呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる 作:ジェネリックたい焼き
そんな訳で投稿です。
「
相対するユーハバッハの全身が過去最大級の警報を鳴らす。
彼には予感がしていた…………あれに対抗出来る術をこちらも繰り出さなければ死ぬという予感が……
「
その叫びと共に、突き出した彼の左腕の五指の先から青白い文字群が真っ直ぐに溢れ落ちる。
「――――『
両者が同時にそう唱えた瞬間、宿儺が閉じない領域を半径二百メートルに展開した。
それにより、床が血の様なもので一面赤く染められ、宿儺の背後に様々な生物の頭蓋骨に象られたお寺の御堂が出現した。
一方ユーハバッハは、荘厳な鐘の音と共に文字群が落ちた地面から幾本か先端に五芒星が付けられた青白い柱が生え、光り輝く結界を展開した。
両者の強大な術がその場を埋め尽くす。
そんな中、領域を展開している宿儺は違和感を感じた。
「(何だ………?俺の必中命令が奴の結界によって中和されている……?奴のアレは領域を展開している訳でも、簡易領域や彌虚葛籠、領域展延でも無い、新たな領域への対策…………あの技は原作で知っていた、だがアレにこのような効果があるとはな)」
ここまで考えた宿儺は凶悪な笑みを浮かべた。
「クハッ!やるではないか」
そう呟いた宿儺は”
彼の”聖域礼賛”は内部に踏み入ったモノを
両者の戦闘は徒手空拳へと移った。宿儺は領域を展開しながら、展延を併用している。
それは何故か――――
宿儺が頭部目掛けて拳を振るうが、それは血装で強化した腕に阻まれる。
「(領域展延でも奴の”静血装”は中和しきないようだな)」
――――そう”静血装”の効果を中和しようとしているたのだ。
だが惜しくもそれは失敗に終わる。
「(恐らくあの術が奴の体内のみで完結しているから効かんのだろうが、中々に厄介だな…………)」
思考を巡らせながらも攻撃の手は緩めない。
両者とも結界内を縦横無尽に駆け回りながら、相手にダメージを与えんと攻撃を放つ。
二人の近接戦闘の技量はほぼ同じ……それ故に勝敗を分けたのは単純な手数の差だった。
「グッ……!」
宿儺が両の手で攻撃を防ごうともまだ自由に使える腕が二本も残っている。それ故にユーハバッハだけが一方的に傷付いていく。
時に蹴りを放つがそれも防がれる。お返しといわんばかりに宿儺も蹴りを放つが、それは”静血装”で強化した腕に阻まれる。
そんなやり取りが幾千手も高速で続いていたが、暫くしてユーハバッハの術にある変化が起きる。
――――ピシッ
そんなひび割れた音の発生源はユーハバッハが張った”聖域礼賛”。その術が崩れ始めていた。
それもそのはず、本来領域に対する最も有効的な手段はこちらも領域を展開する事。故に彼の術ではそう長くは持たない。
簡易領域や彌虚葛籠よりは頑丈だが、本来の領域よりは脆い。
――――パリンッ!
そのガラスが割れたような音が鳴った瞬間、ユーハバッハの技が砕け散り、必中命令を相殺していた結界が無くなった。
――――ユーハバッハが斬撃の嵐に切り刻まれる。
「カ゛ア゛ア゛ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」
凄まじい痛みで声を張り上げた。
それもそうだろう。
彼は絶え間なく斬撃がその身に浴びせられている。普通ならば一撃一撃が致命傷になりうる攻撃。それをその身で何百何千と受けていた。
彼は自身の全てを懸けて、静血装を張り巡らせ、全開で治癒術式を行使している。
それでも、彼の再生が追い付かなくなっていた。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
場面は変わり、木々に覆われた樹海の中で一人の少年と、数百にも及ぶ軍隊が相対していた。
「引っ込め三下、これ以上私の邪魔をするな」
裏梅が自身を囲うように弓を構える滅却師たちに苛立ちを隠せず命令するのだが反応は一切無い、そしてその様子を後方から見据える一人の老人がいた。
その老人は後方で馬に跨り副官へと指示を出す。
「遮蔽物の木々を使い上手く足止めせよ。決してあの者をユーハバッハ様の元へ行かせてはならんぞ」
そう司令を出しした老人は、ユーハバッハの傍に居た人物その人であり、彼からここで従者の子供をを足止めするよう命令されていたのであった。
「…………」
彼の目には男か女かも見分けがつかぬ中性的な容姿の子供が映っていた。
「(未だ年端もいかぬ子供だというのに可哀想な……あの異形の男に無理やり支配されているのだろう。儂が解放してやらねば……)」
彼は盛大な勘違いを起こしている。
まずそもそも支配などされていないし、解放されたいとも微塵も思っていない。自ら望んで宿儺の下に居るのだ。
だからこの勘違を裏梅が聞いたら激怒するし、
