悲しみなんて、ないセカイ   作:ヅダ推しのミドリムシ

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今回は短めです。

切り時分かんなくなって味のしないガムみたいな話になっちゃった。



では、どうぞ。





追記:味がしないガムみたいだったので加筆しました。


ゼロからのスタート

──────◆◆◆

 

矯正局から脱走し、暴動を起こしている生徒たちからシャーレを奪還することになった私と五人の生徒。現在はヘリで近辺まで移動している最中だ。

 

「――何で私達が戦場に出ないといけないのよ!?」

 

「……まぁ、サンクトゥムタワーの制御権を取り戻す為に、部室の奪還は必須ですから」

 

「いや、それは聞いたけれど! なんでミレニアム所属の、しかもセミナーの私がっ……!」

 

青髪の子がそう言いだす。...うん、ごもっともな意見かもしれない。おそらく、約一名を除いて彼女たちは今回の件に巻き込まれた形になる。リンちゃん...うん、やっぱりリンちゃんって呼ぶのがしっくりくるな。リンちゃんも状況が状況だったから巻き込んだのであって、きっと本意ではないだろうし。

 

だから、しっかりと自分から謝ることにした。

 

「"ごめんね、巻き込んじゃって"」

 

「い、いえ!そういう意味でいったわけではなくて...ま、まあ大きい目でみればこれもミレニアムの為なので」

 

「ちょっろ」

 

「は?」

 

「えこっわどうしたお前?」

 

いや、いまのは君が悪いと思う。まあ、レセプションルームでのやり取りや、この会話を見るに彼とこの場の生徒たちは、『それを言い合える間柄』であると解釈できる。

 

だから、こう言うことにした。

 

「"ふふっ、仲良いんだね"」

 

「えっ今のをそう捉えられる?大分殺気立ってたよ?」

 

「まあ、遥先さんは割とそういうコミュニケーションの取り方ですし」

 

「ええ、出会い頭に人の気にしてることをからかってくる程度には」

 

「ごめんて」

 

やはり、彼なりのコミュニケーションだったようだ。

 

「...そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はトリニティ総合学園3年、正義実現委員会の副委員長をしています。羽川ハスミと申します。」

 

「トリニティ総合学園2年生、自警団に所属している守月スズミです。よろしくお願いします、先生。」

 

「ゲヘナ学園1年生、風紀委員会所属の火宮チナツです。よろしくお願いします。」

 

「私はミレニアムサイエンススクール2年、セミナー書記の早瀬ユウカです。よろしくお願いしますね、先生」

 

「ミレニアム3年、無所属の遥先 アスムです」

 

「"うん、よろしくね"」

 

丁寧な自己紹介を受ける。こうして肩書を並べられると、リンちゃんが『大事な方々』と言っていたのがわかる。とても面倒そうではあったけれど。

 

であるからこそ、目の前の少年、遥先 アスムに注目する。

 

自分を『無所属』と言った彼。ではリンちゃんは何故彼を呼んだのだろう。しかも、彼の言葉通りならば、大分一方的に。

 

勿論それなりの理由があるのだろうが、なんだろうか。この違和感は。

 

まるでいるはずのない存在が紛れているような...

 

...いけない。生徒に対してこんな風に思うなんて、()()として失格だ。

 

 

──────◆◆◆

 

なんか先生から熱い視線を向けられている件について。

 

いや、俺じゃなくて横の早瀬とかに向けな?そういうのは。悪いけど俺ノンケなんで。

 

とまあふざけてみてはいるものの、これはまずい。非常にまずい。俺、遥先 アスムはこのまま原作に介入しようだなんて思っていない。この場面が仮に『ブルーアーカイブ』本編にあったとして、俺はシそのままシャーレに入部するつもりも、先生に関わるつもりもない。原作?元から知らんし主人公たる先生に任せてしまえばいい。

 

変に印象を持たれたら...流れに乗ってのトントン拍子で巻き込まれかねない。それはなんとか避けたい。絶対に。

 

「あの、先生。さっきから先輩の方をじっと見ていますが...どうかしましたか?」

 

早瀬ェェェェェェ!?読んで!!空気読んで!!今俺絶賛関わりたくないですオーラ出してたよ!?分からない!?分からないかぁそっかあじゃねえよ!?

 

あ~ほら他の三人も興味持ち始めちゃったじゃん。これ会話しなきゃじゃん。

 

「"ああ、いや、男子生徒だったから、少し気になって"」

 

あ~、事前に七神からそこらへん聞いてたんか?

