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「八層で戦えると判ったことで、そろそろ次の目標を立てたい」
「そうですね。マスターの強さ前提としても、四体を問題としていませんから」
昭信はルミ達を連れて七層・八層と試験的な戦闘を繰り返してみた。
男性ドワーフの方はどちらも探索者であることもあり、そちらにパーティー編成を任せて昭信自身は探索者を抜きソードマスターと料理人のレベルを上げている。適正レベルが上がったお陰もあり獣戦士29/英雄27と順当に上昇。先行していた剣士は31と1しか上がっていない。もう少し戦えば1レベル上がるとは思うが、やはり派生を得る30レベルの辺りからレベルが上がり難くなるのだろう。
「このまま訓練していけばお前たちの実力も上がり、第一ランクのモンスターが終了する第十一階層までは行けると確信がある。だが防備の面で問題が必ず出てくるし、それは俺もお前たちも同じだ。倒せている間は良いが、いったん受けに回ると危険だろう」
「ワシらは無事じゃが守りを主としとるからじゃしの」
「受け損なったら怖いといえば怖いわい」
ドワーフたちには盗賊の付けていた皮系装備を着ている。
原作でも魔法で焼き払っているから十層くらいまでは進めていたが、受けに回ると脆いという局面があった。ドワーフたちは昭信が攻撃している間、守りを固めたりフォローに向かう程度だ。だからこそ問題なく戦えているが、昭信が麻痺したり拘束されたら、助けに行けるか怪しくはあった。そういう意味で昭信の背中を守りつつ、囮となってスキルを受ける立場でしかないのだ。
「人数を増やして、組織的な戦術を覚えるのが現状でも可能な手段。もう少ししたら全員戻ってくるだろうから、六名で戦えなくはない。だが、あえて俺は装備の方を先に充実させたいと思う。無駄にはならないし、以前から言っている効率的な訓練には少数の方が向くからな。そこで博打をしない為には、最低でも鉄装備に切り替え、スキル付き装備がお前たちにも渡るようにしたいと思う」
「……そうですね。十二層以降を考えると、その方が確実かと」
詠唱中断の付いた装備がもう一本あればフォローもし易い。
現状ではスキルや魔法を使おうとした奴を残りのメンバー全員でタコ殴りにしている程度だ。もし移動強化も一緒に誰かに持たせれば、そいつが昭信の後ろについて移動するだけで、相当にやり易くなるだろう。逆に攻撃力が高いタイプの敵である場合は、盾持ちが厚い鎧を着て二人ほど並んで固めれば、昭信が倒している間は自分の命も昭信の背中も守り切れるだろう。
「これに並行して第二迷宮の方も八層程度まで進めておきたい。下位メンバーで潜るのは三層くらいとしても、その辺りまで攻略していれば稼ぐことが出来るからな」
「あそこは面倒じゃないんかの? 毒消しは幾らでも使えと言われとるが……」
「それはグリーンキャタピラーが三層に出るから、五層までという意味ですね」
「ああ。不人気だからこそ誰も入らんちゅうことか」
今のメンバーなら八層くらいは容易い。
そう考えれば不人気である第二迷宮は考え方次第では儲けられるのである。特にボスは雑魚のレアドロップが通常品として落ちるし、昭信が速攻で倒すから苦労はしない。ウドウッドのリーフやラピッドラビットの兎の肉は高額で売れる為、周回するだけで相当に稼げるだろう。ダンジョンウォークは少人数ならそれほどMPを使わないし、それこそ装備を充実させるならばMP吸収の付いた片手剣でもあれば楽になる事をドワーフたちは気が付いたのである。
「そういう事だ。三層までが危険で五層まで続くという事は、それ以上は楽な可能性がある。少なくとも十一層以上に通じる装備を用意するのだから猶更だな。第二迷宮を放っておくと力を溜めて成長しかねんのもある。直ぐに報告するかは別にして、周回するのは悪くないだろうさ」
「では訓練を兼ねながら資金稼ぎ。その予算で防具とスキル結晶ですね」
実のところ、モンスターの構成次第で昭信はソロで挑む気でいた。
ボス部屋の前は基本的に安全地帯であり、モンスターによっては周回するのは割りと簡単である。理想を言えば七層で雑魚狩り、装備を整えれば八層以上というのもありだろう。イザとなればデュランダルと結晶促進だけで巡り続けることも可能なので、料理人を活かしてラピットラビットかパーンが狙い目であると思われた。
