異世界迷宮でロマンスを【完】   作:ノイラーテム

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虎穴

「さて、条件は整った」

 

 町でするべきことをしてきた為、後は戦うだけである。

 

家を借りるのは川辺で山側と指定しているので、ナーシャ領ですることは本当に迷宮を攻略する事しかない。まずは放置気味の第二迷宮に移動し、毒虫共のお相手である。

 

「意外と少ないな……やはり盗賊共が拠点にしていた為か」

 

 山中に見つかった第二迷宮はエレーヌたちを襲った盗賊の住処であった。

 

第一層がスパイスパイダーで第二層がニートアント。毒の存在とドロップ品のショボさで探索者たちは嫌がり、村人なんか見る影もない。ただ、盗賊が隠れるには絶好のスポットだ。不人気なスポットと化しており、仮にこの場所が知られた後でも何処かに安全地帯を作って隠れていればまず見つかる事はない。そういった目的もあった為か、雑魚も多いと言う程ではなかったのである。

 

「とか言ってたらコレか。フラグとか言わんよな」

 

 ボス部屋目指して移動し始めて暫く、モンスターの濃い臭いを感じ取った。

 

入り組んだ通路の向こう側に、少し見え難い場所がある。一見ただの通路なのだが……そこから二体どころではない臭いが感じられたのだ。コレをどうするかが悩みどころである。なお、レベルは英雄が3から4に、薬草採取士が2から3になると経験値が溜まり切ってなかった場所が上がっただけである。コレを今までの流れで突破できるとは欠片も信じてはいなかった。

 

(さて、君子危うきに近寄らずと後回しにするのもアリだが……書き置き出来るほど文字を覚えていないんだよな。最悪メテオクラッシュを使えば(・・・)良いんだが……)

 

 何が気に食わず、逃げたくないかと言って解決手段を思いつくからだ。

 

あくまで推測であるが、メテオクラッシュを狙う事は出来る。ボーナス呪文である為、知力のパラメーターやレベルは全く関係ない。よって原作主人公が序盤で使えなかったのは、MPが足りないせいだと推測していた。その後に使った時には遥かにレベルUPしていたので使っても余裕はあったが、ゴッソリ減ったので補充をしたいと思えるくらいには余裕が出来ていた。

 

(ただ、ソレをやると自殺しかねない上、30レベルまでは剣だけでトドメを刺したいんだよな。ならばBPのやりくりだけで何とかするべきだ)

 

 問題なのは強引に解決するとあちこち弊害が出る事だ。

 

原作描写的に何とかなっていたが、その時には英雄も魔法使いも30レベルを超えていたはずだ。簡単に換算して最大MP180以上で、半分以上残っていると思われる。ザックリ考えて消費Pは50~70ほどだろう。だから英雄と神官の2ジョブのみ状態で育ててから、ボーナスポイントを全て精神に注げば一応足りはするだろう。ただ、それをしたくはないのだ。必要経験値十分の一解除とか、トドメの問題とか、自殺したくないという意味で向かないのである。ゆえに正攻法とは言わぬまでも、変化球レベルで何とかしたかった。

 

(薬草採取士と神官に意味はない。外すとして探索者と戦士を入れて体力を増やしておく? いや、ここはむしろ3rdジョブまでにして可能な範囲でレベルを上げておくべきだ。その上で獲得経験値とMP系をデュランダルに置き換えるか、腕力と精神力に振り分ける。いや、敏捷も必要か?)

 

 最初に精神力全ツッパという案を思いついたので、考え方はかなり楽に成った。

 

3rdジョブ・デュランダル・経験値倍率二十五倍までは1レベル時点で組めたのだ。必要経験値十分の一は残しておいて、獲得経験値五倍を消してしまい、端数を入れてるMP回復や結晶促進も使えば問題はなく成る。これを第一案にして、フラガラッハのまま腕力を上げてワンパン出来る状態をその辺のニートアントで計測すれば良いだろう。残りを精神に回せば異常耐性が上がるし、敏捷を上げれば回避も上がるというのを第二案とした。そしてフラガラッハとデュランダルに関して何度も悩んでいると、他のボーナス装備にようやく思い至ったのである。

 

(いかんな。貧すれば鈍するという。ボーナス装備で毒耐性とは言わんが状態異常耐性上昇を探せば良いじゃないか。それに……外に出れないのはダンジョンウォークだ。ワープはボス部屋以外問題ないよな? なら二・三体倒してから出てくれば問題ない)

 

 考え方がフラットに成った瞬間に案が幾つも思い浮かぶ。

 

ボーナス装備の4~5ランクくらいまでの中で耐性系を探すのが第三案。そしてワープを使って即座に出てくるのが第四案になるだろうか? そしてそこまで思い至れば後は組み合わせでしかない。直ぐに出てくるならばデュランダルでMPを回復する必要などはない。フラガラッハと腕力でワンパンし、精神とボーナス装備2~3で出来るだけ耐性を探せば良いのである。その上でワープして一時間以上放置を繰り返しても良いだろう。

 

「後は征くのみ! 肝試しと行こうじゃないか!」

 

 3rdジョブまでにして獲得経験値十倍による経験値倍率百倍状態。

 

この状態でボスであるスパイススパイダーを倒し、第二層で獣戦士6/英雄5/剣士7まで上げた後、一層に戻って追加腕力の確認タイムを始めた。そしてワンパン可能な数値を探っている段階で剣士が8に。やはり百倍状態で戦い続けることで経験値の入りが良く成っているようだ。原作と違ってロクサーヌを連れてないのもあるだろう。第二層でレベルを10以上にした方が良いのではないかと、本末転倒な事を考える位には昭信は戦う事を愉しんでいた。