 

「まあ、そうっすね。一応、確認されている限りでは『キヴォトス唯一の男子生徒』だそうです」

 

「"えっ、もしかしてそれって凄いことなんじゃ"」

 

「ハッ!こんな肩書何処に行っても注目される程度のモンですよ。っつかぶっちゃけ要らん」

 

ホント、良くも悪くも注目されるモンだからたまったもんじゃないんだよなこれ。ただ歩いてるだけで視線を感じるわ、ヒソヒソ話されるわ、街歩くだけでこれなんだからマジで気分が悪くなったりした。もう慣れましたがね。だから四人ともそんなお労しそうな顔しないでもらっても?

 

「"あっ、なんか、ごめんね?"」

 

「ああ、別に気にしていませんのでそちらもお気になさらず。それに──────」

 

「"?"」

 

多分だけど、この人も同じ目に合いそうだしな。

 

『皆さん、外郭地区に到着しました。これより降下します』

 

事前に配布された無線機から聞こえてくる七神の声。...ハア、それじゃあ行きますかね。

 

腰のホルスターに手をかけ、戦闘の準備を始めるのだった。他の四人も既に自分の装備を準備している。

 

「さて、どうしますかね」

 

「人数も弾薬も限られている以上、長引けばこちらが不利になります。先生の安全も確保したうえで短期決戦を仕掛けましょう」

 

「では、私とハスミさんが後衛に回ります」

 

「じゃあ、俺と早瀬が先陣切るか」

 

「え、私もですか!?」

 

「そりゃあこのメンツじゃあ俺らが適任でしょ」

 

「では、私がお二人のサポートを」

 

うん、このメンツなのすっごい助かるわあ。話がスムーズにまとまる。若干早瀬が不服気味だが、許せ。お前は俺と一緒にヘイト管理に必要なんだ。

 

 

──────◆◆◆

 

ヘリから降り、そこから徒歩でシャーレの部室付近まで向かう。道中に不良たちはおらず、どうやら一遍に固まって行動しているらしい。

 

しかしまあ、道中外郭地区の様子を見たが、酷い有様だなありゃあ。破壊された建物、そこら中に落ちている空になった薬莢。その付近の弾痕。しかも、今も付近から爆音が聞こえてくる始末。執拗なまでに徹底的に破壊の限りを尽くしている。よっぽど連邦生徒会に恨みがあるんだろう。まあ、矯正局に入れられたのは自業自得だし、逆恨みもいいところなわけだが。

 

と、いうわけで現在接敵中です。バカスカ撃たれてます。いやあ、ホント上手くいかないモンだね。まさか待ち伏せされてるとは。いや、連邦生徒会のヘリをカモフラージュもなしで飛ばしてるんだから警戒もするよな。遮蔽物なかったらハチの巣だったわ。

 

「ああっもう、なんで私がこんな目に...!!」

 

「口より手ェ動かせ!!弾幕薄いぞ!」

 

「先輩こそ!!なんで『ソレ』しか持ってきてないんですか!!」

 

「しょうがねぇだろ呼び出されて戦闘なんざ想定外だわ!!」

 

俺の手に握られている『コレ』。黒を基調にオレンジのラインが入った小型拳銃を構えて撃っている。気づく人はいると思う。まあこの武器は残念なことに大勢の相手には向かない。こんなんだったらSMGとか持ってくればよかったか?

 

「痛い痛い!痛いってば!あいつら、違法JHP弾を使ってるじゃないの!」

 

「伏せてくださいユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されていません。」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

うーんこの徹底ぶり。とはいっても、俺たちキヴォトスの住人はこの程度どうってことはない。どういう理屈なのかは分からんが肉体強度が高い俺たちは銃弾程度では死ななくなっている。

 

ただ、問題は先生の方だ。

 

「今は先生が一緒なので、その点に気をつけましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です。」

 

「ハスミさんの言うとおりです。先生はキヴォトスではない所から来た方ですので……私たちとは違って弾丸1つでも命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を。」

 

と、火宮が全部説明してくれたわけだが、『外側』から来た存在はその限りではないらしく、普通に銃弾一発でも危険らしい。なんて面倒なことか。

 

「分かってるわ。先生、先生は戦場には出ないで下さい!私たちが戦ってる間はこの安全な場所に居てくださいね!」

 

あ、それフラグでは?

 

「"...私が指揮を執るよ、任せて"」

 

ほらね、言ったでしょ?

