呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる 作:ジェネリックたい焼き
これが最後のストックです。ここから毎日投稿はできなくなり、不定期に更新します。
完結はさせたいので、気長にお待ち下さい。
それではどうぞ
自身の掘った穴から飛び出した老人は、勢いのまま拳を振り上げ無防備な裏梅の下顎に直撃させる。
「ガッ!」
その攻撃で大きく仰け反り相手に隙を与えてしまう。
それを見逃す老人ではなく霊子の短剣を生み出し、それを両腕と両脚に突き刺す。
そしてトドメに肘をみぞおちに食らわす。
「ゴハッ!」
内部に響くような衝撃を感じた。
”
その影響で吐血し、意識が飛ぶ。
吐いた血が老人の顔と服に少しかかり、赤く染めた。
「すまんのぅ、じゃが安心せい殺す気は無い。城に連れ帰り君を治療した後、陛下にお目通りする。処遇はそこで決まるから大人しくしておれ……………………いや、もう聞こえておらんか」
こちらにもたれ掛かるようにして倒れ込む裏梅を一瞥し、首根っこを掴み乱雑に地面に放り投げる。
老人はふとユーハバッハと宿儺が戦闘しているであろう地点に目をやった。
直接視認は出来ないが、二つの凄まじい気配を肌で感じ、両者の異次元の強さをその身で知る。
「……………」
老人は自身の身体から無意識の内に震えているのに気づく。
一方からは見る者全てが震えあがる恐ろしく邪悪な気配を、もう一方からは他とは比べ物にならない圧倒的な存在感を示していた。
「まさか陛下の本気がここまでじゃったとは……それに、その陛下に対抗出来るあの男は何者なのじゃ…………」
顔に冷や汗を滲ませながらそう呟く。
最早二人の戦いには、第三者が介入する余地は一切なく、離れた地点で眺めることしか出来ない。
――――すると突如一方の気配が膨らむ。
「ヒュッ……」
今日一番の寒気を感じ取り、思わず息を呑む。
全身から冷や汗が吹きでて、全身が大きく震え、この場から逃げたいと本能が叫んでいるにも関わらず、足が竦んで一歩も動けない。
呼吸すらままならず息が荒い。胸は大きく上下し、動悸も激しくなる。
森に住む動物たちも、異変の元から少しでも距離を取ろうと全力で逃げていた。
そして三十秒もしない内にあの邪悪な気配が消えた。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
不規則な呼吸を落ち着かせようと自信を落ち着かせる。そして再び両者の気配を探る。
だが不幸な事に老人が感知したのは、主の微弱な気配だった。
「陛下ッ!!!」
声を荒らげ、すぐさま飛廉脚を用いて主の元へ向かおうとするが、脚が動かない。まるで何かに囚われているようだった。
「何だ……!!」
少し苛立ちを含んだ声色で足下に目をやる。すると自身の脚が地面ごと凍りつき固定されている様が目に入った。
「ッな!?(何故気付かんかった……!?)」
そう、彼が言った通り常人ならば自身の脚が凍っている事に気付かないはずがない。
だが、先程まで彼の意識は全て、宿儺とユーハバッハの方に向いており、自身の体の異変には気付けなかった。
それほどまでに強大な存在感。
そして今も、脚の氷に気を取られてすぐ背後で起き上がっている裏梅に気付けない。
「………………」
すぐ背後にいる裏梅は自身の四肢に触れ、傷の治り具合を確かめるように自由に動かす。
そして自身の足元から氷を発生させ、老人を一気に凍りつける。
「――――何だッこれはッ!?」
頭以外全て氷に埋め尽くされ、身動きが取れなくなった老人は叫び声を上げ辺りを見渡す。
すると視界に入ったのは、先程気絶させたはずのおかっぱヘアの白髪の少年だった。
「まさか、
老人と目が合った裏梅は、冷ややかな目で老人を一瞥する。
「何だ?その言い方だと、君の
自身の心の動揺を必死に押し隠し、相手を煽るように笑みを浮かべる。
――――これで激昂して隙が出来たら御の字、激昂しなくとも、心を揺さぶれば隙はできる。
そんな考えの元、出た言葉だったが、裏梅の反応は老人が期待していたものと違った。
「何を言っている貴様は……宿儺様が負ける事など有り得ない」
そう確信したような口調で語る裏梅を見た老人は、それが嘘だとは思えなかった。
そして老人が、反論の言葉を探す内に、裏梅が人差し指を突き立て、老人の眉間に向ける。
「………?」
その行為に老人が疑問に思っていると、少年の人差し指の指先に尖った氷が発生し始めた。
「クソっ!」
老人はこれからの未来を察し、苦い顔で悪態をついたが、しかしやがてもう命が永くないと悟ったのか、溢れんばかりの殺気を裏梅に向ける。
「ここで儂を殺そうとも、儂の息子が必ずお前を殺すだろう」
鋭い眼光で睨みつけ、そう告げる。
「そうか」
だがそれを気にも留めず、指先を近付ける。老人の目は未だ裏梅を睨んでいたが、距離がとうとうゼロになると、フッと体の力を抜き、諦めたように呟く。
