悲しみなんて、ないセカイ   作:ヅダ推しのミドリムシ

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君は光になる

 

 

──────◆◆◆

 

戦闘中、突如として開かれた出入口の扉。俺も狐坂もそちらの方へと視線を向ける。

 

ヘイローのない、男性。間違いない、先生だ。ということは、建物の前にいた戦車はどうにか出来たのだろう。すげえなぁと思うわ、普通に。

 

「"アスム、大丈夫!?"」

 

先生の声が広いエントランスに響く。どうやら、これでこの遊びもおしまいらしい。いやぁ、よかったよかった。狐坂には申し訳ないが今はとんでもなく面倒なんだ。また別の機会にしてくれ。

 

 

 

 

 

 

と、そこまで考えて疑問を覚える。先生以外の生徒たちが誰一人として入ってこない。どういうことだ?先生がここにいることからおそらく外の不良共には片が付いているはずだ。なのに誰一人として先生に着いてきていない?いや待て、まさかコイツ...一人で先に来やがったのか!?

 

こちらの方に向かってくる先生。おい、待て馬鹿。状況見えてねえのか。

 

狐坂の方を見やる。先生の方をまっすぐに見つめている。まずい、本当にまずい。

 

テンションが上がっていた狐坂。そんなときに邪魔を入れた先生。となればコイツは絶対に先生を狙う。ヘイローがない人間なのは分かっているはずだ。そこまで理性はトンでないはず。けれど万が一、億が一でもその可能性があるとするならば。

 

「馬鹿、来んじゃねえ!!」

 

そう叫ぶ。手遅れかもしれないが、それでも声にした。けれど先生の足は止まる気配がない。

 

いや止まれ、マジで。ホントに。下手すりゃ死ぬんだぞ。

 

そのままにこちらへと辿りつく先生。

 

「"怪我はない!?"」

 

「馬鹿が!!自分の心配しとけアホ!」

 

こちらまで来てしまった以上、もう俺が守りながらコイツとやり合うしかない。庇うように前に出る。しかし、どうしたものか。銃は使いものにならなくなったとはいえ、残った剣でもコイツは十分に戦える。しかも依然として環境的には不利。先生のアシストもどれだけ効果が見込めるか分からない。

 

これでどうやって戦えばいいんだ...

 

「あら、あららら...」

 

と、ここで狐坂から声が出る。しかし、その声は機嫌の悪いものではなさそうだった。...というより、先ほどまでの戦意が消えている。そして彼女の視線は、未だ先生の方へと向いている。

 

どういうことだ?

 

「"えっと、こんにちは?"」

 

先生が急に狐坂に対して挨拶をする。いや、おかしいだろう。いくら戦意がないからとはいえ、こいつ表にいた不良共従えてた実質リーダーですよ?明確に対立の構図出来てますよ?

 

「あ、ああ...」

 

そしてそれに狼狽える狐坂。いや、それもおかしいだろう。今の何処に狼狽える要素があった?この人ただ挨拶しただけよ?何、今覇気でも纏ってんの?覇王色なの?

 

「し、し......」

 

 

 

 

 

「失礼いたしましたー!!!」

 

 

自分の銃を拾い、猛ダッシュで出ていく狐坂。待って。誰か説明を求める。状況がカオスすぎる。というかあんな狐坂の反応初めて見たぞ。え、まじでこの数分の間に何が起こった?情報量が過多で頭が追い付かないんだが。

 

「"...私、なにかしちゃったかな?"」

 

「お前がわからんなら俺にもわからんのよ」

 

寝そべって、考えるのをやめることにした。

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

そこから数分後、表にいた生徒たちがエントランスに入ってきた。早瀬には俺が単独で向かったことについて小言を言われたが、あの状況ではアレが最善だったと言えば唸ってそれ以上は追及してこなかった。

 

というより、横の先生に対しておかんむりのようだった。

 

なんでも、クルセイダーを行動不能に追い込んだあと、急に一人でシャーレ内部まで走っていったらしい。狐坂がいるのも分かっている状態だってのに、やっぱりこの人アホなんだろうか。

 

しかも理由を聞いてみれば「"()()()()()()()()()()"」とのこと。マジでなんの根拠があってそんなこと言えるんだよ。見知らぬ土地の現地住民信頼しすぎだろいつか絶対酷い目に遭うぞ。

