呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる 作:ジェネリックたい焼き
それと今話はかなりギャンブルしました。不快に感じられたらすみません。
それではどうぞ
*(7月26日)受肉した後の箇所を少しだけ変えました
受肉
青白い蝋燭の光のみが存在するとある一室。
そこには、1人の立派な髭を携えた黒髪の長髪の男と、左目を前髪で隠したポニーテールの女性が居た。
そして男は、女性に1歩1歩近付き距離を縮める。
やがて両者の距離が三十センチ程になった時、男が懐を漁り、そこから人間の指と思われる部位を取り出した。
それは禍々しい気配を放っており、この部屋に濃密な気配が充満した。
――そしてそれを見た女は自ら口を開く。
それを確認した男は、その指をゆっくりと口に近付け――――
――――飲み込ませた。
「ゔっ゙!」
その女は呻き声を上げ、糸が切れたかのように俯く。
男はその様子を黙って見つめる。
そして周囲の気配が変わった。
「久しいな――――ユーハバッハ」
顔を上げたその女は、左目を覆っていた前髪を横に流し両目を露わにする。その雰囲気は、先程までとはまるで違った。
それはまるで見るもの全て飲み込むような邪悪な気配へと変貌している。
それに加えてその女は、その美しい顔と全身に濃紺の刺青の様なものが刻まれている。
「あぁ、待ちくたびれたぞ――――宿儺」
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
その日、
「これは………………」
そう呟いていると、扉の向こうから何やら気配を感じる。
「元柳斎殿……!」
普段無口な一番隊副隊長、
「感じたか、長次郎…………」
「ええ、この気配は――――両面宿儺のものです………………」
深刻そうな表情でその名を口にする。
かつてのあの怪物には嫌な思い出しか無かった。
過去の出来事を思い出し、苦い顔をする。
――――そして突如として目を見開く。
「長次郎、至急――四番隊隊長”卯ノ花烈”に待機命令を出せ!―――至急じゃ……!」
「はっ」
こうまでしないとあの狂人は尸魂界中を探し回るだろう。もしかしたら現世、虚圏まで赴くかもしれない。
――――そこまでかの両面宿儺は卯ノ花を虜にしたのだ。
その事を知っている老人は、声を張り上げて命令を下した。
「さて…………何も起きんと良いのじゃが…………」
その呟きは、誰にも聞かれることなく晴れ空に溶け合った。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
「この気配は…………」
四番隊隊舎の隊首室にて、書類を片付けていた卯ノ花は気が狂いそうな程待ち望んだ気配を刹那のうちに感じ取る。
傍にある斬魄刀を手を取り、隊首室の扉を開け外へ出る。
「――あれ?隊長、斬魄刀なんか持ってどうしたんですか?」
だが背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あら勇音、奇遇ですね」
運悪く副隊長と鉢合わせてしまった為に、どう乗り切ろうか考える。
――――昏倒させる……その考えが一瞬頭をよぎるも、その考えは振りほどく。
「(さて、どうしましょうか…………余り長引かせると総隊長殿が来てしまいそうですし…………)」
宿儺と死合う為に最善の方法を模索する。
「隊長〜〜!一番隊副隊長の雀部長次郎様が至急、お話があると言っておられました!」
走りながら元気よくこちらに向かってくる小さい少女がそう言葉を発する。
「そうですか……ありがとうございます」
「えへへ……ッ」
頬を染めながら大人しく頭を撫でられる少女。だが、笑顔の裏に隠された卯ノ花の感情は、この場にいる2人は微塵も理解できていなかった。
「「………………ッッ」」
――――2人は原因不明の悪寒に襲われたという。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
「どうしたの剣ちゃん?」
桃髪をボブヘアにした愛らしい少女が、目の前で難しい顔をする男に話しかける。
ボサボサの長髪を下ろしたイカつい顔をした大男。
「あァ、ちょっとな…………」
「今日の剣ちゃんへんなのーー」
「あはははっ」とからかう様に笑う少女が男の周りを走り回る。それでも男は何の反応も示さない。
それに少女は激しい違和感を感じる。
「剣ちゃんホントにへんなの…………」
神妙な顔つきで呟く少女…………。
――――異変は着実に始まっていた。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
「こうして、お前の顔を見上げる日が来るとはな…………」
宿儺は男の顔をマジマジと見つめる。
その姿は様変わりしており、若々しさのあった風貌は、シワが増えたもののそれが逆に風格をましている。そして立派な口髭が生えていた。
――――そして何より、『
原作で知っていた筈だが、それでも衝撃は計り知れない。
そして一番大きな変化が――――
「変わったな……お前は………………」
――――そう、前のような甘さは無く、隙の無い冷徹な皇帝としての1面が強く出ていた。
「そうだろうな……私には成すべき理想があるのだ………………その為には、どのようなことでもしよう――――だが、それが嫌と言うのならばここから出しても構わぬ……」
その目は揺らぐことなく宿儺を見つめていた。
