この素晴らしい世界に後日談を!   作:観葉植物(カズめぐ)

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初めまして!
観葉植物と申します。
最初に書いたようにこちらが処女作で、文章も拙いと思いますが、温かい目で読んでください

それでは、どうぞ!

...あ、時系列は17巻のエピローグ後からです


プロローグ 佐藤和馬の逆襲
この同居人に二度目の人誅を!


エリス様にブレッシングをかけてもらった俺は、屋敷の前に立っていた。

 

そして俺は、屋敷にいるであろう俺を屋敷から追い出した張本人に向かって声をあげた。

 

「アクア、俺が悪かったし、もう二度とあんなバカな事は口走らないって約束するからドアを開けてくれ」

 

すると屋敷の2階の窓が開けられた。

 

「...どうせあんたのことだから、今は約束しても数日後にはまた言うんでしょ。ほら、早く街にいってハーレム作って来なさいよクソニート」

 

...

 

あの駄女神、人がちょっと下手に出ればすぐ調子乗りやがって。

 

「おいアクア、今のうちに鍵を開けておいたほうがいいぞ。じゃないとお前を酷い目に遭わせるからな」

 

するとアクアは鼻で笑い、

「できるもんならやってみなさいよハーレムニート。もう初級魔法のコンボ技なんか喰らわないわよ」

 

「いいんだな?あとで泣きついて来ても知らねーぞ?」

 

「...今なら毎日一日三回ごめんなさい麗しい女神アクア様って言いながら土下座するなら許してあげてもいいわよ?別にあんたの逆襲が怖くなったんじゃないわよ?」

 

...どうやらあの駄女神はもう日和ったらしい。

 

すると、後ろから聞き覚えのある声がした。

 

振り向くとそこには、ゆんゆんにおんぶされためぐみんがいた。

 

「あ、カズマさん、こんにちは。」

 

そう言ってゆんゆんはおんぶしていためぐみんを下ろし

 

「それじゃ、めぐみん、またね」

 

そう言ってあっさり帰ってしまった。

 

いつもめぐみんとどこへ行っているのか聞きたかったのだが...

 

「ええ、また頼みますよ。...さて、何食わぬ顔で帰ってきたこの男は置いておいて、家でお昼にしましょうか」

 

「おい、ハーレム作るっていったのは悪かったから俺も家に入れさせてくれよ」

 

「...ちゃんと反省したら入れてあげますよ」

 

「ちょ...!」

 

そういってめぐみんは家の中に入ってしまった。

 

...

 

「プークスクス!アンナ、よーく見なさい、これが仲間にも見捨てられたニートってやつよ!」

 

そういってアクアは満足したような表情を浮かべ、屋敷の中に戻っていった。

 

...........

 

あんのアマー!

 

よし、絶対あいつは許さん。

 

扉から入ろうと思ったが、流石に鍵は閉められていた。

 

俺は一階の窓を叩き割って強行突入しようと窓に近づき...

 

「おい、何だよこれ」

 

そこを見た感じ、一階の窓には外から木版が打ち付けられ、即席のバリケードのようなものができていた。

 

これでは、時間をかけて木盤を外していたらアクアに駆けつけられて妨害されるだろう。

 

あいつ、俺が出ていってからそんなに経っても無いのにこんなことできんのかよ。

 

その能力をもっと他のところで活かして欲しいものだが...

 

しかし、財布や通帳を家に置いてきた今の俺は無一文だ。

 

このままでは流石に餓死してしまう...

 

だからと言ってあのアホに土下座するなんてことはありえない。

 

そうしてしばらく俺が悩んでいると、足元に紙切れを輪ゴムのようなもので括り付けた何か小さなものが落ちてきた。

 

見上げると、そこには屋敷の窓をアクアにバレないようにこっそりと開き、何かを落としためぐみんの後ろ姿が。

 

落とされたものを見ると、それはどこかで見覚えのあるものだった。

 

思い出した。

 

それはめぐみんの愛用している財布だった。

 

かなり傷が入ってるな...今度新しい財布でも買ってやるか。

 

括り付けられた紙切れには

 

「アクアがカズマの部屋の扉を封鎖しているので財布も通帳も取れませんでした。大して入ってませんがこれで今夜はなんとか凌いでください。」

 

