とある魔術の鈴科百合子   作:稜の幻想日記

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第10話

翌朝。

上条が眠気眼でリビングに入ると──

ちゃっかりソファに座って新聞を読んでいる緑の手術衣がいた。

 

「……おはよう。今日は曇り、午後から小雨の予報だ」

 

「不法侵入してんじゃねえええ!!!」

上条の絶叫が朝から響き渡る。

 

インデックスが寝ぼけ顔で現れ、テーブルを見る。

そこには──整然と並んだトースト、サラダ、目玉焼き。

完璧にホテルの朝食風に盛り付けられていた。

 

「な、なんか……ものすごく豪華なんだよ……」

「玉ねぎの焦げ目は、太陽の誕生を表す」

「意味深に解説すんな!!!」

 

鈴科は額を押さえながら椅子に腰を下ろした。

「……三下、コイツ……昨夜の“おかわり”で帰ったんじゃなかったのか」

 

「なんで勝手に朝食作ってんだよ!!」

上条が半泣きで叫ぶと、新聞をたたんだ緑の手術衣が顔を上げ、淡々と告げた。

 

「学園都市に生きる者すべてを知る者として──朝食のバランスも把握している」

 

「いらねぇぇぇ!!!!」

 

緑の手術衣は新聞をきちんと畳み、ゆっくりと上条を見た。

 

「さて──改めて自己紹介をしよう」

 

「い、いよいよ名乗る気になったのか……?」

上条がごくりと唾を飲む。

 

「私はアレイスター=クロウリー。この学園都市の統括理事長だ」

 

「……統括理事長?」

「あぁ、簡単に言うと管理者だ。君が寝坊して遅刻する確率も、そこの禁書目録がカレーを平らげる速度も、すべて私の計算範囲内にある」

 

「管理のスケール小っさ!!!」

上条が思わず机を叩く。

 

インデックスはカレーの件を思い出したのか、ぷるぷる震えて抗議した。

「わたしの分を食べたのも……計算だったの!? というか私、名前を教えていないのに」

 

「そうだ。栄養バランスの均衡を保つためだ。それと名前など私からすればすぐにわかる」

「嘘つけぇぇぇ!!!」

 

鈴科は深いため息を吐き、腕を組む。

「つまりオマエ、昨夜わざわざ『選択の岐路』とか大仰なこと言っときながら……本当は飯目当てで現れたってことか」

 

アレイスターは一瞬だけ沈黙したあと──

「……カレーは宇宙だ」

「説明になってねぇぇぇぇ!!!!!」

上条とインデックスの声が完全シンクロで炸裂する。

 

「冗談だ。……上条当麻。昨晩も問うたが、君は今『選択の岐路』に立っている」

 

空気が一瞬だけ張り詰める。

インデックスも鈴科も黙り込み、上条の喉がごくりと鳴る。

 

「……選択の岐路、だと?」

上条は眉間に皺を寄せ、声が震える。

 

アレイスターは重々しく頷き、静かに言葉を落とした。

 

「……この世界は詰んでしまっている」

 

リビングの空気が一瞬で凍りつく。

インデックスはクッションを抱きしめ、鈴科は額に青筋を浮かべる。

上条も思わず息を呑んだ。

 

「お、おい……それ、どういう意味だ……?」

 

アレイスターは目を細める。

「……私のプランはすでに崩れ、この世界は破綻に向かっている」

 

重苦しい沈黙が落ちる。

インデックスはごくりと唾を飲み、鈴科は無言で立ち上がろうとした。

上条の背筋にも冷たい汗が流れる。

 

「ま、待て……! 破綻って……お前、いったい何を──」

 

「上条当麻、君は本来──七月二十日に禁書目録と出会い、魔術の世界へと足を踏み入れるはずだった」

 

「……っ!」

上条の目が大きく見開かれる。

視線の端にいるインデックスの存在が、その言葉を凍らせた。

 

アレイスターは淡々と続ける。

 