「すまんのぅ………………
老人の命の灯火が尽つきかけた時、遥か遠くから青白い火柱が昇った。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
――――宿儺の領域が解除された。宿儺が領域を展開していた時間は延べ三十秒にも満たない。
しかし、地に背をつけ倒れ伏すユーハバッハの身体は、辛うじて繋がってはいるものの、全身に斬り傷が刻まれ、おびただしい程の血液が流れ出て大きい血溜まりを作っていた。
誰が見ても死ぬ寸前だった。
そんなユーハバッハを宿儺は冷めた目で見つめる。
「所詮お前も有象無象の内の一人にすぎんと言うわけか……惜しいな滅却師、貴様なら俺と並べると思っていたのだがな…………――――じゃあな滅却師の始祖、そこそこ楽しめたぞ」
――――違和感
宿儺の第六感ともいうべき場所が警告を鳴らす。しかしそれを無視し息の根を止める為、首をへし折ろうと歩み寄ると、ユーハバッハが拳を握りしめこう唱えた。
「私は私に力を与える!」
言葉を発する度に口から血を吹き出しながら、苦しげに言葉を紡いだ。
――――違和感
すると突如ユーハバッハの全身が天高く昇る青白い炎に包まれた。
その炎は曇り空を突き抜け、辺り一帯の雲を吹き飛ばした。
その中から声は聞こえない。その身が焼き尽くされんとしている筈なのに悲鳴のひとつも上がらなかった。
「(まさか……)」
――――違和感
ここで宿儺はある考えに至る。――――原作では奴はどんな能力を持っていたか――――そして思い至る。
「まさか……」
そう呟いた瞬間、青白い炎から霊子の刀剣が飛び出し、宿儺の心臓を貫く。
それと同時に、炎が霧散し、中から無傷のユーハバッハが現れた。
そして無言のまま突き刺した剣を抜き取ると、それに伴い宿儺が吐血した。
「カハッ!」
口から垂れた血を腕で拭い、真っ直ぐにユーハバッハを見つめる。
その身体は、先程まで千切れそうだったにも関わらず、全快しており、かすり傷1つも見当たらなかった。
その気配は先程とはまるで別人。威風堂々としており、その気配は研ぎ澄まされていた。
ここで宿儺は自身の警戒レベルをMAXまで引き上げる。
そして静かに眼を開いた彼はこう紡ぐ…………
「――――『
彼の眼が心臓を治癒している宿儺を射抜く。
その眼は一つの眼球に二つの瞳が存在する重瞳。その瞳はまるで彼の全てを見通しているかのようだった。
宿儺に産まれて初めての緊張が走る。
だがそれでも彼の心を埋め尽くすのは――――”高揚”の感情だった。
産まれて初めて自身と渡り合えるかもしれない存在と巡り会えたことに対する幸運。
今の彼には目には、眼前のユーハバッハしか写っていない。
「クククッ、先程の発言は撤回しよう。今のお前は中々に楽しめそうだ……」
心内の高揚を隠しきれず笑みを浮かべながら真っ直ぐに見つめる。
「(焼き切れた術式は回復した……)領域展開――――」
焼き切れた術式が回復し、先程彼に致命傷を与えた領域を再び展開しようと閻魔天の印を組む。
「――――視えているぞ」
しかし、領域を発動しようとした瞬間、印を結んでいた両腕が切断され重力に従って地に落ちる。
「チッ!(コイツやはり未来が視えているな)」
切り落とされた腕は無視し、残る両腕で顔を狙って拳を放つ。なんの予備動作もなく放たれた拳は直撃するかに思われたが、腕を振り切る直前、その腕もまた両断された。
その流れのまま右脚を軸にして左脚を振り上げ、顎の先端を打ち抜こうとするが、振り上げるよりも前、力を込めた瞬間に両脚も両断された。
自身の手足、その全てを失い支えられるものがなく、地に背をつけ這いつくばり、眼前の敵に上から見下される未来を幻視した宿儺は、反転術式をフルで回し、一秒にも満たない速度で全ての怪我を完治させる。
そしてしっかりと両の脚で地面を踏み締め、ノーモーションで『解』を放った。
「――――視えていると言った筈だ」
しかしそれすらも躱され、ユーハバッハが背後に出現する。
それを感知した宿儺がすかさず二つの左腕で振り向きざまに裏拳を放つ。
だが、それすらも看破している彼は、再び宿儺の後ろへと回った。
「面倒な……」
そう呟いた宿儺は、そのままでは埒が明かないと思い、一旦距離を取り呼吸を整える。
そして質問を投げかける。
「貴様のその眼、未来が視えているな」
「あぁ、その通りだ。我が眼にはお前の為す
宿儺のその確信したかのような疑問に包み隠すことなく答える。
それに対して宿儺は考える。
「(奴の能力は未来視ではなく未来を改変する能力、だったか、奴の視界から逃れようにもその行動すら予知され防がれる…………ならばどうする……)」
ここで一旦思考を打ち止め、ユーハバッハに向け真っ直ぐに突貫する。音もなく一瞬にして自身の最高速に到達した彼は振りかぶり本気で力を込め殴ろうとするが、それは彼が振り下ろした剣で防がれてしまう。
――――ギィィィィッ!