「――――やはり変わったな……昔の貴様ならそのような悲観的な事など言うことは無かった――――――そして俺の応えはハナから決まっている――――――そんな事は絶対に有り得ん。俺はお前の友だからな」
そんな事を言われれば、それを裏切ることなど出来ない。
改めて良い友を持ったと認識し直し、その少女の顔を見つめる。
「ならば、これから宜しく頼むぞ――宿儺」
「あぁ」
両者拳を突き出しグータッチする。
それをハッシュヴァルトや、”
それ程までに普段からは考えられない行動。だが幸いこれは誰にも見られずに済んだ。
「それで、これからどうする…………」
ユーハバッハの顔を見上げ問いかける。そこの部分だけ切り取れば、父娘の会話の一部のように聞こえるがそうでは無い――――
「あぁ、取り敢えずは”銀架城”の大聖堂に”聖十字騎士団”全名を集め、状況が整い次第お前の存在を公表する。
それまでは部屋を用意したからそこで寛いでおけ」
――――これからこの両名は世界を変えんとするのだ。
「そうか……ではそこまで案内してもらおうか」
「そのつもりだ」
ユーハバッハが歩き始め、それを宿儺が追う。
今この時間は、ハッシュヴァルトにすら近付くなと言ってある。
――――無論、親衛隊の者共も。
2人は数分歩くとある扉の前に辿り着く。
「この部屋だ――――食事などはお前の従者に運ばせる――――安心しろ、この場所を知るのは私と貴様らだけだ」
「裏梅も既に受肉していたのか…………!」
起きて早々、見当たらなかった従者の名前を聞き、少し気分が上がる。
「あぁ、間もなく来るだろう……」
そう言葉を発した瞬間、廊下の奥からこちらへ凄まじいスピードで向かってくる1つの気配を感じる。
「宿儺様!――――――お待ち申しておりました…………」
すぐさま目の前まで近付き、跪く。全身からは、喜びのオーラが隠し切れておらず、余程嬉しいことが分かる。
「久しいな……積もる話もあるだろうが――――――先ずはユーハバッハ、貴様だ」
その言葉を聞いたユーハバッハ、僅かに肩を震わせる。
裏梅もそんな彼を睨みつける。
「――――残りの指はどうした…………」
そう、目覚めてからの疑問。残りの十九本の指の行方である。
呪物はユーハバッハに預けていた筈なのに、一本分しか無い。
「あぁ、その事か…………それならば私が無様にも奪われてしまった」
「はぁ…………」
悪い予感が当たったとばかりに溜息をつく。裏梅もそれを見て額に青筋を浮かべている。
「私は千年前…………護廷十三隊に挑んだ………………だが結果は敗北し、影の中に創り出した霊子空間”
その話を宿儺は黙って聞いている。反対に裏梅は拳を握りしめ、怒りに耐えている。
「貴様の管理がなっていなかったのではないか…………」
怒りに震えた声でユーハバッハに物申す裏梅。
「あぁ、その通りだ。弁明のしようも無い」
まだそう言うユーハバッハに裏梅の堪忍袋の緒がついに切れる。
「貴様…………!」
「良い裏梅――――指などまた取り戻せば良い――そうだろうユーハバッハ」
従者を諌め、友に問いかける。
その言い方は、微塵も断られると思っていないようだった。
「そうだな……感謝する」
頬笑みを浮かべ、そう言う。
「――――――ハッ!これから面白くなりそうだ」
宿儺はこれからの未来を思い邪悪に嗤う。
1つの世界に異物が混ざったこの世界の命運は、まだ誰にも分からない…………。
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「両面宿儺が目覚めたか…………」
ここは瀞霊廷の遥か上空――――霊王宮。
そこには、ダルマのような巨体を持ち坊主頭にモサモサの顎髭を生やし、何より紅い巨大な数珠を首に巻く奇抜な男がいた。
「全く、厄介なものじゃのう…………このような時期に目覚めるとは……………――――――まぁ良い、わしは霊王様の意思に従うのみ…………」
上空に浮かぶ本殿を眺めながらそう呟く。
両面宿儺、彼も滅却師同様三界の枠組みにハマらぬ者。それどころか、原初の世界でも見た事のない種族に力。
何故そのようなモノが生まれ落ちたのか…………それはユーハバッハに未知数の叡智と称される和尚自身も分からない。
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あれから数日…………宿儺は未だ部屋の外から出れておらず、中で力の様子や身体の動かし方など模索していた。
それもこれも全て奴のせいである…………
『おい、それともう1つ ――――何故俺が女の身体になっているのだ……――――貴様の趣味という訳ではなかろうに』
『――――何だそんな事か…………理由は単純だ――――お前の力に耐えうる器が其奴以外おらぬというだけだ――――受肉は出来たのだからこれ以上の文句は受け付けぬぞ』
『…………そうか…………』
あの時の宿儺は何とも言えない顔をしていただろう。確かに、肉体の性別などどうでもいい。多少筋肉量は落ちるが、それもいつも以上に呪力強化術を強く保てばいい。
だが、やはり勝手というものは違うようで――――
「裏梅――余ったサラシをよこせ」
「はい、畏まりました」
サラシを巻き、無駄に付いてる胸を押さえつける。
――――滅茶苦茶シュールである。呪いの王が女体化し、サラシを巻く。キャラ崩壊待ったなしだ。
「チィッ――――今からでも別の器に乗り移れんものか…………」
忌々しそうに舌打ちを漏らす。だが文句を言っても変わらない。
