悲しみなんて、ないセカイ   作:ヅダ推しのミドリムシ

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深夜テンションにて書かれた化け物です。多分サイレント修正します。

なんでお出ししたのかって?俺も分かんない。


暗闇へ突き進んでいく

 

俺とセミナー会長、調月 リオとの交流はミレニアムに入学して間もない頃から始まった。

 

ミレニアムに入学したての頃、まだ俺が何者にもなれていなかった頃にアイツと出会った。というか、アイツが連れてたロボット『アヴァンギャルド君』に目を引いた。人間サイズの人型ロボット、しかも聞けばそれを個人で製作したというではないか。

 

ロボットを連れた少女。当時の俺からすれば、その光景はフィクションでしか見た事のないものだった。あ?機械頭の社会人?あんなんボーグ星人と変わらんわ。人間過ぎんだよ言動が。

 

それで気になって話しかけてみたんだ。そしたらまあ止まらん止まらん。フォルムからこだわり、材質、機能、自身の作品に対しての魅力を余すことなく淡々と喋り始めたのだ。いや、うん、流石にちょっと引きましたよええ。

 

そこからちょくちょく俺がちょっかいを出しに行ったり、逆に俺の研究に対しての意見を言いに来たり。互いに深くは干渉せず、されど関係は良好なものとなっていった。向こうがどう思っているかは知らないが、俺はアイツを良い友人だと思っている。

 

その関係は、アイツがセミナーの会長になっても変わらない。いや、アイツの中では何かが変わったのかもしれないが。

 

──────◆◆◆

 

「──────とまあ、こんな感じか?」

 

「...そう。そんなことが」

 

ことのあらましを伝え、考えこんだリオの姿を見て正座状態を解除する。ホント、いくつになっても足は痺れる。

 

あ~、今度は諸君らにこの状況についての説明をする必要があるか。

 

といっても、そこまで難しい話じゃない。

 

あの後、シャーレから帰ってきた俺は一足先に帰ってきた早瀬の報告と、すぐさま開かれた連邦生徒会の緊急会見によってシャーレの部長になったことがミレニアム内で拡散されていた。

 

説明すんの面倒だなとか思ってたら我がミレニアムサイエンススクールの生徒会(セミナー)会長、調月 リオから呼び出された。

 

いざ生徒会室に入ってみればもの凄い圧を放ったリオが待っていたのですぐさま正座。どうしてこうなったのかを俺視点から、一部秘匿して説明した。

 

秘匿と言っても、精々シャーレ入部の決定打となったあの手紙についてくらい。いやまあ、それ以外はマジでなんもなかったからさ。

 

「...襲撃時の状況はユウカの報告と概ね同じ...それから貴方は連邦生徒会長の推薦で、シャーレの部長になったと?」

 

「メッッッッッッチャ渋ったけどな!!」

 

ホント、今からでも撤回出来るならしたいところだよ。でもなぁ...多分アレは放置出来んしなあ。

 

「...とりあえず、事情は理解したわ。けれど、だからこそ疑問も残っている」

 

目を閉じ、溜息の後に続く言葉はこちらをしっかりと見つめたものだった。

 

「貴方は何故、()()()()()()()()()()()それも、部長なんて役職で」

 

まあ、聞かれるわな。

 

「今まで、貴方を勧誘してきた部活は決して少なくない。けれど全てを断っている」

 

リオが事実を並べる。そのうえで、今回の件は不信な点があると遠まわしに伝えてくる。

 

「だからこそ、今回の貴方の選択には不審な点が多い。説明して貰えるかしら」

 

今まで俺に対してされた勧誘は少なくない。けれど、俺はその全てを断った。理由は簡単。『怪獣生物学に集中したい』から。他の部活に興味がない訳ではない。実際エンジニア部とかかなり興味を引いた。だが、エンジニア部と怪獣生物学、2足のわらじでやるのは俺のキャパシティ的に難しかった。開拓されていない道を通るのは、とても険しい道なのだ。

 

そんな理由で断り続けた俺が、部活に所属する。まあ当然の疑問だろう。俺のことを知っている奴なら出てくる疑問だろうさ。

 

なので、勿論作り話(カバーストーリー)は考えてある。

 

「...まあ、お前なら別にいいか」

 

観念した()()()()()()()をしながら、真剣()()()語り始める。

 

「なあ、リオ。お前は『先生』についてどう思う?」

 

そう問いかける。コイツなら、きっとそう答えるだろうから。

 