「我々が確保しているのは……訓練で何度も訪れる一層から三層の兎が一つ、六層~八層の牛が一つになります。マスターが一日何体も倒している割りに、本当に落ちませんね」
「そんなものだ。シュナイドラーから連絡が届くはずだな。その時に見繕うか」
あれからシュナイドラーは連絡を寄こしてこない。
昭信が発注した残りは、サイクロプス・蝙蝠・コボルトが三枚。その上で、状況によって追加するかもしれないとしている。おそらくはコボルトの枚数が揃わないのだろう。追加発注があれば自分から来るだろうと、ワザワザ連絡を寄こしていないのだと思われた。
(牛は発注しなくても揃うが、カモフラージュの為にもう一枚欲しいな。そうすれば足防具で作り直せる。手持ちにあるが兎もそうか……何だったらコボルト付きで強権装備として売るのも良い。こっちは槍か剣一本で良いわけだし……いや。俺の剣も上を狙うか? 四枠あればサイクロプスとトロールも狙える。だが、それも予算あっての事だな……長期スパンであることを考えれば、カバーストーリーを用意した上で装備を売るのもアリか)
現状は何もかも揃ってないので、全て鉄以上にするだけでも予算が掛かる。
外陣メンバーの奴隷はともかく、昭信やルミにはちょっと良くする程度ではなく、鋼鉄か硬革以上にすべきだろう。特に武器は長く使うので、ダマスカス鋼を狙うのもアリだった。防具に麻痺耐性や毒耐性を付けることを考えれば、やはり金はいくらあっても足りないとも言える。騎士団の為に詠唱妨害の剣を沢山揃えたいから詠唱中断のある剣を売るとか、方法だけなら幾らでもあるだろう。直ぐにやったらおかしな話だが、長期スパンなら隠すことも出来るのだから。
「当面の目標は稼ぎながら訓練を続ける体制を作る事。来年以降の最終目標は、外陣メンバー六人だけで十五層までを突破できるようにすることだな。理想を言えば騎士と料理人に成れる奴を鍛えておけば、ナーシャ家の従士として問題ない強さだろう」
「十五層ですと? いや、ボスだけなのは分かりますがのう」
「ドロップ品のことでしょうね。薬や美味しい食材が落ちますから」
「生活も良くなるし、ワシらも自分を買い戻せるという事か……」
奴隷たちの目標として昭信は判り易い目標を挙げた。
一年間頑張って強く有れば自分を取り戻すことが可能で、晴れて奴隷ではなくなる。もちろん奴隷暮らしの方が安楽だと思うならば、稼いだ金は遊興に使えば良い。あるいはそこまで危険な事をせずとも、ゆっくり強くなって数年後に自分を買い戻すことも可能だろう。つまりはそんな人生プランを掲げて、昭信について行く旨味を説明したのである。少なくともこの先、彼を裏切りナーシャ家を裏切って他の貴族家に引き抜かれる未来が無いように。
(問題は俺の目標の方だな。資金稼ぎを終えるまでに獣戦士31にして、6thジョブを付ければ育成がし易くなる。その後で何を目指すんだ? 何を目指せば強く成れる? 魔法は論外だが……)
探索者は不要になるし、勇者の条件だったとしても必要なのは今ではない。
ならば6thにすれば一つ分の育成枠が出来るし、料理人だってビーストアタックの威力が増すから入れているだけで、食材を残す敵以外には要らないから二枠分が空くことになる。ならばその枠で何を覚えるかが重要なのだ。メイジビルドにはしないと決めているので魔法使いは論外にしても様々な可能性はあった。
(状態異常系の為に暗殺者? それとも能力込みで賞金稼ぎや博徒? その果てにある遊び人に至るとでも言うのか?)
状態異常は有用な能力で、現地産武器がボーナス武器を上回る有用さを示す。
発揮し易い『眠り』を入れるだけで普通に強くなれるが、暗殺者なら『眠り』『麻痺』あたりならまず成功するようになるだろう。また生死不問で雑魚を始末できる可能性があり、器用と腕力が上昇する賞金稼ぎは悪くないジョブである。博徒ならクリティカルが発生しやすくなるし、仲間に暗殺者を入れれば安定した戦いが出来る上、器用も上昇するので悪くはないだろう。それに何といっても遊び人は魅力的である。何しろビーストアタックを二重に載せれば、中層のボスですら一撃で倒せるようになる可能性があった。
(ソードマスターの条件が『剣だけで倒し続ける事』だったとして、それはもう良い。『多数の殺害手段』で武芸百般を試す過程で、僧侶と魔法使いは得るだろう。後は商人と戦士を入れておけば、勝手に幾つかのジョブが達成される。それは確かだ。だが……本当にソレで良いのか?)