 

とまあ、横が早瀬からの説教を受けている中、俺の方は火宮から治療を受けていた。

 

初手の肩への一撃。アドレナリンが切れたからなのか、それとも時間差による攻撃なのかは分からないが、寝そべってから数秒したらめっちゃ激痛が走ったのだ。なので少し診てもらうことにした。そしたらまあびっくり、至近距離で爆発喰らったような跡が体に残ってた。というわけで処置を受けることにしたのだ。

 

結果、完治とはいかずともある程度は回復出来た。というか戦闘をする予定じゃなかったのに大分色々入ってたなぁ。ゲヘナでは普通?そうかなぁ、そうかも。

 

と、隣の説教もこっちの処置も終わったころに七神がやってきた。遅いんだよまったくよぉ。

 

 

 

 

 

 

で、現在俺と先生は七神に連れられてシャーレ内を案内されている。なんで?

 

いや、べつに先生が案内されるのは分かるんだよ。将来的に、というか今日から就任するわけだから、自分の職場になるわけだしね?けどね、俺は別にそうじゃないじゃん。このまま帰るだけなんだよ。わざわざ連れられる意味が分からんのよ。聞いても「追々、まとめて話します」とだけ言われた。ざっけんなこっちはさっさと帰ってサドラの化石の解析がしたいんだよ原作にこれ以上関わってる暇なんかないんだよ。

 

「こちらです」

 

と、七神が案内してきた部屋は『地下室』。なんでも、ここに件のブツがあるそうな。

 

「ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています」

 

そう言われ、通された部屋は暗い。しかし、いくつかの機械は動いているようで、壁に備えつけられた液晶に何らかの文字列が並んでいる。そして、円形の台座の上に浮く。石板のようなもの。なんだここ。興味ぶか~!!

 

「...幸い、傷ひとつなく無事ですね」

 

七神が、例のブツとやらを先生に差し出す。

 

「...受け取ってください」

 

その手に持っていたのは──────

 

「"タブレット端末?"」

 

「はい。これが連邦生徒会長が先生に残したもの。『シッテムの箱』です」

 

シッテムの箱、と呼ばれるそれはただのタブレット端末のように見える。

 

「普通のタブレット端末に見えますが、実は正体の分からないものです。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明」

 

「いや怪しすぎるだろ」

 

なにもかも解析出来ていないようなものを普通に渡そうとするなよ。どうなってんだよそこら辺のリテラシーは。

 

「連邦生徒会長は、『この"シッテムの箱"は先生のもので、先生ならこれでタワーの制御権を回復させられるはず』だと言っていました」

 

「私たちでは起動すらできなかったものですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか。それとも...」

 

「...では、私に出来るのはここまでです。ここから先は、全て先生にかかっています」

 

「邪魔にならないよう、私達は一度離れています。いきますよ」

 

「はっ?ちょ、おい!」

 

こちらの裾を掴んで部屋を出ていく七神。引っ張んなよぼけぇ!!

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

地下室から連れ出され、扉前の廊下で七神の足が止まり、手が離される。

 

「ったく、急に引っ張んなよな...」

 

「失礼しました。ですが、いい機会なので、貴方の質問に答えておこうかと」

 

「いいのかよ、先生に全部やらせて」

 

「先程も言ったように、これ以上は私達に出来ることはありませんので」

 

「今日会ったばかりの大人にキヴォトスの命運を任せていいのかって言ってんだよ」

 

「...彼女が指名した大人である以上、信頼する理由としては十分かと」

 

「ハッ!相変わらずのようで。ホント、そういうとこが嫌いだよ」

 

結局、コイツも責任を負わせる側というわけだ。全くもって反吐が出る。

 

「...本題に入りましょう。貴方にここまで来てもらった理由は二つあります。まず、あの部屋にあったものについてです」

 

「"シッテムの箱"だろ?解析が進んでないような代物を渡すのもどうかと思ったぞマジで」

 

きっと、原作たるブルーアーカイブの流れなんだろうなということで流しはしたが、流石に不味いだろう、あれは。

 

「それもありますが、地下室に浮いていたあの物体についてもです」

 