ユーハバッハが永い間探して見つけた器なのだ、そう簡単に見つかるはずもない。
「……ん?」
部屋をノックする音がする。裏梅は中に居る為、ノックをする者は一人しかいない。
「邪魔するぞ――――調子はどうだ……宿儺」
扉をくぐって現れたのはユーハバッハ。
「まあまあだな…………ただこの肉体はどうにかならんかったのか………………」
抗議するような視線を送りつける。
「ならぬ……貴様の指に耐えうる器が見つからなかった――――数日前にも言ったはずだが」
「チッ――――――それで、何をしに来た。俺の元へ来たということは事態でも動いたか…………?」
彼がここに来たという事は、事態が動いた事を意味する。
宿儺は原作知識から推測するに、虚圏は既に獲得しているだろう。強化した聴力でそのような事を聞いた。
そしてその予想は当たっており――――
「ああ、これより尸魂界へ侵攻する――――それで貴様はどうする」
「どうするとは何だ…………」
――気付いていながらも問いかける。
「フッ、分からぬ訳が無いだろう。貴様も着いてくるか否か」
選択を迫られる。別にこの侵攻に同行しなくとも対して影響は無いだろう。原作でもユーハバッハ一人で山本元柳斎重國に勝利していたし、流れは変わらない。
――だが宿儺は好奇心の方が勝った。
「良いだろう、連れて行け」
――――もし今、指一本の状態で奴と戦ったら死ぬだろう。いくら弱くなったとはいえど総隊長。流石に勝利は出来ない。
だがそこはユーハバッハを信用した。
「良かろう。それと、我らが”
「そうか…………」
「行くぞ……」
振り返り着いてくるよう促す。だが宿儺はそれに着いていかず、ある方向を見る。
「待て、裏梅お前はどうする……?」
先程から無言で控えていた裏梅に問いかける。――――そして彼女の答えは決まっている。
「ご迷惑でなければ、ご一緒させて頂きたく存じます」
頭を下げ宿儺に頼み込む。当然それを断る理由などなく、裏梅もついて行くことが決まった。
ここでユーハバッハは、宿儺にあるお願いをする。
それは、今から会う人物の傍を離れるなというものだった。
当然宿儺はそれに反対した。誰かに護られるなど屈辱以外の何物でも無い為、絶対に認めない。
その強い意思を感じ取ったのか、ユーハバッハは頼みを取り消した。
――――まぁ、その今から会う人物に宿儺から離れるなと命令するのだが……
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「――――そういう訳だ、良いなハッシュヴァルト」
宿儺と離れたユーハバッハは、ある人物。――ユーグラム・ハッシュヴァルトとの元を訪れ、先程の経緯を説明した。
「――畏まりました、陛下」
その言葉を聞いたユーハバッハが踵を返しどこかへ向かうのをハッシュヴァルトはどこか不安そうな様子で眺める。
「(何だ……先程から陛下の様子がおかしい…………)」
ハッシュヴァルトは違和感を感じる。何時もの威圧的な雰囲気は少し和らぎ、全体的に僅かだが柔らかくなった様な感じがしていた。
この変化は、親衛隊でも気付くかどうかは五分だろう。
――――それ程までに僅かな違い。
だが、ハッシュヴァルトはそれを機敏に感じ取った。
「何者なのだ…………陛下が大切にされる者とは………………」
その疑問は誰にも聞かれず、答えられることも無かった。
宿儺は旧親衛隊のニキータ・デスロックに受肉しました。性転換です。
説明させてもらうと、原作のペルニダがニキータに受肉(?)したという考察動画を観た作者が納得し、そこから「器としての適正高いんじゃね」と思い、宿儺を受肉させました。
ということで、今作にペルニダは出て来ません。ペルニダファンの方には申し訳ないです。
決して僕が女の子になった宿儺を見たかった訳ではありません。
追記
誤字報告ありがとうございます
この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)
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1000文字前後
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2000文字前後
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3000文字前後
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4000文字前後
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5000文字前後
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6000文字前後
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7000文字前後
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8000文字前後
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9000文字前後
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10000文字以上