異世界迷宮でロマンスを【完】   作:ノイラーテム

4 / 101
成長計画

(戦いに慣れたら後はフラガラッハに切り替えるとそして……この段階ですべきことはあまりないんだよな)

 

 以前に言った通り、昭信は行動の詳細を決めないが計画性は立てる方だった。

 

ゲームに関してはキャンプ先でも出来るTRPGをやっていたこともあり、データ検証自体は得意ではある。ゆえに最低限必要なレベルが上がるまでを、計画性を立てて考察することにした。

 

(真っ先にすべきは村人5レベルでのジョブ解放と、そこから行う経験値分割の検証だな。それでジョブを極力減らすのか、それとも並べられる範囲で増やしていくのかが異なる)

 

 村人が5レベルになると獣戦士・戦士・剣士と様々なジョブが増える。

 

特に獣戦士と剣士はずっと頼ることになるだろう。中位職が出るまで英雄と一緒にずっと並べていても良いくらいだった(奴隷が増えれば探索者も)。その上でパーティーメンバーの加入だけではなく、ジョブの数で経験値が分割されるのかが重要になる。ジョブで分割されるなら3rdジョブ程度に留めてローテーションすべきだし、ジョブで分割されないならばボーナスポイント次第で増やしていた方が強いし育成が進むのだから。

 

(検証の要になるのは剣士と戦士だな。この二つはおそらく同じ経験値ランクで同じ程度だ。汎用職の戦士と特化職の剣士というところだろう。だから最初にずっと使っていく剣士を育てて計測し、途中から戦士を育て、計測すれば良い)

 

 この二つのジョブは同じ時期に解放され、中位職と能力に差があるだけだ。

 

村人5レベルで解放される中でも獣戦士や、もしかしたら条件の厳しい魔法使いは同じくらいの経験値ランクではあるが、ある程度は経験値が多いと思われる。別格の英雄や中位職以上のクラスはそれより上の経験値ランクと思えばだいたいの推測と今後の計画が出来た。

 

(俺は獣戦士から百獣王というのが表向きの目標だから、無理に探索者を冒険者まで上げる必要は無い。村人から獣戦士に替えたら英雄と共に固定して、三枠目で探索者と剣士をローテーションすれば良いだろう。データを取ったらジョブを増やして検証するとして……倍率的に5つは欲しいな。その場合は探索者と戦士で5枠だが……6枠の場合は魔物の分布情報を調べて薬草採取士を取得するか僧侶……いや、神官だな。格闘でのトドメを刺すのは当面見合わせたい)

 

 昭信がここまで悩むのは原作主人公の序盤成長率が遅い事だ。

 

村人が3レベルになり5レベルになるまで、ロクサーヌ取得のための資金稼ぎもあるのだが、異様に沢山倒している描写があるのだ。必要経験値を低下させ、獲得経験値を上昇させている事を考えたらかなり遅過ぎる。もっとも途中でどちらかを解除して何かを検証している可能性もあった(後に必要経験値を付け替えると、どうなるか分からないのでしたくないという考察を主人公がしている)。そうでない場合はジョブでも分割されるあたりだろう。もっとも、仮にこの説が正しいとしても別に不満はない。この世界のルールはそういう物だと割り切るだけだし、むしろその場合、獣戦士と英雄のみに絞れば原作以上の成長を見せるだろう(もっとも一つに絞って百倍率にした場合、速攻で50レベルがあり得るからこそなさそうだが)。

 

(神官はMPも増えるから経験値が分割されない場合でも育てて損じゃない。少なくとも遊び人を取得したくなるか、剣士の派生職があるかどうかを確認するまでは僧侶などの殺害条件を取得すべきじゃないからな)

 

 もう一つの悩みは原作主人公が途中から剣士を伸ばしていない事だ。

 

WEB版では30まで伸ばして何も無いのだが、書籍ではその流れが消えている。感想返しでは『潰しがきかないから不便そう』とか語っていた記憶があるので、条件取得が厳しいのだろうと思われた。迷宮の外でしか得れないジョブの可能性もあるし、そもそも対人主体の文明(大航海時代系)の世界もあるので、この世界には存在しない可能性もあり得た。