 

と、まあちょけてみるが実際どうしたものか。状況だけみたら見ず知らずの保護対象が『自分の指示に従ってほしい』と言ってきたわけだが。

 

まあ、状況に余裕がないわけではないし指揮を執るのはありだと思う。指揮官がいるかどうかで戦局は大分左右されるしな。

 

それに、メタ的に言うならば『主人公補正』が先生にはあるだろうから大きく問題は起こらないだろう。

 

「戦術指揮をされるんですか!?まぁ先生ですが...」

 

「分かりました。これより先生の指揮に従います。」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします。」

 

うん、どうも皆先生に従う流れみたいだ。助かるね~話が早くて。

 

「"まず皆の武器を教えてくれるかな?”」

 

と、いうわけで全員が手持ちの装備について色々説明をする。俺も手持ちの武器()()を説明した。

 

「"なんというか、面白いもの持ってるね?"」

 

「奇襲しかけるの大好きなんですよね、俺」

 

まあ実際実戦で使えるやつは限られてると思う。

 

「"...うん、陣形はさっき言ってた通り、アスムとユウカを前衛にその少し後ろからスズミが二人の援護を。更に後ろからハスミが狙撃、チナツは回復と援護をお願い"」

 

「「「「「分かりました(了解です)」」」」」

 

「"それじゃあ、行こうか。スズミ、閃光弾の準備を"」

 

「はい」

 

「今までやられた分、きっちりお返ししてやるんだから!」

 

さーて、ではお手並み拝見といきましょうかね?先生(主人公)

 

 

 

──────◆◆◆

 

 

 

「閃光弾、投擲!」

 

スズミが遮蔽物から前方に閃光手榴弾を投擲する。投擲から数秒後、強烈な光が炸裂する。

 

「"攻撃開始!!"」

 

合図と共に、全員が動き出す。ハスミは射程範囲まで、スズミがその数m先に、アスムとユウカはそのまま敵陣まで突っ込む。

 

「クッソ閃光弾とか汚ねえぞ!!」

 

「連邦生徒会の犬がぁ!!」

 

「ぶっ潰してやらぁッ!!」

 

とんでもなく殺気立っている不良生徒。持っている銃で乱射しているが、先ほどの閃光弾で視界が奪われているからかその照準は定まっていない。

 

私が"先生"であるとするのなら、きっと、彼女たちのような生徒もまた、導かなければならないのだろう。いや、むしろああいう生徒こそなのかもしれない。

 

だが、今はそんなことを言っている場合ではないのだ。申し訳ないと思うが、道を開けてもらおう。

 

「"アスム、()()()を"」

 

「了解」

 

私の指示に、アスムが()()()()を投擲する。...うん、とりあえず問題ない。

 

「シャオラァ!!」

 

「ゲフゥ!!」

 

あ、蹴り入れた。本人の戦闘スタイルとは聞いてはいた、しかしまあ実際に見てみるとハチャメチャだなあ。

 

だが、アスムが先陣を切って不良たちの中心で戦っているおかげで、意識がそちらに集中してくれている。

 

「"ユウカ、バリア展開。アスムが注目集めてる間に前に。スズミもそれに続いて"」

 

「わ、分かりました!」

 

「了解しました。前進します」

 

「なっ、おい!!後ろからも来てるぞ!!」

 

「これ以上近づかせるな!行け、行けぇ!!」

 

引き金を引きながら前進していくユウカとスズミ。意識をアスムに引っ張られている彼女たちは、急にやってきた二人の対処に遅れる。

 

「クソッ!これでも...!!」

 

「"ハスミ、11時の方向、アスムのカバーを。手元のグレネード、狙える?"」

 

「問題ありません。目標補足、攻撃します」

 

「ふぇ?あっ──────」

 

指示の通り、ハスミがスナイパーライフルで穴を埋める。アスムに投げようとしていたグレネードが撃ち落され、その場で爆破。普通なら大怪我では済まないだろう。

 

しかし、倒れこそするものの外傷はそれほど大きくないように見える。キヴォトスの住人の耐久度故か、装備が頑丈だからか。

 

それにしても、自分がこうして戦闘指揮をしている事実に驚いている。なにせ、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だというのに、これだけ上手く立ち回れているのは、単に生徒たちが優秀だからか。

 

 

 

──────いや、きっとそれだけではないのだろう。

 

彼女たちの動きを見ていると、何故か『()()()()()()()()()()()()()()』と頭で理解し、次の指示が瞬時に出てくる。

 

まるで、()()()()()()()()()()かのように。

 

キヴォトスに来てからの自分は、どこかおかしい。

 

