呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる   作:ジェネリックたい焼き

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ばぁちゃん家からそろそろ帰りますが、投稿頻度はこのままです。


それではどうぞ


VS最強・・・②

「この気配は……両面宿儺のモノか…………早くしないと…………黒崎の……皆の為に…………」

 

 阿散井恋次を下し、ユーハバッハがいる居城へと駆け抜ける男。

 その男が呟いた言葉は誰の耳にも入ることは無く静かに溶け合っていった。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

「おや?この気配は更木隊長のものかな?――おたくらのお仲間さん負けちゃうんじゃないの?」

 

 京楽がおちょくる様に目の前で銃を構える男、リジェに話しかける。

 先程まで両面宿儺の負の気配が濃く感じ取れたが、それに勝るとも劣らない更木剣八の気配を感じ取ることが出来た。

 

「少なくとも彼は陛下のご友人、そのような御方が簡単に敗北するなどありえない」

 

「あそう、やっぱりそう言うよね――――じゃあ気を取り直して、こっちもボチボチ始めようか!」

 

 その台詞と共に、辺りに銃声が鳴り響いた。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

 その低い音は更木の耳によく聞こえた。重い何かが回転するような音、そして事実、その音と同時に宿儺の背後にある方陣が回転した。

 あの正体を一瞬だけ考えるが、そんなの関係無いとばかりにその思考を振り払った。

 

 しゃがんで回避した宿儺を叩き潰すように戦斧を振り下ろせば、宿儺はそれを上空に飛ぶ事で回避する。

 

 そしてそれを追うようにして更木も空中へ跳び上がり、宿儺の居る所まで跳躍した更木は戦斧を頭蓋に向けて縦に真っ直ぐに振るう。

 

 そして宿儺はその攻撃を、軽く身を右に傾ける事によって頭だけは回避し、残りは適応を進めるために静血装も用いて致命傷にならぬよう注意しながらあえて食らう。

 

 ――――ガコンッ

 

 左肩から先が持っていかれたものの適応は着実に進む。

 

 そして左肩から血が吹きでながらも、残った右腕で更木の頭を掴み取り、思いっきり膝打ちをかました。

 

「ガッ」

 

 顔面に膝が直撃した更木だったが、損傷は鼻血のみで、その血もすぐに止まり、再生して元通りになる。

 

 そして膝打ちされたにもかかわらず顔には笑みが浮かんでいて、更木はその膝打ちした足を掴み取った。

 

「これでもうテメェは逃げらんねェなァ……」

 

 そして更木は無理やりその足を引っ張り、逃げられないようにして、思い切り戦斧を振り下ろした。

 その避けようのない攻撃を前に宿儺は笑った。

 

「グフッ……」

 

 無理やり上半身を捻ることで胴体が両断されることは回避したが胴体の左脇腹が完全に切断されてしまう。

 最早、今の更木相手に静血装は殆ど意味を成さない。

 

 ――――ガコンッ

 

 胴の半分を切断されたことで血を吐く宿儺を、砲丸投げの要領で遠心力を使い、地面へ向けて力一杯投げ落とす。

 

 そうして投げ落とされたことにより勢いよく地面へ激突し、轟音と共に周囲に高い砂煙が上がる。

 勿論そんな事で死ぬとは思っておらず、宿儺が落下した箇所目掛けて自身も追い打ちをかけようと向かう。

 

 内心テンションが爆上がりの更木は宿儺が近くなってきた事もあり、肉塊にする勢いで戦斧を振り下ろした。

 

「あァ?あのヤロウどこ行きやがった……」

 

 戦斧が振り下ろされた箇所は凄まじい破壊音を伴って粉々に砕け散り、巨大なクレーターを生み出していた。その上破壊された瓦礫が鉛玉のように辺りに高速で撒き散らされ、それだけで凶器と化す。

 

 しかし更木が呟いた通り、その場に宿儺の姿はなかった。

 

 どこに行ったのかと更木が首を回した瞬間、背後から並々ならぬ気配を感じる。

 

「ハッ……!」

 

 その気配に急いで振り向き、その姿を捉える。更木が見たのは楽しそうに邪悪な笑みを浮かべながら拳を振りかざす女の姿だった。

 

 ――――黒閃ッ!!