ああ、あの興味深い物体か。

 

「あれは『クラフトチェンバー』という装置...いえ、施設と言った方がいいのでしょうか。とにかく、あらゆる物質を生成できるものです」

 

「はあ?」

 

あらゆる物質を生成できる?何を馬鹿なことを。と言ってやろうとしたが、七神の顔は真剣そのものだった。ということは、マジなんだろう。

 

「...なるほど、それも所謂オーパーツってわけか」

 

「はい。製造過程や仕組みについては分かりませんが、おそらくは」

 

「...で、それがどうしたわけ?」

 

「貴方が研究しているキヴォトスの()()()()()。その歴史の中で『シッテムの箱』、『クラフトチェンバー』という名前、もしくはそれに似た機能を持った物品の記録はありませんか?」

 

...ああ、そういうことか。

 

「...訂正させてもらうが、俺が研究しているのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。その最中に見つけたものは全て副産物に過ぎない。だから詳しくは覚えてねえよ。ってか、シッテムの箱の方に関しては情報がなさすぎるしな」

 

「...そうですか」

 

目を瞑り、そう告げる。大したことは聞けないことを理解した七神もまた、目を瞑る。実際、そんなモンがあったなんて文献はまだ手に入れていない。まあ、出来る出来ないの話をするのであれば、()()()()()()のだろうが。なにせ、2006年時点であれだけの科学力を有していたのだ。そこから数千年も経っているならそんな装置を作れていてもおかしくはないのだろう。

 

「...一応、当てがないわけじゃない。ミレニアム(ウチ)の古代史研究会なら、なんか目ぼしい文献(モン)持ってるかもしれねえし。必要なら、連絡くらいは通すけど?」

 

「...いえ、結構です。それに、聞くとすれば貴方伝手になるでしょうから」

 

「は?なんで?」

 

再び、七神の顔が真剣なものになる。

 

「正直、私も()()を受け入れるかは悩みました。しかし、貴方以上の適任がいないのも事実。これが、貴方を呼んだもう一つの理由です」

 

そして、真っすぐな目でこちらを見据え、こう言った。

 

「ミレニアムサイエンススクール 3年生 遥先 アスムさん。貴方には、シャーレに入部し、そして部長になってほしいのです」

 

 

 

 

...

 

 

...

 

 

...

 

 

は?

 

 

誰が?

 

 

俺が?

 

 

 

 

 

「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!????」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

 

 

 

 

我々は望む、七つの嘆きを。

 

 

我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

 

脳裏に浮かんだ文章を、そのままに入力する。何故だろうか。この端末を、その先の光景を、私は知らない(知っている)

 

 

 

 

シッテムの箱へようこそ、先生。

 

 

生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステム、「A.R.O.N.A」に変換します。

 

意識が沈む。しかし、それに対して困惑はない。むしろ、その感覚に誘われるように流れに身を任せる。

 

不思議だ。初めて知った場所。初めて見た物。この世界は、この世界の生徒たちは、私にとって初めてのはずなのに。だというのに、とても懐かしく感じる。

 

 

まるで、旧知の相手と共にしているような。()()()()()()()()()()()()()()()と再会出来たような。そんな、悲しくも嬉しい気持ちになる。

 

目の前の少女もまた、私をそういう気にさせる。

 

青く、蒼い教室。

 

床一面に溜まった水に、半壊した校舎から見える青天。そして──────机に伏して眠っている、青い髪の少女。

 

「むにゃぁ...カステラにはぁ...いちごミルクより...バナナミルクのほうが...」

 

微笑ましくなるような寝言を呟く少女。その姿に懐かしくも、悲しい気持ち。そして、後悔を覚える。

 

どうして、そんな感情を覚えたのだろう。考えはまとまらない。けれども、進むしかない。そう、私自身の本能がささやいていた。

 

気持ちよさそうに眠っている少女の肩を揺らしてみる。

 

「むにゃ……んも、ん……ふあ」

 

予想外にも、少女はすぐさま目を覚ます。そして、自らの眠りを妨げた原因。つまり、私の方を見る。

 

「ありゃ、ありゃりゃ...?」

 

少女の意識が段々とはっきりしてきたのだろう。彼女は私の方を見ながら疑問を浮かべる。

 

