朝のリビング。カーテンの隙間から柔らかな朝日が差し込み、部屋を穏やかな光が満たしている。その中で、数体のミサカ──妹達が黙々と動き回っていた。動きは正確で無駄がなく、まるで機械のように規則正しい。
ミサカ10032号は手にしたメモ帳をちらりと見て、冷静に報告する。
「百合子、昨晩の冷蔵庫使用状況に異常を確認しました。冷凍食品の約九割が消失しています、とミサカは事実を淡々と述べます」
ソファに横たわっていた鈴科こと百合子は、寝ぼけ眼でゆっくりと体を起こした。
「ちげェ、オレは寝ぼけて冷蔵庫開けただけで……食ってねェ!」
すると、すかさずミサカ10521号が腕を組み、鋭い視線を向けながら言う。
「言い訳は無意味です。床には空のパッケージが散乱していました、とミサカは明確な証拠を提示します」
百合子は観念したようにため息をついた。
「……ぐゥの音も出ねェ……」
そのとき、コーヒーを片手に上条が部屋に入ってきた。彼は呆れたような表情を浮かべながら、百合子を見る。
「おい百合子、お前……完全に妹達に管理されてるじゃねぇか」
百合子は苦笑交じりに答える。
「四六時中、監視されてる感満載だが……まぁ、嫌いじゃねェけどな」
「嫌な慣れだな、おい」
背後から、ミサカ13577号が冷静な声で告げる。
「百合子、そろそろ朝食の準備を開始してください。我々は待機中です、とミサカは申し伝えます」
百合子はやや怒り混じりに振り返り、叫ぶ。
「腹空いてンなら、自分で作りやがれェ!」
ミサカ10032号は即座に返す。
「ミサカ達は“生活能力向上プログラム”の指導により、支援対象者が自主的に動いてくれるのを静かに待つのです、とミサカは遠回しにあなたの行動を促します」
百合子は頭を抱えて呻くように呟いた。
「……何処が遠回しだァ!? それ、結局オレに全部やらせる気じゃねェか……」
その時、妹達の一人が無言で冷蔵庫を開け、ジュースを一本取り出して、勝手に一口飲み始めた。
百合子は慌てて声を張り上げる。
「おい! それオレの分だァァァ!!」
ミサカ10521号は冷静に返しつつ、手元のジュースを掲げる。
「飲み過ぎはよくないですよ、百合子。なのでミサカが飲むのですよ、とミサカは微かな笑みを浮かべながら口元をぬぐいます」
百合子は投げやりに肩をすくめる。
「もう好きにしやがれ……」
妹達は黙々と何かをしている。そんな彼女らを百合子はどこか諦めた表情で見ていた。
そのとき、上条が再び呆れ顔で口を開く。
「百合子ってさ、妹達のごはん作って家事して、ほとんど主婦だよな……」
上条がそっと近づき、百合子の肩に軽く手を置く。
「そんなに大変なら、俺も手伝うよ」と優しく声をかける。
百合子はちらりと上条を見て、少し照れたようにそっぽを向いた。
「……ありがとな。でも、別に大したことねェし」
上条は微笑んだ。
「そうか。でも、困った時は遠慮すんなよ?」
百合子はふっと小さく笑い、目を細めた。
「わかったよ、悪りィな」
妹達は変わらず無表情のまま見守っている。
「三下、もっと働け、とミサカ達は呆れた眼差しを送ります」
上条は苦笑いを浮かべつつも、百合子の隣に立っていた。
リビングには微かな笑いと温もりが満ち、柔らかな朝の光が彼らの日常の断片を優しく包み込んでいた。
互いに視線を交わすたびに、距離がほんの少しだけ縮まっていくのを感じながら。
そんな穏やかな時間の中で、彼らの絆は静かに、しかし確かに深まっていった。
こういう感じでホノボーノとした感じでいくはずだったんだけどね。
登場した妹達の番号はわりと適当