中央暦1639年4月20日 パーパルディア皇国 第三外務局
「何!?アルタラス侵攻が失敗しただと!?」
その声が響くのは、第三文明圏の列強であるパーパルディア皇国の第三外務局だ。そこは、主に文明圏外国の外交を行う部署であった。
建物は、白をベースとして繊細な彫刻が柱に施されており、天井には金の彫刻が刻まれている。それらは、この国の国力を強調していた。
その外務局の局長であるカイオスは、部下がまとめたアルタラス王国侵攻の報告書を読んで、驚愕で目を見開いた。その報告書の表紙には、『アルタラス王国侵攻失敗について』と書かれている。
「謎の砲艦だと!?」
その報告書には、アルタラス沖海戦で大暴れしたキヴォトスの艦隊、パーパルディアから見れば謎の砲艦の艦隊がアルタラス侵攻部隊の主力を蹂躙したと書かれてあった。その砲艦の艦隊の国章はアルタラス王国のものではなく、謎の国のものだとも。
何度も記すが、パーパルディアは第三文明圏の列強である。その国の艦隊を蹂躙するほどの艦隊を持つ国は、文明圏の中にいるはずである。例えるなら、列強第一位の神聖ミリシアル帝国や列強第二位のムー国の支援を受けている国だ。だが、そのような国は聞いたことがない。
「別働隊もあの砲艦の艦隊を持つ勢力と同じ者にやられたとのことです」
報告書には、その勢力が掲げていた国旗らしき物の情報も書かれてあった。
その国旗は、山羊のシルエットに左右三本ずつラインが斜めに入っているデザインだった。その下には、読めないが「SRT」の文字が入っている。恐らく、「SRT」は、あの勢力の名前だろう。
「その勢力の正体は掴めないのか?」
「はい。ただ、その勢力の者は、頭の上に天使の輪みたいなものがあるようです」
「天使の輪?幻覚じゃないのか?」
「わかりません。少なくとも、現場からはそのような報告があがっています」
「その現場の者は?」
「………戦死したかアルタラスの捕虜となったかと。侵攻部隊で撤退できた者は誰一人としておりません」
「誰一人もか!?」
カイオスは驚く。いくら文明圏外国でも、そんな一方的な戦いは珍しいからだ。特に、負けた側が
アルタラス侵攻の詳細は、この結果から戦闘中の報告から推測するしかない。しかし、そのどれもパーパルディアの敗北を濃いものにする報告ばかりであった。
「ひとまず、これはこちらで預かっておく。お前は下がっていい」
「はっ!」
カイオスは部下を下がらせる。そして、渡された報告書をもう一度見つめる。
「謎の勢力……いや、それよりもマズイものがある」
カイオスはもう一つの報告書を見る。それは、国内に燻る不満の報告書だった。国内と言っても、それには属国も含まれていた。
パーパルディアは主に恐怖で属国を支配している。しかし、アルタラス王国侵攻の失敗でその恐怖が揺らいでしまう可能性があった。そうなれば、各地で反乱を起こるかもしれない。仮に一斉反乱が起こったら、パーパルディアでは鎮圧に時間はかかるだろう。その間に、その謎の勢力が攻めてくるかもしれない。
謎の勢力についてわかっているのは、少なくともパーパルディアより上の技術を持つことだけだ。それが攻めてくるとなると、反乱の鎮圧に精一杯なパーパルディアでは対抗することは難しいだろう。
「反乱を起こさせないようにしないと……」
カイオスはそう呟くと、結果を皇帝に報告するために席を立ち上がった。
だが、彼はまだ知る由もない。彼が感じていたその差が、
中央暦1639年4月30日 トリニティ沖
「対水上レーダーに反応!!距離500!!12時方向!!すごい数です!!」
「大方、情報通りってことね」
衛星画像からロウリア艦隊がこちらに侵攻してくるのが確定したことで、トリニティはETOとしてゲヘナと連合艦隊を組んで迎撃に出た。
編成は、戦艦4、巡洋艦10、駆逐艦30の合計44隻の艦隊だった。旗艦として、ETO締結時に中立だったアリウス分校の戦艦『アタナシオス』が務めていた。
アタナシオスを最後尾に、その両側をゲヘナ、トリニティの駆逐艦それぞれ2隻ずつ護衛に付いている。その前方には、ゲヘナの戦艦2隻、トリニティの戦艦2隻が左右離れたところに配置しており、それぞれが巡洋艦、駆逐艦の護衛のもと航行していた。
「4400隻……あちらの国家予算は大丈夫なの!?」
ゲヘナの戦艦『ベリアル』に観戦武官として搭乗しているミレミアムのセミナー、早瀬ユウカは相手国の船の量に驚愕していた。