――――今現在、主が狙われているというのに足止めされているこの現状にも激しく怒っている。
腰を落とし、屈んで右手を地面に触れ、術を発動させる。
「氷凝呪法――――『
問答無用で足元から全方位に円状に氷を発生させ、それを滅却師たちの元へ向かわせる。
「うわぁぁぁぁ!」「うぎゃぁぁぁ!!」「たすけ、助けてぇ!!」「やめ、やめろぉ!」
その氷は喰らえば足元から凍っていくので、一瞬の時間、凍傷による激しい痛みを感じる。その為、辺りには兵士たちの悲鳴が響き渡っていた。
やがて全身が凍りつき、物言わぬ骸となるまでそれほど時間はかからなかった。
幸運にも、後方に居た者達は範囲外に居たお陰で凍らずに済んでいたが、今攻撃で3分の1の兵たちが亡くなった。
「おっ、臆すなぁ!進めぇ!!」
そんな中、部隊長らしき男が必死に味方を鼓舞する。
本来、この男は優秀なのだろう。
昨日まで飯を共にした仲間が目の前で悲痛な顔を浮かべながら氷漬けになり死んでいったのだ。本来ならば腰が引け、敵前逃亡まっしぐらだ。
現に部隊の気が弱い部下数名は味方を押しのけ、一目散に逃げていた。
「逃げるなぁ!進めぇぇ!!!」
しかし、そんな恐怖を押し殺し、再び雄叫びを上げ味方の士気をあげる。それも全て、崇拝する陛下の為に――――。
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数分経った頃……辺りは地獄だった。見渡す限り全て凍り付き、所々に絶望の表情を浮かべた氷死体があるのだ。
勇敢に立ち向かう者、味方を鼓舞する者、恐怖で逃げ出す者様々な者達が居たが、その全て例外なく皆抵抗も出来ず凍っていった。
その中には先程味方を鼓舞していた部隊長の姿もある。
そして残されたのは老人一人……彼は仲間が死ぬ様を後ろで見ていた。助けを求める部下も、必死に立ち向かう部下も、それら全てを無視し観察に徹していた。
「よもやこの惨状を成人しているかすら怪しい子供が起こすとは……儂も永い事生きてきたが初めてじゃ……」
馬に歩かせ話しかけながらゆっくりと裏梅の方へ近付いていく。それを裏梅は冷めた目で見つめる。
やがて裏梅との距離が数メートル程になると馬を止め、なにか見定めるような視線を向けた後こう提案した。
「お主、我らと共に来んか?」
「…………………………………は?」
長い時間ほおけた後、ようやく絞り出た言葉が「は?」だった。
それ程今の問いが裏梅には理解できなかった。
なぜ自分が部下を殺したというのに平然と勧誘するのか、そもそも自分は主を簡単に裏切るように見えるのか、頭がイカれているんじゃないのか。
様々な考えが頭をよぎる。
そして口から出た言葉はこれだった。
「ボケているのか老人、医者に行くことを進めるぞ」
ギロリッと睨みつけ、顔には少し嘲笑うような笑みを張り付けそう進める。その口調には煽りが含まれていた。
それを目の前で言われた老人は少し目を見開き、驚いた表情をすると直ぐに可笑しいとばかりに笑った。
「ホッホッホッ!これは手厳しいのぅ。じゃが生憎まだ儂はボケてはおらんのでな、医者に行くのは遠慮させてもらうわい」
ひとしきり笑い終えると、両者は見つめ合う。
「そうか……ならば死ね!」
その声と同時にいきなり腕を振るい、冷気を放出し相手を氷漬けにせんと技を出す。
老人がいた場所は凍り付き、人一人ほどの氷塊があったが、その中に老人は存在していなかった。
「どこに……!」
慌てて周りを探すが老人の姿は見えない。それどころか気配も感じない。
「――ここじゃよ」
何処からか老人の声が聞こえる…………。それは目の前か、それとも背後か、はたまた上空にいるのか……裏梅は未だその姿を捉えられないでいた。
「――――何処にいるのか分からんじゃろう」
先程の意趣返しか、嘲笑うような声色で声を発する。
裏梅は煽ってくる敵にも、その敵を捉えられない自身の不甲斐なさに怒っていた。
怒りで冷気を漏らしている少年に老人は更に語りかける。
「それもそうじゃろう何せ儂は――――」
その言葉を言い切るより前、声がしたと思われる方へ腕を振るい氷の槍を数本飛ばす。
しかし、そこには何も無く、穿ったのは凍りついた木々と一部の兵だけだった。
「チッ(こんな奴、早急に殺して宿儺様の邪魔にならないようにしなければならないのにッ)」
「――――こらこら、老人の話は最後まで聞かんかい」
再びどこから聞こえた声はやはりこちらを完全に下に見ていた。
その事実がより裏梅を苛立たせる。
「それでさっきの話の続きじゃったな――――」
また姿の見えない敵に氷の槍を放つ。
「――――儂はな狩人なんじゃよ。もっとも”元”じゃが――――」
しかし当たらない。先程攻撃を向けられたとは思えぬ程冷静に淡々と自語りをする老人。
相も変わらずその姿はまるで幻のように見えず、声のみしか情報として認識出来ない。