そう書かれていた。

 

めぐみんは俺が財布を拾ったことを確認すると、何食わぬ顔でその場を去っていった。

 

めぐみんが立ち去って程なく、今度は布に包まれた何かが、足元に落とされた。

 

窓を見上げると、金髪の髪がチラッと見えた。

 

おそらくはダクネスも何か落としてくれたのだろう。

 

包みを開けると、そこには見慣れた盗賊団グッズ一式が。

 

弓に鏃がフック状になったロープ付きの矢、特注品のロープなど、一式揃っている。

 

流石にあの仮面はなかったが。

 

とりあえず、2人の意図はわかった。

 

めぐみんの金で今晩の飯を食って、夜になったら弓矢やらロープやらを使って屋敷に帰って来い。

 

そういう言うことなのだろう。

 

...2人とも、ありがたいはありがたいのだが...

 

こんなことをする前にあのバカを説教なり説得なりして欲しい!!!

 

そんな事を思いながらも、飯を食べるために街へ向かう。

 

 

 

<屋敷>(めぐみん視点)

 

カズマが街に向かい始めた事を確認した私たちは、屋敷の窓を閉める。

 

「カズマはちゃんと意図を察することができたのだろうか...」

 

ダクネスがそう呟く。

 

「大丈夫ですよ。あの男はここまでわかりやすくされて意図に気づかないほど頭は悪くないですから」

 

「そうか、なら大丈夫か...」

 

ダクネスはそう返しつつも、どこか心配そうな表情をしている。

 

ハーレムを作るなどと言っている、はたから見たらダメ男にしか見えない男を好きな私たちはやはりどこかおかしいのだろうか。

 

しかもそんな最低な発言をしてもそう言うとこも好きと言ってしまった以上、怒るに怒れないのがまた...

 

「まあ、夜になるまでゆっくり待ちましょう」

 

私のその返事に、ダクネスもそうだなと頷き、部屋に戻る。

 

まあ、あの男のことです。ちゃんと帰ってくるでしょう。

 

 

 

(ここからまたカズマ視点)

 

しかし、どうしたものか。

 

というか、さっきから感じるこのデジャブはなんなのだろう。

 

前にもこんなことがあったような...

 

「お客様?」

 

ウェイターの人から声をかけられ、ハッと我に帰る。

 

「お会計、1600エリスになります」

 

冒険者ギルドの酒場で夕食を食べ終え、会計を済ませようとめぐみんの財布を開くと...

 

「...........」

 

ポイントカードやらクーポンやら宝くじの抽選券やらなんやらでギチギチの財布から、なんとか1000エリス紙幣を2枚取り出す。

 

「2000エリスのお支払いですね。では、400エリスのお支払いになります。またのお越しをー!」

 

なんだか、めぐみんの金を使うのに自分でも不思議なほどに抵抗があるのはなぜだろうか。

 

いや、ポイントカードやらクーポンやら、いい主婦になれそうでそれはいいんだが...

 

なんだろう、ものすごく良心が痛む。

 

俺は本当にこの金を使っても良かったのだろうか...

 

あいつは普段、収入をほとんど俺に預けてるんだよなぁ。

 

受け取る金も食費とか実家への仕送り代だけで、10万エリスも行かない。

 

今回借りた2000エリスは、帰ったら倍以上で返そう。

 

......しかし困ったな。今回への屋敷の侵入はアクアがとにかく厄介だ。

 

めぐみんとダクネスの2人は味方だと考えていいだろう。が、アクアは必ず邪魔してくる。

 

前回の侵入の時もそうだった気がする。

 

あいつ、本当に余計な時だけは勘がいいからな。

 

しかもあいつは俺よりステータスは圧倒的に高いし、バインドも効かないときた。

 

ドレインタッチで吸おうとしても、あいつの体力はダクネスと同等レベルだ。

 

しかも、通帳と財布だけを奪還するにしても、めぐみんによると俺の部屋は封鎖されているらしい。

 

どうしたものか...

