。
対して、ミヤコは冷静にパーパルディア軍の動向を観察する。戦列艦は同士討ちの危険性から撃てない。揚陸艦は戦列艦の後方に移動している。よって、兵士の撤退もできない。
すると、突撃していたパーパルディア兵たちが、ある地点を超えた。それを見たミヤコは、すぐさまモエに通信する。
『RABBIT3、今です』
「OK。さぁ、派手に行こうか!」
コールサイン「RABBIT3」であるモエがスイッチを入れた瞬間、パーパルディア軍の足元が大爆発した。土煙がパーパルディア兵がいた場所を覆うが、中からは爆発に巻き込まれたパーパルディア兵のうめき声が聞こえていた。
「うっ…」
「痛ぇ、いてぇよ…」
「足が…」
ある者は片足が吹き飛び、ある者は両足が吹き飛び、またある者は下半身が吹き飛ぶ。それらは狙撃による恐怖で碌に救出されず放置され、最終的には失血死する。
モエの罠はパーパルディア兵には非常に効果的だった。この爆発だけで約100名近く吹き飛ばし、土煙が煙幕の代わりとして機能した。
そして、それがミヤコたちの狙いだった。
「行きますよ!!」
土煙に紛れてミヤコ、サキは突撃を開始する。それに続いてアルタラス陸軍も突撃を開始する。
戦況は瞬く間に敵味方入り乱れる混戦となった。中でも目立っていたのは、パーパルディアより遥かに性能の良い銃を操っているミヤコとサキだった。
コールサイン「RABBIT2」のサキは、自身の持っている愛銃「RABBIT-26式機関銃」を連射しながら突撃し、目の前の敵を確実に倒していく。敵の主力のマスケット銃より長い射程を利用して弾幕をはり、ミヤコとともに着実に前進していく。
『RABBIT3、ドローンによる援護をお願いします』
しかし、さすがに数が多いのか、ドローン援護を要請するミヤコ。その近くでは、アルタラス陸軍20000が格上のパーパルディア軍相手に優勢に戦っていた。
「うわァァァァァァァァァ!!!くるなぁ!!!」
複数のパーパルディア兵は発砲し、アルタラス陸軍の何人かに銃弾が命中する。その中の何人かは死亡したが、残りの人はなんとか生きていた。
彼らが放った銃弾は、RABBIT小隊のミヤコとサキにも襲いかかった。幸いにも命中はしなかったが、続けて他の銃弾が襲いかかる。
「RABBIT1、そっちから頼む!!」
「わかりました」
戦場を縦横無尽に彼女らは駆け回る。連射ができず単射しかできない彼らのマスケット銃は、そんな彼女らに命中弾を得ることは難しかった。
キヴォトス人の身体能力は、普通の人間を上回る。キヴォトスにとっての普通の人間は外界の人間なのだが、その普通の人間の括りにはパーパルディア人も入っていた。違いは魔力の有無だけである。
彼女らは、地面を強く蹴って姿勢を低くして駆け回る。途中でリロードしながら、ミヤコとサキの見事な連携でパーパルディア兵を翻弄する。
「おのれ!クソ
「女の分際で!!」
だが、敵に近づくに連れて射撃の精度が高くなってきていた。伊達に正規軍をやっているわけじゃないようだ。
そして、ついにミヤコに命中した。しかも、一斉に複数の弾が連続で命中した。だが、キヴォトス人でヘイローがあるミヤコには、全く効かずに弾かれていた。
「なっ!?」
「な、なんで効いていないんだ!?」
「ば、化け物…….」
彼らがそういうのも無理はない。彼らの主力が銃であるのに、その銃が効かないのだ。キヴォトスでは銃が効かないのは当たり前だが、彼らにとってみれば当たり前ではなく、前例がない出来事に完全に恐怖を抱いていた。
まばらに撃っているパーパルディア軍だが、アルタラス陸軍の奮戦も物凄かった。なにしろ、数の差がすごいのだ。さらに、少しの間だがRABBIT小隊の訓練を受けている。元からパーパルディアに対抗するために仕上げた高い練度が、RABBIT小隊の訓練でさらに精鋭となっていた。
ミヤコとサキとともに土煙の中に突撃したアルタラス陸軍は、すぐさま近接戦闘を開始した。だが、勝負は目に見えていた。
