プロローグ開始です。全然特撮ネタ入れられなかったわ。
まあ、いっか!!
では、どうぞ。
いつだって、始まりは
──────◆◆◆
俺、遥先 アスムは転生者である。
前世において、この世界『ブルーアーカイブ』はソシャゲとして存在していたが、今その作品が目の前に映る現実となっている。『夢が現実になれば今までの現実は夢になる』と何処ぞの面白おばさんが言っていたが、こういう感覚になるのだろうか。あれよりかは精巧に作られた夢であると思うが。
といっても、俺は『ブルーアーカイブ』という作品を詳しくは知らない。SNSで偶に回ってくるイラストだったり、『透き通るような世界観で送る学園RPG』を謳っておきながらおもっ苦しい設定であったり、前世でやってたイベント会場が当日放送されたブレーザーの最終回でヴァラロンの降着地点になって多数の先生が犠牲になったと一部が騒いでた程度でしかない。なんだそいつら羨ましい。
この世界の判別方法だって、『学生が当たり前に銃を所持している』、『同級生がなんか見覚えのある子』というアバウトすぎるものだったのだ。そうだぞ一ノ瀬、早瀬、お前らがいたからブルアカだって分かったんだ。ありがとな。
とまあ、この通り『ブルーアーカイブ』という作品に対してミリしらである俺はこれから起こるであろう出来事に関してまったくの無知なのである。まあなんか先生とかいう人物が来てから物語が動くのは知ってる。いやそりゃそうか。
ぶっちゃけた話、俺としてはキヴォトスがどうなろうと知ったこっちゃない。というか転生者である俺など、この世界ではノイズでしかないだろう。故に、変に原作のシナリオに介入するつもりはないし好きにすればいい。俺は俺の周りで起こる出来事にしか関与するつもりはない。
ほら、よくあるだろう?『本来存在しない者がいるだけで世界が捻じ曲がって正史からかけ離れていく』みたいなの。未来人の介入とか、過去にタイムスリップして起こした行動が後の世界に大きな影響を与えたりとか。別にしたいならすればいいと思うし、それを否定するつもりはない。でも偶にある『異物だから、存在しないからやらなきゃいけない』みたいなのは違うと思うんだ。自分の意志で捻じ曲げたのならまだしも、不幸な事故でとか、存在そのものがとか、そんなん言ったってしょうがないと思うんだよ。
さて、長ったらしい自分語りは終わりにして、簡潔に纏めるとしよう。
つまるところ、『遥先 アスムはブルーアーカイブの物語に介入するつもりはない』ということだ。すまんね、アホみたいに語って。
「...そのはず、なんだけどなあ」
現在俺がいるのはキヴォトス全体の行政を担う『連邦生徒会』その総本山であるサンクトゥムタワーである。
理由は簡単。その連邦生徒会の人間に呼び出されたからだ。
最近の治安の悪化、突然の呼び出し、俺と連邦生徒会との過去の関係、ハッキリ言って嫌な予感しかしない。
「めんどくせぇ...」
見上げた景色に『ほんとプラズマスパークタワーだな』とか思っていたら、遠くから聞こえてくる爆発音。面倒事押し付けられるのが確定した瞬間だった。
──────◆◆◆
「私のミスでした」
気が付いた時、私は電車内にいた。
流れゆく雲に、照らされる朝日。とても綺麗な光景だ、飲み込めない状況の裏腹にそんなことを考えながら、目の前の少女に焦点を当てる。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。.....結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて.....」
そう語る眼前の少女の姿はとても痛々しい。
左胸からの出血、.....ちょうど銃弾1発分だろうか。身に包む真っ白な制服が赤く滲んでいる。
「......今更図々しいですが、お願いします。先生」
こちらに託すように放ったその言葉には、『悔い』のようなものを感じた。
──────一体、彼女は何を背負っていたのだろう。
──────一体、私は何を託されたのだろう。
知覚出来ないその重みに、私は不安を覚える。
「責任を負うものについて、話したことがありましたね」
続く言葉に、疑問を覚える。私にそんな記憶はない。そう、ない、はずだ。
「あの時の私には分かりませんでしたが...今なら理解できます」
暗い空。泣きながら銃口を向ける少女。こんな記憶はない。ないはずだ。
「分からなくていい、と彼は言ってくれましたけれど」と少女は懐かしむように、思い出に耽るように、微笑む。『彼』というのが誰なのかは分からないが、きっと彼女にとって大切な人なのだろう。
「大人としての、責任と義務。そしてその延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心延えも」
「ですから、先生」
視界がぼやける。彼女の姿が霞んで視える。
「私が信じられる大人である、貴方になら。...いいえ、貴方
もう、視界の半分は白く染まっている。待って、待ってほしい。君は一体!!