 

俺が屋敷への侵入経路を考えながら、アクア達が寝静まる時間帯まで時間を潰すため、街をウロウロしていると、

 

 

「フハハハハハ!両想いでお互いに相手に好意を持ってることを認識しもう恋人同然の状態ながらも仲間以上恋人未満とかいう沸ききらぬ中途半端な関係にある女から貰った金で腹を満たし、もはやどこに出しても恥ずかしくないヒモ同然の男よ。貴様らの恋愛事情にとやかく言う気はないが、いつまで経っても恋人にならないと読者達が発狂してしまうのでさっさと付き合って恋人同士になるが吉。おっと、悪感情、美味である。」

 

「おおお、お前、何言ってくれてんだよ!これ以上女性からの俺の評判を悪くするな!後、読者達って誰だよ!」

 

出くわしたのは、両手に大きな箱を抱えて歩くバニルだった。

 

「...で、お前何してるんだ?」

 

「うむ。またうちの貧乏店主がやらかしてな。現在その尻拭いをしに行く最中だ。」

 

「またウィズが欠陥品を仕入れてきて、その返品をしに行くのか。で、今度はどんなものを仕入れてきたんだ?」

 

「これは貴様ら男性冒険者の天敵であるオークのメスを近づかせないようにするポーションでな。オークが嫌がる匂いを体臭として発し、オーク共を近づかせないようにするポーションでな。お一ついかが?」

 

「いらない。どうせまた何か欠陥があるんだろ?」

 

「うむ。この匂いはマンティコアが好む匂いでな。貴様もマンティコアの恐ろしさは身に染みているであろう?」

 

「あいつらに好かれるんじゃ意味ねーじゃねぇか!やめろよ、シルビアとマンティコアは、俺のトラウマランキングの中でも上位に入ってるんだよ!」

 

「であろうな。そう言うわけで、吾輩は今からこれを返品しに行かなければならぬ。つまり貴様の手伝いはできぬ。」

 

バニルのその言葉に、思わずドキッとする。

 

こいつは見通す悪魔なのだ、おそらくは見通す力を使って俺の言おうとしていたことを見たのだろう。

 

「せめてなんかアドバイスだけでもくれないか?今すげー困ってんだよ」

 

「ほう?悪魔に頼み事をすると言う意味をしっかり理解しているのだろうな?我々悪魔に頼み事をする際はそれなりの代価が必要だ。大悪魔である吾輩との代価は高くつくぞ?」

 

「今度お前がいる時にウィズの店に行ったら、売れない高額商品を大量に買い取ってやるよ」

 

「汝偉大なるお得意様よ。吾輩がアドバイスをやろう!.......サービスでこのポーションもやろうか?」

 

「いらない」

 

「それは残念。では、吾輩がアドバイスをやろう。汝、侵入の際はネタ種族の娘の部屋から入るが吉。いい事が聞けるであろう。そして事前に焼けこげた貧乏店主がいる店に行き、ツケでマナタイトを買うとさらに吉。貧乏店主の代わりにゼーレシルトが接客してくれるであろう。」

 

えらく具体的なアドバイスをくれたバニルに内心驚きつつ、俺はウィズの店へ行くために進路を変える。

 

 

 

草木も眠る真夜中。

 

時計がないのでわからないが、おそらく丑三つ時ごろだろう。

 

そんな誰もが眠っているであろう深夜に、俺は弓矢を装備して屋敷の前に立っていた

 

確かバニルはめぐみんの部屋から入れと言っていたはずだ。

 

俺はめぐみんの部屋の真下に陣取り、弓に鏃の先がフック状になったロープ付きの矢を装填して、そこから屋根目掛けて矢を放つ。

 

なるべく音を出さないようにするために、狙うのは屋根の天辺ギリギリだ。

 

が、この程度の距離なら千里眼スキルと狙撃スキルのアーチャー御用達の合わせ技を使えばまず外すことはない。

 

狙い違わず放った矢はしっかりと屋根へとかかり、伸びるロープを念入りに何回もグイグイ引いてみた。

 

しばらく様子を伺ってみるが、誰も起き出す気配は無い。

 

後は屋根から垂れ下がったロープを伝い、めぐみんの部屋へと...

 

部屋へと...

 

部屋へ....

 

...

 

「......はあ......はあ......!」

 

支援魔法が無いと思った以上にキツい!

