ウルトラマンオメガが放送開始したので初投稿です。(一週遅れ)
駄文も駄文なのでご了承ください。
それでは、どうぞ。
──────◆◆◆
人間が想像できることは、人間が必ず実現できる。
どこぞのSF作家が残した言葉だったか。昔はそんなのを聞いたところで『いや異世界転生とか実現してたまるかよ』とか思ってた。まあ、そういう意味合いで残された言葉じゃないのは分かってたけれども。
ほら、よくいるじゃん。創作物の話を引き合いに出して陰謀論とか唱え出す馬鹿。『SCP財団は実は実在していて政府がその存在を創作物として隠蔽している』とか言ってる奴見た時はホントアホだなって思った。実在してたらとっくに世界滅んでるわ。とまあ少し話が逸れたが、とっくに亡くなってる人の言葉バッサリ切って捨てる程度のものだった。
だがしかし、この立場になって初めて『ああ、あれって真理だったんだな』とか考えるようになった。そして、なんで異世界転生があんなにも量産されていってるのかも分かった。多分書いてる作者の何人かは実際に経験してるわ、アレ。
さて、長々と喋り倒してるテメェは一体誰なんだよとか思っているだろうそこの君。
俺の名前は⬛︎⬛︎ ⬛︎。トラックに轢かれて死んだはずが目を覚ましたら知らない土地にいた、いわゆる『転生者』ってやつだよ。
諸君らは『ブルーアーカイブ』という作品をご存知だろうか?
いや、みなまで言うな。多分こうしてここに来ているということは、少なくとも俺よりは詳しいんだろう。前世の友人がハマってうるさいくらい勧めてきたときに断片的に聞いた知識程度のものだからな、俺は。
『透き通るような世界観で送る学園RPG』を宣うスマートフォン向けゲーム、まあいわゆるソシャゲだ。これのどこが透き通ってるんだと開発者の人間を小一時間問い詰めたいところではあるが。
どうやら、俺はそんなゲームが
基盤になっている、というのはどういうことか?そのまんまの意味だ。この世界には
さて、そんなこんなで俺の第二の人生...人生でいいのか?やけに丈夫だし、『ヘイロー』とかいう輪っか頭に付いてるし...まあ、第二の生を謳歌している。
にしても、最初の方は苦労したもんだ。銃の使い方も分からない、人に向けるのも向けられるのも慣れねえ、まともな大人なんてもんもいない。ホント来た当初は『クソだわこの世界』って呪ってたわぁ。そんな世界に17年、今年で18年目。そんだけ経てばこの世界の常識にも馴染んでくるわけで。今では高校生活をエンジョイしているというわけだ。同級生にも後輩にも恵まれて、とても充実していると言っていいだろう。
ただまあ、生きていれば悩みの1つや2つは出来てくるわけで。
「おはようございます、ご主人様。朝食の用意は済んでおりますので、どうぞおかけになってお待ちくださいませ」
「おはよう室笠。どうやって家に入ったのかは食べながら聞くことにするよ」
今俺は、俺の目の前にいるメイド姿の後輩が自宅に上がって台所に立っている状況に頭を抱えているのだった。
──────◆◆◆
「んで、なぁんでお前が家で朝食作ってるんだよ」
テーブルの向かい側、目の前に座っているメイド姿の少女『室笠 アカネ』にそう話しかける。あ、朝食は大変美味しかったです。
「何故、と聞かれましても...強いて言うのであれば私が"メイド"で、ご主人様が"ご主人様"だからでしょうか?主の身の回りのお世話をするのは、メイドとして当然のことでは?」
「まず俺はお前のご主人様になった覚えがないんだが、その辺りどう思う?」
「私が"ご主人様"と決めましたので」
「ああうん、理屈とかじゃないってことね...」
屈託のないいい笑顔でそう言われてしまえば、こちらとしても何も言うことが出来ない。我の強い部分を捻じ曲げようとするのはとても面倒なのだ。
「まあその件は一旦置いとくとして。お前、どうやって家に入った?爆弾使ってないのはわかるんだが」
「それでしたら、普通に玄関から入らせていただきました」
「...ヴェリタスお墨付きの電子ロックのはずだが?」
「ヒマリ部長に相談したら、パスコードとカードキーのスペアを貰いました」
「よしアイツぶっ飛ばす」
そう言って俺が使用しているドアロックの解除キーと同じ物を見せてくる室笠。何をやってくれてるんだあの野郎。もう二度と天才とも美少女とも呼んでやらん。あいつの肩書は『病弱ハッカー』で十分だ。
「...とりあえずそれ渡せ。今回は飯作ってくれたってことでチャラにしといてやるから」
「いえ、そういうわけには参りません」
「なんで?」
「ご主人様、私は少々怒っています」
「うんそれは本来俺の反応だよね?不法侵入だよ君がやってるの」
「冷蔵庫の中身は手軽に食べられる栄養機能食品ばかり。洗濯物は2、3日分は溜まってそのまま。部屋の掃除も行き届いていない。ハッキリと言わせていただきますが、生活感がなさすぎです!」
「ああ、うん」
「なので、私がこうしてご主人様のご奉仕をし、日々の生活を快適にすることこそ、メイドである私の役目なのです!」
「ええ...」
いや、まあ確かに生活感はない...というか今してる研究が楽しすぎてそれを疎かにしているのは否めない。昨日も妖怪MAXキメたし。いやぁ...でもなぁ...
