呪いの王がBLEACH世界に足を踏み入れる   作:ジェネリックたい焼き

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それではどうぞ


鬼神VS皇帝・・・⑤

 ――――黒閃ッ!!

 

 矛VS盾。この勝負だけで言うのならば勝ったのは矛だった。

 

 

 

 何重にも重なった防御壁を全て一撃で割り砕き、攻撃をユーハバッハまで届かせたが、流石に威力は弱まっており、難なく振り抜いた腕を掴まれる。

 

「チッ」

 

 舌打ちをし、逆の手で殴りつけようとするが、そんな事をユーハバッハが許すはずも無く、掴んだ瞬間すかさずユーハバッハの裏拳が頬に叩き込まれた。

 

「――ゴフッ!」

 

 勢いよく振り抜かれた裏拳は、宿儺の首を90度回転させ、奥歯を数本折った。

 

 そして怯んだ隙に、左腕で掴んでいた腕を引き寄せ、身体ごと引っ張り『動血装(ブルート・アルテリエ)』で強化した右腕を宿儺の顔面目掛けてぶつける。

 

「ゴハァっ!!」

 

 凄まじい衝撃で、身体が吹き飛びそうになるが、腕を掴まれている為、離れられない。

 

 だが宿儺も負けじと斬撃を多数飛ばす。

 

 ユーハバッハの全身に無数の赤い線が走り、直後にそれに沿って血が吹きでる。

 

 ”動血装”を使用している為、”静血装”は使えない。それ故に無防備な状態で喰らったユーハバッハだったがすぐに治癒する。

 

「フッ……!」

 

 だが治癒に一瞬気を取られた隙に、宿儺が拘束から抜け出し、地面を踏み締め、短く息を吐き、右脚で鋭い蹴りを相手の左側頭部に向けて放つ。

 

 そしてそれと同時に、治癒を終えたユーハバッハも負けじと右脚で鋭い蹴りを、宿儺の左側頭部目掛けて打ち込む。

 

 両者が同時に放った蹴りは、両者とも、狙われている左側頭部に左腕を滑り込ませることで直撃を回避する。

 

 ――――そして相手の蹴りを防いで尚、宿儺にはまだ自由に動かせる左腕が存在した。

 

 打ち込んできた脚を掴み取り、斬り刻む。

 

「グッ………!」

 

 右膝から下の足が微塵になり思わず呻き声をあげるが、構わずそのまま脚を振り抜くと、当然空振りに終わってしまう。しかし、顔に違和感を感じ触ってみると、一筋の切り傷ができていた。

 

「何だ………?」

 

 なぜ傷を負ったのか疑問だったが、その傷は手で優しくなぞると次の瞬間には消えていた。

 

 そしてユーハバッハのある部分を見た宿儺は驚愕で若干目を見開く。

 

「ククッ!まさかそんな事も出来るとは……器用なものだな…………」

 

 その目線の先、捉えたのは、先程微塵に刻んだ脚から、霊子の短剣が生えていた光景だった。

 

 そして、みるみるその短剣が無くなり、代わりに脚が再生する。

 

「………………フハッ」「………………フッ」

 

 そして暫し見つめあった両者は、同時に笑みを零し、宿儺は『解』を、ユーハバッハは『大聖弓』を、寸分違わず同じタイミングで放つ。

 

 ――――ドゴンッ!!

 

 2つの術が真ん中でぶつかり合い、大きな爆発を起こすが、そんな事は気にせず、宿儺は数多の斬撃を飛ばし、ユーハバッハは無数の矢を射る。

 

 両者とも遠距離攻撃の集中砲火を相手に喰らわすがその全て中心でぶつかり合い、多数の爆発を起こしていた。

 

 そしてその数はどんどん増えていき、数十から数百にまで数を増やした。そしてしばしの間、撃ち合いが続く。

 

 そして撃ち合いの最中、両者は同じ事を考える。

 

「「((このままでは決着がつかんな………(つかぬな………)――――――ならばどうするか………!))」」

 

 そして一際大きな爆発が発生した瞬間、宿儺が閻魔天の掌印を結び、ユーハバッハが腕を前に突き出す。

 

領域展開(りょういきてんかい)――――」「聖唱(キルヒエンリート)…………!――――」

 

 同時にそう言葉を発し、両者の気配が膨れ上がる。宿儺を中心に、地面が透明な水が張ったかのように景色を反射し、一方のユーハバッハは、厳かな鐘の音と共に、突き出した指先から文字群が地面へ流れ落ち、そこを中心に、霊子で構成された青白い陣が浮かび上がる。

