TSヤサグレVTuberは輝きたい   作:恋狸

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性癖デュエル!! #勝ち目無し

「私のターン! ドロー!! 手札から【ドM】を召喚!! ターンエンド!!」

「そう来たか……あたしのターン! ドロー! マジックカード!! 【嗜虐欲(しぎゃくよく)】を発動! 効果で相手のモンスターを破壊!」

「残念だったねレイナちゃん……【ドM】の効果を発動!! このカードは【ドS】以外では破壊できない!! ──嗜虐心が足りないみたいだね」

「なん……だと……くっ、ターンエンドだ」

 

コメント

・なんだコレw

・【まとめ】サーヤはドM。レイナはS寄りの性癖

・嗜 虐 心 が 足 り な い

・初手からやりたい放題で草

 

「私のターン! ドロー! カードを1枚伏せてターンエンド!!」

「あん? 【ドM】であたしを攻撃しなくて良いのか?」

「【ドM】って受け身じゃん。だから攻撃力ゼロなんだよね」

「クソ雑魚じゃねーか」

 

 ……さァ、始まったぜ性癖デュエル。

 コメント欄では困惑してるリスナーが多いみてぇだが安心しろ。あたしも困惑している。

 にしてもサーヤのヤツ、即興で考えた効果にしてはやけに手が込んでやがる……。

 

 ここで説明しておくか。

 架空デュエルとは、一般的なカードゲームのルールをほんのり踏襲しつつ、即興で考えた"自分だけのカード"を使ってデュエルすることである。

 要はクソゲー。

 デュエリストが互いに敬意と自重を持たなければ一瞬で崩壊するという、ゲーム性もクソもねぇヤツ。

 

 具体的に言えば──、

 

『私のターン! ドロー! 手札から【死】を召喚! 相手は──シヌゥ!!』

 

 とかやっちまった時点で冷めるっつーわけ。

 だからこそ、自重を持ってエンタメに昇華しないとならん。

 

 ふざけているように見えて、配信者としての才能と実力を遺憾無く発揮しなければエンタメにならないゲキムズコンテンツなんだよな。

 

コメント

・ドM強すぎだろ! って思ったらちゃんと致命的なデメリットあって草

・サーヤこいつ……マゾへの解釈が深い……!

・多分敢えて大枠の性癖をバトルゾーンに置いたってことはまだ隠している効果があるな……!

 

 にしても何でリスナーどもは架空デュエルの見識が深そうなんだよ。

 もっと困惑してても良いんだが?

 くっそ……ここでの敗北は配信者としての敗北も意味するからな……負けてられねーが……くっ、意外と性癖を開示するのが恥ずかしいっっ。

 

 あーくそ!! 知ったこっちゃねぇわ!!

 どうせ開示したところでリアルのあたしがバレてるわけじゃねーんだ。心を落ち着かせろあたし。

 

 ……よし。

 

「あたしのターン! ドロー! 手札から【年下の陰キャ女】を召喚!! 更にはマジックカード! 【メガネ】を発動! 効果で【年下の陰キャ女】の攻撃力と防御力が上昇する! 食らえダイレクトアタック!!」

  

 あたしは頬を微かに赤らめながら高らかに性癖を宣言した。

 

コメント

・わかる! わかるぞレイナ……!

・メガネを外して攻撃力を上げるのではなく、メガネを掛けることで攻撃力を上昇させるのは"わかっている"と言う他ないね。チャンネル登録しました

・これは痛い攻撃

・オタク特有のスピードアタッカー(早口)

 

「ぐはぁっ!!! ふっ……やるね、レイナちゃん。ちなみに私も高校時代は陰キャ女だったよ」

「どうでも良い情報の開示ありがとな。知らねーよ帰れ」

 

 サーヤがニヤつきながらそんなことを言ったので、いつもの調子で罵倒を返した途端──突如として彼女の雰囲気が変わった。

 

「──トラップカード発動!! 【罵倒の雫】!! このカードの効果は……相手が私に罵倒する度に回復する効果だ!!」

「リアルの言動が絡む効果は禁止カードだろ!!」

「罵倒しなきゃ良いだけだよ、レイナちゃん」

 

コメント

・草ァ!!!

・そんなんありかよwww

・初見じゃ防ぎようないけど次回からは罵倒しなきゃいいだけだもんな。良いバランスや

・数値が見えねーからどれくらい回復するのか分かんねーよwww

 

「私の受けた精神的苦痛度によって回復量が変わります」

「バーカバーカ」

「ああ^〜回復回復^〜」

「クソゲーじゃねーか」

 

コメント

・なんで敢えて回復させてんだよw

・この程度じゃ多分あんまり回復しないだろw

・ドMデッキ強すぎだろ

 

 即興で良くもまあそんな動きができるもんだ。

 認めようじゃねーの、サーヤ。てめぇは強い。

 

 性癖の開示で化けるとは思っていたがここまではっちゃけることができるとは……あたしも予想していなかった。

 だからこそなァ、負けるわけにはいかねーのさ。

 

「カードを伏せてターンエンドだ」

「ふふん、私のターン! ドロー! 手札から【罵倒】と【無視】、そして【冷徹な視線】と【合法ロリ】を召喚!! この4枚のカードは攻撃力を持たず、また相手のターン終了時まで破壊されない!! ターンエンド!!」 

 

 なんか非常に嫌な予感がするな……。

 いや落ち着けあたし。相手は頑なにあたしを攻撃してこない。

 これは恐らくドMデッキの強大なデメリット……! 