 

「倒っ……! 流石に都合良くは行かんな! 馬鹿馬鹿しい! 計画が全てオジャンだ!」

 

 魔物部屋に入ろうと壁を探り、それらしき場所を軽く蹴り飛ばしてみた。

 

するとどうだろう、壁の一角が崩落して向こう側に倒れたではないか。回転ドアで閉じ込められるならワープとか、小さな穴ならそこを塞げば良いなど、そんな事は全くなかった。結構なサイズの穴が出来たために、中に居た二十匹は居そうなスパイスパイダーが溢れ出てきたのだ。これには苦笑いを浮かべ、即座にワープで後退する他はなかった。

 

「こっちだこっち! 俺は此処にいるぞ毒虫ども!」

 

 腕力15pあればワンパンだが、残りpの範囲では毒も状態異常耐性も無かった。

 

そこで精神と敏捷に少しずつ振り分け、端数をMP回復速度向上に宛てたわけだが……こんな事なら足防具で移動速度が上がる物を選べば良かったと思わなくもない。とはいえ瞬時にボーナススキルを入れ替えるような訓練などはしていない。迫る敵を何体か始末しながら囲まれないように戦闘。むしろ回避訓練だと思う事にしてスパイスパイダーを次々に片付けていった。よく考えたら一度迷宮の外にワープして、そこで付け替えて魔物部屋の手前まで戻ってくれば良いと気が付いたのは、大多数の蜘蛛を退治した後であった。

 

(今思えば、閉鎖状態が解放されたんだから別に日を置いて倒しても良かったな。モンスターは現れるが魔物部屋は殆ど再形成されない訳だし)

 

 そして考え直す事、三度目か四度目か。

 

周辺のスパイスパイダーを壊滅させたところでようやく気が付いた。魔物部屋は閉ざされた状態の時にモンスターが湧き続けるから問題なのであって、一度部屋が崩れて閉じた空間が無くなると存在しえないのだ。同じ場所にモンスターが湧くとしても多くはない。あの壁が崩れた時点で連中は迷宮中に散り、新しい湧き込みで翌日のモンスターが多少増えた程度だっただろう。その意味で、特に俺が命を懸ける意味は途中から無くなっていた訳である。

 

(それと……何が笑えるかと言って、これだけ苦労して報酬なしという話だな)

 

 思い出してほしい、スパイスパイダーは何も落とさないのだ。

 

一応はスキル結晶を出すらしいが低層ではあまり出ないとのこと。あれだけ戦って得たモノは経験値が多少、それだって二階層以上で戦った方が安定して稼げるだろう。実際に二層に行って暫く戦い、戻ってきただけでレベルアップしていたしな。結晶促進も端数で取った一倍だけだし、経験値が百倍率とはいえ一層目では大したことはない。おそらく三層目に上がって数グループ倒せばそれで済んだはずである。まさに『魔物部屋を一つ消した』ことで人死にが出なかった事、その為に逃げなかった事が唯一の報酬であろう。

 

「案の定、三層目はお前らか。もっと深い場所に届くか、装備が充実するまではどうしようもないな。第一迷宮で鍛えるとするか」

 

 第二迷宮の第三層はグリーンキャタピラーであった。

 

冗談で口にしたフラグが本当に成立してしまったと言えるだろう。この事を報告して得られる報酬は階層段階分だから銀貨三枚、それすら先行した誰かが入れ違いで報告していれば何も無しである。やる気が削がれたところでこの迷宮の事はしばらく忘れることにした。そしてウサを晴らすべく第一迷宮へと戻り、第三層でナイーブオリーブを倒して4thジョブでも百倍率を保てるまで獣戦士を上げる。そして途中からではあるが、オリーブオイルを乱獲しつつ探索者のレベルを上げたのであった。

 

●終了時のボーナススキル

アキノブ・タケダ。狼人族。♂。24歳。獣戦士8レベル。

 活性枠。入替枠。

獣戦士8/英雄6/剣士10/探索者7。村人5/戦士3/神官3/薬草採取士4。

 

 更新順(古 → 新)

キャラクター再設定1、鑑定1、詠唱省略3、ワープ1、必要経験値十分の一(31)。

 

武器5(31)、獲得経験値十倍(31)、4thジョブ(7)。




 今回は定番の魔物部屋に関する話ですね。

第二迷宮の話もしていなかったし、丁度良いので消化。僧侶を覚える時の検証を思い出しつつ、ワンパンモードで挑むつもりでした。まあ、作中の通り緊張はしても苦戦しなかったんですが。

その上で第二迷宮の一層・二層は特に報酬の無いクソステージ。
ボスのスパイススパイダーを周回する気力もなく、蟻の毒針は念のために取って置く為、第三層に行くまで特に報酬はありません。(そして芋虫へ)。

今回に何の意味があったかと言うと、定番である魔物部屋回の消化。
そして主人公の固まった思考を解しつつ、緊張した状態での回避訓練。
ジョブ数的にも次回以降にかなりぶっ飛ばしても違和感なくするため。要するに特訓会ですね。

剣士30レベル時の派生職があるとして、何の条件が必要だと思いますか?(使えるとも覚えるとも限らない)

  • 一意専心。剣だけでトドメを刺し続ける
  • 武芸百般。多数の手段を使ってトドメを刺す
  • 常在戦場。船の甲板や高地で戦う
  • 人間の殺害数が重要。迷宮では無理
  • 最初の文明設定が重要だから無理
  • 剣士自体が派生職。50レベルだけ
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