数学者レオニダス・ホイターに転生した大学生、彼の功績を再現しなければ人類史が変わるので必死に再発見します   作:紫 和春

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第24話 算出

 1710年8月18日。

 

「よし、完成したぞ……」

 

 雨宮は微積分に関する基礎的体系、通称「ホイター積分」の論文を完成させた。

 すでにヌルベーイとイリナにも査読をして貰っており、このままカラーニン科学学院とブリニッシュ王立科学協会に送る。

 

「うーん、なんとかここまで終わったぞ……」

 

 しかし、仕事はまだ残っている。ホイターの出力方程式を定義化して論文にしたり、以前提出したホイターの和公式と円陣倍数定理に関する質問に答えるというものだ。

 

「さて、とりあえず出力方程式から順番に論文にしていくか……」

 

 出力方程式は以前計算したように、対水比熱を元にエネルギーの出力を決定する。そのための実験道具がそろそろ届くはずだ。

 

「この頃バタバタしてたからすっかり忘れてたなぁ」

 

 研究ノートをさかのぼり、計算していたページで内容を思い出していると、研究室の扉が開く。

 

「ホイター君、前に注文していた実験道具が一式揃ったよ」

「了解です」

 

 そういって木箱に入った実験道具を受け取る。

 想定していた物品が全て入っていた。

 

「よし、実験するか」

 

 そういって雨宮は実験を開始する。

 まず大きめのビーカーに水を入れ、それを魔法陣で沸騰するまで加熱する。

 その間に、水、銅の容器と攪拌棒、分銅の質量を計測する。分銅には扱いやすいように、細い糸を取り付ける。

 

「銅の容器は97グラム、水の質量は109グラム、分銅は100グラムか……」

 

 少し計算しずらいが、計算できないわけではないので、このまま進める。

 湯煎用の水が沸騰してきたら、そこに分銅を投入する。数十分も加熱すれば、水の沸騰温度である100℃に達するだろう。

 分銅を暖めている間に、銅の容器が収まる程度の小さな木箱を組み立て、そこに容器を入れる。そして容器と木箱の間にウールをありったけ詰め込む。これで温度が逃げにくくなるはずだ。

 この状態で温度を測定する。30.9℃くらいだ。

 これで準備は整った。

 

「実験を始めよう」

 

 分銅を吊り上げ、水の入った容器に投入する。そして攪拌棒で軽くかき混ぜ、温度の変化を見守る。

 温度はぐんぐん上がっていき、数分後には上昇が緩やかになる。そして熱が平衡状態に入った。この時の温度は35.9℃になった。

 これを研究ノートに記載し、早速計算を行う。

 

「えーと……。109、Cw、97、C……。35.9引く30.9で5か。んで100引く35.9を100で掛けて……、割る」

 

 一度分かりやすい式の形にする。割と面倒な分数になった。

 

「……これ、電卓欲しいな……」

 

 しかしそんな便利な道具は存在しない。仕方なく暗算で計算する。すると、すんなりと計算結果が脳裏に思い浮かんだ。

 

「結構分かるじゃん」

 

 こうして計算結果が出た。Cw=10.87Cである。つまり水の比熱は、銅の10.87倍ということである。

 

「よし。またしばらくしたら、実験をしよう。合計で5回くらいすれば、近似値も求まるだろう」

 

 こうして数日に渡って実験を繰り返し、その結果が算出された。最終的にCw=10.872Cという数値に収束した。

 

「よぅし、これで論文の下書き書くぞー」

 

 こうして雨宮は論文の執筆を始める。

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