「だが──その邂逅は全く違うものへと変貌してしまった。それは……鈴科、君の存在だ」

 

「……チッ」

名を呼ばれ、鈴科は舌打ちして腕を組む。

 

「君は本来、まだこの物語には登場していないはずだった」

 

「……は? 物語だァ?」

鈴科は眉をひそめ、鼻で笑う。

「誰の脚本に従えってんだよ」

 

アレイスターは微動だにせず告げる。

「七月二十日──上条当麻が“禁書目録”と出会う。それが、この世界にとって避けられぬ分岐点となるはずだった」

 

上条は息を呑む。

視線の端で、インデックスが不安そうに自分を見上げている。

 

「だが、君が現れたことで……予定されていた運命は狂った」

アレイスターの目がわずかに細まる。

「一枚の歯車が噛み合わないだけで、時計は狂い続ける──既にこの世界は、止まりかけている」

 

鈴科は小さく舌打ちし、腕を組んだまま睨み返した。

「ハッ、上等じゃねェか。俺がいるだけで時計が止まるなら、その程度の世界なンざ壊れて当然だろ」

 

アレイスターはそれには答えない。そしてひと呼吸置き、別の言葉を落とした。

 

「……世界はすでに破綻の道を歩み始めている。最早、私の力ではどうすることもできない」

 

リビングに、短い沈黙が支配した。

インデックスは小さく震え、上条も冷や汗を流すしかなかった。

 

 

「だからって俺たちに何しろってんだよ……」

 

アレイスターはゆっくりと顔を上げ、無表情のまま視線を上条に固定した。

「選択だ──君は今、分岐点に立っている。決断は君自身が下す。だがその結果が、救済になるか破滅になるか……」

 

上条は眉間に皺を寄せ、拳をぎゅっと握った。

「……そんなこと言われても、俺に選べってのか……?」

 

インデックスは小さく肩をすくめ、唇を震わせながらも上条の腕にそっと手を置く。

その手の温もりが、少しだけ上条の決断を後押しするように感じられた。

 

アレイスターは冷たい声で続ける。

「迷うことは許される。しかし時間は限られている。君の選択は、誰かの運命をも左右する──覚悟はできているか?」

 

上条は深く息を吸い、顔を上げた。

「……俺が……決める……」

 

アレイスターは微かに頷く。

「では選びたまえ。上鈴でいちゃいちゃしながら世界を救うのか、それとも孤独に滅びを見届けるのか──」

 

「まてまてまて、何なんだその選択肢は!? 上鈴でいちゃいちゃって何なんだ!」

上条は思わず手を振り、目を丸くしてアレイスターを睨む。

 

アレイスターは眉一つ動かさず告げた。

「説明するまでもない──世界線の改変により、君の隣には鈴科が存在する。可能性は一つ──二人の関係を進めつつ世界を救う、つまり“上鈴でいちゃいちゃ”しか道はないのだ」

 

「はァ!? ちょっと待て、いちゃこらって……俺たちの意思はどうなるんだよ!?」

上条は思わず声を荒げる。

 

「何をそんなに慌てる必要がある? 君たちがいい感じになってくれるだけで禁書目録の件や、その後の不幸な事件がすべて丸っと解決するんだ」

 

上条は頭を抱え込み、思わず床に膝をつく。

「……いい感じって……何だそりゃ…」

鈴科は肩をすくめ、少し呆れた表情で言った。

 

「やっぱこの世界壊したほうがいいんじゃないか」

 

「この世界を壊すなんてとんでもない」

アレイスターは無表情のまま新聞を軽く開き、視線を上条たちに向けた。

 

「……おい、そもそもお前さっきまで世界壊すのも選択肢だって言ってたよな!?」

 

鈴科は腕を組み、目を細めて呆れたように言った。

「どっちつかずの理事長め、いい加減にしろよ」




ここから先は原作崩壊かな
このあとはなんやかんやでインサン助かり
上条は記憶保持
レベル5実験は永久凍結
レベル5の衝突はある
常盤台常盤台でいく予定
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