 

 ――――そして同時に唱える。

 

「――――『伏魔御廚子(ふくまみづし)』」「――――『聖域礼賛(ザンクト・ツヴィンガー)』……!」

 

 ――――両者同時に強大な術を発動する。

 

 先程と同じ様に、宿儺の背後には様々な動物の頭蓋骨で飾られたお寺のお堂が現れ、もう一方には青白い陣から、先端に五芒星の意匠が施されている巨大な柱が幾本か出現した。

 

 宿儺の領域に外殻は無く、ユーハバッハの結界には外殻が存在する為、外殻の押し合いにならない。それ故に、必中命令だけ相殺し合っている。

 

 ユーハバッハの勝利条件は、結界が崩壊する前に宿儺に領域を保てなくなる程ダメージを与えるしか無くなったが、逆にそれさえ成し遂げられれば、宿儺の術式は焼き切れ、使用困難な状態になる。

 

 逆に宿儺は、自身に大ダメージを与えられる前に、眼前の結界を破壊すれば、自身の必中効果が発動し、目の前の敵を斬り刻む事が出来る。

 

 

 

「逃げんのか……貴様は………?」

 

 突拍子もなくそう問いかける宿儺。

 

 当然ユーハバッハもこの結界が外殻で覆われていないことに気付いている。

 そして、そんな風に聞いてきた癖に、逃がすつもりが無いのも知っている。

 

 ――――だが例え、眼の前の敵が追おうとしなくとも逃げるつもりなど微塵も無い。

 

「………………」

 

 宿儺の問いを無視し、おもむろに赤黒いマントの丸い留め具に手をかざすと、いつの間にかその手の中に翼の意匠が施された片刃の大剣が握られていた。

 

「それが貴様の得物という訳か………」

 

 ユーハバッハの手に握られた大剣を見てそう呟く。それは一目見て業物だと気付ける程美しかった。

 

 ――――思わず笑みが零れる。

 

 そして両者示し合わせたかのように同時にその場から消え失せる。

 

 最早、この戦いは常人では影すら捉えることは出来ず、2人の従者であっても、辛うじて残像が見えるだけであろう次元へと昇華していた。

 

 目で追うことは出来ず、時折何処かで発せられる衝撃を頼りに2人の位置を把握するので限界だ。

 

「どうした!!こんなものか!!ユーハバッハ!!!」

 

 数多の攻撃を繰り出し、そして相手の攻撃も躱す。両者のそのやり取りは、一種の芸術の様に見えた。

 

「貴様こそ、少し焦っているのではないか?――――宿儺!」

 

 2名の気分は既に最高潮だ。しかしそれでも攻撃の手は緩めず殺す気で拳を放つ。

 だがお互いに煽り合うその様は、まるで仲の良い友のようにも見えた。

 

「「ククッ、クハハハハハッ!!」」

 

 両者とも邪悪で豪快に笑いつつも、徒手空拳は更に激しさを増す。

 

 僅かなミスが生死を左右するやり取りを数千手も続けているというのに、2人に恐怖の感情は全く無い。

 

 ――――今はただこの時間が少しでも続く事を祈っている。

 

 

 

 

 

 両者術を発動させてからもう2分半経っているが、先程、10数秒しか領域に耐えられなかったユーハバッハの結界が一向に壊れる気配が見えない。

 

 だが、ここで僅かにユーハバッハの結界に異変が起こる。

 

 ――――ピシッ

 

 僅かながら聖域にヒビが入った。

 

 その事を両者は確認するも、ここで手を止めれば致命傷を受けると分かっているので、意識はそちらに割かず、目の前の相手に集中する。

 

 だが、形勢が僅かに宿儺側に傾く。

 

 ――――パキキッ

 

 ヒビ割れた部分が更に広がる。だがそれでも両者の打ち合いは止まらない所か、更に過激になっていく。

 

 ――――ビキッ、ビキキッ!