やがて、思考がまとまり、そして私が何者なのか、彼女の中で答えが出てきたのだろう。

 

「先生!?この空間に入って来たという事は、ま、まさか先生ですか!?」

 

「"うん、そうだよ"」

 

私の解を聞くと、少女は慌てふためく。「う、うわあああ!もうこんな時間!?」...うん、なんというか、元気いっぱいな子だなぁ。

 

少ししてから、深呼吸をしだした。

 

「えっと、その!あっ、そうだ!まずは自己紹介から!私はアロナ!このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」

 

そう名乗る目の前の少女、アロナはこちらにお辞儀をする。

 

「やっと会うことができました!私はここ先生を、ずっと、ず~っと待っていました!!」

 

『......今更図々しいですが、お願いします。先生』

 

ずっと。その言葉を聞いた時、脳裏に何かが浮かんだ。何か、大切な、大事ななはずの思い出が...

 

「"寝てたわけではなくて?"」

 

揶揄うように、そう返す。...なんだったのだろうか?今の感覚は。

 

「あ、あうう...もちろん、偶に居眠りしたりしたこともあるけど...」

 

「"ふふっ、ごめんごめん。よろしくね、アロナ」

 

「はいっ!よろしくお願いします!」

 

元気いっぱいにそう返すアロナ。メインOSと言っていたが、こうして話している感覚は、普通の人間と何ら変わらない。本当に見た目相応の少女のように感じる。

 

「ではまず、生態認証を行います。こちらの方に寄ってもらえますか?」

 

言われた通りに、アロナの方へと近付く。

 

「さあ、私の指に先生の指を当てて下さい」

 

差し出された人差し指に、指を合わせる。なるほど、指紋認証のようなものか。と一人で納得する。

 

「うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?」

 

「"どっちかっていうと、宇宙人の映画のワンシーンの方が出てくるかな?」

 

女の子の容姿とはいえ、人外の相手と人差し指を合わせる。...うん、大分E.●だなぁ。しかも合わせた時にちょっと光った気がするし。

 

「実は、これで生体情報の指紋を確認するんです!」

 

わ~お。ドンピシャだったようだ。

 

「画面に残った指紋を目視で確認するのですが...すぐ終わります!こう見えて目はいい方なので!」

 

アロナはそう言うと、私の指紋を確認する。なんというか、すごい和やかな顔をしているんだが。これ、本当に大丈夫なんだろうか。

 

 

 

──────◆◆◆

 

「サンクトゥムタワーの制御権確保を確認しました」

 

シッテムの箱の中から意識が戻ったあと、リンちゃんからそう言われた。

 

あのあと、無事?に生体認証は行われ、アロナに現状の説明をした。そのあとはすぐに権限を取り戻してくれたようだ。真っ暗だった地下室も照明が点き明るい部屋となった。

 

「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたこと、連邦生徒会を代表して感謝します」

 

「"ううん、むしろ大変なのはこれからなんじゃないかな?"」

 

「...そうかもしれませんね」

 

ユウカたちの反応からして、連邦生徒会長の失踪は世間に出回っていない。私とシャーレがこれから活動するのなら、おそらくその説明は必要不可欠になるだろう。ともすれば、会見のようなものを開き、全てを公にしなければならない。この世界ではどうか分からないが、マスコミのようなものがあるなら恰好の餌になるだろう。できる限り助けになりたいがキヴォトスという地の常識に疎い私に出番があるのかは怪しい。

 

「"そういえば、アスムは?"」

 

よく見れば先ほどまで、というかアロナと話しているまでリンちゃんと一緒にいたはずのアスムは此処にいない。既に帰ってしまったのだろうか...?ここまでくるのにも随分不満そうだったし。

 

それを聞いたリンちゃんは、小さく溜息をつく。えっ、なにか変な質問だっただろうか。

 

「いえ、すみません。...そうですね、それについてもお話しますのでついてきていただけますか?」

 

「連邦捜査部『シャーレ』をご紹介します」

 

 

 

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

 

 

 

そこからリンちゃんの案内のもと、シャーレを案内してもらった。

 

内部は『居住区』と『オフィス』の二つに分かれている。オフィスの方には視聴覚室、体育館、図書館、実験室、射撃場、教室、格納庫等の施設がある。

 

射撃場や格納庫には一通りの兵装と弾薬が揃っていた。しかも装甲車に軍用ヘリ、更には戦車まであった。なんというか、"部活"というには随分と物騒だと思ったのは私がまだキヴォトスに馴染んでいないからだろうか。違うと思いたいところだ。

 

 居住区には自習室、トレーニングルーム、休憩室、ゲームセンター、食堂、菜園、更にはコンビニまで完備されていた。

 

あの、すみません。やっぱり"部活"の範疇で収まってないと思うんだけれど、私の気のせいかな?