 

 鳩尾に黒閃がクリティカルで当たる。動血装も併用したその黒閃で、黒い火花が辺りに煌めき、周囲を照らす。

 

「グフッ…………なかなか良い一撃じゃねェか!!」

 

 血を吐きながらその場から一歩も動くことなく受けきった更木。その様子を見て宿儺は笑みを深めた。

 

「黒閃を決めてもこの程度のダメージしか負わせられんとはな――――」

 

 ――――ガコンッ

 

 その傷もすぐに回復した。そして更木が目の前にいる宿儺に今度こそ戦斧を当てようと振り下ろした時、宿儺が閻魔天の手印を結んだ。

 

「――領域展開――――『伏魔御廚子』」

 

 更木の戦斧が宿儺に到達するよりも早く、再び領域が展開された。

 

 ――薬の効力が切れるまで残り三分四十二秒

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

「マユリ様、両面宿儺が再びあの領域を展開しました」

 

「黙れ、そんな事言われなくとも分かっている」

 

 キーボードを高速でタイピングしながら何かを打ち込んでいく。

 それ謎のエネルギーの波長であったり、あの結界術の仕組みであったりだ。

 

 宿儺が使うものは鬼道とは全く異なる箇所に位置する力だ。その為全て手探りでやらればならない状況。

 研究する為の機器も満足に揃ってはいないが、あれに対抗できる術がなければそれだけで一部を除き死神は全滅する。

 

 その為本気で集中して作業に取り組んでいた。

 

 

 

「オイ、あの隊長なんか笑ってやがるぜ……」

 

 マユリの周囲の警戒をしている一角がマユリの顔を見てそう呟く。

 

「仕方ないよ、あの宿儺とかいう奴が使う術は僕らにとって未知の力だ、研究者にとっては宝の山だろうからね」

 

「そういうもんか……」

 

 最後に不気味に笑いながら作業を進めるマユリを一瞥し、再び周囲の警護に戻った。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

「――――『伏魔御廚子』」

 

 再び周囲を牛の頭蓋骨で彩った御堂が宿儺の背後に現れる。そしてそれを中心に半径百メートルの領域が展開された。

 

 宿儺に届かんとしていた戦斧はそれを握っていた腕が深く切れ、力を込められず力無く垂れ下がる。だが先程とは違い、『霊圧再生薬』の効力で宙ぶらりんな腕も即座に再生し、再生した勢いのまま戦斧の刃を天に向け、宿儺の股から頭にかけて両断せんと振り上げる。

 

「クハッ、やはり貴様はそうでなくてはな」

 

 その一撃は宿儺が後ろに飛び退くことで空を切った。

 

 その間を切り刻まれている更木は宿儺が着地するよりも早く彼に突貫した。

 

 そして更木が宿儺に到達するよりも早く、宿儺は大地を踏み締めヒビ割れさせながら走りだす。

 

 更木が戦斧を振りかざし、宿儺は拳を握りしめる。

 

 そして両者の攻撃が激しくぶつかり合う。

 

 お互い全力で戦斧を振るい、拳を振り抜く。

 連続して繰り出されるその攻防は、辺りを破壊し尽くし、空気が激しく振動する程だった。

 

「「クハハッ」」

 

 数多の打ち合いが続くにつれて、宿儺の拳はぶつかり合う度激しく損傷してしまう為、ほんの僅かな時間が治癒に取られる。

 

「楽しいなァ!テメェもそう思うだろ!!」

 

 更木の攻撃の苛烈さが更に増す。段々と宿儺が押されていき、とうとう拳を大きく弾かれ、身体が後ろに大きく仰け反ってしまう。

 勿論そんな大きい隙を更木が見逃すはずが無く…………。

 

「じゃあな中々に楽しめたぜ」

 

 その顔に寂しそうな顔を覗かせながら宿儺の身体を真っ二つにせんとトドメの戦斧を振り下ろした。

 

 ――自身の命を断つ攻撃…………

 

 宿儺はその攻撃を後退する事で辛うじて両断は避けるが、腹の部分が真っ二つに切れてしまう。そこからは血が噴水のように吹き出ており、繋がっているのは背中部分だけだった。

 

 ――そして領域を維持できなくなる程のダメージを受けた事で宿儺の領域が崩壊する。

 

 ――――ガコンッ

 

 方陣は回ったものの宿儺本人は白目を剥き、背が地につきそうになってしまう。

 ――――だがその刹那の時間、宿儺の影が生き物のように蠢く。

 

