機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE   作:meitoken

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エルドア戦にはいります。


PHASE-4 ブラックナイツ…前編

コンパス、ファウンデーションのユーラシア連邦軍の高官との交渉が行われた。ファウンデーション側が掴んでいた情報通り、ミケールはエルドアの砦跡に潜伏し、地下の隧道でユーラシアとファウンデーションを出入りして物資の調達を行っていたという見解が強まった。

 

協議の結果、ファウンデーションの軍にはエルドアの国境沿いで敵の封じ込めを行ってもらう事となり、ブルーコスモスの鎮圧はコンパスが行う。前線にはアークエンジェルが向かい、ミレニアムは万が一の場合に備えて王城で待機……

 

そして、今回の事前協議の最大の項目は『コンパス及びファウンデーションの立ち入りはエルドア地区に限定』、『軍事境界線を越えてユーラシア領に入り込んだ場合には侵攻行為と見なしてファウンデーション、コンパスを問わず攻撃する』。

 

コンパスもファウンデーションの独立も承認していないユーラシアにしてみれば、これが最大の譲歩と言える。ここまでしてもらっただけでも充分だった。

 

 

 

事前協議を確認したユリは改めて指示を出す。

 

「ミケールの指揮所には私がキラと一緒に向かうわ。カインとアリスはMSをお願い。」

 

〈了解。〉

 

「レイラさんは一緒に来てください。もしもの時は、私の代わりに指揮を執ってください。」

 

〈ええ、良いわよ。〉

 

発進しようとしたとき、シュウが通信に入ってきた。

 

〈ユリ、MSに乗れなくなっても良いけど……帰ってくること。〉

 

あの夜のことが、響いているようだ。少し、悪いことをした。

 

「ええ、ごめんなさい……ユリ・ヤマト、アフェクション出るわよ!」

 

インティメイトアフェクションが先陣を切り、MA形態になって突入する。

 

 

 

カインはクレムのムラサメと通信を繋ぐ。

 

「じゃあ、先に行くよ。」

 

〈ええ、後ろは任せて。〉

 

今回の交渉でミケールを逮捕、最悪殺害になるだろうがそうなればブルーコスモスのテロに大きな打撃を与えられる。負けられない戦いだ。

 

「カイン・L・B・アルベルト、トゥルース行くぞ!」

 

 

 

アリスはブレイブの発進シークエンスを進める。ファウンデーションの連中はどうにも妙な感じがする。だが、少なくともこの作戦中は味方だ。足並みは揃えないと。

 

〈無理はするな?〉

 

「分かってる……アリス・シュナイダー、ブレイブ発進します!」

 

発進直前にアリスは後ろにいるファウンデーション軍のMSを見る。彼らは連合でもザフトでもオーブでも実用化されていないMSの無人機運用に成功している。現在は『ブラックナイツ』をホストに支援砲撃させるようなものだが、それでも凄い技術だ。だが、アリスは無人機というものに忌避感があった。それは、あの戦争で学んだことだ。MSを無人で動かしたら、それこそ只のコンピュータゲームだ。

 

 

 

アフェクションに続き、ブレイブとトゥルースもMA形態に変形し、ムウとレイラのカスタマイズされたムラサメが発進し、グレンとクレムを初めムラサメ隊が続く。

 

ミレニアムからもフリーダム、ジャスティス、ギャン、ゲルググが発進する。ルナマリアはミレニアムの護衛のために待機だ。

 

ブルーコスモスの陣地から旧式の自走砲からミサイルが発射される。さらにジェットストライカーを装備した105ダガーも動き出す。

 

「ヘルダート、ウォンバット、イーゲルシュテルン迎撃開始!」

 

アークエンジェルの対空火器と共にMS隊のビームとミサイルが敵の攻撃を全て撃ち落とした。それがミケール捕縛作戦の始まりになった。

 

 

 

