呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる   作:ジェネリックたい焼き

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お気に入り登録千件ありがとうございます!!あと数話で完結ですので、残りの話をどうぞお楽しみください!!

それではどうぞ


VS死神達・・・⑪

 宿儺が大地に向け放った規格外の一撃で巨大なクレーターが出来ていた。周囲に飛び散った大小様々な瓦礫は、数秒後には粉微塵に切り刻まれている。

 

 宿儺はその窪みの中央で、浦原とマユリのやり取りを鋭い目付きで観察していた。

 

「(今奴が飲んだのは何だ?――身体機能を増幅させるものか、霊力を回復させるものか……何にせよ見ただけでは判断がつかん――それに俺の拳との衝突で内側から領域にヒビが入っている……このままやり合っているようでは領域が崩壊するのは時間の問題だな)」

 

 宿儺の視線と二人の視線が交差する。

 

 唐突に、浦原とマユリが瞬歩を用いて風のように駆け出した。

 

 数秒で宿儺に肉薄し、拳を叩き込む。だがそれは器用に弾かれ逸らされる。

 

 だが手は緩めない。

 

 拳、脚、肘、膝、全身を全て活用し、息付く暇もない連撃を加えていく。

 その二人の連携には隙が無かった。

 

「(凄まじく洗練された体術、連携に関しても一切の無駄が無い――)」

 

 手数は互角――膂力も互角――故に勝負を分けるのは純粋な技量のみ。

 

 この一点においては宿儺に軍配が上がった。

 

「――だがまだ甘いな」

 

 誰であっても見付ける事の出来ないであろうほんの僅かな綻び――その穴を、宿儺は的確に突いた。

 

 マユリの足を払い、重心を崩してバランスを失わせる。

 

「くっ!」

 

 そうして崩れた二人の連携に亀裂が入り始める。その影響で数秒の間、宿儺の打撃を浦原一人で受ける事となってしまう。

 

 四腕により、瞬きの間に繰り出される数十の拳撃が、浦原の全身を襲う。その拳は音と衝撃が遅れてやってきて、周囲に衝撃波を発生させる。

 

「ぐっ……」

 

 その雷の如き連撃で、浦原の身体が数十センチ浮く。

 腕を身体の前で交差させて受けて尚、その肉体には多大なダメージが蓄積される。

 

 遅れて、地面を両の足で踏み締めたマユリが放った閃光の如き貫手。

 

「死にたまえヨ!!」

 

 マユリの貫手は容易く宿儺の皮膚を突き破り、血飛沫が舞う。生暖かい血液がマユリの顔を赤く染める。

 

 その腕を引き抜こうとするも、宿儺が腹の筋肉を限界まで引き絞った為、腕がしっかりと固定される。

 

「残念だったな」

 

 身動きが取れないマユリの首目掛けて、手刀を放つ宿儺。

 ギロチンのようなその攻撃は容易くマユリの首を落とせるであろう一撃。

 

「チッ」

 

 その時マユリの脳裏に過ったのは己の頭と胴が泣き別れになる未来。

 それを回避すべく、彼は逆の腕で固定されている腕の肩からその先を切断した。

 

 自由になったことで後ろに飛び退き、その無慈悲な一撃を回避する。

 マユリの首があった場所では、空気を切り裂く音が鳴っていた。

 

「ん?」

 

 そんな宿儺だが、彼は自身の腹に埋まる残された腕を見て違和感を覚える。

 

「(奴がわざわざ肩から腕を両断した理由は何だ……?俺の肉体を刺さっているのは十数センチ程度………だとするならばコレは……!!)」

 

 答えに思い至った宿儺がマユリの腕を掴み取り、引き抜こうとするが時既に遅し――その腕が滲むような光を放ったかと思えば、その直後に一際煌めいた。

 

「――――――」

 

 辺りに耳を劈くような爆発音が響き渡り、大地を揺るがす。

 その爆弾を仕込んだ張本人は満足気に頷いていた。

 

「ふむ、即興で作った割には中々の威力が出たようだネ――ただもう少し殺傷力があれば合格だったのだが……まぁ、改良の余地ありという事にしておこうかネ」

 

「イヤー、流石っスね涅サン。あの土壇場であれほどの威力が出る爆弾を作るなんて、到底アタシにはマネ出来ないっスよ」

 