知らないはずの景色を『懐かしい』と思ったり、キヴォトスの常識に対してあまり違和感を覚えていなかったり。

 

この戦闘もそうだ。

 

そもそも、こんな子供が銃なんて物騒な物を持ち、それを自在に使いこなしている。こんな状況、元々私がいた場所では異常な光景だ。

 

だというのに、私はこの光景にあまり違和感を抱いていない。まあ、こうして冷静に戦闘指揮を行っている時点で察してもらえているとは思うが。

 

まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

理由は分からない。しかし、その疑問も、胸の取っ掛かりも、今は置いておく。

 

「"アスム、()()を降下。ユウカの前の生徒にね"」

 

「あい了解」

 

 

 

──────私は、彼女たちの()()なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

俺、遥先 アスムは転生者である。

 

転生前、いわゆる前世にあたる世界ではごく一般的な社会人だった。ゾンビに支配されたわけでも、世界が滅んでいたわけでもない、ありふれた普通の世界。

 

そんな世界で平穏に、ただ平穏に暮らしていた。その死因も交通事故と、こういう言い方はアレではあるが、まあありふれたものだったと言える。

 

 

 

──────だから、キヴォトスに転生し、この世界の常識を知った時、前世の常識がとても邪魔をした。

 

銃なんて実際に見たことも持ったこともない、()()()()()を常備することを余儀なくされ。あまつさえそれを人に向けて撃つなど、出来るわけがなかった。

 

頭では分かっている。しかし教え込まれた価値観というものはそう簡単に塗り替えられるものではない。人に向ければ忌避感と嫌悪感が体を襲い、照準をブレさせ、人に向けられれば恐怖に怯え体が動かなくなる。

 

撃たれる程度で死なない肉体だったことは幸運だっただろう。そうでなければとっくに死んでた。いや、当時からしたらその方がよかったのだろうが。

 

銃を撃てない。銃を避けられない。ただ少し堅いだけの木偶の坊。それが俺、遥先 アスムの始まりだった。

 

今こうして、戦場に出て、銃を向けられるのは奇跡だと思う。

 

それもこれも、あの日、あの路地裏で、()()を見つけた時に全てが変わった。

 

本来、この世界にあるはずのない武器。存在しないはずのもの。

 

地獄のような人生に、光が射した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャオラァ!!」

 

「ゲフゥ!!」

 

最前線に出て、前にいる不良に蹴りを入れる。そしてすぐさま奥の奴に銃を向ける。

 

折りたたまれたバレルを伸ばし、ロングショット形態に、『トリプルチェンバー』を『レッドチェンバー』に合わせて『アキュートアロー』を放つ。

 

「ギャッ!!」

 

「チィッ!!」

 

「怯むな!!撃て!」

 

「しゃらくせえ!!」

 

周りの不良共が一斉にこちらに銃を向け、その引き金を引いてきた。しかし、咄嗟の判断だったからか。それとも閃光弾の後遺症か。回避するのは容易だった。

 

「そらよっと!」

 

「グッ...!」

 

一気に接近し、腹に蹴りを入れる。

 

「はいちょっと失礼」

 

「なっ離せ...!!」

 

「う~ん無理。だって...」

 

後ろから向けられる銃口。まあ、孤立してる敵を集中してタコ殴りにするのは間違ってない。辺りに遮蔽物もない敵陣のど真ん中。そんなとき、どうやって身を守るのか。なお、この時盾のような身を守る装備は一切ないものとする。

 

そう、答えは簡単だ。

 

「あばばばばっ!?痛ッ!!痛い痛い痛い!!」

 

「ちょっ、馬鹿!味方に当てんな!!」

 

「言ってる場合かっ!!」

 

「うんその通り、言い合ってる場合じゃないよな」

 

「「ふぎゃ!!」

 

「そんで、君もご苦労様」

 

「ふげっ!!」

 

敵をつかんで盾にする、所謂肉盾というやつだ。実際問題、遮蔽物が近くになかったり囲まれてる状況ならかなり有効だったりする。

 

俺が使用している銃、『トライガーショット』はこういった乱戦向きのものではない。だが、キヴォトスにおいて一対一の場面なんてのは少ない。それらを考慮し、自らのポテンシャルとトライガーショットの能力を最大限活かせる戦闘スタイルを考えた結果生まれたのがコレ。

 

敵陣まで一気に突っ込み、狙いを付けにくくしたうえで至近距離での戦闘を行う。この距離であれば狙いは正確であるし、敵の誤射も狙いやすい。更にさらに、近接格闘の択も生まれて幅も広がる。これほどまでに理に叶った戦法は他には見つからなかった。

