呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる 作:ジェネリックたい焼き
それではどうぞ
ある森の中を2人の死神が駆けていた。1人は、短い金髪の髪を逆立てた幼い顔立ちの少年。
もう1人は、眼鏡をかけた背の高い気弱そうな青年だった。
だが見た目に反してその実、この両名は既に50年の時を生きており、見た目とは年齢が違う。
幼馴染であった2人は、同じ時期に『死神統学院』へと入学し、卒業している。
この際始解を会得し、金髪の少年は11番隊へ、眼鏡の青年は8番隊へと入隊した。
そして2人は凄まじい速度で昇進し、金髪の少年は現在第八席に、眼鏡の青年は、第十三席にそれぞれ席官となっている。
「ね、ねぇ、もう引き返そうよ…………」
「ビビってんのかオメー!もし
「………………わ、分かった…………」
気弱は青年は何時も言い返せない。昔からそうだった。
この幼馴染は、1度決めたらどこまでも進んでいき、絶望しても決して挫けること無くここまでやってきている。
――――それが誇らしくもあり同時に妬ましい。
「何でこんなにも才能の差があるのか…………」「僕は陰でコッソリ練習しているのに、何故一向に差が埋まらないのか」時折、そんな負の感情が心の奥底で燻る。
そんな自身の醜い感情を隠し、今日も行動を共にする。
あれから数十分程森を散策し、2人はある違和感に気付く。
「ねぇ、さっきから――――」
「あぁ、さっきから”
先程とは違い、神妙な顔つきで青年の意見に同意する。
少年が言ったように、この森に侵入してから未だこの両名は虚の存在を確認していない。
これは異常事態であり、尸魂界へ引き返そうと踵を返した瞬間。
「おい、あれ見ろよ!」
金髪の少年が森の先を指さす。その指先が指していたモノ、それを見て青年は驚いた。
「あっ、あれは……?!…………や、屋敷?!………………でも、なんでこんな森の中に…………」
その事に頭を捻らせていると、その屋敷から1人の少女(?)らしき人物が戸を開け外に出て来るのが見えた。
それを見た青年はあの少女(?)にこの森は今危ないから逃げるよう忠告をしようと屋敷の方へ近付いていく。
「まて!!!!!」
今まで聞いた事ないような声を出す幼馴染に驚き、振り返り目を向けると、全身を震えさせ冷や汗をかきながら腰に提げた斬魄刀に手をかける幼馴染の姿があった。
「何を…………」
「――――貴様らが死神とやらか…………ふむ、興味深い……確かに肉体の全てが霊体、及び霊子で構成されているな…………」
音も気配もなく目の前に現れた存在は、顎に手を当て興味深そうに観察する。だが2人にはそんな視線も、そいつが言った言葉も耳には入らなかった。
「(息、息、息、息していいんだよね……………?)」
「(――――何なんだコイツは………………さっきの女の子とは比べ物にならない程――圧倒的――邪悪――――)」
2人は突如現れた正体不明の怪物に全身から冷や汗が吹き出し、足が震え、全細胞が今すぐここから逃亡したいと叫んでいる。
「――――ふむ―――頭が高いな…………」
その呟きが耳に入った瞬間2人は頭を地面に擦り付け、跪く。
――そしてその選択は正解だった。
2人の丁度首の位置に、見えない斬撃が飛んだのだ。両名はそれを認識していない。
ただ、あのままでは死ぬという自身の勘を信じていたお陰で命を散らさずに済んだ。
「それで、貴様らは何の用だ。今の俺は機嫌が良い。少しぐらいなら聞いてやる」
「先日…………ここの周辺で大きな爆発がありました………………私共はその調査に来ていた際に、偶然この場所を通り過ぎました………………」
金髪の少年が震える声で説明する。眼鏡の青年は、顔を青白くし、恐怖で意識が混濁としていた。
「ふむ………………」
腕を組み、何やら考え込んでいる様子の男。その行動に、少年は淡い期待を抱く――――「もしかしたら見逃してくれるかも」という幻想を…………。
「そうか…………なら貴様らに用は無い……」
「それでしたら…………!」
少年が顔を上げ、思わず破顔して喜ぶ少年だったが、次の瞬間地獄に叩き落とされる。
「――――
その言葉と共にノーモーションで放たれる”解”。本能で危機を察知した少年は、未だ意識が朦朧としている青年を抱えて思い切り横に跳んだ。
「ガッ」
着地の事を考えず跳んだ為、受け身が取れず木の幹に叩き付けられる。
「クソっ!おいっ!起きろ!」
衝撃で気絶した青年の肩を揺さぶり、起こそうとするが一向に起きる気配は無い。
「ちくしょう!俺が1人であんなバケモンの相手しろってのかよ!!」
地面を思いっきり殴り、苛立ちをぶつける。
「やるっきゃねぇ…………」
その呟きと共に腰の斬魄刀を抜き、『解号』を唱えた。
「
斬魄刀に一筋の雷が堕ち、次の瞬間その姿が顕となる。
だがそれを見て宿儺は目を見開く。
「(――――何故この世界に”
――――バリリィィィィィ…………!
