成り代わりレグルスは強キャラムーブがしたい   作:地獄楽

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最近モンストでMVネオに70連くらいしたのですが、ネオどころか、ピックアップキャラが一体も来ないという意味分からん事態に、思わずスマホをぶん投げそうになりました。

しかも、友達のデータで二体引き当ててしまい、僕のライフはもう0です。そこで気がついたのですが、スバル君の権能って実質リセマラじゃ…


第4話 人の不幸は魔女の味

 

 緩やかな風が、焼け焦げた地面を這う。

 

 雲一つ無い空に、かつて街があったであろう場所を月明かりが静かに照らす。

 

 今ここに勝敗は決した。この先何があろうとラインハルトの勝利は揺るがない。それほどまでに、レグルスの敗北は決定的だった。

 

 しかし、そんなことは関係ないと言わんばかりに彼は笑う。

 期待と好奇心に支配された目をぎらぎらと輝かせながら

 

「エミリア、君は随分とナツキ・スバルのことを知ったような口を聞くね」

 

 レグルスは語り出す。

 何人たりとも口にしてはいけない呪いの言葉を

 魔女の怒りに触れる禁忌を

 それは、彼にとっても賭けであった。

 

「どう言う意味?」

 

 エミリアは見るからに不機嫌な顔でレグルスに問いかける。まるで自分とスバルの関係を否定するような言い草に微かな苛立ちを覚えながら。

 

「事情を知る僕からしたら、ただ"助けられた"の一言で済まされてはあまりに彼がかわいそうだ」

 

 空間が歪み、大地が震える。

 背筋をさすような悪意。

 "事情を知る"その言葉にスバルの血は凍った。

 

 やっぱり、こいつはあの力を知っている。なんで?、どこで知った?今それを言われたら奴が、魔女が来る。

 

 全身の穴から汗が吹き出し怯えるその姿は、さながら死刑宣告を待つ囚人のようであった。

 

「これまで幾度となく積み上げた死体の山を見下ろして、君は一度でも満足して死ねたと胸を張って言えるかい?」

 

 見るからに動揺し始めたスバルとレグルスの訳のわからない言葉に、エミリアはとてつもなく嫌な予感を感じとる。聞いてしまえばもう、いつもの日常には戻れない。

 

 そんな恐怖と不快感を払拭するかのように、彼女は疑問を口にする。

 

「さっきから一体…あなたは何が言いたいの!」

 

 まるでその言葉を待っていたと言わんばかりにレグルスは意気揚々と話し始める。

 

「人々は言う、"力"こそ全てだと。しかし、力に意味を与えるのはその『使い手』だ」

 

「失った命を拾うために自分の命を投げ捨てるこの矛盾、まさに()()と言わずして何と呼ぶ?」

 

 やめろ…やめろ…!それを言うな!誰にも知られちゃいけない…それだけは…!

 

 それは、魔女より与えられた最悪の"祝福"にして、最高の"呪い"

 

 

 ーその権能の名は、

 

 

「死にも…」

 

 

 レグルスが最後の一言を言いかけた瞬間、

 

 

 世界がーー止まった。

 一瞬、時間すら凍結したかのような静寂が辺りを支配する。

 

 

 「愛してる

 

 

 スバルの喉が締まる。

 呼吸が、できない。

 肺に空気を入れても、苦しさしかない。

 耳元で囁かれたその声は、甘く、柔らかく、そして、どこか狂気を孕んでいた。

 

 

愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる…

 

 

ーー全てを飲み込む漆黒の影が、彼らの視界を奪っていく。

 

 空気は凍てつき、心臓の鼓動だけが、世界で最後の音のように響いていた。

 

 そして魔女は、狂ったかのように囁き続ける。

 

 一方的に、押し付けられたそれは、"愛情"と呼ぶにはあまりに歪で、破綻していた。

 

 魔女との会合は世界の終わりとともに幕を閉じるー闇の中、紫の瞳が更に近づく。スバルの鼓動は激しく打ち鳴らされ、彼の心は愛と恐怖の狭間で揺れる。

 

 「私はあなたを愛してる」

 

 そして魔女は、彼に向かって手を伸ばす。

 愛する人を救うため(殺すため)、世界をやり直す(終わらせる)ために…

 

 「あのさぁ、勝手にイチャつくのは構わないけどせめて自分達二人だけのところでやってくれるかい」

 

 刹那、自分と魔女の二人しか居ない空間に聞こえる筈のない声が響く

 

 「ここはもう、君達だけの世界(物語)じゃないんだよ」

 

 常人であれば発狂するほどの瘴気を一身にその身に受けながら、彼は世界の在り方を否定する。

 

