ナンバーズ!   作:ホッケ◎

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(わ、わあい、いつのまにか一周年)
今回は非常に超展開でオリジナル色が強いです。一応原作のヒロインが登場するのですが、おそらく皆様の想像とは大きくかけ離れているかと……。
あとスリーパーファンの方々ごめんなさい。あらかじめ謝っておきます。


No.11:少女とバトルレコーダー

ただいま31番道路。実は30番道路ならウツギ博士から連絡が入ったり、かのオーキド博士に会えたり、ポケモンじいさんからポケモンのタマゴが貰えたりする。

が、それはあくまで原作での話。自分のようなヘタレにはまったく関係のない話であった。ウツギ博士の助手と言う輝かしいポジションにつけているので文句は言わない。主人公になって厄介ごとに巻き込まれるのも面倒だし。

 

「ホホー」

「ありがと、ヨロズ」

 

調べ終わっていない植物の存在を知らせてくれたのはヨルノズクの『ヨロズ』だ。

出会いこそアマタと壮絶なバトルを繰り広げていたが、今となっては良きパートナーである。ああやって騒音をまき散らしていたのはたぶん寂しかったからなんだと思う。恐ろしく迷惑をこうむるかまってちゃんとは言え、以前のトレーナーに突然『逃がされた』ならしょうがない。人恋しくもなるだろう。

当初アマタとケンカしないかヒヤヒヤしていたものの、妙なところで気が合うのか割とすんなり仲良くなった(ように見える。不穏な空気がないので恐らく合ってるはず)。

 

植物を写真に収めてデータを送信。

ポケモンのデータも一緒となるとかなりの時間を要する――初期は勘くぐっていた。しかし、驚くことにこのカメラはやたら高性能だった。なんと、一回景色全体を取るだけでそこに移った植物すべてを記録するのだ!

まあ某図鑑だってポケモンを捕まえただけで生態はおろか身長体重鳴き声生息地、まさかの足跡まで記録されるからチートっぷりなら同レベルだろうか。

加えて、ある程度データを送信すると『ノルマ達成』の文字が、ポケギアのタウンマップに記される。

ポケモンの調査においても然り。

そういうわけ慣れればかなりスムーズに調査を終わらせることが出来た。イヤー便利だね、すごいね。

 

相対的にアナログな記録用紙は、かさばるも非常に書き心地が良い。博士曰くいつか研究員を最寄りの街に派遣させるそうなので、ノートがいっぱいになったり何か不備があったりしたら連絡すれば問題ないそうだ。

博士には色々とお世話になっているなあ。

 

「ヨロズ、あそこ」

 

あそこの草むら撮るから、悪いんだけど退いてくれる?

 

《ホー》

 

暗にそう意味を込めてカメラを構えようとしたら、どういうわけかいきなりヨロズが【シャドーボール】を発砲。

一瞬にして撮ろうとした草むらが薙がれ、木々を巻き込みながら林の奥へ吸い込まれていく。

ちょ、おま……穏やかな返事しておいて発砲ってどういうことなの。

 

―――まさかバッジが足りないから言うこと聞かないとかそういうことなの!?

 

だとしたらまずい。まだモンスターボールだって買っていないのに暴れられたら被害がものすごいことになる。主に俺への。

一億歩譲って俺だけだったらまだいい。ただしこうやって周囲への損害が増えたらなんたる迷惑になるか。誰かに怪我なんてさせたら……、考えただけでゾッとする。

 

「ヨロズ!」

《くおんっ》

 

焦る俺を置き去りにして、【シャドーボール】を打った方向へ飛び去るヨロズ。そしてなんとアマタまでもがヨロズについていく。

 

焦燥と不安が取り巻く中、俺は二匹の後について走り出した。

腕の痛みなんかもうかまってられなかった。

 

 

 

***

 

 

 

地を蹴り続けた足がもつれた。ぐらつき傾いていく景色。転んだ衝撃は体を蝕み、しかし少女の中で根を張った恐怖によってそれは打ち消される。

 

「はぁ、はぁ、…………は、あ」

 

ぶちまけられた資料の山を背に、迫りくる恐怖の対象に目を向けた。

 

《グフフ……!》

 

黄色い体毛に包まれたそれは弧を描いている瞳を輝かせた。うさん臭く、獲物を狙わんとする下卑た光である。名を、さいみんポケモンの『スリーパー』と言った。

腰にあるモンスターボールに手を掛けた少女だったが、パートナーともいえる彼女は既に虫の息だったことを思い出す。

 

