プロローグ後日談の前編です。
今回はプロローグ中の話がメインとなります。
掌に落ちた流れ星は
──────◆◆◆
地球と、地球に住む生き物は、自然の調和の中でバランスを保ちながら生き続けている。
けれどもそのバランスが、何かの弾みで崩れた時、太古の眠りから怪獣たちが目を覚ました。
そして時には、宇宙の彼方から地球を狙う者も現れた。
地球人は、これまで経験したことの無い大異変に知恵と勇気で勇敢に立ち向かい事件を解決していった。
しかし、事件が地球人の手に負えなくなることもある。
そんなとき、僕らを助けてくれるヒーローがいた。
それが──────
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自分が子供の頃に観た『赤の章』の冒頭をなぞってみたが、自分で言っててとても懐かしい気分になった。それほど年を取ったということか、それとも『ウルトラマン』というコンテンツに触れていない影響か。
まあ今となってはコンテンツに触れるとかのレベルを超えてしまっているのだが。
さて諸君らとの付き合いはそこまで長くないがなんとなく察している者もいると思うのでぶっちゃけて言わせてもらう。俺こと■■ ■。この星の知性体に合わせるなら遥先 アスムは転生前から大のウルトラオタクなのだ。
物心ついたときからVHSで様々なウルトラマンに触れ、劇場で『大決戦!超ウルトラ8兄弟』に心躍らせ、『大怪獣バトル』や『ウルトラマンゼロ』、『ウルトラマン列伝』と共に青春を共にし、前世で死ぬまで『ウルトラマン』というコンテンツを愛し続けた。
イベントにも出来る限り参加したし、玩具もほとんど揃えていたと思う。まあ死んだ瞬間に全てがパーになってしまったわけだが。こんなんだったら親戚の子供にいくつか譲ってあげればよかったなぁ...
とまあ前世の後悔は1度置いといて、トラックに轢かれ、こちらの世界に転生した俺の転生先は路地裏に捨てられた赤ん坊だった。
いやあホント、ビックリしたよね。思考や意識は20代後半なのに肉体はまだ唸り声をあげることしか出来ない赤ん坊なんだもの。コミュニケーションもまともに取れない時期は本当に辛かった...
そこからなんやかんやあって施設に拾われた俺は、この世界についての常識について知識を付けまくった。いやほんと、見るもの全てに内心ツッコミを入れていたよ。
当たり前のように銃を携帯している住民。人語を介する犬猫(しかも二足歩行で服着てる)。スーツ着こなしたロボット。極めつけには制服に身を包んだ天使の輪っかみたいなものを付けた少女たち『第四惑星の悪夢って実話だったのかぁ...』なんて思ってた。
まあ、そこからはなんやかんやあったある日、路地裏で不良たちに絡まれている友人を助けに向かった時にこの『トライガーショット』を見つけた。しかも性能はメビウス本編そのままで。
最初は何故、という感情が強かったが、俺という転生者の存在。そしてトライガーショットを見つけた場所が俺が捨てられたあの路地裏だったことから、所謂転生特典のようなものなのだろうという風に結論付けた。当時はがっかりしてたっけな。『これがあるということは、GUYSがこの世界に存在するのか!?』と強く思っていたわけだから。
だから、この世界に『怪獣』の痕跡を見つけた時、本当に奇跡だと思った。
以前、この世界を『『ブルーアーカイブ』を基盤とした世界』という風に言ったことを覚えているだろうか。
この世界には本来存在しないはずのものがある、と。それが『怪獣』の存在。というか、怪獣が存在していたという『過去』。
といっても、怪獣の存在がこの世界になにか大きな影響を与えたということはあまりない。なにせ、世間での怪獣の扱いは『巨大な何かの化石』程度の認識でしかなかったのだから。
いや、本当にびっくりしたものだ。たまたま立ち寄った美術館に『砂漠で発掘された何かの角の化石』なんて題でアントラーの顎が展示されていたのだから。
そこから『巨大な化石』で調べたらまあ出るわ出るわ。ゲヘナの火山付近から『嘴の化石』、D.Uの工事現場から『触腕の化石』、海底から『ドリルのような鼻の化石』。とまあそれぞれお誂えな場所から掘り出されているのが分かるやつには分かると思う。マジで『ウルトラボーン』で遊んでてよかったと思ってる。
そこまで調べ上げた時に、この世界は『怪獣が絶滅した後の世界』なのではないかという仮説に至った。これだけ化石が発掘されているにも関わらず、その存在についての記述は一つもない。むしろこれらの化石は制作された作り物であると言われているものばかり。つまり、『怪獣』というものは空想上の産物として扱われているのだ。
しかし、その存在が生物として活動している姿を、生きている姿を知っている俺が、そのように切って捨てるわけがなかった。
まず行ったのは『ここがどの宇宙なのか』を特定、絞り込みだ。
クロニクルZにてゼロ師匠が言っていた通り、宇宙は無数に存在する。M78スペース、ネオフロンティアスペース、ガイアスペース、コスモスペース等など。平成シリーズから採用されたマルチバースはその世界独自の世界観によって彩られ、とても面白いものだった。
