進撃の朱点童子 ~2度目の人生もハードモード?~   作:茄南詩

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縁の下の力持ちになりたい編
御守り


 エルヴィンさんとひとまず和解して、1時間と少し後。グリシャさんに許可を取ってから、常夜見と速鳥の併用&重ねがけによって『お馬さん達が爆走していたにも関わらず、ピンピンしている』という事実について周囲に不信感を抱かせる事なく、アルレルト家に到着しました。ちょうどお昼ご飯が終わって寛いでいる頃かな?

 

「「アルミーン、あっそびーましょー!」」

 

 玄関のドアをバタンと開けて叫ぶと、彼は驚きながら、階段から早足で降りてきました。

 

 

 

 

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 只今アルミンの部屋にて、3人で御守りの布作りをしています。アルミンのお祖父様が人数分、正方形の板に釘を打ち付けて下さいました。ありがたい。横糸を整える為の、長方形の薄い板も貸して頂きました。

 

 釘に縦糸を引っ掛けて、チマチマと布を織り進めているとエレンが案の定、単純作業に飽きてきたようです。

 

「なあなあ他の事しよーぜ。俺とアルミンも流れでやってるけど、意味ねーだろ?」

「え?2人の分も護符を書こうかなと思っていたんだけど、それに入れるんじゃないの?」

「俺はそんなのいらないくらい強くなるから、いいもん」

 

 頬を膨らませて拗ねてしまいました。

 

「エレン。途中まで頑張ってたんだから、止めちゃうのはもったいないよ?」

「えー」

 

 アルミンの言葉にも、良い反応を示しません。

 

「完成したらエレンの大事な人に、プレゼントすれば良いと思う。染料を使って染めてみたり、型紙か糊があったら模様もつける事もできるし。私は次の壁外調査までに作らないといけないから時間が惜しいけれど、2人はゆっくり作れるでしょう?春になったら野原に行って、染料に出来そうな草花を採りに行こうよ」

「ふーん。……上手く出来たら、母さんにあげようかな」

「それ、いいね。僕も家族にあげることにするよ」

 

 

 

 作業を続けながら、アルミンに今朝の出来事を話しました。エレンから1人で出ていこうとした事を聞くと、彼は怒りながら泣いていました。(エレンの時もそうでしたが、反応に困りました。)

 

 また、エルヴィンさんと交わした約束の内容も話しました。家政婦さんについては、身辺調査を済ませた後、判断するそうです。

 

 1つ目は、術について、これ以上知っている人間を増やさないようにする事。果物の件も然り。(御守りは限りなくグレーゾーンですね。公にバレた時は、『聖女の娘パワーだから』って誤魔化せたら良いのにな。)

 

 薬については、イェーガー先生のお手柄にする事で解決出来そうです。エレンは納得行かないと言いたげな顔をしていたけれども、『これからも2人と友達のまま、いっしょに居られるようにするためだ』と言うと、一応は納得したみたいです。

 

 

 2つ目は、黄川人に会って現状を打破する方法を知るまでの間、ティエラ・スミスとして生きる事。

 

 

 3つ目は、……2つ目の問題が解決出来なかった時の為に、前世と決別する心の準備をする事。

 

 

「だから、人前でホマレって呼ばないでね」

「……わかった」

「うん、わかったよ。でも、君はそれでいいの?」

「ええ。今と変わらない生活を続ける為には、仕方のない事だから」

「そっか……」

 

 

 

 

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 そして、壁外調査5日前。

 

 エルヴィンさんに連れられて、調査兵団本部に到着しました。『テリーが来るまで受付付近で待っているように』と言われたので、受付の隣に置かれたソファーに座って、本を読みながら待っています。今日は来客の予定は無いので、ここで待っていても大丈夫だそうです。外に出られなかった頃にテリーから時々話を聞いていた、立体機動というものを見てみたかったのですが、午後からの予定だと受付のお兄さんに言われました。少し残念。

 

 テリーとは久しぶりに会う為、とてもドキドキします。

 

「なかなか会いに来てくれないから、寂しかったよー!元気にしてたー?」

 

 彼女は私を見つけると、手を振りながら駆け寄ってきました。とても生き生きと輝いて見えます。兵士の仕事は天職だったのでしょうね。……先程まで彼女と歩いていた人達から、生暖かい視線を感じます。

 

「はい。訓練の調子はどうですか?」

「勘を取り戻した今は、ばっちりよ!」

 

 懐かしいドヤ顔と共に、右手をピースの形にして、此方に突き出しています。

 

