Gifted Error: 授けられた祝福と呪い   作:灰音ヒビキ

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第2話 歌姫事件報告書

 

 

【歌姫事件 報告書】

 

■ 事件概要

事件名:歌姫事件

実行者:天音 詩音

発生日:××年×月×日

活動期間:7日間

主な発生地域:下北沢および周辺3県

 

■ 被害状況

被害者推定数:2,000万人以上

被害額:3兆円以上

影響:経済・物流・医療・行政機能の完全停止

 

■ 能力詳細

分類:音声媒介型洗脳能力

媒介:肉声、録音、中継すべて可

効果:聴取者を完全支配、支配時の記憶消失を伴う

備考:肉声に強い固執あり

 

■ 評価

戦闘能力:F

脅威度:測定不能(後にSとして初認定)

被害総額:3兆円以上

被害者数:2,000万人以上

 

■ 処理結果

状態:確保後、即時処分

備考:能力者が人類の天敵になり得た初事例。管理機構設立のきっかけとなった。

 

――処分済み――

 

■ 補足資料

 

歌姫事件。

天音詩音が起こした一連の騒動の総称。

主に下北沢を中心とした3県において能力を用いた洗脳が行われ、民衆がその支配下となった。

 

被害者は二千万人を超え、洗脳時の記憶が喪失されることから、正確な被害者数の特定には至っていない。

経済、物流、医療、人間の営むすべての活動が停止し、生存に必要な最低限の行動を除き、一切の自由を奪われ、ただ歌姫の歌を聞くための人形と化した。

 

歌姫が活動した期間は7日間。その被害総額はおよそ3兆円以上と見られる。

歌姫の能力は声を通じて行われる洗脳であり、媒介は問わない。録音であっても、中継であっても、歌姫の歌を聞いた者は支配下に置かれる。

ただし、歌姫は肉声に強い拘りを持ち、それに固執していたため、被害の拡大は最小限に抑えられた。

 

一見すると「戦闘」に向いていないように見えるが、その本質は「集団支配」という極めて根本的かつ致命的な脅威にあった。

声という日常に溶け込む媒体を使い、あらゆる理性と自主性を奪う手段は、物理的な武力や破壊とは異なる静かで圧倒的な侵略といえる。

人々を直接的に傷つけるのではなく、意思と自由を奪うという形で人類全体を無力化する恐怖は、過去のいかなる災害やテロとも比較にならない衝撃を与えた。

 

もし歌姫がメディア、ネットを媒介にして世界中に歌を拡散していれば、人類の歴史、経済、文明、国家に至るまで、すべてが無に帰す可能性があった。

全人類が歌姫の支配する人形になる未来も現実的に考えられた。

 

管理機構の前身となる特殊部隊は歌姫の確保に成功。支配下の人間の抵抗はあったが、被害は比較的軽微に収まった。

能力の詳細が判明すると同時に、即時処分の決定が下された。

 

この事件を通じ、能力者は単なる「個人の超常的力」ではなく、文明の根底を脅かす「存在の災厄」たり得ることが世界に示された。

その影響は計り知れず、能力者管理体制の早急な構築を世界に強く印象づける結果となった。

 

彼女の存在は、戦闘能力を超えた真の「支配の恐怖」を体現した存在として、組織内で後に語り継がれるだろう。

 

この事件をきっかけに、能力者の捜索・管理を担う組織が正式に発足。

管理できない能力者は危険分子として処分することを許される超法規的権限を持つ「管理機構」として、現在に至る。

 

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