「ふん、思ってもいない事を口にするな、反吐が出る――そもそも、あの爆発からどうやって逃れたのかネ?あの距離にいればタダでは済まないと思っていたのだがネ」

 

「えーそれはモチロン秘密っスよ」

 

 そのおちゃらけた態度の浦原に怒りのボルテージが高まるが、今は戦闘中だと我慢し必死に平静さを保つ。

 

「……まぁ良い――ところで貴様、お得意の鬼道はどうした、まさか使えないとでも言うつもりかネ」

 

「あー、実は領域展開で思いの外霊力を消費していたようで………今はロクに鬼道も使えないんスよね」

 

「チッ、役立たずめ……霊力の管理位しっかりしたまえヨ……」

 

「イヤー、面目ないっス」

 

 今も尚、宿儺の領域と己の簡易領域が激しくぶつかり合っている。だというのに先程から続く余裕そうな態度――事実、彼らの擬似簡易領域は欠片程も削れていなかった。

 本来、簡易領域では時間稼ぎ程度にしかならず、本家のものならばとっくに剥がされている頃だった。

 だがこの擬似簡易領域はそうでは無い。その圧倒的強度には理由が幾つかある。

 

 それは――「涅サン、来ますよ」

 

「そのようだネ」

 

 二人は戯れていた雰囲気から一転、その気配が抜き身の刀のようなものに変容する。鋭い目付きで白煙に包まれる地点を見つめる。

 

 やがて白煙が晴れるとそこから姿を現したのは全身が焼け焦げた両面宿儺の姿。

 彼は内側から内臓ごと焼かれた為に、決して無視できない傷を負う。

 

 領域内には焦げた肉の匂いが漂っていた。その刺激臭が二人の元まで届き、鼻腔をくすぐる。

 

 宿儺はその場に立ち尽くしたまま動かない。

 

「(何処がやられた……少なくとも胃周辺の臓器は全滅だな。奴め、あの短時間でここまでの規模の爆弾を生み出すとは)」

 

 宿儺の全身からおびただしい程の白煙が立ち上り、傷の修復が開始される。

 それと同時に浦原とマユリが風のように走り出す。

 

 二人は地面を軽やかに蹴り宿儺に迫る。

 

 ――そして激しい近接戦が開始した。

 

 二人が連続して繰り出す拳を、先程同様四つの腕を今日に駆使して捌いていく。そして己も合間に反撃を加える。

 先程と違い、二人には毛ほどの隙も見当たらない。

 

「(この僅かな時間で些細なずれを修正してきたか……)」

 

 短期間で連携の隙を完全に埋める両者に笑みを浮かべる。

 

 超高速で行われている殴り合いは、最早常人では残像する捉えることは出来ず、音を置き去りにしようとしていた。

 

「「フッ」」

 

 二人が短く鋭い息を吐き、渾身の一撃を放つ。それは宿儺の二つの拳とぶつかり合い、爆音と共にクレーターの中に更に大きな凹みを作る。

 

 ――拳と拳の押し合い

 

 その衝突点からは眩い火花が散っており、それが三者の姿を明るく照らす。

 

 それぞれの照らされた顔に浮かんでいたのは清々しいまでの笑顔だった。

 

「(アタシはこんなタイプじゃないんスけどね……)」

 

「(ククッ!やはり奴は最高の実験動物だヨ!!)」

 

「(これは……押し負けるか……!!)」

 

 宿儺の拳が弾かれ、身体ごと後ろに大きく仰け反る。彼らはその絶好の隙を見逃さない。

 大きく一歩踏み込み、大地を踏み締めありったけの力で拳を振り抜く。

 

「ごはっ!!」

 

 鳩尾に突き刺さった二つの拳――宿儺は吐血し、莫大なダメージを負う。

 

 先程の爆発で領域が崩れなかったのは奇跡のようなものだ。そして今ギリギリで塞き止めていたものがもう間もなく崩壊する。

 

 ――その前に、宿儺は血に濡れた口で叫んでみせた。

 

「そこだったか!!」

 

 倒れかけの体勢で、しなっていた枝が弾け戻るように宿儺は上体を勢い良く起き上がらせた。

 宿儺が状態を起こした時、目を見開く二人の顔が目の前にあった。

 

「カフッ……!」

 

「ごぷっ!」

 