ユウカはミレミアムのセミナーの会計、いわば生徒会の会計をやっていることから、ロウリアの大艦隊を持つコストを瞬時に計算していた。その結果と、ロウリアの発展レベルと人口、ブルーアイや捕虜からの証言から推測した国家予算と比べると、明らかに国家予算を圧迫しているーーー圧迫どころか国家崩壊レベルなことが分かった。
通常なら、国家予算を圧迫しない程度に軍備を持つべきである。それがユウカの意見だった。
キヴォトスでもそうだ。財務室長による調整で、軍事費(治安維持費)は最小限に抑えられていた。と言っても、キヴォトスは基本的に治安が悪いため、軍事費(治安維持費)はGDP3割以上が主流なのだが…。各学園もそうだった。ゲヘナは特にだ。
話を戻すが、相手国艦隊、ロウリア艦隊は、約5ノットと非常に遅い速度で接近していた。ETOは、これらが排他的経済水域に侵入した際、警告を行い、攻撃を確認したらこちらからアウトレンジで反撃を行い殲滅する。それが、ETOがたてた作戦だった。
「大丈夫じゃないでしょうね……ホント、めんどくさい」
同じくベリアルに搭乗しているゲヘナ艦隊司令を務めている空崎ヒナは、相手の数の多さにそうぼやいた。ここまでの数を相手するのは、エデン条約締結の際に、悪徳企業と手を組んでアツコを攫って
その時は、企業vs学園と大規模戦争のような状況に陥った。アオイが自身を中心として、ゲヘナとトリニティがお互いに協力するようにしなければ、ゲヘナとトリニティは今頃廃れた学園になってもおかしくなかった。それも、
話を戻すが、ヒナは敵の数の多さにぼやくと同時に、横にいるもう一隻の戦艦についても頭を抱えていた。
その戦艦はどの戦艦よりも巨大であり艦砲の大きさも圧巻であるが、実用性があるとは言い切れなかった。ただただ大きくて、ただただ強い。それだけの戦艦だ。完全に見た目だけの戦艦だ。機能的に優れた戦艦のベリアルより見た目も大きさも凌駕している。
そんな船が掲げているのは、
その戦艦の名前は、超無敵鉄甲戦艦『虎丸』。『虎丸』はイブキとイロハが巡回にいく時によく乗っている戦車から取られた。
だが、問題は、ネーミングセンスもそうだが武装もあった。一体何に使うんだというぐらいの巨大な主砲がこの船には搭載されている。
「すごいですね、あれ!!一体何センチ主砲なんでしょう!」
「マコト曰く51センチらしいわ。ホント何に使うのか…」
「51センチ!?さすがマコトさん!!ロマンがわかるんですね!!」
もう一人の観戦武官であるコトリは、戦艦の主砲の大きさに目を輝かせていた。宇宙戦艦の製作を目標にしているミレミアムのエンジニア部の一人である彼女にとって、主砲の大きさもそのロマンのうちの一つに入る。
この戦艦は先程書いた通り見た目は厳つかった。300mを超える全長に51センチ三連装砲が2基搭載されている。副砲も強力であり、16センチ三連装砲が3基も搭載されている。だが、ミサイル搭載量は少なかった。対空ミサイルは32発、対艦ミサイルは8発、しかも、VLSに加えて箱型も採用していて出来る限り搭載されていたが、ベリアルーーールキフェル級戦艦は、主砲の大きさが40センチと小さいがそれ以上に使用するミサイルを搭載していた。VLSはもちろんのこと、箱型発射管も搭載されていて、また、主砲がミレミアム製のレールガンであること、イージスシステムが搭載されていることにより見た目より重武装となっていた。
一方、トリニティの戦艦2隻、アルトリア級戦艦は、40センチ主砲を搭載しているが副砲はなく、その代わりにミサイル武装が多くなっていた。数にして、対艦ミサイル8発、対空ミサイル48発とゲヘナより多く搭載されていた。だが、主砲がレールガンであること、イージスシステムを搭載していることはゲヘナと共通していた。
ETO艦隊は約30ノットという高速で航行していた。静かな海の波を切り裂くように進んでいく。
現時点から約500キロ進むとこの海はガレオン船で埋め尽くされるだろう。それほどの数の敵を相手にこれから戦わなければならない。
「ヒナ委員長、そろそろトリニティ海軍駆逐艦『ホルサ』がロウリア艦隊に警告をしに行くそうです」
「そう。なら、こちらからはヘリを直掩にまわしなさい。ある程度の攻撃には対処できるでしょう」
ゲヘナ風紀委員会の行政官、天雨アコがベリアルのオペレーターとしてヒナに指示を仰ぐ。それにヒナは応え、指示を出す。
