「左舷イーゲルシュテルン七番、八番被弾ッ!」
「フレア弾散布、急いでくださいッ!」
ラグエルのメインブリッジは極度の緊迫感に覆われていた。
モビルスーツ隊の奮闘もあって敵戦力は確実に減っているが、それでも度々着弾したミサイルが艦を揺らしていく。
整備班も各所のダメージコントロールや、一時帰投した機体の応急整備と補給で手が足りない。
「ゴッドフリート一番、二番ッ! 撃てえッ!!」
艦上部に備えられた主砲が無人機のジンやディンを貫き、爆散させる。
無人機をタレットの代替として運用しているのであれば迅速な回避行動は取れないだろう。
であるならばと優先的に排除しているのだが、いかんせん数が多い。
「連中、よくもまあこれだけの戦力を……ッ!」
ザフトにおいて既に型落ちとなっているジンやディンは、民間等に格安で払い下げられていた。
旧式とはいえユーラシア連邦からの独立を目論んでいる武装勢力など、引く手数多である。
独立を果たしたファウンデーション王国などその最たるものだろう。
旧ザラ派が彼らの運用法を模倣するのは当然と言える。
「一体ザフトはどういうつもりで……ッ!」
なおも飛来するミサイルへの迎撃指示を出しながらエリアスは吐き捨てる。
彼からすれば国防産業理事であるディーン・アズラエルのような金の亡者にも嫌悪感を覚えるが、無責任にモビルスーツを払い下げて戦火を拡大させるザフトも同様だと思えた。
よもやユーラシア周辺の政情不安を煽る為だとは思いたくはないが、結果的には火に油を注いでいると思われても仕方ない。
「それは無事に切り抜けてからにしましょう。とにかく今は……」
幾ら無人機といえど無尽蔵にミサイルが積んである訳ではない。
とはいえそれまでに耐えきれるかといえば怪しいところだ。
その時、シエラが見据えていたディスプレイに何者かが映り込んだ。
『随分と足掻いているようだな。ラグエルの諸君』
映っていたのは見慣れた仇敵、ブルーコスモス残党を率いるユリエールだ。
この状況を愉しむかのような嗜虐的な笑みを浮かべていた。
そして傍らには相も変わらずフェリクスが静かに佇んでいる。
「……旧ザラ派の残党まで動かすとは大したものですね」
『偶然だよ。しかしお前達は実に人気だな。羨ましい……実に羨ましい』
シエラの言葉に対してもユリエールは余裕の笑みを崩さない。
現状において、わざわざ回線をオープンにしてまで呼びかけてくる意図は不明だ。
この期に及んで揺さぶりを掛けるも何もないだろうとは思うが。
とはいえ折角の状況だ。何かしらの意図を引き出しておきたいところではある。
「そんなに羨ましいのでしたら、是非ともお相手を譲りましょうか? 血のバレンタインからこの方、随分とあなた方にご執心のようでしたからね」
『まさか。彼らはお前達のファンだ。我らでは務まるまい』
皮肉にも動じずに肩を竦めるユリエール。
ただ……今の含みを持たせた言葉から、この状況は偶然ではなく意図的に引き起こされた可能性がより高くなった。
『まあ……お前達の掲げるお題目が夢物語に過ぎないという点については、同意できるがな』
足を組み、こちらを見据えるユリエールは静かに嗤う。
いずれにせよ、確かにブルーコスモスにしろ旧ザラ派残党にしろ、立ち位置こそ違うがナチュラルとコーディネイターの共存などというお題目は到底認められない。
お膳立てしたのが誰であれ、コンパスの排除を優先するのは理解はできる。
なにより二度の大戦を引き起こし、果てに世界さえ滅ぼしかけたのだ。
そして今も爪痕は人々の心に深く残っており、傷跡もまた癒える気配はない。
平和よりも、血を血で贖えと叫ぶ者の声が大きいのも、さもありなんと言える。