「お前部活の方はどうすんだよ。急な呼び出しもあんだろ」
「それに関してはご安心ください。私が『C&C』の活動で来られない場合の代役は、既に別の方に頼んでおりますので」
「わ~すっごい本人の知らないところで勝手に話が進んでる~」
何故こうも俺の意見は無視されるのだろう。俺なんか嫌われることしたっけなぁ...割と良好な関係築いてきたと思ったんだけどなあ...
「...わかった。ええ分かりましたよ分かりましたとも。そんなに世話がしたいなら好きにしてくれ。ただし、毎日来るのはやめろ。週一か週二くらいのペースにしろ」
「むう...ご主人様の命令とあれば、仕方ありませんね」
「納得の仕方独特だなぁ...」
さて、そんなこんなで時計の方を確認する。...そろそろ身支度を始めないと遅刻するな。
「身支度済ませてくる」
「では、私はその間に食器の方を片付けておきます」
「あ~...じゃあ頼んだ」
正直、人に家事をやらせることに抵抗がないわけではないのだが本人がやりたがっているのならまあいいかなと思う今日この頃。こうやってダメ人間になっていくのかなぁ...
──────◆◆◆
学園都市キヴォトス。
新たな生を受け降り立ったこの地は、前世の記憶というものを持つ俺からすれば『異世界』という感想を最初に抱くのは用意に想像出来るだろう。
数千の学園がそれぞれ運営する自治区と『連邦生徒会』という組織が管理運営している『D.U』という中央都市によって構成される大規模学園都市。
そこに住む住民たちもまた、一風変わった者ばかり。
二足歩行で人語を話す犬猫やスーツに身を包んだロボット。そして『生徒』というカテゴリに入れられた少女たち。キヴォトスの住民はこれらで構成されている。...え?ああ、じゃあお前は女なのかって?TSとかしてれば『生徒』の枠組みにぶち込まれるんだがなあ...残念ながら、生物学上は男らしい。キヴォトスでも観測史上初の『男子生徒』らしい。あまりそれを嬉しいとは思わないが。
「ねえ、あれって...」
「三年生の遥先先輩だよね。横にいるのは...」
「うっわあ...」
とまあ、よく注目を浴びるのだ。男の『生徒』ってのはそれだけでこの世界では異端に近い存在らしい。断じて横にいるメイド服の室笠を見て侍らせてるとか思われたわけじゃない。そうであってくれ頼むから。
「はあ...」
「どうかしましたか?ご主人様」
「いやなし崩し的に一緒に登校してるけどさ、ぜってえ時間ずらした方がよかったなぁと。知り合いに見られたらなんて言われるか...」
「それでしたら、問題ないのでは?私たちが主従関係であることは皆さんご存じでしょうし」
「茶化されるネタが増えただけなんだよなぁ...」
まあ今更気にしたところでしょうがない。遅刻になるよかましだ。
...改めて通学路、というかこの自治区を見渡す。立ち並ぶビルの数々は近未来を思わせる。うちの学校『ミレニアムサイエンススクール』はこのキヴォトスでも指折りのマンモス校で、その名の通り様々な技術が研究され、日夜発展されていっている。『SEVEN X』とかこんな感じの街並みだった気がする。いや、別に侵略者に支配とかされているわけではないんだが。
「...ん?」
「いかがなさいました?」
「いや、あそこ。なんか他と比べて汚れてねぇか?」
指を差した方向を向く室笠。そこには、黒い煤に塗れたような汚れの付き方をした建物が。しかも一件ではなく横並びに二軒。更によく見れば向かい側の建物にも弾痕や破損跡のようなものがついている。まるでテロでも起こったかのような痕跡だ。
「...そういえば、先日この辺りで不良生徒たちによる暴動が起こったと聞いています」
「マジかよ...今月入って何回目だ?」
「確か...4回目だったでしょうか」
「おいおい...」