「今日はテリーの為に、御守りを2つ作ってきました」

 

 作るよりも術を使う方が効率が良いのですが、壁外へ出られないので、仕方がありません。また、染める時間が無かったので生地は白いままですが、代わりにアルミンのお母様に教わって、簡単な刺繍をしました。

 

 彼女は両手で受け取ると、目を丸くしました。

 

「え!?これを貴女が作ったの!?」

「はい。難しい所はアルミンのお祖父様とお母様に教えて頂きながら、頑張りました」

「わぁ、そうなんだ!嬉しい!ありがとう」

 

そう言うと、彼女は蕾が綻ぶような優しい笑みを浮かべました。手の小さい子供が作った拙い物でも喜んでいただけて、嬉しいです。

 

「青い糸の方は、『危ない時でも帰って来られますように』って願いを込めた御守りです」

「そうなんだ~」

 

 現在しゃがんで目線を合わせた彼女に、頭を撫でられ続けています。

 

「緑の糸の方は、『長く、速く飛べますように』って願いを込めました」

 

 壁外調査は丸1日はかかるということで、中の護符は4枚ずつ入れています。使用者とその仲間の移動速度を増加させる速風の御守は、野原でいつもの3人で1枚使用してみると、2時間程で効果を失っていました。アルミンが珍しく興奮して走り回っていたっけ。

 

 今回は技力を倍込めた護符を入れているので、おそらく調査の最中に効果が切れる事は無いでしょう。(それ以上はインクを使用した為か、技力が溢れて使い物になりませんでした。今度は墨で試したいですね)

 

 引波の御守は班の人数単位で瞬時に戦闘から逃走する事が出来ます。戦闘時の試験が出来なかった為に少し不安が残りますが、4枚あるので大丈夫だと信じたいです。イツ花に怒られたけれども、自習期間の暇な時に蔵に篭ってお札と御守りの分解・再現をしていて良かった。

 

「ありがとう、大事にしまっておくわね」

 

 え!?それでは意味がないんです。私はエレン直伝の上目遣いで、彼女の目をじっと見つめて言いました。

 

「ご迷惑でなければ、壁外調査に持って行ってほしいです」

「必ず持って行くわ!」

「むぎゅっ」

 

 突然抱きしめられました。ベルトがおでこに当たって少し痛いし、胸圧で息ができません。……立体機動の邪魔にはならないのでしょうか?一族の中でもお胸が豊かだった方々の為にイツ花が作っていた、戦いの際に邪魔にならないよう胸を貧相に見せる補正下着の作成にも取りかかるべきかしら……。あ、何だかふわふわしてきました。危ない。

 

「ちょっとテリー、おちびさんが窒息しそうだよ?」

 

 ……受付のお兄さん、ありがとうございます。ただ、もうちょっと早く指摘して欲しかった。

 

「え、嘘!?きゃああ!ちょっと、しっかりしてー!」

 

 

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 先程まで意識を飛ばしていた私は、只今テリーの班の人達と食堂でお昼を食べています。ここのサンドイッチ、パンがサクサクしていて特に美味しいな。テリーの作るごはんみたい。今日はエルヴィンさんに口利きをしてもらっていたけれども、次回からはお金持って来よう。

 

「ごめんね。この子ったら新兵の頃は賢くて可愛かったのに、時が経つと共に、頭に必要な栄養を胸に吸いとられてしまったみたいなの。この間だってね、キー「班長!その話は内緒にして下さいってお願いしましたよね!?」グフゥ!?」

 

 テリーは隣に座っていたお姉さんを、その胸圧で黙らせています。周りの人々は、相変わらず2人に生暖かい視線を向けています。……良いのかな?

 

「ほらほら、その辺にしときなよ。おちびさんの教育に良くないよ?」

 

 受付のお兄さんの言葉を聞くと、彼女はパッと手を離し、私の方を向きました。

 

「そうね、危なかったわ。……貴女は真似しちゃダメよ?」

 

 しないですよ……。そもそも、その部分の成長はしばらく先の事ですよ?しかし、私の周りは肉体言語で語る人が多いですね。

 

 そうして和気あいあいという雰囲気の中、食事を終えました。今までのテリーの印象と違い過ぎて驚きましたが、幸せそうで良かった。

 

 

 

 それから、つい先日就任したばかりだと言う団長さんにお願いしてから立体機動の訓練を見学しました。兵士さん達が空を舞う様子を見て、京で1度だけ見た雪迎えを思い出しました。私も空を飛んでみたい。早く大人になりたいな。

 

 

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