 

レベルが上がったから大丈夫だと思ったんだが、そうでもなかったようだ。

 

ロープが滑りやすいのが悪いのか、ほぼ腕だけで登ることになる分、レベルが上がっても筋力が足りていないのか。

 

おそらくはその両方だろう。

 

それでもなんとかロープにしがみつき、ようやく窓の縁に手がかかる。

 

左手でロープを精一杯握りしめ、右手で窓の縁にしがみつき、そのまま呼吸を整える。

 

ある程度呼吸が整ったところでめぐみんの部屋の窓をコンコンと軽く叩く。

 

それをしばらく続けていると、めぐみんがベットから出てきた。

 

そして、俺の姿を確認しためぐみんが、どこか安心したような顔でフッと笑うと

 

...って、あれ?よく見るとめぐみんの部屋の窓にもバリケードがつけられて...

 

そう思い、バニルへ恨みを感じる矢先、めぐみんがバリケードをあっさりと外す。

 

よく見ると、それはバリケードでもなんでもなく、ただのめぐみんがバリケードに見せかけて窓枠にはめていた木の板だった。

 

そして、心なしか嬉しそうな顔のめぐみんが窓の鍵を開けようとカチャカチャやっていた、その時。

 

「見回りでーす!めぐみーん!ダクネース!ちゃんと起きてるー?あの男は必ずこの時間帯にめぐみんかダクネスの部屋から侵入を試みると思うの!しばらくは昼夜逆転の生活が続くけれど我慢してね?」

 

めぐみんの部屋の外から聞こえて来たのは近所迷惑と怒られそうなほどでかいアクアの声。

 

あの女、やっぱり余計な時にばかり頭が回る...!

 

ドアの外から聞こえてきた声に慌ててめぐみんはカーテンを閉めて

 

「起きてますよアクア。こっちは問題ないです。アクアも少し休んだらどうですか?それに、ちょっとぐらい侵入されたっていいじゃないですか。カズマもしっかり反省したみたいですし、そろそろ許してあげても...」

 

めぐみんの俺をフォローする声にドアを勢いよく開ける音がした。

 

「めぐみんダメよ!ニートは甘やかしちゃいけないの。前々から思ってけど、あれね!めぐみんは好きなった男が相当のダメ男でも甘やかしちゃうような、男に甲斐甲斐しく世話して苦労するタイプね!好きになったダメ男が最低な発言をしたり、浮気とかしても、なんだかんだで好きな相手だから怒らずに許しちゃう、そんなタイプよ!私の曇りなきまなこでみたところ、間違いないわ!」

 

「なななな、何を言ってるんですか!そ、そんなことはありませんよ!」

 

アクアの指摘に姿は見えなくても声でわかるほどには狼狽えているめぐみん。

 

そんなめぐみんに対して、アクアは

 

「そう考えると、カズマってめぐみんの理想にピッタシね。もしかして、めぐみんってカズマのことが...」

 

「わ、私の好きな人に関してのことは今はいいじゃないですか!そそそ、それよりもダクネスの部屋を見て来たらどうですか?」

 

カーテンの隙間から中を覗くと、めぐみんが顔を真っ赤にして部屋からアクアを出そうとグイグイ押す。

 

「ねぇ、めぐみんってばなんでそんな乙女な反応をしちゃってるの?もしかして、めぐみんって本当にカズマのことが...」

 

「そそそ、そんなわけないでしょう!ほら、早く行かないとダクネスの部屋からカズマに侵入されてしまいますよ!」

 

「あっ、思い出したわ!そういえばセシリーがめぐみんには好きな人がいるって言って...」

 

「いつまでその話を続ける気ですか!そういう話はカズマが侵入する可能性がなくなってからすればいいでしょう!」

 

「それもそうね。じゃあ、めぐみんは引き続き見張りを頼むわ!」

 

そう言って扉を閉める音が聞こえる。

 

カーテンの隙間から部屋を見てみると、めぐみんが肩で息をしながら顔を真っ赤に染めている。

 

ラブコメチックな会話が聞けたのはいいが、腕がそろそろ限界だ。

 

手に汗が滲み出し、ロープが滑りやすくなってくる。

 

それを腕力だけで支えているため、腕がプルプルと...!