「──────率直に言うなら、『危険な存在』ね。彼の存在は、キヴォトスに害を与えるわ」

 

「──────ああ、やっぱそう思うよな」

 

当然の反応。コイツならそう答えるだろうという信頼。いや、結局のところその反応が『妥当』なんだろう。今のシャーレは。誰だって、得体の知れないものには警戒するものだ。

 

「あれだけの権限を持った、"外"からやってきた大人。しかも責任者の連邦生徒会長の失踪と同じタイミングでの就任。警戒しないわけないでしょう」

 

「ごもっとも。その説明を受けた俺たちもきっと疑問はあった。けどな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「...なんですって?」

 

さってと、反応のほどは...うん、上々だな。一瞬怪訝そうな顔をした。さて、ここからは物語特有の要素を誇張表現マシマシで伝えるとしよう。

 

「おかしいよな、これだけ怪しい点がありながら俺らは先生に信頼を置いてた。会ったばっかりの、素性も分からない相手だぜ?なのに戦闘指揮を任せて、シャーレまで護衛した。極めつけは狐坂だ。アイツ、直前まで俺とやりあってたのに先生の顔見た瞬間逃げ出したんだぜ?自分よりも弱い、吹けば飛ぶような相手にだ。普通じゃありえねぇよ」

 

『主人公補正』と『ご都合主義』は、『作品』として見れば必要なこと。けれど『現実』としてみれば、それは不自然に感じる。通りがない、気持ち悪い、理解が追い付かない。

 

「...つまり貴方は、『先生』という人物は精神に干渉出来る何かを持っていると?」

 

「さてね。単に顔が良くて気を許しただけかもしれんし」

 

軽口のように返す言葉に呆れたような、怒ったような絶妙な顔をするリオ。

 

「真面目なのかふざけているのか、ハッキリしてほしいのだけれど?」

 

「しゃあないだろ判断材料がないんだから。どちらにしろ、不用意に気を許さん方がいいだろうぜ。その腸が見えるまでは」

 

「ええ。しばらくは様子見...いえ、待ちなさい。結局私の質問に答えていないわ」

 

ありゃりゃ、話題逸らせなかったかぁ。だなんてこれまたふざけて言ってみる。まるで余裕があるように。主導権を握るように。

 

「貴方のその説明は、相変わらず合理性を欠いているわ」

 

「合理だけを求めてコミュニケーションを疎かにするから人付き合いが出来ないんだぞ」

 

「...別に、必要最低限のコミュニケーションは取っているわ」

 

「じゃあ聞くけど、ここ一週間で仕事関係と飛鳥馬以外で会話したか?」

 

「...今はそんなことをしている場合ではないでしょう」

 

バツの悪そうな顔を浮かべながら軌道修正を行おうとするリオ。ほんとお前そういうとこだぞ。

 

「そうっすか...まあいいや。俺、先生のこと聞いてからずっと思ってたんだけどさ」

 

 

 

キヴォトスの"外"って、どこよ?

 

「皆当たり前のように"外"って言われて納得してるけどさ。そもそもそれって何処で、なんなのさ」

 

「キヴォトスはこの星全土に渡って敷かれた学園都市だ。そりゃあ未開拓の地だってあるだろうがわざわざ"外"だなんて言うかね?」

 

当たり前のように"外"と呼ばれているその場所。キヴォトスの住人にその詳細について知るものはいない。土地面積も、人口も、こちらにやってくる手段も不明。そんな御伽噺のような場所が『ある』と断定されている。そもそもがおかしいだろう。正直、この世界が『ウルトラマン』を前提とした世界でなかったら、疑うことなどしなかっただろう。

 

──────そう、『宇宙人』の存在が証明されたこの世界なら、説明はつく。

 

「...つまり貴方はこう言いたいのね?『先生はこの星の外からやってきた宇宙人』だと」

 

俺の研究内容を良く知り、その概要とドキュメントの一部を把握しているリオは、その結論に辿りつく。狙い通りだな。

 

「さっすがビッグシスター。俺の言いたいこと、全部わかってんじゃ~ん」

 

「けれど、貴方のそれは全て憶測でしょう。根拠となる証拠は──────まさか貴方」

 

そう、これが俺の目的、()()()。しかしそれが真であるかのように、余裕を持って話す。

 

「そ。俺がシャーレに入部した理由は『先生の正体と目的を探るため』。もし先生が()()なら、真実に迫れるかもしれない」

 