 

 今までで1番大きな音が領域内に響き渡る。

 

 その音にユーハバッハは、反射で振り向いてしまった。そして目線の先には、今にも崩れそうな”聖域礼賛”があった。

 

「隙だらけだ……」

 

 笑みを浮かべ、グッと力を溜めて必殺の拳を無防備な頬目掛け振るう。

 

 その時、ユーハバッハの重瞳が宿儺をバッチリと捉えた。

 

「チッ!」

 

 ――――それが罠だと気付いた時にはもう遅かった。

 

 振り抜かれた拳を、大剣を持っていない方の腕で掴み取り、こちら側に引き寄せ、少し膝をかがめて宿儺の鳩尾に向けて肘をクリティカルヒットさせる。

 

「かはっ!」

 

 だが、それと同時にユーハバッハの結界が崩壊する。

 

 その影響で、必中の斬撃がユーハバッハの身を襲うかに思えた…………だが、更にそれと同じタイミングで宿儺の領域が崩れた。

 

 ――――彼がユーハバッハの”聖域礼賛”を破壊するのと同時に、彼自身も領域を維持出来なくなるほどダメージを負っていたのだ。

 

「(チッ!あんなみえみえの罠に嵌るとは………)」

 

 お互いに距離を取り、改めて向き直る。

 

 宿儺は、自身の間違いに苛立ちながらも、肘打ちで潰れた内蔵を反転術式で治癒する。

 

 その間宙には、ユーハバッハの結界の欠片と思われる青白い破片が空を舞い、幻想的な光景を醸し出していた。

 

「残念だったな、貴様の術もあの領域を展開した後ならば暫く使えんのだろう。よって貴様の力が回復する前に潰させてもらうとしよう…………!」

 

 ユーハバッハが大剣を構え、そう宣言する。

 

「………………」

 

 宿儺はそれを黙って聞いていた。

 

 そして今、ユーハバッハが自身に向かってこようとした時、傷を完治させた宿儺が何の突拍子もなく、上腕の両手で何かを包み込む様な動作をし、ある言葉を発する。

 

「『⬛︎(⬛︎⬛︎⬛︎)』――――『(フーガ)』」

 

 そう唱えた後、宿儺が閉じきっていた両手をそっと開く。

 両手の間に紅い炎が延び、宿儺が手の間隔を広げると、その炎も延びる。

 

「何だ…………その炎は…………」

 

 強襲しようとしていた脚を止め、驚きで目を見開く。

 

 そして宿儺は、ゆっくりと左腕を前に突き出し、右腕を引き絞り、弓矢を撃つような構えを取る。

 その間も両手を繋ぐようにして存在する炎は、矢の形を象っていた。

 

「この一撃で終いにしてやる。――――構えろ」

 

 相手にそう宣言する。

 

 それを聞いたユーハバッハは、「その炎は何なのか?」「貴様の術は切断や斬撃ではなかったのか?」様々な疑問が一瞬頭をよぎるが、考え込む素振りを見せるまでも無く――――

 

「良いだろう」

 

 ――――即答した。

 

 ユーハバッハが両手を水を掬う様な形に揃え、周囲の霊子を集束させ、それを炎へと変える。

 

「(まだだ…………まだこんなモノでは足りぬ………………)」

 

 更に周囲の霊子を奪い、手の平のその炎1点に集中させる。

 そして大きさにして、10メートルは優に超える火柱を作りだした。

 

 こうして高濃度の霊子で出来た炎を圧縮し、凝縮させる。

 

「『神聖焔矢(ハイリッヒ・フランム・プファイル)』」

 

 それは矢1本ほどのサイズに収まったが、それから感じられるエネルギーは計り知れない。

 

 そしてその矢を通常の霊子で創った弓に番える。当然この弓は、数秒も持たずに崩壊するだろう、だが今はその時間だけでも十分。

 

 ――――矢を引き絞り、構える。

 

 両者の間に僅かな沈黙が走る。

 

 周囲の空気は水分が蒸発し、地面は焼け焦げ、木々までもが熱で発火していた。

 

 ――――両者同時に術を放つ。

 

 それは周囲の空間を焼き焦がしながら、敵めがけて真っ直ぐ進む。

 

 ――――そして両者の中間で、奥義が衝突する。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

 未だ森を駆けていた裏梅は、目線の先遥か前方で巨大な重々しい爆発音を感じ、空を見上げると、巨大な火柱が昇っているのを確認する。

 

「宿儺様!!?」

 

 思わず驚きで主の声を呼ぶが、その数秒後、轟々しい風の音が僅かに耳に入ると、その直後には凄まじい熱風が爆心地を中心に四方へ吹き付けた。

 

 そしてその被害は、裏梅の居る所まで届いていた。

 

「グッ、グゥ………!」

 

 自身を過冷却状態の呪力で覆い、その熱波を耐え凌ぐ。だがそれでも、熱を完全に相殺することが出来ず、真っ白い肌に幾つか火傷を負う。

 