「……っ、こんなところで……!!」

 

離れていても、心はいつだってつながっていた。そんな母より譲渡されたのは研究のデータだけではない。

一度は悪の組織に売り渡しさえした。

けれど、必ず魂の底にはあった。

 

「あなたなんかにママの……『研究者の誇り』を奪われたりなんか、しないんだから!」

 

少女は吼える。

母譲りの栗色の瞳に明かりが煌めく。悪に身を染めたものにはいささか眩しいものだった。

 

《グフゥ!》

「!」

 

しかしそれは風前の灯火。

敵対するポケモンは手中の振り子を構えた。このままではスリーパーのエスパー技を食らってしまう。言うことを聞かない体で後ずさりしながら、心では誰かの救済を願った。

 

(お願い、誰か……)

 

誰でもいい。この状況を打破してくれるものならば……!

 

(———誰か、助けて!!)

 

 

 

《ホー》

 

 

 

メキッ。

 

とても嫌な音がした。時を同じくして聞こえた知らないポケモンの声に、少女は思わず閉じかけた目を見張る。

 

「……!」

 

初めは天使かと思った。だが、茶という馴染み深さの中に鋭い激情が眠る色を携えた翼は、一般的な天使像から若干かけ離れていた。

『ヨルノズク』という種族を背負う彼は音もなく飛来し、スリーパーを黒い力の塊——【シャドーボール】だろうか——で蹂躙している。場にそぐわないのは鳴き声だけで垣間見える眼光が真昼の下でも爛々と光を放つ。

 

《グ、フ……!!》

 

一方スリーパーはというと、間一髪で【サイコキネシス】により【シャドーボール】の威力を弱めたらしかった。いくつもの木々を巻き添えにしながらも、吹き飛ばされた先でかろうじて立ち上がったのが見える。

 

そして、

 

《ホー!》

「きゃあっ!」

 

ブオン!

巨大な風の防御壁が、予期せぬ襲来者から少女を守った。

先ほどからなぜこのヨルノズクは自分を救ってくれるのか。疑問は尽きないが、それ以上に目をむいたのはその襲来者の正体だ。

 

「―――キャ、『キャタピー』!?」

 

ひっくり返った緑色の長細い胴体を起こすよううねるポケモン。大きさは頭のほうに比重が寄っていて、むしポケモンの典型的な体系をしていた。つまり、いもむしポケモンの『キャタピー』であった。

無論彼だけではない。

あたりの茂みからは続々とポケモンたちが現れてくる。種類はオオタチやビードル、ポッポなど周辺に住む種類が多く見受けられた。みな少女とヨルノズクを取り囲むようにしてにじり寄ってくる。

唯一の共通点は、全員の瞳が赤褐色に塗りつぶされている点。

はっとして見やった先にいるスリーパーの手には、あの振り子が。

 

少女もポケモン研究者の端くれだ。これがどういった技の発動を意味するかなど瞬時に理解できた。

 

そう、この技は。

 

「【さいみんじゅつ】ね……!」

 

少女が言い放った技名に対し、スリーパーはご名答と言わんばかりにグフフと鳴いた。

どうやら先ほどスリーパーが振り子をもとに使用したのは【さいみんじゅつ】であったようだ。エスパーポケモンの中でもとりわけその技の扱いに長けるスリーパー。周囲で身を潜めていた野生のポケモンたちを操るなんて、きっと造作もないことなのだろう。

 

《グフフッ!》

 

満を持してスリーパーが大きく嘶いた。

合図を期に、操られたポケモンたちは急激にスピードを速めて迫ってくる。

先ほどまで大きく構えていたヨルノズクも、今は何かを待っているようにしか見えない。

 

――くる!!