 「貴方は、誰?」

 

 魔女からの問いかけに、彼は堂々と名乗りを挙げる。それは世界への反逆であり、己が存在証明。

 

「魔女教大罪司教強欲担当、レグルス・コルニアス…この世で最も完成された究極の個であり、いずれ世界を統べる王の名だ。そして、君を打ち滅ぼす英雄の名でもある」

 

 どんな相手にも屈さず、正面から立ち向かうその堂々たる姿にスバルは、ラインハルトの面影を感じた。

 

 認めたくないが、今のスバルにとっては状況を打開する唯一の"希望"そして、その輝きはまさに英雄そのものであった。

 

 まるで、その想いに応えるかのように強欲の魔女因子は更なる進化を遂げる。今の彼はラインハルトと戦った時以上に、強くなっていた。

 

 湧き上がる圧倒的な力と全能感に浸りながらレグルスのテンションはブチ上がっていた。

 

 

 

 「(何これ、なんか急にさっきとは比べ物にならないくらいの力が溢れてくるんですけど?えっもしかして強大な相手を前に力が覚醒するあのお決まりなイベント!?マジか、俺主人公じゃん!?主人公より主人公してるよね!!!今ならどんな相手にも負ける気がしない。嫉妬の魔女だが何だか知らねーが、2秒でのしてやるよ!!!)」

 

 

 

 そして、物凄く調子に乗っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サテラは困惑していた。

 

 自分と(ナツキ・スバル)しか居ない筈の空間に呼んでもいない部外者が足を踏み入れたからだ。

 

 その事実に彼女の一瞬の困惑は、みるみる内に怒りへと変わる。自分とスバルだけの愛の巣に勝手に入ってきただけでも許せないことだ。

 

 しかし、それ以上にレグルスと名乗った彼は間違いなく自分達の秘密を知っている。

 

 他の魔女達以外知らない筈の情報をどこで知ったのか…それに彼女の本能が今すぐこの男を殺せと言っている。

 

 もはやレグルスを排除するという選択肢以外は存在しなかった。

 

 次の瞬間、無数の影の手を使い彼を押しつぶす。その圧倒的な質量から繰り出される攻撃は、ラインハルトですら無事では済まないだろう。

 

「さすがは、かつて世界の半分を滅ぼしたとされる厄災の魔女。封印されているとはいえ、とんでもない力だよ」

 

「だが、今の僕は調子が良い。まさに、最高にハイってやつさ」

 

 サテラの顔は見えないが彼女のヴェールに包まれた顔の下は、驚愕の表情を浮かべているだろう。

 

 目の前の男は、自分の攻撃をいとも容易く消し飛ばしていく。

 

 どれだけ勢いを込めても一撃で吹き飛ばし、手数を増やそうにも腕の一振りで薙ぎ払う。

 

 鳴り止まぬ轟音、絶えず発生する衝撃波化け物同士の一進一退の攻防は、昔見た特撮映画を彷彿とさせる。スバルの情緒は既に正気では無かった。

 

 サテラの攻撃は、さらにその勢いを増していく、先ほどとは比べ物にならない数の影の手がレグルスの命を奪いに行くが、依然として致命打を与えることはできない。

 

「いくら手数を増やそうとその程度の攻撃じゃ意味ないっていい加減気づいたらどうなの?400年も生きてボケてしまったのかな?」

 

 レグルスは余裕の表情でサテラを煽り倒す。

 

 彼女のことをこれ程バカにできるのは世界中探しても彼くらいだろう。

 それほどまでに、魔女と言う存在は圧倒的で畏怖の対象なのだ。

 

「おいおい、なんかラインハルトと戦った時より強くないかお前?」

 

 スバルはどこか遠い目をしながら一人言を発する、それを聞いたレグルスはまるで当然だと言いたげな表情で答えた。

 

「愚問だね、相手に勝つために相手を上回るのは至極当然のことじゃないか」

 

 「(それができたら誰も苦労しねえよ!)」

 

 今この場で余計なことを言って彼の機嫌を損なう訳にはいかず、言いかけた言葉をグッと飲み込んで我慢する。

 

「だから恐れることはない。君が心の中で思い描く絶望は、すでに僕の手のひらの上にある」

 

 レグルスは自分の腕を高らかに掲げ、終わりを宣言する。

 

「次が最後の一撃だ、僕は手加減が苦手でね、どうか死なないでくれよ【嫉妬の魔女】サテラ!」

 

 次の瞬間、膨大なエネルギーが彼の右手に集約していく、そのあまりの量に耐えきれなくなった空間が音をたてながら崩壊しているが、レグルスはそんなこと気にも止めず、さらに力を高める。