 

力を振り絞ってめぐみんの部屋の窓をコンコンと叩く

 

めぐみんがその音に気づいてハッとなり、慌ててカーテンを開け、窓の鍵を開けるためにカチャカチャし出す。

 

こ、こいつ。

 

さっきの話のアクアからの質問攻めをやめさせるのに一生懸命になってて俺のことを忘れていたんじゃないだろうな。

 

やがて窓の鍵を開けためぐみんが手を差し出し、その手を片手で掴もうとした、その時。

 

「めぐみーん!まだ起きてるー?さっきの話の続きをしたいんですけどー」

 

めぐみんの部屋の外から聞こえてくるのはまたもやアクアの声。

 

あの女、よりにもよってなんでこんなタイミングで戻ってくんだよ!

 

その声にめぐみんは慌ててカーテンを掛ける。

 

「起きてますが、もう私は寝るつもりなのですが。あの話の続きはまた明日にしませんか?」

 

「ええー...私的には今夜のうちに真相を聞いておいて明日のお昼にギルドで広めようと思ってたんですけどー...」

 

クソッタレー!

 

俺は汗で滑る手では窓の縁とロープを掴み続けることができず、とうとう手を滑らせてバランスを崩して落ちかけた。

 

「とにかく、私は眠いのでもう寝ます。アクア、おやすみなさい。」

 

「仕方ないわねー。じゃあ明日の朝教えてよー?」

 

「はいはい、わかりましたよ。」

 

めぐみんがそう返事すると、足音は遠ざかっていった。

 

その後、ひっそりとドアを開ける音が鳴った。

 

おそらくはめぐみんがアクアはいないか念のため確認しているのだろう。

 

その後、しばらくするとカーテンを開け、めぐみんが手を差し伸べてくれた。

 

「捕まってください!」

 

めぐみんの差し出す手を片手で掴むと、もう片方の手で窓の縁を掴み上体を持ち上げる。そんな俺の手を引きながら、俺より筋力のステータスが高いめぐみんが、抱え込むようにして部屋に引っ張った。

 

た、助かった...

 

俺が安堵して、ホッとしていた時。

 

「やっぱりね。」

 

俺がその声の方向を向くと、そこにはアクアの姿が。

 

「めぐみんがこんなに早く寝るなんてありえないもの。絶対何かあると思ったら、やっぱりカズマがいたのね。.........ねぇなんでカズマは泣いてるの?どこか痛いの?」

 

こいつが、まさかこんな推理力、演技力を発揮するとは...

 

思わず目頭が熱くなる。

 

仲間の成長に感動しつつも、やっぱりこいつはいらない時だけ頭が回るなと思う。

 

その、先をちゃんと予想できる頭を、常日頃から生かしてくれればどれだけ俺の苦労が減ることか...!

 

俺がそんなことを考えていると

 

「『ゴットブロー』!」

 

「!あっぶね!」

 

今の自動回避スキルがないとやられてたぞ!

 

「...アクア。そろそろカズマと仲直りをしたらどうですか?カズマも反省してるみたいですし...」

 

「めぐみんったら、いくら大好きだからと言ってこのダメ男を放っておいたらいけないわ!これ以上甘やかしたら、ただでさえダメなカズマが本当に手遅れになっちゃうでしょう?もう手遅れ気味ですけど!」

 

このクソ女。

 

「おいコラ、もうお前と口でやり合う気はないけどな、俺がそんなハーレム作るような男に見えるか?あれは軽い冗談だったって言ってるだろ。」

 

そんな俺の言葉に、アクアは一瞬は怯むものの

 

「汝、生前はじゃんけんとゲームしか取り柄がなかった男よ。今一度、汝がなぜ死んだのか。老人相手なら素通りしたはずの汝が、一体誰を庇ってこの世界に来たのかを思い出し、そして、今の自分の恋愛関係を考え、しょうもないプライドを捨てて名乗りなさい。我が名はサトウカズマ。我こそがロリコンニートだと...」

 

「女子高生助けてなんでロリコン認定されなきゃならねぇんだよ!屋敷乗っ取ったぐらいで調子乗りやがって、お前、今日こそは本気でとっちめてやる!」

 