 

ポケモンたちの脅威が、一人と一匹に襲い掛からんとしていた時だ。

 

 

「ヨロズ!」

 

 

――知らない誰かの声が空気を揺らした途端、あたりに充満していた緊張の糸が一気に振り切れる。

そこで見たスリーパーの表情を、少女は見逃さなかった。

 

《ググゥ、……っ!!》

 

怯えていた。間違いなく。

怯えるというのはこの場合、未知のものに対してではなかった。既に知っていて、だが抗いようのないものに対する感情。三日月形の目に満ちるのはもはやただの絶望。まだ幼い少女には縁のないものが顔に浮き出ていたのだ。

 

しかしそれはほんの一瞬の出来事であった。

 

「わ、」

「ちょっとだけ、耳をふさいでいて」

 

いつの間にやら背後に回り込んできた人物の手が、少女の耳を覆う。

いったい何がどうして……。

 

とにかく分かったのは、ヨルノズクが大きく息を吸い込んでいたことだった。

 

 

 

***

 

 

 

血相を変えて飛び出していった先には【さわぐ】を使おうとしているヨロズが居た。

一人立ちすくんでいた女の子の耳を塞いであげるのが精一杯で、犠牲が出てしまったため非常にやるせない。念のため『耳栓用』として切っておいたガーゼで俺も防御に成功したが、それはそれで、俺だけ助かっているような気もして嫌な気持ちになる。

 

残ったのは地獄絵図。

野生と思わしき大量のポケモンが身を地に投げ出していたのである。やばいと判断した俺は急いで全員に手持ちのオレンのみを全て分け与えることにした。アマタが配布係を請け負ってくれているから、俺は俺で別の作業に入る。

 

今回は良かったものの、もしオレンのみや回復アイテムがなかったら相当まずかった。

心臓に悪いことはやめてくださいってヨロズさん!!

 

「あなた、その子のトレーナー?」

 

一人で嘆く俺に向かって声をかけたのは女の子だ。大体10~12歳くらいに見える。二つに結ばれた栗色の髪が特徴的な子である。生憎誇らしげに空を仰いでいる(=重力を無視している)髪型に突っ込む気にはなれなかった。あとは、しいて言うならサロペットから除く身体が非常に健康的だ。若々しい。

 

「……うん、まぁ」

《ホー》

 

ああ、ってそんなこと考えてる暇はないんだよ。

彼女のものだという難しい文面をした紙をかき集めながら、俺は謝罪の言葉をいくつか思案した。多分ヨロズが迷惑かけたんだろうなぁ、どうしよう慰謝料とか。博士には迷惑をかけられないので俺が稼ぐしかないが、やはりそうなるとファイトマネーか。

 

一通り集まった紙を束ねて端などをそろえ、俺はようやく少女に目を向けた。

 

が。

 

「……! 怪我、してる」

「え……」

 

大切に育てられてきた証拠である白い肌に浮かぶは赤い液体。皮膚が若干剥げてしまったようだ。

 

「待って。今治療する」

 

俺はナップザックを地面に降ろすと、片手でその中を一気にまさぐった。

 

「そ、そんな、治療だなんて……。このくらい、後で水洗いすれば」

 

問答無用!

若いこの怪我っていうのはすぐ直るが、万が一跡でも残ったら大変だ。女の子だったら特に。

 

「わたしなんかより、あ、あなたの怪我のほうがひどいのに……っ」

「少し沁みるけど我慢して」

 

もっと自分を大切にすべきだ、と暗に言って消毒液を染み込ませたガーゼを彼女の膝に当てる。いろいろと言っているけれど、今はいうことを聞かせる時。

ガーゼが吸った血の跡が痛々しくて、俺は自分のふがいなさに心が沈んでいくのを感じた。

かと言って手は止めずに絆創膏を貼る。片手でやったにしては割と上出来かもしれない。

 

「……ありがとう」

 

少女はうつむいてしまった。

そりゃそうだ。怖いよなぁ、このヨロズ。いきなり【さわぐ】もの。実は可愛いところがたくさんあるいい子なのに、トレーナーのせいで誤解されてしまったら哀れすぎる。すべては俺の力不足によるもの。せっかく俺にこの子を預けてくれたハヤトさんにだって大変な失礼になりうる。

アマタに暴れられるのほうが厄介だけどさ。

 

「おれはナユタ。……きみは?」

 

俺は吐きかけたため息を飲み込んで、なるべく優しい声音で少女に名前を尋ねた。

少女は少しだけ肩を揺らした後、ゆっくりと頭を上げる。

 

「……わ、わたし、『コトネ』」

 

コトネ。

……コトネ?

コトネ、って!

 

「今、ヤマブキへ行ってきたところなの。……ママがやってた研究の資料を取りにね」

「…………」

 

俺を差し置いて話を進める少女、コトネ。彼女がバックから取り出した帽子を見て、仮説が証言されていくのを感じた。

 

ここは、HGSSの世界なのだ!