 

「此処が、シャーレのメインロビーです。長い間空室でしたが、漸く主人を迎えることが出来ました」

 

『空室 近々始業予定』という張り紙が貼られた扉の前にリンちゃんが立つ。そしてこの先の扉が、私の仕事場となる場所なんだろう。一体どんな部屋なんだろうか。年甲斐もなくワクワクしている。

 

「この先が、シャーレの部室です。そしてここに、最初の部員、もとい()()()()()()()()()()()

 

ああ、成程。そういうことか。納得し、扉を開ける。

 

スチールの棚に、ぽつんと置かれたPCとモニタ、横合いに付ける形で配置された日直用のデスク。ホワイトボードにはまだ何も書かれておらず、月予定表のマグネットのみがあった。

 

「ああ、もう来たんすか」

 

白いジャージに白いブレザー。その目は最初に会った時のように、とても綺麗な笑顔をしているが、その目だけが濁って見える。

 

「さて、改めて自己紹介をば」

 

しかし、なんだろうか。最初に会ったときより少し、ほんの少しだけ楽しそうに見える。

 

 

 

 

 

「俺は、新入部員第一号。ミレニアムサイエンススクール所属」

 

 

 

 

 

「遥先 アスムです。よろしくお願いします」

 

 

 

そう言い終えると、目の前の少年の目は、最初と同じように完全に面倒くさそうなものに変わった。

 

ああ、それがやりたかっただけなんだね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正史から外れ、捻じれ混ざりあった世界戦。

 

 

 

そこは、何が起こっても不思議ではない世界......あっ、もうこれはやった?

 

 

 

コホン。これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです。

 

 

 

 

ブルーアーカイブ

 

悲しみなんかないセカイ

 

新しい光

 

~完~

 




『連邦生徒会長失踪!?新たに設立された組織、シャーレとは!』

先日行われた、連邦生徒会の緊急会見により連邦生徒会長が失踪したことが明らかとなった。ここ数日の間、各自治区で不良生徒たちによる犯罪行為が多発していたのは失踪による連邦生徒会の行政権喪失が原因とのこと。

その事実を今日まで隠蔽し、対処に遅れたことを首席行政官、七神 リン氏が正式に謝罪。今後の動きとして、失踪したとされる連邦生徒会長の捜索と今まで通りの行政を約束した。

しかし、その言葉にも疑念が残る。

現連邦生徒会長の活躍は凄まじいものだった。彼女が一人欠けた一週間の間、その犯罪率は2000%まで増加したのは諸君らの耳にも新しいだろう。

いくら行政権を取り戻したとはいえ、今まで通りとはいかないだろう。

そして、新たに設立された連邦捜査部『シャーレ』。一種の超法的機関であるらしいその部活動がキヴォトスに与える影響は、果たして良いものとなるのだろうか。

顧問である"先生"なる人物も、キヴォトスの外からきた実態の掴みにくい大人だ。不安の種としては十分だろう。

そして、そのシャーレの部長にはミレニアムサイエンススクール所属、遥先 アスム氏が
就任するとのこと。

怪獣生物学の研究をしていた彼が、いきなりの入部とはどういうことなのか。謎は深まるばかりである。

いずれにせよ、シャーレの動向はこれからのキヴォトスに影響を与えるのは間違いないだろう。

今後はゴシップ記事をサブに、彼らの記事をメインで書いてみるのもいいかもしれない。





~クロノススクール三年 蛭川 ショウコのメモ~






はい、プロローグ終了です。

アスム側のお話はまた次回にということで。

ここから数話挟んでからアビドス編に入る予定です。
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