 二人とも口から滝のように血を垂れ流す。彼らの目線がゆっくりと己の下腹部へと移される。

 その視線の先には、己のへそ辺りに突き刺さっている宿儺の腕と、そこから滴り落ちる血液があった。

 

「お前達が使う簡易領域の発生源であるあの漆黒の球体――何処にあるか分からなかったが、ようやく見つけた――」

 

 傷口を抉るように拳を一捻りさせてから、乱雑に腕を抜く。二人の腹から噴水のように血が吹き出した。

 そして宿儺の血に濡れ真っ赤に染まった二つの拳――その片方には血を被っていて分かりづらいが、確かに漆黒の球体が握られていた。

 

「――魄睡、霊力の源になる場所に隠し持っていた訳か……いつ埋め込んだのかは些か疑問だが、確かにこれならあの規格を超えた出力も納得出来る――貴様の方は、鎖結にでも隠しているな?」

 

 そう問いかけた先には浦原喜助が居た。彼は口から、腹から血を流しながら宿儺を睨み付け、鋭い正拳突きを放つ。

 

「――無駄だ」

 

 その決死の一撃は、無慈悲な一言と共に容易く掴み取られた。

 マユリも視線が浦原に向いている宿儺に殴り掛かるが、それも見向きもせずに掴み取られる。

 

「ただの死神にしては良く耐え抜いた――誇れ、お前達は強い。さらばだ、一足先に地獄へ送ってやる」

 

 その言葉と同時に、宿儺が手に持つ漆黒の球体を砕き割り、最後の残る手で浦原の心臓目掛けて貫手を放つ。

 

 その瞬間からマユリの肉体は瞬時に刻まれ、辺りにおびただしい程の血を撒き散らす。

 

 当然それは宿儺も浦原にもかかったが、そんなもので彼の貫手が止まるはずもなく……致命的な突きが浦原の胸に到達しようとしたその瞬間、その腕が時が止まったかのようにピタリと止まり――突如として領域が崩壊した。

 

 ――三人の元に一気に光が差し込みむ。その光が砕け散った領域の結界を眩しく照らし、幻想的な光景を生み出す。

 

 そしてその領域の主は、口から血を吹き出し、苦悶の表情を浮かべながらよろめいていた。

 

「(流石にダメージの蓄積が激しいな……外傷は全て治しきったと思っていたが、直接爆発に巻き込まれた内蔵がある箇所に一撃を貰ったのが失敗だったな……)」

 

 腕で血を拭い、顔を上げて浦原とマユリの姿を確認する。

 顔を上げ視界に納まったのは、浦原の意味深な笑みだった。

 一方でマユリの意識は既に失われており、今にも地に倒れ伏しそうだ。

 

 宿儺は浦原の含みのある笑みを見て警戒を高める。

 

「(なんだあの笑みは……まだ何かあるというのか……?奴らは致命傷を負ったはず、あの傷もそう易々と治せまい――だったらどう来る……?)」

 

 全力で周囲を警戒し、己の視界に映るもの全てが遅く感じるようになる迄に神経を研ぎ澄ませた刹那――己の鼻腔を嗅ぎ覚えのある香りがくすぐった。

 

「(甘い匂い……)――あの死神か!!」

 

 宿儺は瞬時にこの匂いが平子真子による斬魄刀のものだと気付き、周囲の景色、眼前の二人の傷の状態などを注視する。

 

「(内蔵を潰したにも関わらず未だ参戦してくるとは……正直一番出てきてほ欲しくないタイミングで出てきたな)」

 

 宿儺が首を回し平子の姿を確認しようとすると、突如として首に熱い感覚が走った。

 そしてそのすぐ後に、今度は骨まで凍えるような冷たい感触が宿儺の首周辺を支配した。

 

「あぁ?」

 

「何が……」そう口にしようとしたが、声帯を傷つけられ掠れた声しか出ない。

 

 遅れて――この刺突が日番谷冬獅郎によるものだと判断する。

 

「(先の巫山戯た笑みはこうなる事を予期していたのか!!)」

 

「――四葩氷咲

 

 宿儺の背にのしかかりながら斬魄刀を突き刺した日番谷は、その言葉を紡いですぐに背を蹴り上げ、刀を引き抜き浦原達が居る所まで跳んだ。

 

「無事か?」

 

 未だ大人の姿を保っている日番谷だったが、額には汗をかいており、それに加え若干息が荒い。

 

