悲しみなんて、ないセカイ   作:ヅダ推しのミドリムシ

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はい、お久しぶりでよろしいのでしょうか。ミドリムシです。

少しの間、投稿が滞ってしまいすみませんでした。

ギャラクシーカップに潜っていたらいつの間にか2週間も書けてなかった...

デッキはZネクサスで行ってました。好きなウルトラマン混ぜました。

さて、今回はオリ主の絆ストーリーとなります。結構凝りました。

では、どうぞ。


絆ストーリー①:選ばれたその時

  5G
➤100%

 < 遥先 アスム
≡ 

 

ちゃっす先生

改めまして、シャーレの部長になりました。遥先 アスムです。 

 これからしばらくの間、よろしくお願いします。

 

 

うん。よろしくね、アスム

 

しばし時間をいただきましたが、今日から正式に業務へ参加させていただきます。 

 

それでは、またあとで 

 

絆イベント

アスムの絆ストーリーへ

 

 

 

 

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──────◆◆◆

 

シャーレ・オフィス

 

 

「失礼しゃ~っす。ってうわぁ...」

 

「"やあアスム。こんにちは"」

 

「あっはい。こんにちは」

 

部室の扉が開き、聞こえてくる低い声。その姿を確認し、今日到着する予定の人物であることを確認する。

 

白いブレザーの上から白いジャケットを着込んだ、黒髪の少年。

 

この学園都市キヴォトスで唯一らしい男子生徒であり、ここシャーレの部長である遥先 アスムだ。

 

「再三改めまして、今日から業務に参加させていただきます。遥先 アスムです。よろしくお願いします」

 

「"こちらこそ、よろしくね"」

 

挨拶を交わす。このやり取りも既に三回目だ。お互いにくどいなと思っているものの、一応の礼儀。まあ社交辞令というやつは大事なのだ。

 

「あの、確認したいんですけど...コレ全部俺らが捌くやつですか?」

 

この部屋のデスクに積まれた書類の山を指差しながらそう言う。

 

「"...そうなるね。とりあえず期日が近いものから片付けようか"」

 

「...うっす」

 

返した言葉にげんなりした様子で返すアスム。まあ、無理もない。目の前の山はどう考えても二人でこなす量ではないのだから。

 

かといって、他の部員に頼むのも難しい。シャーレ発足から十日程経過したが、入部してくれたのは襲撃事件の際に力を貸してくれた4人のみ。しかも彼女たちはそもそも他の委員会に所属しておりそれぞれの仕事がある。そんな中更にシャーレの仕事を頼むのも気が引ける。

 

故に、こうして自分たちで処理するしかないのだ。

 

「ちなみになんですけど、先生。昨日の業務はどのくらいの時間で終わりました?」

 

今度は、私の方を見ながらそう尋ねてくる。これからの自分の身に起こることへの不安と、こちらの心配が少々といった様子だ。

 

「"キリのいいところで切ったのは夜の10時くらいだったよ"」

 

「...まあ、ギリギリ現実的なラインか?」

 

どうやら、彼の判定的にはOKが通ったらしい。どうやら彼も労働者(ワーカーホリック)のようだ。

 

「じゃあ、ちゃちゃっと始めますか。期日近いのどれです?」

 

「"え~っと昨日ここまでだったから...うん、この山だね"」

 

「わかりました」

 

そう言って、積まれた書類を取りデスクに腰を掛けて作業に取り掛かるアスム。

 

「"分からないところがあったら、なんでも聞いてね!"」

 

「ういっす。頼りにしてますとも」

 

そうして、いつも通りの業務を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────◆◆◆

 

「だァァァ疲れたぁ...」

 

それから3、4時間程経ち、昼頃。横で作業していたアスムがそんなこと切れるような声を上げながら机に突っ伏した。

 

「"いい感じの時間だし、少し休憩しようか"」

 

「そうですねぇ~...労働基準に乗っ取って1時間の休憩を所望しま~す...」

 