「確かに夢物語でしょうね。その理想を掲げるには互いに……あまりにも傷つき過ぎました」
だとしても、とシエラは顔を上げる。
その双眸に宿るのは確かな意思の、決意の光。
ユリエールの、人を象った悪意を射貫かんとせんばかりの。
「ですが世界は、二色に塗り分けられるほど、0か1で定義できるほど単純なモノではないのですよ……だから私達は、こうして此処にいます」
世界平和維持機構コンパス。
大西洋連邦、オーブ、プラントが共同で発足させた組織である。
その発足経緯は決して純粋な平和を願う想いばかりではなかった。
平和と友好の水面下には、各々の思惑が渦巻く伏魔殿と言ってもいいのかもしれない。
だとしても、こういった組織が発足した事にこそ意味はあるのだ。
長い歴史の流れからすれば小さな一歩。
不安ながらも踏み出した足元のすぐ傍で、再び互いを憎む世界が顎を開いていたとしてもだ。
『……成程な。私の言いなりになっていた小娘が、随分と立派になったものだ』
人の心における光を信じようとするシエラを前に、ユリエールは口の端を吊り上げる。
しかしアームレストを握る手は僅かに震えていた。
怖れではなく……怒りに。或いは。
『……立派すぎて目障りだ。ここで消えてもらおう』
ヴァーティカルは灰色の空を縦横に、無尽に駆けていく。
背中に広がる蒼い光の翼が空へ軌跡を刻む。
急加速。急制動。急加速。急旋回。
繰り返す度に機体が軋み、コクピットのディスプレイは常に何かしらの異常を示していた。
「お願い。今は耐えて……ヴァーティカルッ!」
ネリーのディアボロスが放つビームは、悉く空を薙ぐばかりだった。
ビームを掻い潜りながらも手にした対艦刀を振るい続ける。
大振り故に致命的な一撃こそ貰ってはいないが、ディアボロスは積極的な攻勢には出られない状況に追い込まれている。
無心にヴァーティカルを駆るレンリは、どこまでも意識がクリアになっていくのを感じた。
種が芽吹くかのように開けた未知の感覚は、時の流れが緩やかになるように。
それこそ、機体と一体化したようにさえ思えてしまう。
……スターリンカーのシミュレーションですら、ここまではいかなかった。
「これならきっと……ッ!」
昂る感情のままにレンリはヴァーティカルを駆る。
ディアボロスが撃ち出した《ミョルニル》を躊躇うことなく対艦刀で両断。
緩やかに思える時の流れの中では、どのタイミングで切ればいいのかすら見える。
反撃で放たれた《シュラーク》のビームが迫るが、回避するのではなく更に対艦刀を振るう。
次の瞬間、放たれたビームはおろか《シュラーク》の砲身すら両断された。
対艦刀を振るう際に刀身へ纏わせていたビームフィールドを解放する事により、まるで斬撃を飛ばすかの如く攻撃へと応用したのだ。しかし……
「レッドゾーン……こんな時にッ!」
レンリに掛けられた魔法の時間は、突如鳴り響いたアラートに水を差された。
機体のバッテリー残量は危険域を示している……無理もない。
普段は使わなかったヴォワチュール・リュミエールを起動させたのだから。
VPS装甲がディアクティブとなり、青と白の装甲はたちまち色を失っていく。
『レンリ、こいつを使ってくれッ!』
アーランドが呼びかける方へ目を向けると、ヘリテージがモビルアーマー形態へ変形した。
大気圏内での運用を目的としているであろう戦闘機形態。
しかしそこからヘリテージは、更に二機のモビルアーマーへと分離した。
その内の一機、上半身側を構成していた機体がヴァーティカルへと近づく。
「分かった。ヘリテージトップ、エンゲージッ!」
次の瞬間、ヴァーティカルはシバルリーストライカーをパージ。