銃を主力とするパーパルディア軍と弓や剣を主力とするアルタラス軍では、近接戦闘でどちらが有利かは明白だった。さらに、パーパルディア軍1500に対してアルタラス軍は20000。数の差もあり、アルタラス陸軍はパーパルディア軍に奮戦どころか蹂躪していた。
「おい!!アルタラスのワイバーンだ!!」
誰かが叫んだ。空を見上げると、アルタラスの奥地からワイバーンの編隊が戦列艦や揚陸艦に向けて飛行していた。
「見えた!!あれか!!横暴な奴らに一泡吹かせてやれ!!突撃!!」
原作ならパーパルディア主力艦隊のワイバーンロードに殲滅されたワイバーンだが、今世界線ではその練度を充分に発揮していた。
ワイバーンから放たれた導力火炎弾はパーパルディアの戦列艦と揚陸艦に襲いかかる。アルタラスの竜騎士の練度は高く、命中率も7割以上と高かった。甲板は火の海に包まれ、そこにいた水兵は火だるまになる。慌てて海に飛び込む者もいるが、位置を変えているミユの狙撃によって死亡している。
「消火作業急げ!!第二次攻撃が来るぞ!!」
戦列艦は対空用バリスタを乱射するが、精鋭のアルタラス軍のワイバーンには当たらない。幸いにも、対魔弾鉄鋼式装甲のおかげで船体はなんとか無傷で耐えているが、このままだと一方的にやられてしまう。一部ではマスケット銃を上空に向けて撃っているが、対空用バリスタと同じく当たらないため無意味であった。
バタバタバタバタバタバタバタバタバタ
すると突然、ある独特な音が聞こえてきた。それはキヴォトスでは普通に聞くことがある音である。だが、それ以外の者は一切聞いたことはない。
「いっくよ〜」
その音の元である「AH-64」通称アパッチは、空中に滞空しながら、搭載されている対艦ミサイルを戦列艦と揚陸艦に放つ。本来なら対艦ミサイルなど搭載していないのだが、海上に出撃することがあった際、ヘリで現場に向かうことがある。その時に対艦攻撃できるように改造したのが、この機体だ。
放たれた対艦ミサイルは、次々と戦列艦と揚陸艦に着弾する。その後も目標にロックオンでき次第、次々と発射し着弾する。弾切れになると、今度は対戦車ミサイルで代用して攻撃する。その攻撃でも、パーパルディア軍にとっては致命的な一撃となり得るものであった。
ヘリの攻撃のターゲットになった戦列艦・揚陸艦は悲惨な末路を辿った。撃沈するのはもちろんのことなのだが、簡単に撃沈できれば幸運な方だった。
じわじわとゆっくり撃沈していく船は、アルタラス軍のワイバーンの集中攻撃の的となった。導力火炎弾によって甲板は火の海になる。それによって、退艦しようとする者の行き足が止まってしまい、最終的に船と運命をともにすることになる。
このヘリは副会長護衛艦隊から発艦したヘリであった。駆逐艦から発艦できるようにも改造されているこのヘリは、海戦後すぐにこちらに向かってきていた。
パーパルディア軍が上陸してから時間は結構経っている。その間に海戦のあった場所から陸戦があった場所まで飛行するのは容易であった。
『RABBIT1、2、下がれ!!』
ミヤコとサキのインカムから聞こえてきたのは副会長の声だ。2人はその声に従って反射的に下がる。それと同時に、ヘリの方から複数の銃弾が降り注いできた。それら全てが、敵の頭部を貫通する。
副会長はヘリの横についている扉を開けて、パーパルディアの艦艇を殲滅している傍ら、陸戦の援護を行なっていた。彼の手には、自身の愛銃である『ブラックドーン』が握られており、立膝の体勢で敵目掛けて連射していた。
彼が放った銃弾は奥にいる
「ひっ、に、逃げろぉ!!!」
「あんな奴らに勝てるわけがねぇ!!俺は帰らせてもらう!!」
一部の兵士が逃げようとするが、この頃になると既に揚陸艦は軒並みやられており、戦列艦に至っては全滅していた。生き残った揚陸艦は我先にと逃げようするが、それをアオイが神秘を纏わせた銃弾を放ち内部で爆発させて撃沈させる。