アコが船のオペレーターをやるのは、これで二度目だった。一度目は原作でもあった通り、ウトナピシュティムの本船のオペレーターをリンやモモカを始めとしたメンバーとともに務めていた。彼女は、その経験を活かして今回もオペレーターを務めている。
距離300を切った時、艦隊から一隻の駆逐艦が飛び出した。作戦通りならこのままロウリア艦隊に接近して警告を行う手筈だ。それを報告で知ったヒナは、すぐさまヘリを発艦させて直掩につかせる。相手は木造船であるため、万が一でもある程度対処できるだろう。
唯一の不確定要素は、漂流者であるブルーアイからの情報で出てきたワイバーンとかいうキヴォトスにとって架空上の生物の存在だが、スペックを聞いた限りだとヘリでもある程度対処できることがわかった。だが、実物はまだわからないため、理論値である。
『全艦、対艦戦闘用意。警告を無視され次第、攻撃を開始する』
旗艦アタナシオスの通信が全艦に渡った。
「警告を聞いてくれますかね?」
「おそらく聞かないと思うっすよ。あの時もそうでしたし…」
警告に向かった駆逐艦は、前にロウリアの小規模艦隊に一隻で対処した駆逐艦だった。トリニティの新型駆逐艦であるそれは、あの時と同じように敵艦隊へと向かっていた。
最新鋭のレーダーには、常にロウリアの大艦隊が映り続けていた。前の時の艦隊が霞むような規模の大艦隊に、一同は息を呑んだ。
「てか、よくこんな大艦隊を集められましたね」
「そうっすね。普通は集められないっすよ」
「それだけ本気ってことなんですかね?」
「さぁ?それは相手に聞かないとわからないっすよ」
イチカは、前の戦闘時にとった捕虜の様子から戦闘は避けられないだろうと半ば諦めていた。宣戦布告を互いに交わさない状態での戦闘となるため、キヴォトス側の正当性を証明するために警告を最初に行うのだ。
無論、他の隊員たちもわかっている。だが、ここは異世界で何もかも手探りな以上、少しでもキヴォトスに有利になる行動をしなきゃいけなかった。
「本当、やになるっすね」
誰だろうと、戦争はやりたくない。毎日銃撃戦が繰り広げられているキヴォトスが言えることかはさておき、これから起こる光景を想像すると憂鬱になるのは仕方なかった。
「イチカさん、そろそろ…」
「分かったっす。
ーーー総員、第一種戦闘配置!!」
イチカの声で、乗組員は慌ただしく配置につく。スピーカーを用意し、いつでも警告を行えるように準備する。
その途中、背後から聞き覚えのある音が接近してきた。その音の発生源は、上にプロペラがついている飛行機械で空中に滞空することができるものだった。そう、ヘリコプターである。
「
「直掩、っすかね…」
ありがたい。彼女はそう思った。警告という危険が多い中での直掩は、彼女らにとって大きい支えだった。
「イチカさん!!見えてきました!!」
そして、ついに敵船団が姿を現した。事前情報通りの旗を掲げて、海を埋め尽くすような密集陣形でこちらに向かってきている。
ホルサは、主砲をいつでも撃てるようにその照準を敵船団中心に定めていた。コンピュータ制御の照準は、人力よりも遥かに早く正確に定めることができた。
『こちら、
「ふん。所詮一隻だけじゃないか。付近にいる艦艇に伝えよ。あの船に火矢を放てとな」
その警告を受けたロウリア海軍艦隊司令のシャークンは、付近の船に攻撃するよう命じた。矢を船に積まれている油で燃やして火矢として、ホルサに向けて一斉に発射する。最初は船の大きさに驚いたが、この付近にこの大きさの船を作れる国はないことからハリボテか幻覚だと推測して行動していた。
「イチカさん!!撃ってきました!!」
「そう………反転するっす。その間に後方の艦隊に報告、一定距離離れたら砲撃開始してください」
その命令通りに反転して敵船団から遠ざかるホルサに、敵船団ーーーロウリア艦隊は雄叫びを上げる。巨大船を追い払ったことで増長したのだろう。船団内からは、ホルサをバカにしたような声が聞こえる。そして、シャークンが推測したハリボテか幻覚かの判断も確信するようになった。
だが、シャークンは巨大船の出現に不安がよぎる。その巨大船には、巨大な大砲らしきものが見えたのだ。ロウリア海軍には砲艦があるが、それよりも遥かに大きい。門数こそ少ないが、威力は大きそうだった。
(奴らは本当に逃げただけなのか?)