ミレニアムの自治区は比較的他の自治区より治安がいい。俺がここに入学した理由の一つとしてそれがあったりするのだが、どうも最近こういった生徒による暴動が多い。しかも、ミレニアムの生徒ではなく他校の生徒もしくは何処にも所属していないような奴が主だ。
「ったく、ヴァルキューレも連邦生徒会も何やってんだか」
「セミナーから聞いた話によると、どうも対応に負われているようで。D.Uの方でも、かなり大規模な暴動があったそうな」
「...そういや、研究の一環で百鬼夜行まで訪ねた時にも『暴動が起こって一部の建造物に被害が~』とか聞こえてきたな」
「...どうやらミレニアムだけに収まることではないようですね」
ここ最近の研究、その一環で訪れた自治区の全てで治安の悪化が見られた。百鬼夜行の霧吹山調査の時も、トリニティの古書館で『地底王国』についての文献調査の時も、ゲヘナの火山近くの生態調査を行った時も、いずれの自治区でも、それぞれの治安維持組織が活発に動いていたのを記憶している。...いやゲヘナは通常運転だったな。すげえ撃たれたわ。
「...『バランスが何かの弾みで崩れた時、厄災が目を覚ます』」
「それは...」
「超古代人が遺した言葉の一つ。最近解読出来た言葉だ」
「頻繁に起こる暴動は、厄災の前兆ということでしょうか?」
「さぁな。そもそも、キヴォトスの超古代文明にはまだまだ謎が多い。それに今まで解読できた文献から考察するに、厄災ってのは『怪獣』のことだろう。怪獣は既に絶滅してるんだ、それこそ異星人が仕組んでるって言われた方が納得できる」
「...」
「どっちにしろ、何が起こるか分からんし用心に越したことはないってこった」
「そうですね」
「物騒ついでにウチの鍵、渡してくれると助かるんだけどな~ご主人様のお願いなんだけどな~」
「お断りさせていただきます♪」
「デスヨネー」
話の流れからいけるかな~なんてワンチャン思ったが、やはり意思は固いらしい。まあ、コイツの戦闘能力は大分高いし問題はないとは思うけど。
にしても、これほどの治安悪化はキヴォトスに転生してからの17年間で一度もなかった。というか現連邦生徒会長がその席に座ってからは犯罪率が低下していっていたはずだ。もしかしたら、ヤツの方になにかあったのだろうか?それなら納得もいくが...
もしや、『ブルーアーカイブ』が始まる前兆なのか?ということはもうすぐ
各学園の治安悪化。来訪する大人。様々な自治区で生徒たちと触れ合い、紡がれていく絆。所謂シチュエーションとしては完璧だろう。
...なら、今後の方針を固めておかないとな。
「...ま、いざとなったらきっと来てくれるだろ」
気づいていれば、そんなことを呟いていた俺。そう、きっと来てくれるだろう。そして、この世界の問題を解決し、『ヒーロー』として祀り上げられるだろう。主人公とは、往々にしてそういうものだ。だから、主人公でない俺がするべきことなど、与えられた役割など存在しない。
「...?来てくれる、とは?」
俺の呟きに反応する室笠。その表情には疑問が見える。そりゃそうだ。まるで適任の誰かが来るような言い方。あるいは、全てを押し付けて自分は楽をしようとしているように聞こえているのかもしれない。
深い理由があるわけじゃない。ただ、この世界に来てからの17年間。そして
俺、
「正義のヒーローってやつさ」
キャラプロフィール
遥先 アスム(はるさき あすむ)
ミレニアムサイエンススクール 3年生
部活:帰宅部
キヴォトスにかつて存在していた『怪獣』という生物を研究している少年。現状、キヴォトスで確認されている唯一の"男子生徒"である。
研究の関係で他の自治区に訪れる機会が多く、交友関係が広い。面倒くさがりではあるが、困っている人間にはしっかり手を伸ばす。『憧れの存在』があるようで、出来る限りそうあれるように生きていっているらしい。