「"花の高校生の台詞じゃない..."」

 

「野郎2人だけとかいう空間に花もクソもないでしょ」

 

「"なんてこと言うのさ"」

 

よっこらせ、となんとも学生らしくない声を上げながら立ち上がるアスム。

 

こちらも先日『エンゼル24』で買っておいた弁当を取り出し、レンジでチンする。アスムの方は、持ってきていたカバンの中からお弁当箱を取り出していた。

 

「"かわいらしいお弁当だね"」

 

「ああ、これですか」

 

開かれた蓋の中から出てきた食材達は、色とりどりで綺麗だ。盛り付けも凝ってあるのがすぐに分かる。

 

なんというか、彼の普段のくたびれた印象からは想像しずらい弁当であった。

 

「別に凝らなくてもいいって言ったんですけどね。『誰に見られても恥ずかしくないものに』って引かないモンでして」

 

一体誰が気にするんだよって話ですが、と言いながらその手作り弁当を箸で摘み口に運ぶアスム。話しぶりからして、どうやら家族に作ってもらったようだ。

 

「"家族の人が作ったんだ"」

 

「いえ自称メイドの後輩が勝手に上がりこんで作ってました」

 

「"自称メイドの...え、何?"」

 

一瞬何を言っているのか理解出来なかった。いや、冷静に一つ一つ読み解いてみてもやっぱり理解出来ないのだが。

 

「まあ別にいいじゃないですか、そんなことは」

 

「"そんなこと...そんなことなのかなぁ?"」

 

「異端寄りではありますけど、キヴォトスじゃギリ許容範囲内です。ここで生活するなら、外食してたら店ごと爆破されるくらいは想定しておかないと」

 

「"そんなに命の危機って軽いかなぁ!?"」

 

「軽いと思いますよ、先生にとっては」

 

食べ進めながら、真剣な表情でそう言ってくる。

 

「実際問題、連邦生徒会長が失踪してから事件数はかなり増えてます。矯正局から脱獄してそのまま逃げ延びた奴もいるようですし、そういった奴は連邦生徒会に逆恨みしてるようなのばっかなんで。外出するときはホントに気を付けてくださいよ?撃ちあいの最中に入ってきて無事に済むことの方が稀なんですから」

 

叱るような、諭すような口調でこちらそう言ってくる。おそらくは、シャーレ奪還時のことを言っているのだろう。あの後にユウカから散々説教を受けたのだ。流石に懲りている。それに、もし私が割って入って銃弾を受けたら。当たり所が悪くそれが致命傷になってしまったら。生徒を人殺しにしてしまう。それは私自身受け入れられないことだ。

けれど、もしも生徒の命が奪われるようななことがあったなら...

「"うん、わかってる"」

 

彼の真剣な目にそう返す。彼が私の方を見ると、すぐに視線を外し食べ進める。

 

...本当にわかってんのかねぇ。ま、この仕事量じゃ当分は外出なんて出来ないと思いますけどね」

 

「"悲しいからやめてね?"」

 

唐突に突きつけられる現実にツッコミのキレも弱くなる。いやホント、さっきまでのシリアスめな雰囲気は一体何処へ行ってしまったのだろうか。

 

「あいつらもまだ忙しそうですし、あと数日は二人で乗り切るしかないですね。いやぁホント、連邦生徒会潰れてくんねぇかな」

 

「"言っちゃダメとは言わないけど、もう少し隠す努力はしようね"」

 

「いいんですよ、こちとら嫌いなこと押し付けられてんですから。そもそもの話、直轄の組織とはいえなんでシャーレ(俺ら)連邦生徒会(テメーら)の仕事までやんなきゃいけねえんだよって話ですよまったく」

 

ってかこっちに振るにしても量がおかしいだろ人数考えろや、とまあ、目の前の少年の口からは随分な頻度で連邦生徒会に対する呪詛が飛び出てくる。そして、分からないでもないと思っている自分も、大分精神の余裕がないのかもしれない。