だが、これは視聴者の視点からみたものだ。その世界に生きているものからすれば、根源的破滅招来体も、スペースビーストも、スパークドールズも、エタニティコアだって厄ネタでしかない。
だからこそ、知らなければならないと思った。この世界に潜む脅威があるのなら、それを知り警鐘を鳴らさなければと。
そしてそれは、意外にも早くに見つかった。
ミレニアムに入学してから数日経ったある日、こんな噂を耳にしたのだ『この自治区には生徒立ち入り禁止の廃墟』があると。
『廃墟』と呼ばれているその施設群に目を付けた俺は、立ち入り禁止という文字を華麗にスルーし内部へと侵入、見事調査を開始することに成功した。
廃墟内を探索していると、何やら機械兵のようなものが沢山いたが持ち前の影の薄さを利用し何とかやり過ごした。昔から逃げ足と気配消しは得意なのだ。『バリスレイダーみたいなもんかな~』なんて楽観視していたのも束の間、辿り着いた先にあったのは、スクラップ同然の機械群。
その中に何かめぼしいものはないかと調べていた時、見つけた。見つけてしまったのだ。その残骸を。
──────『フェニックスネスト』の、ヘッドブリッジを。
作品を見たことがある者なら分かるだろう。あの独特の形状を、見間違うはずがない。正直、そこから廃墟を出るまでの間にあったことは、あまり覚えていない。一心不乱に瓦礫となったものの中を探し回り、使えそうなパーツを拾い集めていたくらいだ。だが、収穫が無かったわけではない。
何とこの時に、『メモリーディスプレイ』と『GUYSタフブック』を見つけることが出来たのだ。この収穫は大きい。
タフブックの中身から記録されているから、この星の過去の記録を覗くことが出来た。アーカイブドキュメントの中身は、『SSSP』『UG』『MAT』『TAC』『ZAT』『MAC』『UGM』『アウトオブドキュメント』そして『GUYS』。以下のドキュメントが確認され、この宇宙が『M78スペース』であるということが分かった。
そうであれば、怪獣が絶滅しているという仮説にも納得がいく。なぜならばM78スペースの地球は、『ウルトラマンメビウス』より遥か遠い未来、怪獣が絶滅するのが確定しているからだ。『ギャラクシークライシス』が引き起こされ、『大怪獣バトル』へと繋がるわけだが...まあこの辺りの話はいいだろう。
つまり何が言いたいのかを簡潔にまとめると、この世界はウルトラマンメビウス』本編終了後と『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』までの間に
......うん、この結論だしてから二年経つけど今自分で言ってて改めて思ったわ。情報量多すぎな?ホントに。
かくして、この世界に脅威と呼べる存在はウルトラ的には存在しないことが確定したわけで。俺にできることは無いだろうと自分の研究に打ち込むことにした私こと遥先 アスムは『怪獣生物学』という新たな研究テーマを立ち上げ、各学園を飛び回り前世の知識や発見された文献を基に日夜研究に励んでいるのである。
さて、長ったらしい自分語りを終え、この世界での怪獣の扱いと俺が何やってるか理解してもらえたと思う。でだ。諸君らもここまで話して疑問に残ったことがあると思う。
──────ウルトラマン達、どこいった?とね。
少なくとも、この世界に純正の人間は確認していない。一番近いのは先生のような大人であるが、彼はキヴォトスの"外"からやってきたためカウントできない。
ということは、おそらく人類はこの数千年の間に一度滅んでいる可能性が高い。勿論、今の俺たちがその子孫である可能性もあるが、そう言い切るにはいささか強すぎる。
我らのウルトラマン達が『かけがえのない星』とまで言っている地球を、見捨てるわけがない。むしろ自分たちの命すら投げ売って全力で守ろうとするだろう。なのに、何故この世界は一度滅んだのか、彼らは何処に行ったのか。世界が一度滅んだ、その直近に起こった出来事の一切の記録は見つかっていない。というか『ウルトラマンメビウス』本編終了後以降の記録が残っていないのでその直後になにかがあった可能性が高い。
──────知らなければならない。
この世界の過去に何があったのか。
彼らが何を想い、滅んだのか。
一オタクとして、あの物語を愛する者の一人として、その結末を知り、伝えていかなければならない。
偶然の産物だろう。たまたま転生しただけの俺に、そんな大層な役割が果たし切れるとも思っていない。だが、それでも果たさなければならない。いや、
何故ならこの世界において俺は、『彼らの意志を知る最後の一人』なのだから。
こうして俺、遥先 アスムの物語が始まったのだ。
なんて、最後はかっこいい感じで決めようと痛いやつになっていたけれど。この世界についてと、俺の目的についてはよくわかってもらえたと思う。そんでもって、今この世界で何をしているのかというと...