 

証拠としてこのコトネという少女は、HGSSにおいての主人公の片割れだった。男主人公を選ぶと彼のサポート役として旅先で登場する。ポケギアでは連れ歩きに関する情報をたくさん分け与えてくれるし、彼女が放った一言によって全国のマリルには『雑巾臭い』イメージが固定されてしまったことはあまりにも有名。

 

しかし原作にはこんなイベントはなかったので、やはり時間軸やらなんやらは若干原作とズレているのかもしれなかった。

 

とにかく謝罪しないと。まずは家まで送ることから。

場合によっちゃ慰謝料治療費エトセトラを払うことになるから深呼吸してから、

 

「……あの、ナユタくん!」

 

変な声が出そうになった。

そんなに大きな声で言わなくたって逃げませんよ。

 

……あ、もしや逆!?

『ナユタくんどうしてわたしに近寄ってくんの? 馬鹿なの? へんたいなの?』とかそういう感じなのか!?

ま、まあそうだよね。お年頃の女の子だし。女性に男心がわからないように、逆もまた然り。

だ、だとしても払うもんはきっちり払わないと人間としてアウトである。いくらへんたいなどとレッテルが張られようと人間失格だけは避けねばなるまいて!

 

 

「い、いいの」

 

 

えっ。

ゑ、いいのって、え?

 

「わたしなら、もう平気だから。……代わりにこれを」

 

コトネちゃんが下げたカバンから何かを取り出し、俺の前に差し出す。

手の平に収まるくらいのスマートな機体。真ん中にある液晶部分が日の光を照り返し、指紋のついていないために新品であることがよくわかる。向こうの世界でいうスマホに当たるような機械だった。非常にかっこいい。

 

「それは『バトルレコーダー』。色々な勝負を記録しておける、シルフカンパニーの新製品だよ」

 

えっと。それはつまり俺にこの機械を下さるということで?

なぜ俺がもらうんだよ。

なんだかカツアゲしているみたいじゃないか!

 

「わたし、伝えておく。あなたのこと」

 

誰に!?

ウェイト、待ってくれコトネちゃん。

君に聞きたいことややらねばならないことがたくさんあるんだ。

 

説明に置いて行かれすぎた俺にコトネちゃんは追い打ちを仕掛けた。なんとそのバトルレコーダーを俺の手に握らせたのだ。ほんのりと温かくやわらかな手の感覚は姪っ子を彷彿とさせるが、今はそれどころじゃない。

 

「………それじゃ」

 

嵐が去っていくようにして、彼女は俺が来た方向へ行ってしまう。

故郷は原作と同じワカバタウンなのだろう。

 

「……」

 

俺は鉄砲玉のように立ち上がったが、茂みの向こうへ消えていく彼女の背中を追いかける気にはなれなかった。

なぜかというと、たぶん彼女は俺を邪険に扱っているからだ。先ほどのバトルレコーダーは、『これあげるからさっさとどっか行って』という意味だったに違いない。ああ、ますます姪っ子を思い出す。あの子ももう中学二年生になったんだっけなぁ。以前避けられたときのショックは心身に損傷をきたした。きっとそういうことと同じ意味なんだよね、コトネちゃんの反応は……。

察した気持ちは尊重すべきなんだぜ、そう語った祖父のしたり顔が、ますますため息しか出てこない俺の脳の片隅で蘇った。

 

 

 

***

 

 

 

『おれはナユタ。……きみは?』

 

不思議な声。

少し高めで、感情の振れ幅がまるで見えないのに、変に安心させるような。

 

あの声を思い出すたび、何か不安と妙な動悸がコトネの胸で混ざり合う。

昔からコガネシティで母とともに研究三昧だった毎日と比べれば、先ほどの出来事はむせ返るくらいに甘い。あそこから少し離れた場所で、相棒のマリルをきずぐすりで治療しながらコトネは頬を染める。

 

たかがちょっとした窮地を救われただけ。

だのにどうしてこんな思いをしなければならないのか。

 

『怪我、してる』

 

自分だって骨折らしきものをしているくせに、何故コトネの怪我をあんなに心配してくれたのだろう。

 

「ナユタ、くん……」

 