「クソっ(何故奴は反撃をしてこない……相手を自分だけが視認出来ているという圧倒的な優位性を保持しているというのに!…………何か理由があるのか……?)」
それに悪態をつきながらも思考は絶やさず勝つ為の道筋を探る。
声が聞こえればそこに攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ。声が聞こえる。攻撃を放つ……………………………………………………。
暫く意味の無いそんな攻防が続いていた。
「む?」
そこで老人がふと違和感に気づく。先程から身を隠す場所が限定的になってきているのだ。
これこそが裏梅の策だった。一見、無意味に攻撃を放っているように見えたがその実、自身の周囲の障害物を着実に破壊していた。
裏梅は、
――――狩人と言うのなら、透明になった訳ではない。ただ極限まで気配を消し、身を隠しているだけだ。
そう当たりをつけた。
実際その考えは当たっていた。老人は足音も、心音も、呼吸音も、衣服の擦れる音も、足音も、霊圧も、自身の身体から発せられるモノを全て極限まで抑えている。
なぜそのような事が出来るのかそれは彼の過去に起因している。
――――彼は物心ついた頃から家の習わしで狩りを行っており、幼い頃幾度もなく狩りに出た。
彼には数十人の兄弟たちがいたが、その殆どが獲物に殺されるか、自然の脅威に晒され死ぬか様々な理由で命を落としていく。
だが幸いにも彼の狩人としての才覚は凄まじかった。他の兄弟たちが死んでいく中、彼だけは重症すら負わなかった。
やがて成長するにつれて、滅却師としての力を扱えるようになったが、狩りの時だけは断固としてその力を使わず、人と同じ土俵で力を磨いた。
その時の名残か、ユーハバッハの側近となった後でも時折森に潜り、滅却師としての力を封じて凶暴な野生の獣を狩っている。
「今更気が付いても手遅れだ」
裏梅がそう言い、頭上で腕を一回転させると、そこに沿って何百もの氷の槍が外側を向き出現する。
やがてそれ等は高速で回転し始めた。
――――そして腕を振るう。
腕の動きを合図として高速回転している槍が一斉に射出された。それは速度もさることながら、高速で回転することによって貫通力が抜群に高められており、老人の使う”静血装”程度だったら容易く貫きその患部を貫通するモノだった。
それ等は容易く周囲の障害物を破壊し尽くす。人一人すら通れる隙間は無い。
――――これで決着かに思われた。
――――それは狩人としての基礎であり、裏梅であれば本来防げたであろう凡策。
「…………?」
ボコッと音を立て裏梅の目の前の地面が隆起し、破裂したかと思うと、一切姿を見せなかった老人が土煙と共に飛び出す。
「なっ!?」
――――勝利を確信した者への、急襲。
ユーハバッハの『聖域礼賛』が領域の必中効果を相殺できるのは、完全オリジナルです。「なんか違うな……」と思われたら申し訳ありません。
個人的にユーハバッハ対宿儺の部分は上手くかけた気がします。裏梅と老人の方は…………まぁ、はい………少し違和感あるかもです。
追記
誤字報告ありがとうございます。句読点の付け方など改めて見るとその通りだと感じました。本当に感謝です。
追追記
誤字報告ありがとうございます
この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)
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1000文字前後
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2000文字前後
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3000文字前後
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4000文字前後
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5000文字前後
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6000文字前後
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7000文字前後
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8000文字前後
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9000文字前後
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10000文字以上