「それで、これはどういうことなのか、しっかり説明して貰えるかしら?」
「アッ、え、えっとですね...」
...これに関しては関係ないんだけどさ、許さんぞ七神ィ...!!
──────◆◆◆
~時間を少し巻き戻し、シャーレ地下室前~
「ミレニアムサイエンススクール 3年生 遥先 アスムさん。貴方には、シャーレに入部し、そして部長になってほしいのです」
...
...
...は?
シャーレに入部?
しかも部長?
誰が?
俺が?
「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!????」
「うるさいです。急に大声を出さないでください」
「あっ、悪い。...じゃなくてっ!!急に特大級の爆弾持ってこられたらこういう反応にもなるわボケェ!!」
「急な話なのは承知しています。しかし、こちらも連邦生徒会長の失踪による対応に負われていたというのは理解していただきたい」
「...」
う~んそれを切り出されたら責めづらい。実際問題、ここ数日の連邦生徒会及び行政機関にあたる組織の動きが一気に落ちた。突然の失踪に内部の混乱があったのはそりゃあ想像に難くはない。
とりあえず、こちらの聞きたいことを聞こう。
「...なんで俺なんだ。連邦生徒会から適当なやつを当てればよかっただろう」
「連邦生徒会長のデスクから、このような物が出てきたんです」
そう言い俺に見せてきたのは『推薦書』と書かれた一枚の紙。その内容に目を通す。...まあ、推薦書という文字だけでなんとなく分かっているが。
...うん、まあ予想通りの内容だった。簡潔に言うなら『私こと連邦生徒会長は連邦捜査部シャーレの部長に遥先 アスムを推薦します』といった具合だ。
「...で、先生同様コイツがあったから、俺を部長に添えたいと?」
「はい」
まっすぐ、そう答える七神。相変わらず呆れるくらいにアイツを信頼しきっているようだ。
いや、きっとコイツはそれだけではないんだろう。七神のこういうところを俺は嫌っているが、コイツが考えなしに任せるほど馬鹿じゃないことくらいは知っている。最大限リスクとリターンを考えたうえで最善だと思ったのだろう。コイツはそういうやつだ。
──────そのうえで、俺の答えはこれしかない。
「悪いが、丁重にお断りさせてもらう」
「...」
特に微動だにしない七神。ということは、ある程度想定していたんだろう。まあ、それもそうか。俺のこういうところを、コイツは嫌っているだろうから。
「理由を、お聞きしても?」
「俺にメリットがない。ただでさえ
実際問題、これがデカい。まだまだこの世界に眠っている怪獣の化石は多いはずだ。まだまだ真実には程遠い。このままでは人生の全てを使ったとしても辿り着けないだろう。最近は生活習慣に煩いメイドもいるのだ。更に状況を悪化させるようなことは出来ない。
そもそもの話、シャーレという組織が各学園にどのような影響をもたらすのか、まだ分からない。喜んで受け入れられるのか、それとも恐怖と警戒の対象にされるのか。前者になるならいいだろう。しかし後者なら所属することでデメリットしか生まれない。
「そういうわけだ。部長には
要件が分かった以上、俺にここですることはもう無い。さっさと帰って研究を続けよう。今日起こったことに関しては...まあ、早瀬がリオに報告するだろう。なら俺の出番はもうないはずだ。
「...確かに、それも検討しました。しかし、貴方以上の適任者はいません」
背を向け、帰ろうとする俺に七神はそう告げる。
「シャーレの部長は誰にでも務まるものではありません。他校の生徒と交流があり、信頼と実績を積んでいる方が必要です」
「なら俺は候補から外れるな。実績があるわけじゃない、他校との交流もあくまでギブアンドテイクで成り立ってる。お前の言う"信頼"とは程遠いだろうよ」
これは紛れもない事実だ。俺の他校との交流はあくまでビジネス。『自治区内の調査、及び結果を学園に報告し、それによって開発された技術をその学園に提供する』という契約のもとで成り立っているのだ。俺と契約していることで立場が危うくなれば、簡単に切り捨てられるだろう。そんなうっすい関係を信頼と呼んでいいはずがない。
「"空想の産物"でしかなかった『怪獣』という存在を、現実のものだと証明したのは実績と言うべきでは?」
「そんなモンは俺からしたら実績なんかじゃない。当たり前の事実だ。マイナスがゼロになった程度なんだよ」