こうして、アルタラス王国に上陸したパーパルディア軍は全滅。アルタラス王国は約200人ほどの捕虜を獲得し、パーパルディア皇国は正規軍を使用した侵攻に大失敗した。これを知った世界各国は、列強を退けたアルタラス王国、パーパルディア軍のほとんどを迎撃したキヴォトスに興味を示すようになる。
「これから、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
アルタラス王国の記者の前で、国交締結の握手を行うターラ14世とアオイ。それぞれの表情は晴れやかだった。
その理由はターラ14世はアルタラス王国がまだ存続することができるから、アオイはキヴォトスが孤立する心配は今の所消えたからであった。特に、パーパルディアに滅ぼされる可能性があった中での存続だったアルタラス王国は、今や、親キヴォトス国として、キヴォトスと仲良くする方針に転換していた。
「アオイ様、本当にありがとうございます……」
「ルミエスさん……」
その様子を見ていたルミエスは大粒の涙を流していた。その後ろには、彼女の護衛のリルセイドが立っており、彼女も涙目になっていた。
「ルミエスさん、こちらこそお礼を言いたい」
「お礼、ですか?」
「はい。ルミエスさんは知っていると思うが、俺たちは孤立状態だった。それを解消してくれたのはアルタラス王国だったのです。しかも、右も左もわからない俺たちを対等に接してくれた。それだけでもお礼をするに値するんだ」
「そうなの、ですか?」
ルミエスはアオイが渡したハンカチで涙を拭きながらアオイの話を聞く。その横でターラ14世はアオイに話しかけた。
「私からも礼を言わせてほしい」
「お父様……」
ここまで言われれば、アオイは受け取るしかなくなる。アオイはその礼を受け取る。
「……わかった。受け取ろう」
礼を受け取ったアオイは、その後、戦場に参加した者全員が招かれた戦勝の宴を楽しんだ。その宴は、アルタラス王国の郷土料理が振る舞われ、そのお返しにとSRTの中で料理ができる者がキヴォトスの国民食を振る舞ったりと一種の文化交流のようになった。
そして、翌日……
「見てください、副会長」
「ああ」
アルタラス王国から出港した副会長護衛艦隊に乗っているアオイは、ミヤコから勧められてアルタラス沿岸部を見る。そこには、大声でキヴォトス、正確には副会長護衛艦隊のみんなに礼を言っている人物で埋め尽くされていた。
「ありがとうぉ!!!」
「また、来てくれよなぁ!!!」
「この借りはいつか返すからなぁ!!!」
アルタラス王国民にとって、パーパルディア皇国は恐怖の対象だった。いつ、こちらに侵攻してくるかわからない。そのような恐怖に怯えていた。
だからこそ、質の良い魔石鉱山があるのは幸運だった。それをパーパルディアに輸出することで、こちらに攻めづらくすることができたからだ。
だが、今回は別だった。こちらに宣戦布告して侵攻してきた。しかも、ルミエスを奴隷化する要求まで出してだ。
もちろん、国民は怒りを覚えた。だが、国力、技術など、どれを見てもパーパルディアには敵わないのは目に見えていた。だからこそ、できるだけ道連れにする。そのような戦略をたてた。
そんな時に現れたのがキヴォトスだった。キヴォトスは、巨大船の艦隊でパーパルディア艦隊を殲滅し、上陸してきた敵を簡単に殲滅した。キヴォトスはアルタラス王国を救ったのだ。
それだけでなかった。国力差は顕著なのに、パーパルディアと違って対等に交渉してきたのだ。列強並、もしくはそれ以上の技術力を持つのに、それを自慢せず、横暴な要求もしない。しかも助けてくれた。
もはや、キヴォトスは彼らにとって救世主だった。
だからこそ、こうなるのは必然だったのだろう。
アオイは感慨深い様子で、彼らの姿が見えなくなるまでアルタラス王国の方を見つめていたのだった。