そこへ、ヘリテージの上半身側だった機体が接続される。
同時に危険域まで落ち込んでいたバッテリー残量も回復し、装甲も再び色を取り戻した。
『ぶっつけ本番だったけど、どうにか上手くいった……のかな?』
「……大丈夫。異常は今のところないみたい」
レンリの返事にアーランドは通信越しに安堵の息をついた。
ザフトのプライマルステージ・シリーズに分類される最新鋭機ヘリテージ。
そのコンセプトは、かつてザフトが開発したリジェネレイトやインパルスの流れを汲んでいる。
ヘリテージトップとヘリテージボトムと呼称される二機のモビルアーマー形態へ分離。
それぞれが僚機へとドッキングし、武装プラットフォームとして運用できる。
元々はシルエットシステムやウィザードシステムといった装備換装システムに対応している機能なのだが、僅かな改修でストライカーシステムに対しても対応できたとは聞いていた。
まさか実戦でいきなり試すとは思っていなかったが、こうしてうまくいったのなら問題ない。
なおコクピットはヘリテージボトム側にあり、この状態のみでは通常時より戦闘能力は低下していると言っていい。
とはいえ現状ではヴァーティカルが存分に動けており、援護に徹してもらうだけでも十分だ。
ドッキング時に手元へ残しておいた対艦刀を掲げ、ヴァーティカルは再び加速する。
「ネリー、こんな事はもう……終わりにしようッ!!」
「レンリ。ああ……」
蒼き光の翼を大きく広げて迫るヴァーティカル。
それはまるで、かつてのスターリンカーを想起してしまう。
ネリーの目は……心は奪われていた。
自分が奪い、踏み躙ってしまったと思っていたレンリの夢。
それでも……灰の中から蘇ったのかのように、今こうしてネリーの前に在った。
きっと。今の自分が手を伸ばしても届かない遥か高みに。
「私は……私は……ッ!」
逡巡しながらもネリーはマルチロックシステムを立ち上げる。
失った《シュラーク》の片割れ以外の全てが咆哮を上げるが、そのいずれもヴァーティカルを捉えられない。
ヴァーティカルは元々並外れた機動性を誇っていたが、ヴォワチュール・リュミエールを起動させた今、更に一段上のステージに上がっていると言ってもいいだろう。
しかし。それ以上に。
心の裡に広がった逡巡と葛藤が、ネリーを躊躇わせていた。
操縦桿を握る手は震え、頬を涙が伝う。
「でも私は……ブルーコスモスとして……」
今になって気づいてしまった……否、気づかないよう目を背けていたのかもしれない。
自分こそが、ブルーコスモスという存在に逃げていた事を。
そしてブルーコスモスに身を投じ、青き清浄なる世界の為にと多くの命を奪ってしまった。
「そんな私にこそ、貴女といる資格なんて……ッ!」
次の瞬間、強い衝撃がコクピットを大きく揺らした。
いつの間にか背後を取ったヴァーティカルの対艦刀が一閃。
エネルギー偏向装甲諸共、右のウイングバインダーを切断したのだ。
ディアボロスが振り向いたその時、更にシールドごと左腕が断ち斬られた。
『言ったでしょ。資格とか……そんなのじゃなくて』
先程よりも更に強い衝撃がネリーを襲い掛かった。
対艦刀を手放したヴァーティカルがディアボロスへと組み付いている。
そのまま諸共に、アラスカの荒涼とした大地へと叩きつけられた。
『ネリーの傍にいたい。もう一度、夢を目指したい……それで、いいじゃない』
「こんな私を……赦すっていうの?」
操縦桿から手を離したネリーはなおも懊悩する。
……レンリの夢を奪ってしまったばかりではない。
ブルーコスモスとしての活動し、多くの命を奪った事は赦されるものではないからだ。
血塗られたこの手で、レンリの手を取ってもいいとは思えない。