昭信は悩んでいた。くだらぬ悩みと言っても良い。
正解など最初から判っているのだ。遊び人で能力とスキルをコピーし、得意分野を伸ばしつつスキルを二重に発動すれば良いと。だが、こうも思うのだ。『それは誰もが通る道』ではないかと。他人と同じことをするのはあまり好まない昭信が居る反面、キャラクター再設定や鑑定のように、必須ではないかと半ば確信している昭信も居た。
(いや、ソレでは上位職を拝むことなど出来ない。剣豪の上は剣聖だろうと漠然と考えていた。どうせそこに至る道などないと信じていた。だが、あるかどうかも判らなかったソードマスターのジョブもあったのだ。目指すべきはその中位職や剣豪、果てに至るのは更なる高みたる上位職ではないのか!?)
遊び人が正解だと判っていた。しかし自分もそうするべきかを悩んでいた。
だが、そうではないのだと気が付いてしまった。薄々そうではないかと思いつつ、意識的に背けていたことに気が付いてしまったのだ。ならばすべきことは遊び人の取得ではない。派生ジョブを探すついでに僧侶や魔法使いを得るのは良いだろう。戦士を上げて騎士を取得するのも、英雄の多くが騎士や侍だから条件探しだと思えば悪くはない。しかし、遊び人まで取得するのは違う気がするのだ。
(ならば道は決まった。次の目標は6thジョブが可能な獣戦士31じゃない! 必要経験値二十分の一が可能な39レベルだ。場合によっては色々と削ることで、36レベルで手が届く!)
昭信は現在の経験値効率二百倍から、四百倍への移行を次の目標とした。
ソロで戦えば現状でもそれなりのペースで、様々なジョブの中位職には届くだろう。だが必要経験値が増える派生職の中位職を探し、それ以上に増える中位職からの上位職など夢のまた夢だ。『生涯目標として達成可能かもしれない』範囲でしかなかった。だが、今の倍の四百倍ならばどうだろう? ソロでボスに挑み続けられるなら三十層後半、ソロは不可能としても五十層の迷宮攻略時点で届き得るのではないかと思ったのだ。仮に至れずとも、育ってない迷宮に苦労しなくなるならば悪い道筋では無いと思われたのである。
●リザルト
アキノブ・タケダ。狼人族。♂。24歳。獣戦士29レベル。
活性枠。入替枠。
獣戦士29/英雄27/剣士31/ソードマスター14/料理人14
村人5/戦士3/薬草採取士24/錬金術師1/神官25/探索30
更新順(古 → 新)
キャラクター再設定1、鑑定1、詠唱省略3、ワープ1、必要経験値十分の一(31)、5thジョブ(15)。
獲得経験値二十倍(63)もしくはデュランダル(63)もしくは獲得経験値十倍(31)と結晶促進三十二倍(31)。端数はいずれもMP回復速度上昇。
ルミ。ドワーフ。♀。17歳。鍛冶師18
資金。5万000ナール
小口現金。3000ナール(常時調整)
スキル装備。加速の皮鎧。強権の鋼鉄の剣(詠唱中断、MP吸収、空き)
スロットのある装備。鉄の剣(空き)、ウッドステッキ(空き)
スキル結晶。兎、牛。(購入予定。コボルトx3、サイクロプス、蝙蝠)
特筆すべき項目。青魔結晶に貯蓄中。緑魔結晶売却。皮防具売却。
現代品の代用レシピ。石鹸・ラムネ菓子
と言う訳で次なる計画を立てる段階です。
●難易度調整
さすがに七層と八層前半では限界があるので次へ。
八層を突破して九層・十層と目指す予定です。その上で原作主人公は十一層で苦戦。
魔法で薙ぎ払う利点があったからサクサク進んだけど、装甲が薄い欠点が出た感じ。主人公は予想と対策を施した感じですね。
この流れで十一層を迎えれば、原作主人公の様にジョブの三十レベル越え当たり前に成って来ると思います。
●奴隷たち先行量産型
先行した二人に任せてれば何とか出来る! までの試用期間中。
あまり関わってると主人公たちのレベルが上がらないので、初期訓練施して下位層回れるようにして暫く掘って置き、一人ずつまた特訓の流れ。
まだ揃ってませんが、いずれは
将来は探索者x3(うち一人は料理人)、戦士(騎士)、僧侶、薬草採取士の6人に成る予定。まあ来年までになれば良いやと言う程度ですけどね。装備は盗賊の付けていた皮装備ですが、将来的にはみんな鉄で騎士候補だけ鋼鉄 + スキル装備の予定。
●将来の大目標!
まさかの遊び人ルート放棄。いや、強いんですけどいつっもの流れなので、ヘソ曲がりの主人公はやりたくないのと、中盤で百獣王に剣士系上位職とかせっかく生えて来たソードマスターの中位職を見たくなったというのもあります。ついでに言うと、遊び人でスキルコピーしなくても、剣士の中位職とか上位職が出てくれば、何とかなりそうというのもありますけどね。
とはいえ、それでは何時になるか分からないのと、ソロでは限界があるので、色々削って必要経験値二十分の一による経験値四百倍になります。