進撃の朱点童子 ~2度目の人生もハードモード?~   作:茄南詩

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結果

 とうとう壁外調査の日がきてしまいました。待つことしかできない今の状態が歯痒いです。

 

「エルヴィンさん、お渡しする物があります。速風の御守と退魔のお札(5回分)です。速風の御守は、テリーに渡した物と同じ効果です。残念ながらお札の方は、壁外へ出られない為に試験が出来ていませんが、上手くいけば敵の数を半減することが可能かと」

 

 テリーだけに渡すと思っていたのでしょうか。彼は少しの間、目を丸くしていました。

 

「(持ち主の生命の危機に対しては自動で発動する様に改良していますが)基本的に念じれば使えます。持ち歩かないと意味がないので、ポケットにでも入れておいて下さいね」

「ああ、分かった。それでは行って来るよ」

「お気をつけて。御武運をお祈り申し上げます」

 

 半信半疑という様子だったので、実際に持って行ったかどうかは分かりません。そもそもあのお札が巨人に対して有効だったら良いのですが。

 

 

 家政婦さんについて調査の結果、ある大きな商会の長の息のかかった者だったということが分かりました。エルヴィンさんに恋する娘を彼の妻の座へと、憂い無く座らせかったようです。果物の件は邪魔者を排除する格好の餌だった訳ですね。将来有望な分隊長であり、眉目秀麗。そして人当たりの良い彼は、例えコブ付きであったとしても、これからも多くの婚姻の話が舞い込むであろう事は想像に難くないですから。しかし、その商会の娘さんは現在10歳だそうです。この世界では成人前に結婚するのが普通なのでしょうか……?

 

 あれから『解雇したヴァーツェルの代わりに、ヨハンとオリガという新兵たちに、家事と君の面倒を頼む事になった』とエルヴィンさんに言われました。まだ実力的に壁外調査へは出られない新兵を対象に募集をかけたところ、予想よりも集まったので面接と実技でその2人に絞ったそうです。今のところ彼らと良好な関係を作ることが出来ていると思いますが、手伝おうとすると『小さいからまだ駄目』と止められてしまいます。年齢の割に身長が低いからでしょうか?確かに流しからやっと顔が出る位の身長ですが……。せめてアルミンやエレンの成長期が始まるまでの間くらい、彼らよりも背が高くなってみたいです。

 

 ……はあ。壁外調査が気になって気になって、ごはんが喉を通りませんし、何も手につきません。上手くいけば良いのですが。

 

 

 

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「団長、索敵組が前方に巨人3体、後方6体の巨人を確認しました。その内奇行種は、前方が1体、後方は4体です。この速さだと、前方の奴らは2分、後方は10分程で此方に来ます!」

「生き延びる事を第一に考えろ!総員、戦闘体制に移れ!!」

 

 壁外の森の中で体制を整えている際、索敵に長けた2人の団員が巨人を見つけたとの連絡を受けた。1人が嗅覚によって巨人の位置や数・方角を把握し、1人は聴覚によって巨人の足音を聞き分け、奇行種の有無を判断・遭遇までの時間を推察する。これからが楽しみな2人組だ。

 

 前方の巨人共と命のやり取りが始まった。エルヴィン班とセルマ班の奮闘によって鼓舞された団員達は、いつもより勢いづいている。“ヒキナミノオマモリ”によって今のところ死亡者は出ておらず、負傷者も数名のみだ。この2つの班は、訓練中よりも動きが速くなっている。“ハヤカゼノオマモリ”の力なのか……?

 

 しかし、時間がない。後方から巨人の群れが視界の端に映る。西からも新たな巨人が数体此方に向かって来ている。このままではまずい……!

 混戦になれば犠牲が増えるばかりだ。

 

 ふと、出発直前にエルヴィンから、内密に相談を受けた事が脳裏をよぎる。彼は“タイマノオフダ”の効果を説明し、その試用許可を願い出た。

 

 ……今が試す時か。

 

『エルヴィン、今使え!』

『はっ!』

 

 目で合図を送ると、数秒の間に巨人の数が目に見えて減少した。

 

「今だ!人類の力を見せつけろ!!」

 

 私が叫ぶと団員は一斉に吼えた。

 

 オオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!