 

 なんか最後にさり気なく合法ロリを出してきたが、合法ロリがそんな強大な攻撃力を持つとは思えねーし……。

 

「おいおい良いのか? そんなに逃げ腰じゃあたしには勝てねーぜ?」

「確かに危ないかもね。でもレイナちゃん。勝負は終わるまで分からないんだよ」

「それもそーだなぁ」

 

コメント

・何も見えないがアツい戦いなのは分かる……!!

・誰か後日に切り抜きと解説を求む

・ん? 合法ロリ……? いやまさかな……

・【まとめ】レイナ、カードを伏せてターンエンド。サーヤ【罵倒】【無視】【冷徹な視線】【合法ロリ】を召喚。レイナにダイレクトアタックは無し

・まとめニキたすかる

 

 コメント欄も盛り上がってきた。

 何のことか分からねーけどパッションで盛り上がれるのも架空デュエルの良いところだ。

 身近な単語が繰り広げられるだけでも「お、なんだ?」って気になるもんだからな。

 

 さて……そっちがダメージを与えねぇのであれば、あたしは最初に出した【嗜虐欲】のままにひたすら攻撃していくのみ。

 

「あたしのターン!! ドロー!! マジックカード! 【巨乳】を発動!! バトルゾーンにいる【年下の陰キャ女(メガネ装備)】を豊胸し、攻撃力を爆増させる!!」

「巨乳好きなんだ。私も胸大きいよ」

「……くっ」

 

コメント

・豊胸し、ってなんだよ聞いたことねーよwww

・聞き慣れない動詞

・年下の陰キャメガネ女の巨乳って良いよな。リアルにいるわけねーし、いたところで何も発展しないけど

・悲しい妄想の産廃物がコメント欄に蔓延ってる件

・レイナお前……良い性癖してるな!!

・オタクくんの夢みたいな性癖でクソ笑う

・ここでサーヤの自己開示!! 罵倒が漏れかけるが何とか抑えるレイナ!!

・無敵すぎるだろサーヤw

 

 手癖のように罵倒しかけたところで、私は何とか踏みとどまって心の中の舌打ちで済ませる。

 

「まだだ!! 新たに【俺にだけ生意気な後輩】を召喚!! マジックカード! 【センパイ】の効果により【俺にだけ生意気な後輩】はこのターン攻撃力をめちゃくちゃ上げる!!」

    

 あたしはそこで大きく息を吸うと、雄叫びのように攻撃を宣言した。

 

「──ダイレクトアタックだぁぁぁあ!!!」

「グボァッ!!!!」

 

コメント

・こ、これは決まったか……!?

・流石に年下の陰キャメガネ巨乳女子と俺にだけ優しい後輩のセンパイ付きには勝てねぇだろ! ……属性が長いぞ何とかしろレイナ!!

・草

・吐 血 が 迫 真 す ぎ る

 

 ふぅ……決まったか。これであたしの勝ちだな。

 ……そう、思った時。ヤツはまだ諦めていなかった。

 

「ぬかったね、レイナちゃん。あの時バーカバーカなんて言って回復させて無ければ、私は多分負けを宣言していたと思うよ」

「なっ……まだ生きているだと……」

「それでターンエンドだよね?」

「くっ、あぁ。ターンエンドだ」

 

コメント

・激 ア ツ

・生きてるだと!?

・あの属性過多のオタクの夢ハッピーセットを食らって生き残れるヤツがこの世にいただなんて……

・ドMだけあって随分とHPが潤沢だな……

 

 余裕綽々だな随分と……だがこっちのHPはフルマックスにあるんだ。たかが、ドMごときにあたしが負けるわけが──、

 

「私のターン。ドロー。1ターン経過により条件解放──!!」

「なに!?!?」

 

 サーヤが高らかに宣言した。

 ──死の宣告を。

 

「【罵倒】【無視】【冷徹な視線】【合法ロリ】──4枚のカードを合体ッッ!!! 超進化して──

 

 ──レイナ・アルミスを召喚ッッ!!!!」

 

「な、なにぃぃぃい!!??」

 

コメント

・なんだってぇ!?

・これは激アツ

・え、これって暗にお前のことが性癖なんだよ!! って言ってる……ってコト!?

・急にてぇてぇじゃん

・伏線はあったな、確かにw

 

「レイナちゃんでレイナちゃんを……ダイレクトアタック!!!!」

「グハァァッ!! あたしは自分が最強だと思ってるから流石に自分には勝てないぃぃ!!(早口)」

 

 試合終了のベルが鳴った。

 勝者はサーヤ。

 まさかここであたしを出してくるとは……。

 

 というか性癖デュエルに個人名出すってどうなんだよマジで。……とはいえ発想に脱帽した時点であたしの負けだな。

 

「……ふぅ、負けたよサーヤ。てめぇの勝ちだ」

「良い性癖だったよ、レイナちゃん。ほんの少しのニッチさがあれば、もしかしたら今ここに立っていたのは私じゃなくてレイナちゃんだったかもしれない」

 

 そんな言葉を繰り広げ、あたしたちはバーチャル上だったけど──確かに握手をし合ったのである。

 

コメント

・ワイたちは一体何を見せられたんだ……

 

 

☆☆☆

 

 後日。

 あたしは我に返って盛大に布団の中でゴロゴロと暴れまわることになる。

 

「くっそ配信中はテンションがおかしくなるんだよクソがぁぁ……っ。サーヤマジで許さねぇからな……」

 

☆☆☆

 

 レイナ・アルミス。

 チャンネル登録者数21万人(↑2万人)

 

 サーヤ。

 チャンネル登録数11万人(↑6万人)

 

 性癖デュエル最大同接数7万5千人。

 

 事務所トップのチャンネル登録数211万人。

 天下を取る日はまだ遠い。




第一章(序)終了です!!
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