進撃の朱点童子 ~2度目の人生もハードモード?~   作:茄南詩

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分かれ目

 私達は現在診療所へ向かって歩きつつ、お話をしています。(これ以上エレンに個人情報をばらされないように、タデウスさんと角がたたないように気をつけながらですが。)

 

『今すぐ教会へ来ないなら喧嘩になった原因を詳しく話してくれ。あと、君たちが手当を受ける所を見届けるまで私は離れない』と引っ付かれているので……。

 

 

「……そうか。みんな頑張り屋さんなんだね」

「ああ。特にアルミンは俺たちに教えるために、すごく頑張ってるんだ。なのにあいつら、いつもアルミンをいじめるんだ」

 

 するとタデウスさんは私達に、いくつか簡単な計算問題を出しました。答えると「正解だ」と、笑顔になりました。

 

 それから彼は少し思案した後、良い事を思い付いたかのような顔をしました。

 

「話を聞く限り、読み書き計算は今のままで充分だろう。しかし、歴史と道徳はまだ手をつけていないようだ。滞在中に私が教えよう。アルミン君もいっしょに連れてきなさい」

 

 え?……これって勉強を教えてくれると見せかけた、宗教勧誘でしょうか。

 

「うーん。大事だと思うけど俺達は他の事もしなきゃいけないから、また今度にするよ」

「そうか……。ここには2,3ヶ月程滞在する予定だから、気が向いたらいつでも来てくれ。ミサの合間に見てあげるから」

「お気遣いありがとうございます」

「わかったっ」

 

 エレン、直ぐに答えを出さないでくれてありがとう。エルヴィンさんに報告と相談の為の時間稼ぎが出来ました。後でお礼に好きな果物をあげようかな。

 

 話している間に診療所へ到着し、エレンと私は厳めしい顔をしたグリシャさんから治療を受けました。その後タデウスさんを見送ってからイェーガー家に戻りました。それから怪我の経緯の詳細とタデウスさんについて、白状させられました。

 

 ウォール教は年々狂信者が増えているようで、「近づかないに越したことはない」と民衆は親から子へ教えられているようです。ムキムキ護衛さん達みたいな、一部の人だけかと思っていました。

 カルラさんとグリシャさん、アルミンにも「危ない事はするな」と、エレンと共にこってりと絞られました。翌々日話を聞いたエルヴィンさんにも叱られました。怖かった……。

 

 

 

 それから1週間後。私は全ての薬を飲みきりました。アンケート用紙を提出した後、グリシャさんに言われるまま、エレンとアルミンと共に診療所にて、身体測定兼体力測定を行いました。結果、この身体には平均的な10才の子ども位、体力がついたことが判明しました。

 

 他の被験者にも測定を行った所、個人差はあったものの、それぞれ身体能力の向上が認められたそうです。

 あの薬は有効であることが証明されましたね。手足の弱った者にも需要が生まれるかもしれません。

 

 その後は野原でカルラさんお手製のお弁当を戴いてから休憩しています。グリシャさんは早々にお仕事に戻って行きました。

 

「くそー、ティエラに負ける日がくるなんて。次は負けないからな」

「やっと背が伸びてきたからじゃない? あとちょっとで僕と同じ高さになるし。僕も早く伸びると良いなあ……」

 

 不貞腐れたような顔をしながら野原へ大の字に寝転がったエレンを見たアルミンは、苦笑しながら言いました。

 

「アルミンだって伸びてるじゃない。それに2人は成長期があるんだから、私が2人を抜かしてもすぐに追い越されちゃうわよ」

 

 でも今はまだ、可愛い2人を見ていたい気もします。

 

「今日はもう、ごろごろしようぜー」

「そうだね。たまには良いかもね」

 

 それから上着を枕代わりに、3人でお昼寝をしました。起きると夕日が壁から半分位隠れていました。

 

「エレン、アルミン。ヨハンさんが迎えに来るまであとちょっとだと思うから、今渡しておくね」

 

 ……うっかり忘れるところでした。危ない。

 

「速風の御守の分が2枚と、引波の御守の分が3枚よ。ご家族への御守りに入れてね」

「ありがとな!」

「ありがとう。(どうしてティエラは一人でお札を作り続けているんだろう?僕らの家族のような民間人にも必要になるかもしれないって事?兵士以外も御守りに頼らなければならない状況が、来ないといいんだけど……)」

 

 

 その後調査兵団及び駐屯兵団は、それぞれ巨人の討伐・行動解析において、人類に貢献した。何も知らない民衆はただその事実のみに歓喜し、自らを省みる事をしなかった。

 

 

 845年、彼の予感は見事に的中する事となる。その事実は今はまだ、誰も知らない。

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