『赦すも赦さないも……先の事は分からないよ。私だってどうにもできない事だってある』
このままコンパスへ投降したとしても、ブルーコスモスとしての活動は罪に問われる。
司法取引を持ち掛けてくるかもしれないが、アルカトラズへの収監や、最悪の場合は処刑も十分に考えられた。
そしてそれはレンリ一人の立場ではどうこうできる問題ではない。
……だとしても。
『けど私は諦めない。その時までは……きっと』
「……昔からそうだったわね。貴女は」
不意に、久方ぶりにネリーの表情が緩む。
思えばレンリはいつもそうだった。
夢に向かってひたむきに努力して、前を向いて。時折危なっかしくすらあって。
きっとそれは、今でも変わらないのだと。
「それからアーランド。あなたにも随分酷い事を言ってしまった……ごめんなさい」
『いいさ。僕だって気掛かりだったからね。それにまだ……プロジェクトは死んでいない』
アーランドが語るには、プロジェクト・スターリンカーは現在凍結中であるという。
とはいえプロジェクト自体はマクグリフ主任の管轄下に移ったそうだ。
扱えるパイロットさえいれば再開の目途も立つだろうと。
……その時に、自分がどうなっているのかは分からないが。
「それを聞いて安心したわ。ありがとう……」
此処が戦場である事も、つい先程まで戦っていた事すら忘れ、ネリーは安堵の息をついた。
諦めたと思っていた夢。
踏み躙ったと思っていた夢。
それらは形を変えども、今此処に在る。
「……もういいだろう、ガルン」
満身創痍といった様子でバージルは肩で息をしていた。
乗機のゲルググは片腕を失い、装甲も各所が損傷しており、バッテリー残量も心許ない。
眼前のディスプレイは異常を示すアラートを吐き続けている。
横にいるクラウスの機体にしても似たようなものだ。
『この俺が、貴様らなんぞに……ッ!』
眼前で大地に片膝をついているガルンのゲイツジェグスも相当な有様だった。
随伴していた無人機は全て叩き落とされ、右腕とシールドを失い、レールガンの砲塔は斬り落とされていた。
ジェグスユニットも片方の主翼を失い、とてもではないがまともな戦闘は行えないだろう。
クラウスと二人掛かりだからこそ、ここまで追い込めたと言ってもいい。
『……殺せばいいッ! ナチュラル共の捕虜になどなるものかッ!』
生き恥など晒すものかと言わんばかりにガルンは吼える。
ザフト正規軍ならまだしも、どう足搔いても国際法上はテロリストとしか定義できない。
つまり捕虜の虐待を禁じたコルシカ条約などは適応外となる。
コンパスはとにかく、その後どのように取り扱うのかは分からない。
プラントへ引き渡すのか。それとも大西洋連邦のアルカトラズへ収監するのか。ただ……
『……敗けたんだよ。お前達は』
クラウスの一言が、戦場へと響いた。
辺りを見回すと無人機は殆ど片付き、まともに動ける旧ザラ派残党の機体も数少ない。
母艦となるボスゴロフ級は生きているだろうが、モビルスーツが残っていなければ大した脅威ではないだろう。
一方でラグエル側の損傷も少なくはない。
幸いにも撃墜された機体はないのだが、ケイトのクラウドダガーをはじめとして数機は損傷が激しく、一時帰投している。
通信によるとアーランド達はほぼケリがついており、ブル―コスモス残党主力は膠着状態が続いているが、手の空いた者が加わればどうにかなる筈だ。
「……なら自爆でもなんでもすればいいだろう」
これ以上付き合いきれんと言わんばかりにバージルは吐き捨てる。
というよりも、かつての戦友がここまで堕ちた様など見ていられなかった。
ガルンとて、ナチュラルを同じ人間として見ていない訳ではないとは思う。
――奴らに知性などないッ!