「誰がロリですか!」

 

正真正銘のロリっ子の声も聞こえた気がするが今はそれどころではない。

 

「めぐみん、守って!危険な侵入の手から私を...痛い痛い!どうして私を攻撃するの!」

 

「お前なんぞ、ドレインタッチで体力吸い尽くした後で簀巻きにして、ゼル帝の鶏小屋にぶち込んでやる!覚悟しろやああああああ!!!」

 

「かかってきなさいよクソニート!油断なんて一切ないこの私に、アンデットのスキルが効くわけがないでしょ?めぐみんもやるならかかってきなさい!勝てると思ったら大間違いよ!」

 

「めぐみん、やるぞ!この調子に乗ってる女をぶっ飛ばすぞ!」

 

「ええ!人のことをロリと言った事を後悔させてやりましょう!」

 

俺とめぐみんはほぼ同時に、アクアに襲いかかった!

 

 

 

「う、嘘だろ...!」

 

俺はアクアに腕を取られ、取り押さえられた状態で呻いていた。

 

抑えられた俺の隣には体力を使い果たしためぐみんが騒ぎを聞いて駆けつけたダクネスに介抱されている。

 

アクアにバインドを使っても魔法で簡単に解除され、初級魔法や中級魔法は魔法で無効化される。

 

そうこうしている内に、魔法で身体能力を強化したアクアに取り押さえられてしまった。

 

しくじった、頭に血が昇ってこいつは基礎ステータスだけは誰よりも高いことを忘れていた。

 

本当に、こういう優秀さを日頃から生かしてほしい。

 

「はあ......はあ....!な、なかなかやってくれるじゃないカズマ。でもこれで決着はついたみたいね!さあ、ごめんなさいを言いなさいな!そして自分がロリコンでありハーレム作るような浮気性のダメ人間だと認めなさい!」

 

俺の上に乗り腕を取った体勢のまま、勝ち誇った声でアクアが言った。

 

そんなアクアに。

 

「ふざけんなよ、誰がロリコンだ!お前、俺にも最後の手段ってものがあるからな?宣言しよう、お前は後数分もしたら泣いて謝ることとなる」

 

そんな俺の言葉に一瞬アクアが怯む。

 

今だ!

 

「『フラッシュ』!」

 

「「ぎゃー!」」

 

なんか声が想定していたより多く聞こえた気がするが、気のせいだろう。

 

俺の閃光魔法でアクアが視力を失っている間に、逃走スキルと潜伏スキルを使って全力で逃げる

 

 

 

 

スキルを生かして逃げていたが、それも終わりか。

 

目潰しした結果アクアから逃げることには成功したが、基礎ステータスが低い俺では逃げるのにも限界がある。

 

俺の部屋から通帳や財布だけでも回収しようと思ったが、とてつもなく頑丈に封鎖されていた。

 

...こうなったら、やるしかないか。

 

.........正直、あまり気乗りしないが......

 

アクアの近づいてくる足音が聞こえる。

 

いや、まずは穏便に交渉で終わらせられないか?

 

ダメ元で、俺はアクアに交渉を持ちかける。

 

「...なあアクア、そこを曲がらずに、怒らないで聞いてほしい。ここは引き分けってことでさ。両方謝ってそれで終わりにしないか?」

 

俺の言葉に、一瞬アクアの足音が止まる。

 

...だが。

 

「プークスクス!あんだけ啖呵を切っておいて、ピンチになったら謝まって引き分けで済まそうとしてるんですけど!まあ、めぐみんやダクネスのために見逃してあげてもいいけ...ど..........」

 

そう言って曲がり角から姿を現したアクアは、そこでピタリと動きを止めた。

 

俺の片手に灯る、爆裂魔法の光を見て。

 

「...ねえ、カズマさん。その、爆裂魔法を一体どうするつもりなの?」

 

「お前が俺に黙って建てた蔵置所を、この爆裂魔法で破壊する」

 

「.............引き分け、だったわね。そうね、カズマさんも反省しているものね。それなら両方謝っておしまいにしたほうがいいわよね。.........だからその爆裂魔法は引っ込めてくれないかしら?」

 