 

 彼女は咄嗟にスバルを庇い、迎え撃つ準備をした。それを確認した後、彼は静かに右腕を振り下ろす。

 

ー刹那、極光が世界を包むー

 

 闇と光が激しくぶつかる様はとても美しく、見るもの全てを魅了するような儚さがあった。

 

 その威力は凄まじく仮に現実世界で放たれたとすれば、大陸一つは簡単に消し飛んだだろう。

 

 やがて眩い光が闇を飲み込んでいく、これ以上は分が悪いと感じたサテラは暗がりの中に消えてゆく、同時にスバルの意識は遠のき、現実で目を覚まそうとしていた。

 

 薄れゆく意識の中、彼は最後の力を振り絞りレグルスへ問いかける。

 

「お前の目的は何だ、俺のことをどこまで知ってる?」

 

「勿論、全て知っているとも何たって僕は君の大ファンなんだよ。しかも君は僕の予想を遥かに超えて、成長した」

 

ーそれはまるで夢を語る子供みたいに弾んだ声であった。

 

「僕の目的は運命を変えること、それは己の過去に終止符を打つと言っても過言じゃない」

 

「それに…おっと時間のようだ、少し残念だけど君と話せるのはここまでみたいだね。嫉妬の魔女を追い払った今、この空間は崩壊寸前だ。君の意識もじきに目覚めるだろう」

 

「最後に一つ勘違いしないで欲しいが、あくまで僕は撃退しただけであって、討伐した訳じゃない。本来の力を取り戻した彼女にはこうも簡単にはいかないだろう」

 

「今君からその権能がなくなれば元も子もないからさ」

 

 つまり彼は、その気になればいつでも魔女を殺せると言っているようなもので、スバル自身あの戦いを見た後では、本気でやれる気がして思わず苦笑いを浮かべた。

 

「では、次の世界でまた会おう」

 

 その言葉を最後に彼の意識は浮上する。

 

 

「……ル」

 

 

 

「…バル」

 

 

「スバル!」

 

「エミリア…」

 

「良かった!やっと目が覚めた。」

 

 

ーそこには、心配そうな表情を浮かべる銀髪美少女の顔があった。

 

 

「ここは…そういえばレグルスは?あの後どうなったんだ?エミリアたんとラインハルトは怪我してないのか?」

 

 急な質問の数々に少し困った顔をしたエミリアは彼を宥めようしたその時ちょうど部屋に入ってきた人影がスバルの疑問に答える。

 

「そのことについては僕から話そう」

 

「ラインハルト!無事だったのか」

 

「なんとかね、それよりレグルスのことだが突然現れた影に呑まれたと思えばいつのまにか姿を消していた。すまない…あの時すぐに僕がトドメを刺していたら…」

 

 気を落とすラインハルトの姿に一瞬目を丸くしたスバルはすかさずフォローを入れる。

 

「いや、まさかあんなことになるなんて誰も予想できねーよ。それにお前がいなきゃ俺達はとっくの昔に詰んでた。撃退できたのは間違いなくお前のおかげだ。」

 

「そう言ってもらえると、少しは僕も役に立てたと思えるよ」

 

「いやいや、お前の活躍が少しなら俺何にもできてねーじゃねえか」

 

「君がレグルスの弱点を暴いたからこそだよ、君がいなきゃ僕は負けていたかもしれない」

 

「それなら俺は弱点見つける前にやられてるわ」

 

「しかし…」

 

「はい、この話はおしまい。どっちかが居なかったらレグルスを倒せてなかったし、二人ともすごーく頑張ったじゃない。もう、どうして素直に自分を褒めてあげれないの」

 

 このままでは一生話が進まないと感じたエミリアが仲裁に入る。どちらも素直に自分の頑張りを認めない様子に呆れながらも二人らしいとどこか安心した様子であった。

 

「それとスバル、君に一つ聞きたいことがある」

 

 先程までとは打って変わり、神妙な空気が部屋を支配する。いつになく真剣なラインハルトの顔にスバルは思わず息を飲んだ。

 

「突然現れたあの影、僕には君の体から溢れ出したように見えたのだが、何か心当たりはないかい?」

 

 スバル自身そのことについては聞いてくると思っていた。

 最初ははぐらかそうと考えていたスバルであったが、心から自分を心配する彼らの表情を見て下手な言い訳はできないと判断した。

 

 少しだけ考えた後、彼は意を決した顔で口を開く。

 

「ごめん、今はまだ…言えない」

 