 

「というか理由も理由すぎて呆れましたわホント。なぁにが『連邦生徒会長捜索にリソースが割かれているため』だ自分の仕事出来るくらいのリソースは残しとけよボケが。せめて一人くらいこっちに人員送れカツカツなんだよ」

 

「"今日初めて業務したとは思えない呪詛..."」

 

「素人でも回せないことくらい分かりますわこんなん」

 

なんというか、まだ1日の半分程度しか経っていないというのにここまでの文句が出るのはもはや才能なのではないかとすら思ってしまう。というより、シャーレ奪還時に集まった時からアスムはリンちゃんへの当たりが他の生徒より強かったような気がする。

 

過去に何かあったのか、というよりあったのは連邦生徒会との間だろうか?どちらにしろ、これから大きく関わってくる二人の関係がよろしくないのは、間に入るであろう私にも負担が掛かりそうでこれからが不安である。

 

ふと、ここまで考えて思った。

 

「"そういえば、アスムってどうして部長になったの?"」

 

就任初日の怒涛の情報量と、あれから会う機会がなかったこと、更にココ最近の激務で聞くのを忘れていたが、何故アスムは入部してくれたのだろう。

 

あの日、アスムがリンちゃんに呼ばれた理由については、彼女から聞いた。『先生と同じく、連邦生徒会長からシャーレの部長に推薦された』と。

 

しかし、シャーレ奪還の時ですら出会って間もない私が『ああ、彼面倒くさがってるな』と分かる程に態度に出していたのだ。その後に部長になれという話を持ってこられれば、もっと面倒くさがるだろうしこの様子を見ていれば拒否をするのも想像に難くない。彼が連邦生徒会という組織自体を嫌っているとするなら尚更だ。

 

うーん、と目の前の少年は首を傾げ考え込む。これは、どういうことだろう?何か聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか?

 

「そうですね。言葉を選んで、簡潔に説明しますと」

 

言葉を選ぶ。つまりはあまり宜しくないことが行われたということだろうか。

 

「七神と連邦生徒会長に脅されまして」

 

「"すっごい選択肢全部切り捨ててる"」

 

「失礼な大分選びましたよ事実が酷すぎるだけで」

 

「"これ以上に酷い言い方ができたの...?"」

 

リンちゃんと連邦生徒会長に脅された。ということは、連邦生徒会長から伝言でも預かっていたのだろうか?

 

「まあ十割ホントの冗談はさておいて。こっちとしても利害の一致だったので入部したってのもありますがね」

 

「"十割ホントなんだ...私の方から、なんとか言っておこうか?"」

 

「ああ、別にお構いなく。こっちも研究に関わることではあったし、多分いつかは通る道だったので。わざわざ早めてくれたことには文句しか出ませんが」

 

あっけらかんとした感じでそう言うアスム。...無理をしている様子でもないし、特段嘘のようには感じられなかった。問題ない、と見ていいだろう。

 

「というか、俺としては先生の方が気になりますがねぇ?」

 

「"え、私?"」

 

「そりゃあそうでしょうよ。あの連邦生徒会長が選んだ『キヴォトスの外』から来た大人。しかも当の本人は失踪真っ只中ときた。経歴としても怪しいっすよ普通に」

 

ふむ、確かにそれもそうかもしれない。しかしそうか。客観的な私の評価はそうなるのか。此処(シャーレ)に入部希望者が集まらないわけだ。

 

「"といっても私が話せることって、そんなに無いんだよね"」

 

「と、いいますと?」

 

「"そもそも私、どうやってキヴォトスに来たのかも分からないし、連邦生徒会長っていう子とも会った覚えが無いんだ"」

 

「...は?」

 

私の言葉に素っ頓狂な表情を晒すアスム。君そんな顔も出来るのか、なんて思いながら、あの日について私の視点で話し始める。

 

どうやってキヴォトスに来たのかも分からず、気付いた時には連邦生徒会のロビーにいたこと。

 