「ひとまず国交を締結できたのは良かったですが、列強と敵対したとはどういうことですか?」
『交戦したのがその列強だったんだよ、リン行政官』
ドローンから出ているアオイのホログラムと話しているリン。その顔は、見るからに「何してんの?」という呆れた顔をしていた。
アオイは外交交渉の結果の報告を行なっていた。アルタラス王国との国交は締結でき、こちらに対する印象も良好となっている。パーパルディア皇国とかいう第三文明圏の列強と敵対したことはあれだが、比較的成功だといえた。
しかし、それをリンが認めるはずがなかった。だが、認めるしかなかった。
「確かにアルタラス王国を救ったおかげでキヴォトスと国交を結びに来る国が増えたことは事実ですが、どうにかならなかったのですか?」
『無理だね。あの国は何がなんでもアルタラス王国を手にしようとしていたから。少なくとも、あの要求でアルタラス王国民を宥めるのは不可能だ』
「そうですか……」
リンは疲れたように椅子に寄りかかった。頭が痛いと言いたいかのように頭をおさえる。
『それじゃ、詳しい話は帰ってから行うから』
そう言ってアオイは通信を切断した。それに合わせて、ドローンのホログラムも消える。
「はぁ」
リンは、誰もいない一室でため息をつくのだった。
アルタラス王国ーキヴォトス間で締結した条約
・安全保障条約
この条約は、パーパルディア皇国による再侵攻に備えて締結した条約である。概要として、アルタラス王国の防衛をキヴォトスが担うものだ。これは、ある程度アルタラス王国の技術が発展したら順次派遣戦力を減らすことも明記された。尚、第一陣が派遣されるまで、副会長護衛艦隊のうち駆逐艦3隻がアルタラス王国の防衛につくことになっている。
・通商条約
主にアルタラス王国とキヴォトス間の貿易についての条約である。今の所はアルタラス王国からは魔石や魔法の技術、キヴォトスからはインフラや技術を輸出する方針である。
・その他条約
アオイがアルタラス王国にいる頃……
「ナギサ様、正義実現委員会から件のロウリア王国の艦隊がキヴォトスに接近していると報告ごありました」
トリニティのティーパーティーのテラスにて、優雅に紅茶を飲むナギサにその報告が挙げられた。ナギサは、紅茶を飲むのをやめると詳細を付き人から聞いた。
正義実現委員会は、簡単に言うとトリニティの治安維持組織である。その組織は、アオイとセイアの警告により海上を哨戒していた。すると、沿岸から約600km離れたところにロウリア海軍と思われる艦隊を発見した。それをすぐにティーパーティーに報告したのが、つい先ほどの出来事だ。
「臨検はしたのですか?」
「それが、聞き入れず攻撃してきたため、反撃して撃沈させたとのことです」
「????」
ナギサは固まった。聞き間違いかと思い聞き直す。
「えっと、臨検はしたのですよね?」
「いえ。その前に攻撃してきたため、反撃して撃沈させたとのことです」
ナギサは頭を抱えたくなった。ただでさえ、キヴォトスを取り巻く状況が悪いのに、さらに悪くなるような出来事だったからだ。
トリニティのトップであるナギサは、連邦生徒会からキヴォトスの現状について聞かされている。キヴォトスは異世界に転移しており、転移後の世界において国際的に孤立していると。だからアオイが、それを打破するために国交を締結しに行っているとも。その最中で今回の出来事だ。ナギサが固まるのも頷ける。
「とりあえず、ツルギかハスミを呼んできて下さい。詳細を問います」
「はい!」
ナギサが言ったメンバーは、正義実現委員会のトップの者たちである。委員長に剣先ツルギ、副委員長に羽川ハスミが就いている。その2人のどちらかをナギサは呼び出そうとしていた。
彼女は誰もいなくなったテラスで、胃が痛むのを堪えながら紅茶を飲んでいた。いつもよりハイペースで飲んでいた。
「連邦生徒会にも一報入れないと……」
ナギサの苦労は終わらない。