死霊は崩れ落ち、パシャンと蒸発した。
「2人とも大丈夫?!」
リコルがレヴルとアリシアに駆け寄る。アリシアが無力感に沈んだ表情をしているのに気づいたレヴルがキッと威圧した。
「大丈夫です…!」
「ですわ」
リコルは無言でレヴルとアリシアに抱きついた。本当はすごく怖かった。勇気を出してあんな巨大な死霊に挑むなんて正気じゃない。それでも、成し遂げた偉業は大きい。
「すぺ〜」
すぺちゃんもリコルに抱きついてきた。
「怖かったよぉ…」
レヴルがいつものですわ口調すら忘れて泣き出した。仲間に囲まれる安心感に勝てなかったのだろう。親友は黙って抱きしめた。
「死霊はもういなそうだね…」
「ですわね。無事全滅完了ですわ〜」
数分後、完全復活したレヴルが意気揚々と言う。残りの死霊がいないか館内を歩き回る4人だったが、一匹たりとも見当たらなかった。
「ってことは…!?」
「館ゲット!?」
「そういうことですよね!?」
「すぺええええ!!」
全員が廊下でぴょんぴょん跳ねて喜んだ。
後日、館の管理者が保育園廃墟やってきてその所有権を正式に譲ると発表した。
「やったあああ!」
「その件でもう一つ。正確な館の主といいますか管理者を決めないといけないんですが…誰にしますか?」
旧管理者が言った。レヴルは少しも表情を変えずに自信満々に言った。
「リコルちゃんですわ!」
「え?!」
リコルは驚く。しかし他の2人も賛成らしい。
「リコルちゃんが1番責任感があるし、私たちが出会ったきっかけだからリーダーみたいなものだね!」
「リーダー…」
リコルはその言葉に魅力を感じたが、すぐに考え直した。
「違うよ、リーダーなんかじゃない。私たちの立場はみんな同じだよ。」
「じゃあただの館の管理人ですわね!」
「そういうこと!」
旧管理者は無言で頷いた。
「それでは今からあの屋敷はリコル様の所有物となります。もちろんお友達もご一緒に同居しても構いませんよ」
そう言い残して旧管理者は去っていった。
「早速移住しよ!」
「すぺ〜!」
4人は三日かけて荷物を屋敷へ運び込んだ。これだけ広い屋敷ならば、全員の夢…普通の人間に馴染めない人たちが安心して暮らせる団体の完成もそう遠くない。
「そういえば…」
荷物をすっかり入れ終わった屋敷の個人部屋のベッドで、リコルとレヴルは一緒に座って話していた。ベッドには安心感のある白い布団が敷かれ、木の部分には初代の家主であろう者の「これっと」という名前が刻まれている。
「こんな場所に屋敷を建てるなんて…コレットさんって人も私たちと似た境遇だったのかしらね」
「そうかもね…」
「ま、それはそうとして。私が聞きたかったのはそこじゃありませんわ。」
レヴルがリコルにさらに近づいて聞いた。
「私たちは普通の人間の中に馴染めない人たちが暮らせる団体を作ろうとしているわけでしょう?団体名はどうするんですの?」
リコルは少し照れた表情をしている。
「一つだけ候補があるんだけど…【瓦紅京】ってのはどうかな?」
「ふーん…あんたにしてはいいネーミングですわね。」
レヴルが微笑みながら言った。
「きっといい団体になるよ…いや、かならずしてみせる!」
両親に捨てられた異形少女は、わずか二ヶ月足らずで団体を結成した。
団体名は、「瓦紅京」。
周りに馴染めない方、行き場のない方は歓迎しております…。