 熱風で木々が着火し、周囲の森が一瞬にして燃え盛る。

 

 視界の全てが炎に覆われ、酸素が凄まじい速度で燃焼し、大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇した事で、呼吸する事が困難になる。

 

「はっ、はっ、はっ、はっ、終わった、か…………」

 

 やがて、熱風は過ぎ去ったが、木々は未だに燃えており、酸素を奪っている事には変わりない。

 

「(何としても、あそこまで、辿り着かなければ…………)」

 

 酸素が不足し、回らなくなった頭で必死に自分に言い聞かせる。ふらついている足取りだが、1歩1歩着実に主の元へ近付いていた。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

 一方、老人の方はというと、全身に火傷を負ったが、それを治癒術式で治しながら、主の為に死ぬ気で足を進めていた。

 

「はぁ、はぁ、陛下…………ただいま参ります……………」

 

 こちらも周囲の木々が燃え盛り、酸素が不足し、おぼつかない足取りで歩みを進めていた。

 

 するとその時、身体に水滴が落ちている様な感覚を感じた。

 

「…………?」

 

 歩きながらも、ふと空を見上げると、顔に小さな滴が落ちる。

 

 やがてそれは1滴、2滴、3滴と落ちる量が増えていき、数秒すると更に勢いは増し、雨が降り始めた。

 

 凄まじい熱量で蒸発した大気の水分が水蒸気となって遥か上空まで上昇していたのだろう。

 そしてそれが熱気が収まってきた事により、冷やされ、水滴へと姿を変えた。

 

「これは…………雨か………………」

 

 雨が降ってきた幸運をかみ締めながら、ボロボロの身体を引きずり、爆心地へと足を進める。

 

 

 

 ――――両名とも感じ取っていた。この爆発を起こしたのは自身の主であることを。

 かなり離れた箇所でもこの惨状なのだから、爆心地に居た両名の負担は計り知れない。

 2人は焦る心を抑えながら、確実に歩みを進めていた。

 

 

 

◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇◈◇

 

 

 超巨大な爆発を直接喰らった2人が居た。

 

 一方は異形の男。その男は、全身に大火傷を負っており、無事な皮膚を探す方が難しい程損傷していた。その中でも、4つの腕が更に酷く、肘から先が焼け焦げ、消失している。

 

 もう一方の黒髪の男は、こちらも全身に大火傷を負っており、全身が黒く焼け焦げていた。その男は特に左腕の具合が酷く、こちらは肩から全てが消失していた。

 

 そして両者はお互い向き合い、立ったまま白目を向いて意識を失っている。

 

 そして普通ならばこれ程の傷を負っていたら、おびただしい程の血が流れ出て、血溜まりが作られる筈なのだが、出血したような跡は一切無かった。

 

 ――――全て流れ出た傍から蒸発したのだ。そしてやがて傷口は焼かれ、偶然にもそれが止血の役割を果たしていた。

 

 

 

 ――――やがて2人の肉体に、一筋の水滴が滴り落ちる。暫くして天候は雨へと変化していった。

 

 

 

 ――――数分。意識が無いまま雨に打たれ続けた2人だが、刻一刻と死に近付いている。

 

 外傷も然る事ながら、内臓などの重要器官もダメージを負っている。いくら両名が頑丈だと言っても、限界という物はある。

 

 再び雨に打たれていると、向き合っている2人の背後、その焼け焦げた森。そのそれぞれ正反対の位置から人影が飛び出してきた。

 

 そしてそれらの人物は、目の前の重症を負った人物を見て悲痛な顔を浮かべる。

 

「宿儺様!!」「陛下!!」

 

 二人はなりふり構わず、全力で地面を駆け、主の元へ一直線に向かった。




神聖焔矢(ハイリッヒ・フランム・プファイル)』オリジナル技です。これは、『神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)』の派生技で、限界まで圧縮した霊子の炎を矢の形に変え相手の全てを焼き尽くす技です。


宿儺に対抗させる為にオリジナル技出したらユーハバッハがどんど強化されていく……(震え)死神たち勝てるかな………

追記
誤字報告ありがとうございます

この作品は1話大体5000文字位なのですが、どの位の文字数が皆様にとって丁度いいのか教えて頂きたいです。それを目安に執筆します(アンケート結果によって投稿頻度も変わります)

  • 1000文字前後
  • 2000文字前後
  • 3000文字前後
  • 4000文字前後
  • 5000文字前後
  • 6000文字前後
  • 7000文字前後
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  • 9000文字前後
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