先程の警告といい、トリニティと名乗った勢力の動きが不可解だった。彼らの常識だと、普通なら警告はしないはずなのだ。彼らの認識として、戦争状態となっている国から警告を受けることは、敵自ら「勝てない」と言っているのと同じである。それをわざわざする国はいないのだ。
シャークンが底知れぬ不安に襲われていた時、ある程度距離を開けたホルサが舵を切る。敵船団に横腹を晒しながらも、照準が敵船団に合わせたままの主砲の引き金を構える。
「イチカさん!旗艦に報告完了しました!!」
「了解っす!」
イチカは、報告を受けると敵船団の方を見つめる。その表情はわからないが、少なくとも、これから起こるであろう出来事については良く思っていないだろう。
「………これから、始まるんですね…」
「まぁ、気持ちはわかるっすよ。誰だって、戦争はしたくないっすから。でも、私たちは正義実現委員会。トリニティ、ひいてはキヴォトスを守るためにやらなくてはいけない」
「そうですけど……」
キヴォトスでも、死というのは身近にあるものだ。それは外界ほどではないが、キヴォトス人でも寿命や病気などで普通に死ぬし、キヴォトスに迷い込んだ外界の人間が普通にそこら辺で死んでいる時もある。
しかし、1人2人なら外界の人間が迷い込んで銃撃戦の流れ弾で死ぬというのは普通なので問題ないのだが、それより多いと流石に「問題ない」とはならない。特に、SRTなら外界対策として元からそういう類の訓練を受けているため大丈夫だが、それ以外、例えば正義実現委員会や風紀委員会とかはSRTみたいな訓練を受けていないため、今回みたいな外界に対する軍事行動は初めてだった。また、戦争は大勢の人が死ぬため、余計に士気が落ちていた。
(これは、メンタルケアは必須っすね…)
イチカは、この戦いで確実に起こるであろう、精神を病む人に対する対処法を考えていた。しかし、そういう経験の浅い彼女では思い当たらず、最終的にSRTのやり方を参考にするためにアオイに連絡を取ることになる。
「主砲、撃ち方始め!!」
イチカのその命令で、ホルサの攻撃が開始された。主砲からはレールガンの電気の光が漏れ、轟音が海面を揺らす。その音は、敵船団を威圧させる副次的効果もあった。
放たれた砲弾は一瞬のうちに敵艦に命中する。さらに、威力過剰だったのか、貫通してその後ろにいた船にも命中する。貫通した船はそこから水が入り込んで沈没し、命中した船は真っ二つになり撃沈する。中にいた水兵は海に投げ出され、ガレオン船の破片に捕まり浮いている。
いきなりの巨大船からの攻撃に、シャークンは唖然としていた。彼だけではない。他の水兵たちも唖然としていた。彼らはパーパルディアの砲撃の様子を見たことがあるが、これほどの威力はなかった。命中率も桁違いに高い。それだけに、何が起きたか理解できていなかった。
続けてホルサは再び敵船団に砲撃を行う。それと同時に、遠くからホルサの様子を見ていたゲヘナのヘリがここで参戦し、上空から機銃による対艦攻撃を開始する。相手は木造船なため、機銃でも致命傷となる。ガレオン船は瞬く間に穴だらけとなり、帆にも風穴が開き、浸水によってすぐに沈んでいく。この機銃掃射で、外に出ていた水兵は等しく肉塊となり、流れ弾が海に投げ出された水兵に当たり海を血で染め上げる。
「わ、ワイバーンの航空支援を要請しろ!!現在、敵主力と思われる巨大船と交戦!!羽虫と巨大船の攻撃で前衛が壊滅とな!!」
シャークンは「ハッ」と我にかえると、急いでワイバーン部隊に援軍を要請する。本来なら、ワイバーン部隊は各地で占領した島という島に簡易な飛行場を作り、そこから謎の勢力ーーキヴォトスに向けて飛んでくる予定であった。それが、海軍の予想外の苦戦により、緊急出撃の要請が出された。
「ロウリア王国海軍東方諸島郡侵攻部隊より通信!!敵主力と思われる巨大船と羽虫と交戦中!!至急、航空支援を要請する!!とのことです!」