「ダメだ。...だから俺言ったじゃん。そこを曲がらずに、怒らないで聞いてほしいって。これを見た後だったら信用できないだろ?魔法を引っ込めてから殴られるかもしれないし。」

 

「...ねえカズマさん。私たちは仲間よね?」

 

「俺はサトウカズマ。やる時はやる男だ。」

 

「.....ねぇ、カズマさん、冗談でしょ?私たちのカズマさんはそんなことする人じゃないわよね?」

 

俺は泣きそうになってるアクアの言葉を受け流し、爆裂魔法の照準を蔵置所に定める。

 

「.........カズマさん?どうして何も言わないの?わかったわ、私が悪かったわ。だからお願い、その爆裂魔法を引っ込めて!」

 

半泣きになりながら肩を揺さぶってくるアクアの言葉を受け流し、そして...

 

「『エクスプロージョン』!!!」

 

「わぁぁぁぁー!!!!私のお酒のコレクションがー!!!私の蔵置所がー!!!!!!」

 

その日、爆裂魔法の爆音が真夜中のアクセルの街に鳴り響いた!

 

 

 

 

「う、うぅ...私のお酒コレクションが...私の頑張って建てた蔵置所が.....」

 

爆裂魔法を撃った後は大変だった。

 

爆裂魔法の音を聞きつけた街の警官が、屋敷に突っ込んで来て、めぐみんを逮捕したのだ。

 

体力が尽き果ててダクネスに介抱されていためぐみんは眠ったまま、警察署へ連行されていった。

 

さらには街中の冒険者も俺たちに文句を言うために屋敷へとやってきた。

 

あの光景には流石に罪悪感が湧いたが、アクアを諌めるのでそれどころではなかった。

 

泣きじゃくって一歩も動こうとしないアクアの説得は諦め、ダクネスと2人で徹夜で冒険者の対応に当たらなければならなかった。

 

まあ、めぐみんは無実なのだから、今日の夕方までには帰ってくるだろう。

 

そして今、蔵置所の残骸の片付けをするため、アクア、ダクネスと共に蔵置所の跡地へやってきてた。

 

「俺も悪かったよ。でも、俺はちゃんと警告したからな?」

 

アクアはやっと立ち直りはしたものの、未だにメソメソしている。

 

「今度国を挙げての盛大な褒賞授与式の時に王都に行くだろ?そん時にいい酒買ってやるよ。」

 

「.........1番いいのね?」

 

「はいはい」

 

アクアの言葉を適当に受け流しつつ、蔵置所の残骸の片付けをする。

 

すると...

 

「ダスティネス卿!ダスティネス卿はいらっしゃるか?」

 

「私ならここにいるが......その服装、王都からの使いか?」

 

「それよりもダスティネス卿、こちらを。」

 

白いスーツにところどころ金色の装飾姿が施された男が、ダクネスに手紙のようなものを渡す。

 

そしてそれを見たダクネスは急いで手紙を隠す。

 

「...?ダクネス、どうかしたのか?」

 

「い、いや?なんでもないぞ?それよりもほら、蔵置所の残骸の片付けを急ごう」

 

「...『スティール』」

 

「ああっ!」

 

スティールでダクネスから手紙のようなものを取る。

 

それは、アイリスからの国を挙げた魔王軍勝利の祝いのパーティと褒賞授与式への招待だった。

 

「な、なあカズマ、辞退しよう!それに褒賞授与は別にアクセルでも行える!ほら、お前もわざわざ王都まで言って貴族連中の相手をするのは嫌だろう!」

 

ダクネスが必死に俺を王都に行かせまいとする。

 

だが...

 

「遂に来た...」

 

このチャンスを逃すわけがない!

 

「俺の時代が!」

 




まずは最後までお読みいただき、ありがとうございます!
どうだったでしょうか?
お気づきだとは思いますがこちら、11巻のオマージュになります。
後半のアクアとの交渉は17巻の魔王戦のオマージュです。
なお、長いのはおそらくこの話だけだと思うので、「こんな長文読めない」と言う方も安心してお読みください。
正直言ってあんまりカズめぐできなかったのは自分でもちょっと不満です
もっと文才が欲しい...

では、また次の話で!

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