 ――――八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)

 

 そして突如としてその影から、方陣を携えた白い巨躯の化け物が宿儺を庇うようにして更木との間に現れた。

 

「(なんだァ……コイツは……)」

 

 思わず心の中でそう呟いてしまう更木。急な乱入者に一瞬気を取られながらも、それが宿儺の影から出てきたのを確認していた為、この乱入者ごとトドメを刺そう再び戦斧を振り下ろした。

 

 だが、戦斧を振り下ろしたにも関わらず、宿儺に攻撃を当てるどころか化け物に傷一つ負わす事が出来ずに弾かれた。

 

「おもしれェ!!」

 

 刃を当てる事は出来るのに、触れるだけで切り傷一つ付けられない。金属のように硬い訳でも無いのに表皮から先に進まない。言葉にするならそんな感じだった。

 

 ――だがそんな状況に陥って尚、更木は嗤う。

 

「良いじゃねェか!!――けどよ、俺に斬れねェモンはねェ!!!」

 

 そう叫んだ更木は、もう一度振りかぶって戦斧を魔虚羅にぶつけようとしたが、それはいつの間にか背後に移動していた宿儺の蹴りによって阻まれる。

 

 丁度右脇腹に直撃した回し蹴りは黒閃と成り、相当の威力を持っていた為、更木の身体をくの字に曲げて吹き飛ばした。

 

 飛ばされた更木は一際大きい建物にぶつかり、その影響で建物が倒壊し、相当な数の瓦礫に押し潰されてしまう。

 

 ――しかしそれも束の間、次の瞬間には瓦礫がポップコーンのように弾け、中から一人の男が姿を現す。

 

「あァーー、痛えじゃねェか」

 

 首をゴキッ、ゴキッと鳴らしながら歩くその姿は、とてもダメージを負った様に見えなかった。

 

「それで、そいつがテメェの奥の手ってヤツか」

 

「さぁな、そこまで大層なものでは無いが、そう問われるならば一応はそうだな」

 

 それを聞いた更木は更に笑みを深める。

 

「良いなァ、やっぱり戦いはこうでなくちゃならねェ…………己の命に手がかかる瞬間ってのがやめられねェんだ!!」

 

 その狂った思考を相手にぶつける。宿儺にはそれが理解(わか)らない。中身が違うとはいえ、宿儺と混ざり合っている。

 その為、戦闘という分野に関しては宿儺の面が大きく出る。

 

 宿儺にとって戦いとは、他者とは、死ぬまでの暇潰し、遊びでしかないのだ。

 その遊び相手が面白ければ自身の気分も上がって楽しくなるが、結局はそこ迄でしかない。

 

 故に宿儺には更木の感性が理解(わか)らないし理解(わか)ろうとも思わない――――

 

「(下らん事を考えていたな…………)ここからは二対一だ」

 

 思考を打ち止めて更木相手にそう宣言する。

 

「関係ねェ!!全部まとめて斬りゃいいだけの話だ!!」

 

 勇ましくそう叫ぶ更木だったが、次の瞬間宿儺が視界から消えて魔虚羅が動き始めた。

 

 宿儺はどこへ行ったのか――――

 

「そう言うと思っていたぞ、更木剣八」

 

 ――――突如として宿儺の声が背後から聞こえた。

 そしてその宿儺は両腕を肘まで前に伸ばし、掌を合わせた上で、その内部に霊子を集束させて圧縮する。その影響で指の隙間から青白い光が漏れ出す。

 そして前方からは魔虚羅が拳を振り上げて目の前まで向かってきていた。

 

 更木は前後を挟まれる形になってしまう。

 

 ――――擬似・穿血――

 

 これは穿血の血の部分を霊子で代用する事で完成させた技である。それは原作通りに初速が音を超えて放たれる必殺の一撃、それを前に更木は――――

 

「しゃらくせェ!!」

 

 ――――笑った。

 

 その一言と共に”擬似・穿血”を巻き込みながら地面に戦斧を激しく叩きつけ、凄まじい爆発を生じさせる。辺りには地面の破片が飛び散り、砂煙も舞った為視界が遮られてしまう。

 

 そしてまず更木は宿儺に襲いかかった。視界を遮られての強襲、しかし宿儺はこれを予見していた。更木が宿儺へ向けて振り下ろした刀はいつの間にか間に居た魔虚羅に阻まれる。