実際、俺の研究は大々的に公表されたらしいが、世間での反応はイマイチ。恐竜の仲間が増えた程度の認識しかされなかった。
まあ、色んな企業から投資の話が来はしたが。
「...貴方の所属の有無が、いずれ訪れるキヴォトスの危機に関係するとしても?」
その言葉に、思わず振り向く。その表情は多分、目の前にいるコイツに呆れ果てたものだろう。
『キヴォトスの平和の為に、力を貸してくれませんか?』
かつて、そう言ってきた馬鹿を思い出す。七神の表情は、アイツのように微笑んだものではない。むしろ、俺のこの対応にキレているように見える。
しかし、その瞳はあの時の馬鹿のように真剣そのものだった。
──────まったくもって、反吐が出る。
「そうだとしても、それは俺が背負う必要はないだろ」
どいつもこいつも、俺に何を期待しているのか。俺はただの一般人だ。特別なことなんてなにもない。
「
「
...言いたいことは言った。聞きたいことは聞けた。あとはどうにでもなる。
「...相変わらずですね。その物言いは」
呆れたように言い放つ七神。その反応は俺のだろうよ。
「そう簡単に変わるかよ。ってか、こう答えるの分かってただろ」
「ええ。まあ」
「まさかここまで予想通りの回答が来るとは思っていませんでしたが」と、嘲笑うような顔を向けてくる。クッソ腹立つなテメェ。
「で?ここからどうやって俺を口説き落とすつもりなんだよ、首席行政官サマ?」
「こちらを」
そう言って取り出されたのは、封筒。
「なんだよ紙類持ち歩きすぎだろお前ェ...」
「『これを見せれば、必ず彼は首を縦に振る』と、連邦生徒会長から預かったものです」
アイツ、肝心なことは何も言わずに消えた癖して残しものは変に多いのな。
封筒の中には、シャーレの入部届。そして、一枚の手紙。
これを確認したあと、入部届を書けということなのだろう。
...
...
...ハッ。
...
...
...は?
...待て。待ってくれ。どういうことだ。その怪獣の細胞は回収されていないはずだ。何故お前がそれを持ってる。
...いや、有り得るのか?『ギャラクシークライシス』が起こったなら。なら、コイツが滅んだ原因?
だから、それを使ったのか?どうなるかわかっていながら?
バカか。馬鹿なのか。そんなこと、自殺と何も変わらないだろうが。
当たり前だ。もし残っているなら、失踪どころの話じゃない。一気に滅亡までまっしぐらだろうが。
...じゃあ、つまり。
ああ...やっぱりそうなのか。
...
...ふざけるな。
ふざけるな。
「ふざけんなッ!!」
怒りが込み上げてくる。なんだ、これは。結局コイツも、自分がしたことの尻ぬぐいを人に頼んでるだけじゃないか。こんなもの、脅迫でしかない。
俺に選択権などない。こうなった以上、否応なく関わることになるだろう。本当に、厄介なことをしたもんだ。ふざけやがって。
「ああ、やってやる!!やってやるよクソがッ!!やりゃあいいんだろ!!」
怒りのままに、目の前の女にそう言い放つ。分かっている。これは八つ当たりだ。こんなものを彼女が読んでいるはずがない。読ませないだろう、アイツの性格的に。
だが、それでも誰かにぶつけなければいけなかった。そうでなければ、この感情は行き場をなくしてしまうから。何処で爆発してもおかしくない不発弾になるかもしれなかったから。
「...そうですか。ありがとうございます」
淡々と、いつも通りの冷めた表情で七神はそう言う。正直、変に気を使われるよりましだった。
本当に、神様というやつがいるのなら、今すぐにぶん殴りたい気分だ。
──────◆◆◆
Q.この世界って何?
A.M78スペースの平行宇宙。『ウルトラマンメビウス』から『大怪獣バトル』までの間で分岐点となるなにかが起こった数千年後、キヴォトスが生まれたというカオス極まった世界。
Q.『ギャラクシークライシス』前で何でフェニックスネストが残ってるの?
A.逆にアレ解体する理由あるか?
Q.何で『ウルトラ的には脅威はない』なんて言いきれるの?
A.怪獣は絶滅してる。侵略者からしたら『暗黒宇宙軍が全戦力投入して返り討ちにされた辺境の星』になんて近付きたくないでしょ普通。
Q.設定矛盾起こってない?
A.アンバランスゾーンってことで許して。修正出来るとこはするから。
ということで、設定解説と入部までの流れでした。
次回はかのビッグシスターとの会話になります。