 

え?さっきの自分語り?銃が使えないうんぬんかんぬん?知るか。17年も生きてれば価値観なんて嫌でも変わるわ。

 

「"アスム、()()を降下。ユウカの前の生徒にね"」

 

「あい了解」

 

先生からの指示が入る。うん、ある程度暴れた後だし大分タイミングいいね。助かる。

 

「オラオラァ!!」

 

「ちょっ、いつの間に...!」

 

背後と正面、両方から挟まれている早瀬の姿が見える。俺の周りに不良はいない。なら、これだろうな。

 

懐から棒状のリモコンを取り出す。あとは、ボタンを押すだけ。

 

それは迫る。上空に投げられた位置から、急速に、真下にある不良の銃に向かって。

 

 

 

そして──────

 

 

 

 

 

 

 

 

──────不良の持っていた銃は、真っ二つに切断された。

 

「...え、は?」

 

「今!!」

 

「ガッ!?」

 

「ちょ、クソッ!!」

 

「無駄です!!」

 

「グェッ!?」

 

動揺した不良はそのまま早瀬と守月に撃たれる。

 

切断した物体、『スラッガー』をリモコンで手元に戻し、辺りを見渡す。...どうやら粗方倒したらしい。

 

「なんだか戦闘がいつもよりやりやすい気がします……」

 

「……やっぱりそうよね?」

 

「先生の指揮のおかげで普段よりずっと戦いやすいですね。」

 

「これが先生の力...連邦生徒会長が選んだ方なんだから、当たり前か...」

 

当たり前...まあ、アイツが選んだのならそうなのかもしれない。というか、この世界の教員ってなんでか分からんけど戦闘指揮の指導とか出来る奴が多いし。そういうのも含めての『先生』なのかもしれんな。

 

「それでは、次の戦闘もよろしくお願いします。先生」

 

「"うん、任せて"」

 

屈託のない笑みでそう言う先生。実際、かなりやりやすかった。一応全員と面識があり、その戦闘スタイルは知っていたが、連携できる程詳しいわけではない。誤射の一つも起こるものだろうと思っていたが、それもない。それぞれの得意とする役割を、適切なタイミングで、"穴"を埋めるような指示だった。戦術指揮のことは上手くは分からないが、腕がいいのは確かなのだろう。

 

敵の練度もそこまで高くない。このメンツに先生の指揮もあれば、楽に処理できるだろう。

 

あ~よかったよかった!!さっさと終わらせて帰ろう!!帰ってサドラの生態でも調べよう!!

 

『皆さん、今この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました』

 

無線機から七神の声。どうやら面倒事の元凶についてのようだ。

 

『ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前例がいくつもある危険な人物なので気をつけて下さい』

 

...。

 

 

...。

 

 

...。

 

 

...。

 

神様、私に平穏な日々は訪れないのでしょうか?




~徒歩での移動中~

「"ところで、アスムは三人とは知り合いなの?」

ア「まあ、そうですね。仕事の関係上、よく話すんですよ。まあでも、守月とはそんなに接点ないか?」

ス「そうですね、正義実現委員会とはよく一緒になられるそうですが」

ア「そっちにまで仕事を回さねぇんだよなティーパーティーが」

「"仕事っていうのは?"」

ア「あ~...各自治区まで回ってって、ボランティアみたいに手伝いしてるんですよ」

チ「おかげさまで、私達風紀委員会もかなり助かっているんです」

ハ「正義実現委員会でも、よく訓練で後輩たちの指導をしてくださっているんです」

「"そんなことまで..."」

ア「気になったことを改善させてるだけですけどね」

ユ「なるほど、その対価としt「早瀬ストップ」ムグッ!?」

ア「敵さん見えてきたから、話はここまでで」(あっぶね~!!まだ先生に怪獣の話とかしたくないんだよな~)



『トライガーショット』

言わずと知れた『ウルトラマンメビウス』に登場した『CREW GUYS』の標準装備。
幼少期のアスムが広い、以降愛銃として使用している。何故これがあるのか?
...さあ?

『スラッガー』

こちらも言わずと知れた銀色の切断ブーメラン。エンジニア部製。対応するリモコンで自由自在に操作できる。普段は刃の部分にカバーがついており、一定速度に達することで刃が展開する。なお、それなりに重量があるので鈍器としても使える。刃が展開していない状態でも十分武器になる。
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