 その言葉は震えていて、今もなおギュッと目を瞑ったその姿はまるで叱られることに怯えた子供ようで到底あのレグルスに対して啖呵を切った男には見えない。

 

 少しばかりの静寂、実際はたった数秒の出来事が今の彼には何時間にも感じた。

 

 しかし、帰ってきた答えは、彼の予想とは裏腹に自分が最も願っていた物だった。

 

「そうか…わかった。君がそう言うのならこれ以上は何も聞かない。だけど、これだけは忘れないで欲しい僕もエミリア様も何があろうと君の味方だ」

 

 あまりにも予想外の返答に、どこか安心した気分になるのも束の間、それで納得できるのかと否定的な感情が、止まることなく溢れてくる。

 

「お前はそれで良いのかよ!?後一歩何かが違えばみんなあの場で死んでたかもしれないんだぞ!エミリアもそれで納得できるのかよ!!」

 

 今の自分が出せる精一杯の声で、思いと気持ちを吐き出したスバルは、やってしまったという気持ちとそんな自分への嫌悪が脳内を駆け巡る。

 

 だがそんなスバルの思いを読み取ったのか、彼の必死の叫びはこの世で一番の想い人によって否定される。

 

「確かに気にならないと言ったら嘘になっちゃう。でも、スバルがそう判断したのには何か考えがあると思うの。私はスバルのこと信じてる。だからもし辛くなったり苦しいと思ったらいつでも相談してね、私頼りっぱなしはいやだもの」

 

 仲間達の思いやりと温かさに思わず泣きそうになったスバルだが、いつまでもみっともない姿は見せられないとなんとかして涙を堪い、いつもの調子を取り戻した。

 

 さっきまでの思い詰めていたのはなんだったのかと言わんばかりにその表情は吹っ切れ、スバルは清々しい笑みを浮かべていた。

 

「心配かけてごめん。でももう大丈夫だ、君の笑顔で元気100倍!ナツキ・スバル完全復活だ!」

 

「もう、また変なこと言って、すぐ調子に乗るんだから」

 

 その何気ない会話は、場の空気をやわらげ戦いが終わったことを感じさせる。

 だが、まだ気を抜くことは出来なかった。

 

 自分達のところでは全員無事であったが、他がそうとは限らない。

 

 少し緊張した声で他のメンバーの無事を確認する。

 

「そういえば、みんなは無事なのか?他の大罪司教はどうなった」

 

「心配しなくても大丈夫、みんなが大罪司教をやっつけてくれたもの」

 

 その言葉を聞き、スバルの緊張が一気にほぐれる。

 レグルスを討伐することはできなかったが、誰も欠けることなく成し遂げたことに安堵の息を吐く。

 

「ただ、リカードが戦いで右手を失っちゃって…もう治ることはないって…」

 

「そっか、リカードが…そうだ、ユリウスはどうなった?まさかあいつまでどっかやられたなんてことないよな?」

 

 スバルはリカードの怪我を憂いつつ友である騎士の安否を確認する。しかし、その人物の名を聞いたエミリアは顔を顰めた。

 

 途端にスバルは、自分の背中に嫌な汗が流れるのを感じる、彼は以前同じような場面に遭遇していた。

 

 様々な感情がスバルの頭の中をグルグルと駆け巡る。

 

 嘘だと思いたかった、信じたくなかった、でも彼女の初めて聞いたかのような顔が全てを物語っていた。

 

 現実はスバルにとっていつも残酷だ。最も聞きたくなかったその言葉は、他でもないエミリアの口から語られる。

 

 

 

「ユリウスって、誰のこと?」

 

 

 

 今ここに、一つの物語が幕を閉じる。だがそれは、次なる章への始まりに過ぎない。

 

 一人の男が起こしたきっかけはこの物語に、良くも悪くも本来のものとはかけ離れた新たなページを書き足して行く。

 

「中々に順調な滑り出しだ。今回だけでかなり意味深な印象を与えれたんじゃない?この調子で賢者の塔編も頑張ろう。いやーどう関わろうか、考えただけでもワクワクが止まらない!」

 

「随分と楽しそうですね、コルニアス司教。」

 

「それはもう楽しみすぎて夜しか眠れないくらい…だ」

 

「ぜひ、私にも聞かせてくれませんか?」

 

「アッ」

 

 一体どのような結末を迎えるのか、今はまだ誰も知らない。

 

 

 

次回レグルス死す、デュエルスタンバイ!





最近は部活の練習やら試合ばっかりで書く時間が全然足りないよーと言っても休むわけにはいかないので、投稿頻度はかなり少なくなりますが、引き続き書いてくので今後ともよろしくお願いします。
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