そこからリンちゃんに連れられ、あのレセプションルームに移動したこと。

 

そこからアスム含めた5人と共に、シャーレ奪還の為に初めて指揮をしたこと。

 

話を進めるにつれ、聞いていたアスムのこちらを見る目がどんどんとアホを見る目になっていったのは解せないがそのまま続けた。

 

一通り話し終わったあと、黙って聞いていたアスムの口が開く。

 

「──────つまり、貴方は気付いたらキヴォトスにいて、右も左も分からないままに七神に連れられ、状況に翻弄されながら戦場でしたことも無い戦術指揮を行い、手に入れた力の意味も責任の重さも知らないままにシャーレの先生になったと?」

 

「"ちょっと余計な一言が多すぎるかな?"」

 

それは私の話を簡潔にまとめたものだった。といっても、大分脚色が加わって悪意のようなものが見えているが。

 

「よくもまあ、そこまで怪しい状況でやろうと思いましたね......」

 

本気で呆れているアスム。確かに、私の行動は傍から聞いたらおかしいものなんだろう。

 

「"あの時のリンちゃん、凄く困って見えたから"」

 

だが、私は選んだ。目の前の子供に手を差し伸べる選択を。困っている子供を助ける選択を。そのことに何一つ後悔はない。

 

「"それに──────"」

 

度々起こる知らない(知っている)はずの感覚。今はまだそれが何なのか分からない。あれ以降、1度も同じ感覚に陥っていない。

 

けれど漠然と、分かっていることもある。

 

「"君たち(生徒)と向き合っていけば、思い出せるかなって"」

 

自分が何故、どうやって此処に来たのかは分からない。だがしかし、私が『先生』として訪れたのなら。その答えは、生徒たち(彼女たち)との交流の中にあるはずだ。

 

何よりも、手の届く場所にいるのなら、もう二度と──────

 

「──────」

 

「"アスム?"」

 

私の言葉に、目を開いたまま硬直するアスム。どうしたのだろう。なにか、変なことを言っただろうか。

 

「...オメガみてぇなことを言いやがる」

 

「"アスム?おーい"」

 

「...ん、ああすんません。まあ、確かにそういう理由ならシャーレの先生(その立場)は手っ取り早いでしょうね」

 

「"棘があるなぁ..."」

 

「残念ながら、これ以上マイルドを望むなら好感度を上げてくださいな」

 

先は長い、ということか。だが、別に焦ることはないだろう。

 

時間はまだ、まだたっぷりあるのだから。

 

「ところで、先生」

 

お弁当を食べ終わり、片付けながらこちらに話しかけるアスム。何か聞きたいことがあるのだろうか。

 

「レンチン、とっくに終わってますけど食べないんですか?」

 

「"...あっ"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(その後、コンビニ弁当を食べ終えてからアスムと二人でキリのいいところまで業務を行った。ちなみに後日、ハスミから聞いたが『朝方から22時まで掛かっているのは普通ではない」らしい)





「...強烈なショックによる記憶の一部喪失。もしくはトラウマによる防衛本能か」

シャーレからの帰り道。先生について考えを巡らせていた。

「...いや、『記憶の逆行』あるいは『記憶の混濁による対消滅』か。」

■■■...連邦生徒会長からの手紙の内容が真実ならば、何か覚えている可能性を考えたが、どうやら彼は■■■■星人とはまた違うようだ。

...名前、思い出せなくなってるな。他の奴にも確認を取ろう。気付かれないように最大限注意を払うが。

「にしても、あんなお人好しとはねえ」

思いだすのは、彼が"シャーレの先生”になった理由。

自分が何故此処にいるのか、何故選ばれたのか、右も左も分からない地で与えられた立場。

彼はきっと、そこに疑問を持ちながらも前に進むことを選んだのだろう。

嗚呼、まったく。

「羨ましいな、ほんと」

憧れ(ウルトラマン)に近しいその精神にそう在れない自分は嫉妬するしか出来なかった。
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