「この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を...」
その言葉を最後に、私は意識を手放す。
「だから先生、どうか...」
──────◆◆◆
「先生...」
「先生、起きてください」
遠くから声が聞こえる気がする。鋭い、それでいてこちらを労わるような声。
すまないがもう少しこのままにしておいてほしい。もう少しで、あの夢をもう一度見れそうなんだ。彼女に聞かなければならない。手を伸ばさなければいけない。あと少し、もう少しで
「先生!!」
「"うわぁっ!!"」
鋭く、そして力強い声に朦朧としていた意識が覚醒していく。というか、普通にびっくりして飛び起きた。
視界に飛び込んでくるのは、尖った耳に黒い髪を持つ女性。多分、この子が先ほどの声の主なんだろう。
更に周りを見渡せば、ロビーのような部屋。一体、ここはどこなのだろう。
「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは」
女性の言葉に違和感を覚える。はて、自分はそのような会話をしたのだろうか?
「...夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」
顔に出ていたのか、少々厳しめの口調で言われてしまう。
「もう一度、改めて今の状況をお伝えします。私は七神 リン。学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です。そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生...のようですが」
七神 リン、学園都市『キヴォトス』、連邦生徒会...どうしよう、本当に記憶がない。私は一体どこに来てしまったんだろう。
「...ああ、推測系でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです」
「"え?"」
意識を取り戻してからの二言目は、疑問だった。どうしたものか。彼女にも分からないのなら、私は何をすればいいんだろう。
「...混乱されていますよね、分かります。こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください」
彼女の言う通り、自分で混乱しているという自覚はある。この誘いも、安易に答えていいものではないだろう。
ダメじゃないか。生徒からのお願いを断っちゃ。貴方は"先生"なんだから。困ってる生徒には手を伸ばさなきゃ、ね?
──────だが、どうしてか、その誘いを断ろうとは思わなかった。
「"うん"」
短くそう返し、私はリンについていった。
行き先はロビーに存在するエレベータの一つ。ボタンを押し込み、中に入り込んだリンが私を促す。エレベーターに乗り込み、ガラス張りの街を眺める。
とても綺麗な街並みに思わず目が奪われる。
その後ろで、リン"ちゃん"から説明が入る。...?
「キヴォトスは、数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。そして、これから先生が働くところでもあります」
「きっと先生がいらっしゃった場所とは色々なことが違っていて、最初慣れるのに苦労するかもしれませんが...」
「でも先生なら、それほど心配はいらないでしょう」
「あの連邦生徒会長が、お選びになった方なのですから」
連邦生徒会長が選んだ。その言葉を聞き、リンに向き直る。
「"えっと、それじゃあこれから連邦生徒会長のところに...?"」
自分はその連邦生徒会長という人物を
「...それは後で、
「彼...?」
エレベーターが止まり、扉が開く。
「先生の他に
足を一歩踏み出した瞬間、ホールの奥に設置されていたエレベーター付近から女性の叫び声が聞こえてきた。
何事かと思いそちらへと視線を移すと、青髪の、白いジャケットに黒いブレザーを着た生徒が何やら血相を変えてまくし立てて居るのが見える。
「代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んで来て!」
「主席行政官、お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました、風紀委員長が現在の状況について納得のいく回答を要求されています」
続き、高身長黒髪ロングに制服まで黒い生徒と、栗色の髪をした、上下で白と黒に分かれた制服...制服?なのだろうか。ほぼ私服に近い恰好の生徒がリンに声をかける。更にその後ろにグレーの制服に身を包んだ銀髪の子もいる。
「ああ、面倒な人たちに見つかってしまいましたね。...まぁ理由は分かり切っていますが」
心底めんどくさそうな顔をするリンちゃん。
「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました。」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています。」
「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不正流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます。」
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ...」
捲し立てるように詰め寄る四人。その時、彼女たちの後ろ側の扉が開く。皆がそちらの方に視線を向ける。
「あ~...お取込み中?」
そうこちらに声をかけてくる
「せ、"先輩"っ!?どうしてここに...」
「そこのデカ女に呼ばれた。あ、羽川のことじゃなくてそっちの眼鏡のほうね」
「...わざわざ言う必要ありましたか?」
「う~んないかも。まあ場を和ませるジョークってことで」
先輩と呼ばれた少年が前に出てくる。一瞬、私の方に目をやるとすぐにリンの方に向き直る。黒髪の子、すごい睨んでるけど大丈夫かな?
「...随分と遅い到着ですね」
「アポなしで留守電だけ残して遅刻の指摘とか舐めてんのかオメェ」
「...まあ、本題に入る前には間に合っているのでよしとしましょう」
「俺が悪いみたいな言い方やめてくれます?」
リンと彼の会話が続く。随分と棘がある会話でなんとなく距離感が近いのかな、なんて思う。
「...で、状況説明を簡潔、分かりやすくお願いできます?"代行"殿?」
...あ、初対面でもわかる。彼、とんでもなくめんどくさがってる。
──────◆◆◆
あ~めんどくさ。
最初に出てきた感想がこれだったのは許してほしい。だってさあ、ウチの会計の早瀬にゲヘナの風紀委員会の火宮、トリニティの正義実現委員会からは羽川で自警団の守月までいると。マンモス校の主要なやつが集まってるんだもん。絶対厄介事じゃん。というかこれあれだよね?ブルーアーカイブ始まったよね。俺でも少し見覚えあるメンツよこれ。
マジなんてタイミングで呼び出してくれやがったんだよ七神ィ...!!いくら俺のこと嫌いだからって面倒事に巻き込みやがってこの野郎。
「さて、暇じ...想定よりも人が集まっていますが、そろそろ本題に入りましょう」
おいお前今暇人って言おうとした?