可能性。なんとまあ便利な言葉だろうか。確定ではない情報を人に信じ込ませるのに、こんなにも綺麗なものはない。

 

「無謀すぎるわ。せめて誰か一人...」

 

恐らく、この言葉が出るということは少しは信じたということだろう。

 

「変に怪しまれるのは勘弁したい。それに、俺の話術は知ってるだろ?任せろって」

 

余計な茶々を入れられて、変に探られては困る。だからこそ、信頼と実績はこういう時に使うのだ。

 

「...言っても無駄なのね」

 

観念したかのように、諦めたように言うリオ。悪いな、今回ばかりは相談出来ない。これは多分、お前の性格的に相性が悪い。

 

「考えを変えるつもりはないな。()()()()()

 

そう言い放つ。言っても無駄な説得を、長々と続けるのは合理的ではない。というより、俺の性格を知っているのだからこそ、こうなった俺はそう簡単には止まらないと知っている。

 

溜息を付き、こちらに視線を合わせるリオ。

 

「...分かったわ。遥先 アスム。セミナーの会長として貴方に依頼します。なお、その全責任は私が取ります」

 

そう言い放つ。何もせず、ただ傍観しているだけという状況。ならばせめて重荷だけは、ということだろうか。

 

連邦捜査部シャーレを調査し、『シャーレの先生』の正体を探りなさい

 

 

 

──────◆◆◆

 

依頼を受けたあと、セミナーの執務室を出た俺は帰路に付く。

 

...さてと。

 

 

あ~めんどくさかった!!

 

マジでなんだよ。『先生が精神干渉する何かがある』って。『先生が宇宙人』って。なわけないんだよなぁ。

 

うん、まあそういうことで、ご存じの通り真っ赤な嘘で言いくるめてきました。遥先 アスムです。

 

未知の存在、突然の出来事、人はそれに納得の理由を付けられると、そうなのではないかと思いこみやすい。しかも、言っている人間が信頼を置いている相手なら尚更。

 

あ、ちなみに宗教とか詐欺の勧誘が上手い奴はそういうとこに付け込んでくるから気を付けた方がいいぞ。

 

尚、この手法は俺の研究への思いを知っていて且つ『宇宙人』の存在を知っている調月 リオだからこそ通じる技だ。他の奴に言っても『頭のおかしい奴』で終わるから周りへの危害は訪れない。アフターケアまでバッチリだね!

 

...とまあ、ふざけているもののあながち嘘というわけでもない。可能性は低いとは思っているが。

 

『主人公補正』と『ご都合主義』。先生という存在(主役)だからという理由で俺は軽んじているが、もしかしたら本当に『何か別の能力』があるのかもしれない。

 

ことウルトラシリーズにおいて、洗脳能力を持った怪獣や宇宙人というのも珍しくはない。存在が確立されている以上、警戒するに越したことはないだろう。

 

そして、キヴォトスにて度々語られる"外"の存在について。これについても謎ばかりだ。結局これも具体的な場所が分かっている訳ではない。

 

そう、さっきリオにした話は全くの嘘ではない。可能性は低いという前置きが付くも、ありえない話でもないのだ。

 

『8割の真実に2割の嘘を混ぜる』。嘘を信じ込ませるコツはこれだ。

 

「『見えるものだけ信じるな』。...ホント、いい言葉だよな」

 

真実を隠すために、別の目立つものを置き視線を逸らす。これほど有効な手は他にないだろう。

 

──────そして、これは先生にも言えることだ。

 

ソシャゲの主人公。先生はつまりプレイヤーのアバターなわけだ。そして、あの手のゲームは思考や行動に制限があるものの『ある程度プレイヤーの意志を介入出来る』。選択肢とかな。

 

人の性格は千差万別。表向きは善人であっても、裏は性根の腐り切った悪人の可能性だってある。

 

だからこそ、見極める必要がある。これから入部してくる奴らのためにも。信用した大人に、心を折られるなんてことがないように。

 

「見極めさせてもらうぜ?先生。あんたが救世主(ウルトラマン)となるのか、それとも救世主の振りをした悪魔(偽ウルトラマン)なのか」

 

ああ、本当に。

 

 

 

面倒だな(楽しみだ)





Q.その嘘の付き方はリオが先生に悪感情を抱きそうだけど、なんでそんな嘘を?

A.その方が都合がいいから。あと単純に、自分がシャーレに所属することになった腹いせ。
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