「そうか……。なら、450騎全騎差し向けなさい」
各島に駐屯しているワイバーン部隊を全て合わせると数は450騎にも上る。島事態が小さいのもあるが、その数が多く分散せざるを得ないため、元々あった350騎から大幅に増やしたのだ。
「ですが、それだと本隊からワイバーンがいなくなってこの島の防衛がままならなくなりますが…」
「聞こえなかったのか?全騎だ。敵主力ならわざわざ戦力の逐次投入をすべきではない」
「わかりました」
その命令は、魔信によって即座に各島にある簡易飛行場に伝えられた。そのうちの一つである、ロウリア王国が名付けた無人島のアウリ島でも、急いで出撃準備が行われていた。
「急げ!!敵は待ってくれないぞ!!」
「よっしゃ!!狩りだ、狩りだぁ!!」
簡易寮舎から走ってワイバーンに乗る竜騎士。彼らは自身のワイバーンのともにこの地から飛び立つ。
この島での生活は悪夢そのものだった。キヴォトスみたいに技術が発達しているわけではないので、ほとんど現地調達しなければならない。野生動物など未知の生態系相手に、それは無謀に近かった。
それを受けた彼らは、当然ながらストレスが溜まる。そのストレスはどのように発散するかというと、近くの現地民の討伐任務で空から蹂躙することで発散していた。
「司令!!ワイバーン部隊本隊より、「450騎全騎出撃させ、上空援護を行う」とのことです!!」
「そうか!!よし、全艦隊に通達しろ!!ワイバーン部隊と同時に突撃する、とな!!」
シャークンはワイバーン部隊が来る知らせを受け、船団の指揮を高揚させる。いくら巨大船と羽虫とはいえ、数の暴力には敵わないというのが彼の考えだった。
しかし、ワイバーン部隊が出撃する様子は、既にキヴォトス側は捉えていた。遥か宙に人工衛星がある限り、捕捉から逃れることは限りなく不可能だった。そして、ロウリア側はそれに一切気付くことはない。
「対空レーダーに反応!!方位260!!距離300km!!速度235km/h!!高度3000!!数450!!恐らくワイバーンだと思われます!!」
「分かったっす。ーー対空戦闘用意!!いつでも撃てるようにするっす!」
ミサイルの照準をワイバーンにロックするするホルサ。その際に出る火器管制レーダーからの電波を彼らは探知することはできない。つまり、ホルサが一方的に狙い撃てることと同義であった。
「し、司令、あれ……」
「ん?なっ!?まだいたのか!?」
すると、ホルサの後方から複数の巨大船が接近してきていた。それらは艦隊を組み、一切の乱れなくロウリア艦隊に向けて進撃していく。
「後方から味方です!!横に「バエル」「アガレス」がつく模様!!」
「データリンクで対空目標の割り振りを行ってください。一斉に攻撃するっす」
上空では、対空ミサイルの攻撃が行われることがわかったのか、ホルサの直掩をしていたヘリが後方に退避していた。それと同時に、ホルサの横についたバエルとアガレスが火器管制レーダーをホルサと同じく放っていた。
その間に、戦艦ベリアルが前に出る。先程より大きい巨大船にシャークン一同は唖然とするしかない。また、それと競い合うようにして、戦艦トリスタンが前に出る。そして、その2艦の主砲が敵船団に向く。
「さっさと終わらせましょう」
「キキキ……」
次の瞬間、轟音とともに、戦艦の後方の駆逐艦から多数の光の槍が打ち上がった。
補足
それぞれの学園の艦艇名は、モチーフとなっている神話や国に関連する名前をつけています。
例:SRT特殊学園→フィンランド神話から。
ゲヘナ学園→キリスト教の地獄・悪魔に関連することから。
トリニティ総合学園→イギリス神話(アーサー王伝説やケルト神話など)から。
アリウス分校→キリスト教のアリウス派から。
など。
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