 

 

 

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 私は現在シガンシナ区にて、エレンとアルミン、ヨハンさん、オリガさんと壁外調査へ赴いた方々の帰りを待っています。もう日が傾いてきているのに、まだ門は開きません。

 

「自分も戦いに行けたら良いのにな」

「「ティエラ」」

 

 2人に怖い顔をされてしまいました。いちいち言われなくても1人で壁外に出ていかないから大丈夫だよ。

 

 ヨハンさんは噛み締めていた唇を開いて言いました。

 

「僕も君と同じ気持ちだ。自分の力不足を痛感してる。ティエラは兵士になりたいって分隊長から聞いたよ。訓練兵団に入るまで、もう少しだけ我慢しような」

「……はい」

 

 兵士への道のりは、まだ遠い。

 

 

 

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「今回は新しい団長になって初めての壁外調査だったらしいが、一体何人が犠牲になったんだろうな」

「賭けるか?」

 

「やっと足場が完成して、この秋から駐屯兵団の試みが始まったばかりだというのに、何故今なんだ」

「全くだ。我々市民の血税を無駄にして」

 

 仕事を終えた人々が、門の近くに集まってきました。相変わらず民衆の風当たりは強いですね。

 

 現在シガンシナ区を始めとする東西南北の外縁地区やウォール・マリアの内側には、ぐるりと壁を囲む様にして、巨人観察専用の屋根付きの足場が作られています。壁から兵士が飛び移る事が可能な距離に建設されているので、ウォール教の信者らは渋っていたようですが、これ以上壁を汚されるよりはましだという結論に至ったと聞きました(因みに駐屯兵士らが登り降りする場所近くでは、商魂逞しい商人たちが屋台を開いています)。

 

 壁付近にいる巨人に駐屯兵士達がぶつけている塗料の目印は、東は青・南は赤・西は白、そして北は黒色に区分けされています。10年程すれば巨人の行動パターンが解明されるでしょうか。

 

「気分転換に何か食べない?お姉さんがおごってあげよう」

「いいのか?」「いいんですか?」

 

 エレンとアルミンが目をキラキラさせながらオリガさんを見ています。

 

「ええ、もちろんよ」

「「お姉さん、ありがとう!」」

 

 2人は同時にオリガさんに抱きつくと、彼女は顔を赤らめ照れていました。確実に母性を擽られていますね。……ヨハンさんが「くそぅ、うらやまけしからん」とボソッと呟いていたことは、聞かなかったことにします。

 

「俺、串焼きがいい!」

「僕はそこの焼き菓子が良いな」

「私ははちみつ湯が飲みたいです」

「あ、俺もほしい!お姉さんお願い!」

「僕も、僕も!」

「……お手柔らかにね(格好つけすぎちゃったかも)」

 

 しばらくすると門が開きました。夕日を浴びながら彼らは帰ってきました!

 

「おい、死体が見当たらないぞ。まさか捨ててきたんじゃないだろうな」

「まじかよ、ひでえ」

「いやまて。捨ててきたにしては表情が晴れやかじゃないか?」

 

「ティエラ!ただいま!」

 

 テリーが馬から降りると、此方に走ってきました。結んでいた髪がほどけて風に揺られています。

 

 良かった、生きてた!

 

「おかえりなさい、テリー」

 

 彼女は私を抱き締めると、突然持ち上げて、ぐるんぐるんと勢い良く振り回しました。

 

「ありがとね、御守りパワーが効いたよ。今回は誰も死んでないの、全員生きて戻ってきたよ!」

 

 彼女の知らせを聞くと、民衆は沸き立ちました。

 

「みんな頑張ったよー!!褒めて、褒めてー!」

「あうあうあう(目が回りますぅ……)」

 

 それからテリーの班の長である、セルマさんに止めて貰うまで、私達は回転していました。

 

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