「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
...はい?
「結論から言いますと、『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回する方法を探していましたが...先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今はその方法があるということですか?首席行政官」
羽川が七神にそう質問する。...あ~そういうことか。なんか話が見えてきたぞ。
「はい。この"先生"こそが、フィクサーになってくれるはずです」
その言葉に四人は驚きを見せる。やっぱりかぁ...しかし、"はず"ですかそうですか。ホント、そういうとこが嫌いなんだよ。
「"えっ私?"」
突然の名指しに首を傾げながら確認する男性の姿がそこにある。おい七神、本人自覚ないみたいだぞ。どうなってんだおい。
にしても...この人が"先生"か。随分と爽やかそうな人だな。まあ女子校生相手ならそんな雰囲気の方がいいんだろうな。まあ、彼がこれから味わうであろう苦悩を考えると同情するが。
「ちょっと待って。そういえばこの先生はどなた?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが...先生だったのですね」
「はい。こちらの"先生"は、これからキヴォトスで働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
アイツが直々に"大人"を指名、ねぇ。大分複雑な事情がありそうだが...まあそこは置いとこう。
「行方不明になった連邦生徒会長が指名...?ますますこんがらがってきたじゃない」
「先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりましたその名前は──────」
『連邦捜査部 S.C.H.A.L.E』
...なるほど、原作だとそういう始まり方なのね。にしても、シャーレか。生徒の為の
と、思案している間に聞こえてくる七神の声。それはシャーレという部活についてだった。
曰く、単なる部活ではなく一種の超法的機関である。
曰く、キヴォトスに存在する学園の生徒を制限なく加入されることが可能。
曰く、各学園の自治区で制限なしに戦闘を行える。
...うん馬鹿かな?馬鹿だなこれっ!?なんつーモン作って消えてんだあのアホは!!こんな組織作って放置とか企業も学園もこぞって動き出すに決まってんでしょ!?その担当顧問に"外"から来た内情を知らん成人男性を置くとかイかれてるぞマジで!!七神もなんでそんな簡単に納得してんの?コレ絶対後々面倒なことになるよ?今集まってる連中の上に報告するだけでも大変なこと起こるよ?リオさん警戒MAXだよ多分。
「シャーレの部室はここから30km離れた外郭地区にあります。連邦生徒会長の命令でそこにとある物を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません。」
外郭地区...たしか今は誰も使ってない無人地帯だったか?そんなところに、...いや、そんなところだからか。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど。」
七神がホログラム通信機を起動すると、ピンク髪の短髪ツインテールの生徒、由良木 モモカが映し出される。
『シャーレの部室?あぁ外郭地区の?今そこ大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ?」
『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。今そこは戦場になってるよ』
スナック菓子をつまみながら、モモカと呼ばれた生徒は心底面倒くさそうな表情でそう言い放つ。
「……うん?」
七神の表情に曇りが差す。あっこれやばいわ。
『連邦生徒会に恨みを抱いて地域の不良たちを先頭に周りを焼け野原にしているみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』
...アッコレハイルマエニキイタバクオンデスネ-
『どうやらシャーレの建物を占拠しようとしているみたいだね。まるでそこに何か大切なものでもあるみたいな動きだけど?まぁでもとっくにめちゃくちゃな場所なんだから別に……あっ先輩。お昼ご飯のデリバリーが来たからまた連絡するね!』
おいブツの存在しっかりばれてんじゃねえか。
とまあ、そこは置いとこう。七神ぷるぷる震えちゃってるから。大分やばそうだから。
“大丈夫?深呼吸する?”
「だ、大丈夫です。少々問題が起きましたが、大したことではありません。」
...一応ブチギレ案件は通りすぎたが、これはもういよいよ腹を括るしかないようだ。なんかすっごい見てるもん。俺含めて五人のことすっごい見てるんだもんこの人。
「な、何?どうして私たちを見つめているの?」
「丁度ここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので私は心強いです」
頼む、せめて嫌味は隠してくれ。括った腹を戻しそうになるから。いやまあ、お前さんも色々大変なのは分かるけどもね?
「さぁ、キヴォトスの正常化のため暇を持て余した皆さんの力が今切実に必要です。行きましょう。」
「ちょ、ちょっと待って!どこに行くのよ!?」
「はあ...早瀬お前も腹括れ。こうなったらさっさと終わらせて帰るぞ」
「えっ、ちょっと、先輩まで!?」
──────こうして、介入したくもない
誰かブルトン持ってきてくんない?すごく行きたくないです。