 

(順当に50レベルで得られるのはおそらく剣豪、その先にある幻のジョブが剣聖と言った所だろう。能力の上昇率が増え、スキルも上位互換の『一の太刀』ないし『スマッシュ』と推測できる。主人公がメイジビルドに成った時点で消えた話だからと思うが……。俺でも検証できる内容は、『殺害手段を剣のみにすること』と、その後に『多種多様にすること』か? 一般人殺害数で凶賊と同時に解放とかは試す理由も無いしな)

 

 今のところ武人ビルドで火力型なので、剣士を50まで伸ばす気でいた。

 

必要ならば剣士と剣豪を英雄と一緒に並べる。勇者の条件にこの世界でも探索者があるかどうかで成長パターンは変わるが、そこまでの過程で派生職を調べておくのはアリだろう。特定の方法で敵を倒すことが条件になっている僧侶・騎士・暗殺者は、遊び人を目指さない限り無理に取得する必要はない。仮に火力不足になって、遊び人で能力値増加とパーティ編成を使うと決めた時でも良いくらいだった。よって剣士が30レベルになるまではそれらの条件を実行する気が無く、何も派生しなければ槍を含めて手に入る限りの武器を試すつもりだったのである(もちろん盾でのシールドバッシュも試す)。

 

(侍があるなら目指したいが……江戸時代は文官だったのと、平安時代はボディーガードを兼ねた北面の武者を考えると騎士に含まれる可能性が高いな。ハイランダーは存在するとしてもやはり剣豪相当……。いや山や海で条件解放もあるか? 剣のみでソードマスター、複数武器で武芸者、殺害数で首狩り……があるのかないのか。ふむ、ジョブに関する考察はここまでだ)

 

 昭信は検証もするが体育会系なので大雑把なところで考察を止めた。

 

これ以上は調べて歩くしかないし、誰かに聞いて回るような余裕もない。なので男爵領の領都……というほどには立派ではないが、村としては大き目な本村にあるギルドへと向かったのである。

 

「宿屋だけじゃなく、冒険者ギルドと探索者ギルドまで同じ場所にあるのか」

 

「兄さんここは初めてかい? 見ての通りあんまり大きくないって言うか、先代さまがここを拠点にすると定めて以来だからね。無いギルドもあるくらいさ」

 

 そこを訪れた時、昭信はどこか懐かしさを覚えた。

 

何しろ宿屋のロビーが大きくなっており、そこに冒険者ギルトと探索者ギルドが間借りしている格好だった。当然のように酒場としても使われており……昔のTRPGに出てくる『冒険者の酒場』のようだったからだ。昭信がゲームを始めた頃にはギルドだのクランだのが主流で、小説やら古書の中にしかない存在だった。

 

「なるほど惜しい人を亡くしたようだ。さて……黒魔結晶を1つと、滋養丸・強壮丸を5つずつ、毒消し丸を2つくれるか?」

 

「全部で810ナールだけど、先代を褒めてくれたしね。567ナールでいいよ」

 

 デュランダルが不要な事もあり割引き30%にしておいたが、ちゃんと効いたようだ。

 

これは女将がエマーロ族の旅亭あたりだからだろう。これなら売りの時も期待できるな……と思いつつ、主人公が大きなギルドで売る時は、買取UPを前提にしていたのを思い出す。おそらく役に立つとしたらカウンターで済む宿泊や、薬を売ってもらう時だけだろう。

 

「スローラビット、コボルト、ナイーブオリーブにエスケープゴート? しかもマーブリームやピッグホッグが早い段階で来てるじゃないか。この並びを見ると先代が討伐を躊躇った理由も判るな。察するに迷ってる間に病気になった感じか?」

 

「だろ? おかげでこの村で食い物に困ったことはないね」

 

 この領地が討伐中だった場所は食料迷宮とでも呼ぶべき並びだった。

 