そしてその一瞬の隙に少年が刀を振るうと、一筋の雷が飛んできた。
「ほう…………!」
宿儺は身を捩る事で難なく躱し、立体的な軌道を取りながら少年に接近する。
そしてそのまま顔目掛けて拳を振るうが、それは少年が滑り込ませた”神武解”に阻まれてしまう。
「ヅッ゙!!(なんて威力だ…………)」
斬魄刀で受けたはずなのに、凄まじいダメージが全身を襲う。
そして勢いのまま吹き飛び、遥か遠くまで吹き飛ばされる。
「どうした!こんなものか!!――死神!!!」
吹き飛んだ少年に追いつき、横っ腹に蹴りを叩き込む。
「ゴハァッ!!」
身体がくの字に曲がり、勢いを落とすこと無く再びあらぬ方向に吹き飛ばされる。
「(体勢を……整えろ…………)」
身体を無理やり捻り、男が居たであろう場所に”神武解”を振るう。
――――だがもう男は自身の背後に移動していた。
「なっ!?」
背骨を思い切り蹴り付けられ2つに折れ、またもや吹き飛ぶ。
「がァァァ!!」
背中に激痛が走り、思わず叫び声を上げてしまう。
視界が点滅する中、時折木々に跳ね返りながら地面へ叩き付けられると、そこは先程自身がいた場所だった。
そしてそこで、自身の幼馴染の目の前に先程の白髪の女が立っていることに気付いた。
「まっ、待て…………」
必死に呼び止めるが反応は無い。今すぐ助けに行きたいのに、背骨が折れて身体が動かない。必死に手を伸ばしていると、背後に男が現れた。
「この者はどう致しましょう…………」
白髪の女が異形の男に問いかける。
「殺せ…………と言いたいところだが、まぁ少し待て」
「はっ」
そう言って気絶している眼鏡の青年に近付く。
「まっ、待ってくれ!俺なら殺しても良い!けどそいつだけは止めてくれ!!俺の大切な幼馴染なんだ!!」
痛む身体にムチを打ち、目に涙を浮かべ必死に懇願する。
「がっ…………!」
「黙れ小僧、宿儺様の行動を遮るな…………!」
追い打ちをかけるように少女が背中に踵を落とし、怒気を滲ませた声色で喋る。
「おい、起きろ小僧…………」
青年に声を掛けても返事は無い。
「チッ」
舌打ちと共に、青年の頬に一筋の赤い線が走り、それに沿って気が吹き出た。
「いった………!……………………あれ……?僕は何を………………」
未だ状況を理解しきれていない青年は、辺りをボーッと見渡す。
「おい!
「ッ!黙れ!!」
また邪魔をした少年を裏梅は凍らせる。
「えっ!?