「アタシらはなんとか無事っス」

 

「それで状況は?」

 

「ハイ、今ヤツの身体には相当なダメージが蓄積してるっス。恐らくその影響で領域を展開する事は困難――叩くなら今っス」

 

「そうか、ありがとな。浦原は涅の野郎を連れてここから離れてろ、こっからは俺達がやる」

 

「それは――――――いえ、分かりました。ここは日番谷サンに任せましょう。アタシも涅サンを安全な場所まで運んだら戻ってきます――それまでどうか死なないでくださいね」

 

「はん!誰に言ってやがる」

 

「それもそうっスね」

 

 そうおどけたように言い、マユリを担いでこの場を離れようと足に力を込めた時、何かを思い出したかのように顔を上げ日番谷の方にに振り向いて声をかけた。

 

「――あっ、言い忘れてましたけど、あと数分したらオモシロイものが見れるはずっスよ」

 

 ニヤリッとあくどい笑みを浮かべ、宿儺に聞こえない音量でコソッと耳打ちする。

 その言葉に釣られ日番谷は宿儺を注視するが、今の所目に見える変化は無い。

 

 ただこの男が意味の無い法螺を吹くとも思えないので、日番谷も頬を緩ませ不敵な笑みを浮かべた。

 

「そうかよ、期待しておくからな」

 

「ええ、それはもうガンガンしちゃって下さい♪」

 

 そう言い残し、瞬歩でその場から消え去る浦原。日番谷は彼がこの場から離れた事を確認し、宿儺と向き合う。

 

「……………」

 

 そんな宿儺は、首に咲いた紫陽花に手を添えながら何やら考え込んでいるようだった。

 そして日番谷の視線を感じとったのか、顔を上げ口を開く。

 

「〖最後に奴と交す言葉はそれだけで良いのか?〗」

 

 宿儺は腹部の口を用いて日番谷を煽る。だが彼の心はこの程度では揺るがせない。

 

「最後だと思ってんのはてめぇだけだ両面宿儺――それに、その首の花飾り随分とお似合いだぜ」

 

 日番谷が刀の切っ先を向け指したのは、己が残した紫陽花の花。

 日番谷もバッチリと煽り返していた。

 

 だが宿儺はその煽りを華麗に受け流し、更に口撃を加える。

 

「〖貴様のその右足も、氷で出来ていて随分と動きづらそうではないか。誰にやられたのか気になるな〗」

 

 宿儺が顎を使って指した日番谷の右足は完全に氷で出来ており、その足からは冷気が常に漏れ出ていた。

 

 ――そして当然、右足を失った原因は宿儺だ。

 

 その口撃に日番谷は若干眉をピクつかせるも、更にカウンターの一撃を食らわせる。

 

「てめぇのその喋り方も滑稽で笑えるな」

 

 短い言葉ながらも鋭い一撃。

 

 勿論、声帯を破壊したのは日番谷であり腹の口で喋らざるを得ない原因となっている。

 幸運な事に、これは宿儺の手札を一つ潰した事になるので、煽れる事以上の恩恵がある。

 

 けれども宿儺に日番谷の言葉は響かない。

 

「「……………………」」

 

 互いの間に長い沈黙が続く。周囲には、風の吹く音だけが響いていた。

 

「(奴の狙いはあの科学者が戻って来るまでの時間稼ぎか?――ならばこちらにとっても都合が良い。今の内にあべこべ小僧の位置を捉える)」

 

「(あいつはなんで動かねぇ……こっちとしては浦原の言葉を信じて時間を稼いでみたんだが、あっちが動くつもりが無ぇならこっちとしても都合が良い)」

 

 両者共に先程していた煽り合いは、全て時間稼ぎを目的とした事。偶然にも両者の思惑が一致し、膠着状態が続いている。

 

 そんな中、宿儺はこの静寂の空間に嫌気がさしていた。

 

「(奴め、相も変わらず気配を消すのが上手いな……このままでは埒が明かん――仕方ない)」

 

 宿儺は足を引き戦闘の構えを取る。それに反応し、日番谷も刀を構えた。

 

「(来るか……)」

 

「〖行くぞ!!〗」




日番谷とか浦原が他人を呼ぶ時こんなであってたっけと不安になる今日この頃。間違ってたら教えて頂きたいです。
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