文字は読めないが、モンスターの事を知っていれば文字列で想像は付けられる。暗記術のコツとしては、思い出すキッカケであり『どうやって思い出すか』だ。昭信は原作を参考に出てきたモンスターを文字数に代入することで、おおよその分布を調べていった。その過程で判ったのは、食料に関するモンスターが序盤に集まり、無関係なグリーンキャタピラーやウドウッドなどが後半に集まっている事である。しかも第十二層以降でも食料関係が似たような感じで並ぶため、自分でも討伐は躊躇うだろう。

 

(第四層ボスのパーンはともかく、途中までは周回するだけでも旨味が強いな。もしドワーフたちの奴隷が殊勝な性格をしているなら、村人と一緒に下位層を周回させるか。問題は昨日見つけたあそこだが……おいおい、スパイスパイダーの次はニートアントだと? これで次がグリーンキャタピラーだったら不人気確定だぞ)

 

 モンスターにも人気・不人気というものがある。

 

食材を落としつつ強くないモンスターは、ちゃんと鍛えさえすれば村人や商人でも倒せてしまうから割と人気である(探索者を雇ってパーティ編成できれば楽勝になる)。逆に毒というのは村人には致命傷で、毒消し丸を念のために持っていれば倒せなくはないが、そこそこに堅かったり素早い相手で面倒なのだ。必ず毒に掛かるわけではないからこそ、何個も毒消し丸を持ち込むわけではないだろう。そんな状態で仲間数人が毒を帯びれば致命的だし、それでなくとも採算が合わないのである。もし動きを拘束するグリーンキャタピラーが同時に現われたら、原作主人公でも『単独では』死を覚悟するだろう。

 

(これは主要迷宮でレベルを上げて山の中には後で突入するか……さもなければこの領地以外のダンジョンでリーフを乱獲しないと駄目だな)

 

 だが、既存の組み合わせとしては、『稀にある』存在でもある。

 

ゆえに対処手段も確立されているはずだ。おそらくは毒消し丸の大量持ち込みで仲間と共に強引に突破してしまうか、もっと上位の層にダイレクトエントリーしてしまう事だろう。毒が一層二層に集まっているという事は、第五層以降では殆ど見られなくなるという事なのだから。

 

「仕方ない。覚悟を決めて迷宮に潜ってくるか……。すまない、入り口はどの辺にあるんだ?」

 

「二番目に大きな通りを……って判らないか。少し右に行った通りを北に向かって、領主館に行かないように注意しな。そこにあるよ」

 

「助かった。礼は肉でいいか?」

 

「ははは。戦利品にゃ期待しようかね」

 

 こうして昭信は地道に周回することにした。

 

まずは主要迷宮の第一層で村人を5レベルに。そして獣戦士取得はもちろんの事、剣士の経験値事情をメモに書き取るまでを最初の目標と定めたのである。




 最初なのでネタ帳をコピーして修正するだけなので速いです。
ハンター物も書いてるので、明日からは一日一回くらい。
しばらくしたら書き溜めも無く成って、数日に一回になると思います。

●最初の検証
 経験値がジョブで分割るかどうかは重要ですよね。
分割するなら剣士に絞って速攻で50レベルとか、時間を掛けて百獣王。
分割しないならば原作通り5thジョブ前後でジョブを鍛えれば良いので。
遊び人は二十層から三十層とかで詰まったら仕方なく覚えるレベルですね。
なお主人公は突っ走る性格なので、仮にジョブで分割型なら英雄も外して、初手で百獣王を目指します。

●剣士派生職の考察
 存在しないなら『ありません』で済む話なので、あるけど覚えない。
ダンジョンの中では潰しが効かない火力職でしかない。ということかと。
その一方で、侍・赤枝の戦士などは、騎士の中に含まれてしまうとか、そういうのはあると思います。
とりあえずは、「一意専心」「武芸百般」「常在戦場」とか、いかにもありそうな条件を追う事にしておきます(キャラの性格的にも)

●宿屋で部屋を予約しないの?
 数日は領主の館に客人としてお呼ばれ。
暫定領主さまを助けたので、最初は甘えておかないと失礼なので。
逆にその数日を過ぎたら、出て行かないと公私混同に成りますけどね。
(なあなあになって、助ける義理の代わりに報酬もなあなあ……になり替えないので)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。