突如少女に凍らされた幼馴染の姿を見て、”颯”と呼ばれた青年は驚きで声を上げる。だが、傍に居る宿儺には気付かない。
本能で避けているのだろう、視界には入っているはずなのに、脳が理解を拒んでいる。
「――――3秒以内にこちらを認識出来ねば殺す」
いい加減痺れを切らした宿儺がそう言った直後、青年の足元に斬撃が放たれ、地面が綺麗に切断された。
「ヒェッ…………!」
ここまでしてようやく気付いた青年は、改めて その姿を見て怯える。
――――顔の右側が歪に変形し、四つの目と腕を持ち腹の辺りに口が存在あり、全身の至る所に刺青のような紋様が刻まれている。
――――そんな化け物のような姿だった。
「貴様、斬魄刀の『
「えっ、えっ、あの、その……」
顔を青を通り越して白くさせ、刀を握る素振りすら見せない青年に宿儺は良案を思いつく。
「出来なければあそこにいる小僧を殺す」
「………わっ………分かり……ました…………」
氷漬けの幼馴染を見て決断したのか、刀を鞘から抜き『解号』を唱える。
「
自身の身体の周りを強風が覆い、周囲の木の葉や土が舞い上がる。
やがてそこから出てきたのは、
「ククッ!クハハハッ!!クハハハハハハッ!!」
それを見た宿儺は、想定通りとばかりに邪悪に嗤った。
颯が、自身の背丈ほどもある斬魄刀を一振すると、突風が宿儺へ殺到する。
それは砂利などを巻き込み、殺傷能力が高まっていた。
だが当たらなければどうという事は無い。上に高く跳び、それを回避する。だが、青年の狙いは後ろにいる少女(?)だった。
その風は威力を弱める事はなく、真っ直ぐ裏梅の方向へ進んで行く。
その間も、周囲の砂利や枝を巻き込み、際限なく殺傷能力上がる。
「チィッ!」
やむを得ずその場から飛び退いた裏梅だったが思ったより範囲が広く、下半身に細かな傷がつく。
――――しかしそれすらもブラフ。
本命は氷に囚われている幼馴染の救出だった。
そのまま器用に氷だけを削り取り、漸く幼馴染の姿が露になる。
「(酷い…………背骨が完全に折れてる………………それに息をしていない…………僕の回道で治しきれるかな…………)」
傍まで近付き、状態を確認した颯は、負傷した箇所に回道をかける。
既に恐怖していた心は克服しており、今は目の前の幼馴染を救う事だけに集中する。
その間、既に着地していた宿儺は追い打ちをかけず治癒の様子を黙って見つめる。
「クソっ」
下唇を噛み、悔しさを噛み締める裏梅は、いとも容易く人質を奪われてしまった自身の不甲斐なさに腹を立てる。
本当は今すぐにでも2人を氷漬けにして殺してやりたいが、主が手出さず傍観しているので、殺したい気持ち瞬時に抑えて我慢する。
「カハッ!!」
息を吹き返し、平常な呼吸を取り戻した雷太を見て安堵する。
「ここは…………?」
やがて意識を取り戻した瞬間、一瞬にして落ちていた”神武解”を掴み取り、飛び起きて辺りを警戒する。
そして同時に、化け物の姿と幼馴染の姿を確認する。
「颯!無事だったか……!良かった…………!」
「う、うん、僕は無事だよ…………」
心底安堵したかのような表情を見せ、胸を撫で下ろすが、目の前に敵が居たことを思い出し、斬魄刀を宿儺に向けて構える。
「颯!一緒にあのバケモンをぶち殺すぞ!!もしヤバかったら撤退だ!!!」
「う、うん!!」
幼馴染と共に戦える事が嬉しいのか、若干声を上ずらせ答える。
だがこれはある少年の地雷を踏んでしまうことになる。
「………………は?…………貴様ら言う事に欠いて宿儺様を化け物だと………………死んでも赦さんぞ………………」
全身から滲み出る怒気に呼応し、冷気が溢れ出す。やがてそれらは地面を凍らせ大気すらも――――――
「落ち着け裏梅。今の俺は機嫌が良いと言っただろう。それに、――――久しぶりに遊ぶのも悪くは無い」
その言葉にハッとした裏梅は冷気を引っ込める。
「差し出がましい真似をしました…………」
一礼し、一歩後ろに下がる。
「さて、そういう事だ貴様ら…………ここからは俺一人で相手をしてやろう」
そう堂々と宣言し、一歩一歩近付いていく。一歩進む度に地面がヒビ割れ悲鳴を上げる。それ程今の宿儺は気分が高まっている。
「退屈しのぎには丁度いいだろう。精々俺を楽しませて魅せろ――――死神共!」
「「上等だ!!/かっ、かかって来い!!」」
今話では、ちょっと暴力的な宿儺を書いてしまいました。
まぁ、中身が違うとはいえ、宿儺として生きた記憶も少なからずあるので、愛用していた呪具を見つけたからちょっと攻撃的になってしまっただけです。
それとお願いします。”神武解”と”飛天”の解号には触れないで欲しいです………………深夜テンションで書いたので……………………本当にマジでお願いします……………。
追記
誤字報告ありがとうございます。
この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)
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1000文字前後
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2000文字前後
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3000文字前後
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4000文字前後
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5000文字前後
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6000文字前後
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7000文字前後
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8000文字前後
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9000文字前後
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10000文字以上