 

 ――――だが、魔虚羅に異変が起きた。

 

「…………!?」

 

 その事に宿儺は若干驚愕する。

 

 何が起きたのか…………それは更木が魔虚羅に傷をつけたのだ。

 斬撃に対して非常に高い耐性を得た魔虚羅。それ故に更木は先程、その耐性を破る事が出来ていなかった……しかし今は傷をつけている。

 

 「俺に斬れねえモンはねェ」更木自身がそう豪語するだけあって流石の攻撃力だった。

 

「やはり貴様は興味深い!更木剣八!!」

 

 口角を不気味に吊り上げて嗤いながら魔虚羅と共に更木に殴り掛かる。

 三人は辺りの地形を巧みに使いながら激しい攻防を繰り広げる。

 

 更木は建物の中に入り込み、そこらにある柱をへし折っていき、それを次々に宿儺と魔虚羅へ投げつける。

 そして自身はその柱に紛れて宿儺へ攻撃を仕掛けた。

 

「魔虚羅ッ」

 

 宿儺がそう呼ぶと、魔虚羅が更木の進行方向の前に現れ、妨害する。

 

「ハァ゛ッ!!」

 

 しかしそんな事で止まる更木では無く、魔虚羅ごとぶった斬ろうと戦斧を目一杯振り下ろす。

 

 ――だが無情にもその斬撃は宿儺まで届かない…………しかし、更木の攻撃は確実に魔虚羅の身体を両断していた。

 

 ――――ガコンッ

 

 だが次の瞬間には方陣が傾き、音が鳴った瞬間に傷は最初から無かったかのように消え失せた。

 

 魔虚羅が退魔の剣を更木の脳天目掛けて打ち込む。

 更木はそれを”野晒”を頭上へ持ってきて、刀身で受ける。しかし戦斧を両腕で支えていた為、胴ががら空きとなってしまう。

 勿論それを見逃す宿儺ではなく、魔虚羅の前に出て全力の一撃を叩き込まんとする。

 

 ――――黒s――

 

 宿儺の拳が更木の腹に吸い寄せられるように放たれた。

 

「やらせ訳ねェだろうが」

 

 しかし更木はその攻撃に対して、全身の筋肉を弛緩させ、脱力状態になる事で、背中から地面スレスレまでしゃがみこみ、拳を回避する。

 これにより魔虚羅は、今まで張り合っていた力が無くなったことによりバランスを崩し、前に倒れ込む。

 ――そして前に倒れ込むという事は、宿儺の拳が迫っているという事であり………………。

 

「チッ」

 

 ――魔虚羅が目の前に現れたので舌打ちをしながら拳を止める。

 

 しかしそれでは終わらず、自身のすぐ目の前の足元に居る更木目掛けて踏みつけるような蹴りを放とうとするが、それは更木が魔虚羅の身体を掴み取り、盾とすることでそれを回避した………………。

 

「――相も変わらず良く動く」

 

 宿儺の踏みつけを回避した更木が、間髪入れずに魔虚羅に攻撃を加える光景を見てそう呟いた。

 

 今は更木の攻撃は全て魔虚羅に受けせている。自身は魔虚羅が動きやすいように立ち回ったり、時折自身で攻撃を加えてたりして、着実に更木を追い詰めていく。

 しかし、中々仕留めることが出来ない為、埒が明かないと判断した宿儺は両腕を胸の前へ持ってくる。

 

「――領域展開――――『伏魔御廚子』」

 

 なんの前触れもなく、唐突に宿儺が領域を展開した。

 この領域は魔虚羅を巻き込むものであるが、術式対象を選択する必要は無い。既に魔虚羅は斬撃に適応している。

 

 ――戦いは舞台を変え、領域の中で再度勃発する。

 

 ――薬の効力が切れるまで残り一分五十七秒




「前身→進化→適応→魔虚羅」みたいな感じでビビっと来ました。霊王の左腕の扱いに困っていたので、ちょうど良かったです。

追記
誤字報告いつもありがとうございます

この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)

  • 1000文字前後
  • 2000文字前後
  • 3000文字前後
  • 4000文字前後
  • 5000文字前後
  • 6000文字前後
  • 7000文字前後
  • 8000文字前後
  • 9000文字前後
  • 10000文字以上
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