彼の人間性が、周囲の普遍的な物事から彼を切り取っているようで。

あまり聞かない名も、彼のものだと言われればおかしなくらいマッチしていると思えた。

 

「ナユタくん」

 

彼の目は、いや瞳は驚くくらい冷たい色をしていた。深い水底を覗いている気分になった。けれどもそれはあらゆるものを受け入れるためのもであり、ただ少しだけ構え方が淡々としてるだけなのかもしれない。とにかく濁りは一切存在していないようにコトネには見えた。

 

【さわぐ】によって気絶していたスリーパーはいつの間にか去っていたが、あれは多分わざと逃がしたのだろう。

 

あの、ロケット団からの刺客(・・・・・・・・)を。

 

『今、ヤマブキへ行ってきたところなの。……ママがやってた研究の資料を取りにね』

 

あの一言で、ナユタは勘付いたはずだ。コトネがどういう人間なのか。同時にコトネもナユタがどういう人間なのかをおおよそ察知した。

それはスリーパーが彼に怯えていたことからすぐに気づくべきだったのかもしれない。

だからこそ、彼は気を遣って何か言おうとしてくれていたけれど断った。

 

「お互い、若いのに苦労するね」

 

コトネはマリルをボールに戻して身支度を整える。

さりげなく彼の青いポケモン――確かリオルという種族名だ――がくれたオレンのみを嬉しそうに食べるマリルが、ボールの中にいた。

 

結局ナユタは優しい少年なのだ。せめてもの礼として渡したあの試作品のバトルレコーダーにだって、困惑してしまうくらい。

 

たとえ、……たとえ、彼がコトネと同じように選ばれた対ロケット団用の子供(・・・・・・・)だとしても。運命を受け入れて、まっすぐに生きるのだ。

 

「わたしも行かなきゃ」

 

行って、伝えよう。

ポケモン研究の第一人者とも呼ばれたあの人物に、伝えなければならないことがある。

これがコトネにできる最良の選択。

 

熱い頬を抑えてコトネは前を見据える。

まだ道のりは長くとも、同じ場所を歩む者がいるならば。一人ではないと思えるのなら、そこはまだ見ぬ光に満ち溢れているに違いなかった。

 

 

 

***

 

 

 

「よし」

 

ポケギアに刻まれた『ノルマ達成』の字に達成感を見出しながら、俺はナップザックを肩にかけた。後ろをついてくるアマタとヨロズを少し見つめる。

 

《ホ?》

《うぉんっ》

 

行先は一応決まっていた。一見すれば可愛いこの子たちを上手く教育する方法を見出したのだ。

力技で抑え込もうものなら十中八九殺されるだろうし、かといって放っておけば今回のような事件が再び起こりかねない。

それらを防ぐために必要な行為がある。

 

「行こう、キキョウシティへ」

 

まあ、単刀直入に言えば『ジムバッチ』が欲しい! ということである。

 

アマタは不明だが、ヨロズの場合は正確には人からもらったポケモン。バッチを2つくらい集めたら言うことを聞いてくれるようになるはず。

 

とにかく、今日は俺の力量不足を深く痛感した。いくらアマタやヨロズがハイレベルでも、トレーナーが残念だと意味がない。

だからまずは俺の、ひいてはトレーナーとしての修行をする必要があった。

まあ、負けたら負けたで。うん。

 

……と、とりあえずいざ行かんキキョウシティ。




(実は当初の設定ではスリーパーはパーティ入りの予定でした)

Q:なぜナユタくんはシルバー(ライバル)を覚えていないのにコトネちゃんは覚えているのですか。

A:後ほど明かされますがそんなに凝った設定は存在しないので、そういうもんなんだな~と思ってくだされば幸いです。

Q:対ロケット団用の子供ってなんだよ。

A:後ほど明かされますが言葉の意味そのままにとっていただいて結構です。かっこいい名前なんて思いつきませんでした。

Q:えっコトネちゃんチョロすぎじゃね?

A:自分はチョロインが好きだ(本編にもあったように日常のほとんどを研究に費やしていたので彼女は初心なのです)。

Q:作者はロリコンですか。

A:

さりげなくヨロズが新技出しました。

大変遅れて申し訳ありませんでした。また、お待ちいただいてくださった方々には深く感謝申し上げます。これからも当拙作にお付き合いいただければ幸いです。
誤字・脱字等々ございましたらコメント欄にてお願い致します。
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