甲高い音が衝突場所から鳴り響く。お互い拮抗していた力は弾け、両者が仰け反る。
「フッ!」
それすらも視えていたユーハバッハが宿儺を両断せんと上から剣を振りかざすが、それを呪力で強化した上腕をクロスさせ両腕で受け止める。
しかし、あまりのパワーに受け止めた宿儺の地面が陥没し、小さなクレーターが出来上がった。
「グッ……(全てのパラメーターが先程とは比べ物にならん程上昇しているな…………)」
宿儺が小さな呻き声を上げる。
その直後ユーハバッハは更に圧力を高め、敵を押し潰さんと剣の柄を握り締める。地面のクレーターが更に広がりヒビ割れる。
宿儺の両腕が、ミシッ、メキッっと明らかに異常な音を発する。それと同時に、足元の地面が更に深く大きく沈み込んだ。
その惨状が覚醒したユーハバッハの規格外のパワーを物語っていた。
しかしこのまま黙っているやられる宿儺じゃない。
「〖『
宿儺が剣に押さえつけられたまま腹の口で呪詞を紡ぐ…………
「図に乗るなよ滅却師――――〖『解』〗」
全方位に無差別に『解』を放つ。それも全て呪詞バフ付きのものだ。
当然その事までも視えていたユーハバッハは、射程範囲外の上空まで一瞬にして後退する。しかしその影響で彼を見失ってしまう。
だが、そんな状況でも焦ることは無い。どこから出てくるのか、いつ姿を見せるのかその全てが彼には視えていた。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
一方、宿儺は木の幹にもたれ掛かりあの未来視をどう攻略するか考えていた。
「(探せ………奴の未来視を打ち破る方法を………)」
だが、今の宿儺にはあの未来視を打ち破る術は存在しない。
原作でユーハバッハの『全知全能』を打ち破れたのは、月島さんと藍染の能力あってのもので、今の宿儺ではどうしようも無い。
このままでは敗北する。
勿論そんな事は断じて許せない宿儺は、原作知識と擦り合わせ現状を打開できる手段を考える。
「これは…………」
突如としてなにかに驚いたように目を見開いた宿儺は、その後口角を吊り上げ不気味に笑う。
◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇
三百メートル程上空に立っているユーハバッハは、形容し難い違和感を感じていた。それは自身の命が握られている様な、そんな感覚だった。
「…………」
常に未来を視ている彼だが、能力名の通りに全知全能ではない。
彼の眼には未来がここより先に散らばった無数の砂粒の様に視えているという。
それだけ聞けば完全無欠に見えるが、無数にある未来を全て把握する事は出来ない。
霊王吸収後ならば出来るが、今は違う。
︎ ︎ ︎ ︎そして今、この完全無欠の能力に目覚め、ユーハバッハは過信していた。
――――故に、その慢心が自身の首を絞める可能性があることに気付けない。
「まぁ良い…………さて…………」
ユーハバッハは、その違和感を無視し、今にも死にそうな部下を助けるため、その場から姿を消した。
ユーハバッハの「私は私に力を与える!」ここの部分ですが、ちゃんと理屈があります。
裏梅に殺された兵達。その者らに埋められていた魂の欠片が丁度ユーハバッハに還りました。もちろん光の帝国は、巨大な国家であり、多くの兵を抱えています。国防の為に残った者達を除いて数千もの魂が一気に還ってきたのでそれを利用し、自信に力を与えることになった訳です。
こんなオリジナル設定で納得していただけると嬉しいです。
あと一応、『聖別』させようとも思いましたが、原作でRのロイドがユーハバッハに化けた時、かつての部下の骸を破壊するのを躊躇っているような描写があったので、昔は部下に対しても少しは情があったのかな?なんて思い、『聖別』はしませんでした。
それと、〖〗これに囲まれてる台詞は宿儺の腹についてる口から発せられる声です。
この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)
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1000文字前後
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2000文字前後
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3000文字前後
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4000文字前後
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5000文字前後
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6000文字前後
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7000文字前後
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8000文字前後
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9000文字前後
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10000文字以上