確かにガルンはそう言っていた。
ナチュラルとて、自分達と同じように笑い、怒り、哀しむ。
それを知ってしまえば、復讐の刃が鈍ると分かっているのだろう。
……ならば知らなければいい。
奴らは愚かで、卑劣で、許し難い存在であると。
耳を塞ぎ、目を背け、そうであると断じる。
そう自分に言い聞かせていたのかもしれない。
「……まあ。お前のような男がいた事は覚えておこう」
曲がりなりにもかつて戦友だった誼として、それぐらいは許されるはずだ。
先にあの世に行ったなら、向こうにいる連中に宜しく伝えておいてくれと心の中で念じる。
『……くっくっ。そういう事か……そういう事かッ!』
不意に、ガルンが嗤った。
あれだけ啖呵を切っておきながら、未だに往生際悪く自爆していなかったらしい。
介錯でも頼もうというのか? ……いや、違う。
不意に感じた違和感が、全力で警鐘を鳴らしている。
『……どうやら貴様達は余程目障りらしいな。連中にとっては』
「……全く、ここまでしても墜とせんとは」
「仰る通りです。新人類とやらがこのザマとは……聞いて呆れますね」
フリアエのメインブリッジにて。
苛立ちを隠そうともせずユリエールが吐き捨て、フェリクスはそれに対して頷く。
旧ザラ派残党は軒並み撃退され、こちらも最大戦力のディアボロスが抑えられてしまった。
ライアン率いるモビルスーツ隊は粘っているが、このままでは不利になるのは間違いない。
そもそも。素性を隠し旧ザラ派残党に『スポンサー』として接触したのはフェリクスだった。
フェリクス自身の伝手を用い、ザフト最新鋭機の奪取まで態々お膳立てしたのだ。
にもかかわらず肝心なところで仕損じ、あまつさえラグエルの介入を許してしまった。
「……あの役立たずの化け物が」
忌々しげにユリエールはディスプレイの一角に映るディアボロスを睨む。
昔馴染みだがなんだが知らないが、絆された挙句にこれだ。
こちらへの呼びかけにすら応答する様子はない。
「私としても彼女がどうなろうと知った事ではないのですが……このままだと厄介ですね」
「……ディアボロスごと寝返ると?」
一番の懸念を口にしたユリエールは眉を顰める。
駒が使い物にならなくなるならまだいいが、ディアボロスまで持ち出されるとなると話は別だ。
頷いたフェリクスはどうしたものかと、暫し思考を巡らせる。
「……敵の手に渡すぐらいなら自爆でもさせればどうだ?」
「まさか、とんでもない……まだ使い処はありますよ。彼女はね」
フェリクスはユリエールの傍から離れ、ブリッジの片隅へと歩き出す。
そして周囲とは少々異なる仕様の、空いている席へと腰を下ろした。
コンソールが起動し、眼前の小型ディスプレイには様々なウィンドウが立ち上がる。
「それに。このまま引き下がって負けを認めるわけにはいかないでしょう」
立ち上がったシステムを確認してフェリクスは満足げに頷く。
元々フリアエがズリエルと呼ばれていた頃に搭載されていた機能だが、扱える者が少ない為にお蔵入りとなった経緯がある。
しかし……フェリクスの手に掛かれば容易いものだ。
「折角ですから。せめてその忌々しい翼を毟り取らせて頂きますよ……片方だけでも」
準備を終えたフェリクスは目を閉じ、意識を……近くを広げていく。
ユリエールの怒りと周囲の焦りが渦巻くフリアエのブリッジから。
今もなお哀れに抵抗を続けているライアンから。
そして……。
――見つけた。
決して希望を見失わずに輝く、忌々しいまでの光。
反吐が出そうになるのを抑えながらも、その傍にあったものを視て捉える。
ボロボロに傷つき膝を抱えている、弱々しい光。
以前なら何者をも寄せ付けようとしなかったそれには、今僅かばかりの安堵が含まれていた。
――だからこそ、楔を打ち込めるだけの隙があるのだ。
昂る気持ちを抑えながらゆっくりと、意識を研ぎ澄ませていく。
まるで得物へと狙いを定めるかのように。
そして囁いた。
ありったけの悪意をブチ撒けて、叩き付けるかのように。
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PHASE-03同様に、次は金曜日です。
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