流石にブルーコスモスが現在拠点としているだけあり防御は分厚い。だが、突破できない相手ではない。

 

ユリはアフェクションの背中にマウントされたグラディウス4レーザー対艦刀を展開した。連合の技術協力でビーム砲としての機能が追加され、柄からビームを撃てるようになった。射程はライフルと差がないが、それでも中距離と近接戦闘を得意とするユリには充分だった。MSの足を破壊して戦闘力を奪い、レールガンでミサイルを撃ち落とす。接近戦を仕掛けてきた数少ない飛行MSが来たが、ビームサーベルを抜いて右腕と頭を破壊した。

 

 

 

カインはユリの技量に改めて感嘆する。既に敵だった頃から何度も見ているが凄い……流石に戦車や装甲車は無理だが、MSは極力相手を殺さないようにしている。

 

カインもまた左肩のシールドに搭載されたビーム砲と腰の大型ライフルでMSを戦闘不能にする。

 

 

 

アリスはブレイブのビームサーベルでダガーの頭を切り飛ばし、シールドブーメランでウィンダムの右腕を破壊した。他のジェットストライカーを装備したダガーがミサイルを撃つが、バルカンと対艦刀のビーム砲で撃ち落とす。

 

ヘブンズベースやダイダロスに比べれば少ない数だ。散々手こずらされたが、ここでミケールを逮捕できればブルーコスモスは指導者を失い、空中分解をする。ブルーコスモスの影響から離れた連合も協力してくれるから、今度こそ平和に近づくはずだ。

 

 

 

キラはフリーダムで敵陣深く切り込んだ。ダガー隊を次々と戦闘不能にするが、一発の強力な砲撃が来た。デストロイだ……左腕と胸のビーム砲を一門、バックパックを失っても火力は厄介だ。

 

「下がれ!」

 

後方のムラサメ隊に指示を出すが、砲撃でムラサメが一機撃墜された。

 

 

 

グレンはムラサメの機動力でジェットストライカーのウィンダムを翻弄していた。ビームサーベルでコクピットを串刺しにした。

 

「ちっ、やはりキラ達のようにうまくは行かないか!!」

 

せめて、市街地にMSが墜落しないように相手を誘導しなければ!

 

 

 

クレムもまた、ムラサメのビームライフルで地上の自走砲を次々と撃破していく。キラのいる側では防空陣地に踏み込んだ。その時……

 

「ちょっと、もう一機持ってるの!?」

 

デストロイが現れた。こちらは両腕とバックパックの大砲を失っているが、円盤のビーム砲がある。

 

〈クレム、下がりなさい!〉

 

レイラの指示より先にクレムは後退して砲撃を躱した。

 

 

 

シンは因縁深いデストロイをにらみつける。

 

「まだ、あんなもんを!!」

 

あんな物を二機も隠し持っていた!つまり、まだそうしたパイロットを確保しているということだ!出来れば、パイロットは生け捕りにしたい。だが、エクステンデットの治療は極めて困難。調べている間に死んでしまう可能性も高い上に乗れるように調整されたことで寿命も普通より短いことも分かっている。

 

何度見ても、不快な気分にさせる!

 

「このぉぉ!!」

 

シールドブーメランとビームブーメランをシンが投げ、キラもシールドブーメランを投げる。三つのブーメランがデストロイの腕と頭部を破壊して肉薄する。次の瞬間にはフリーダムと共にコクピットを串刺しにした。

 

 

 

「カイン!私とアリスで接近するわ!援護を!」

 

〈はい!〉

 

MA形態のデストロイはこちらにミサイルを撃つ。トゥルースはライフルをアンフィスバエナ二連装対要塞攻撃砲に連結して撃つ。この位置なら市街を巻き込む心配はない。

 

超火力のビームが大型のミサイルをなぎ払い、デストロイへ向かう。しかし、陽電子リフレクターは健在だったために撃破は出来なかった。

 

だが、それでいい。

 

アフェクションが対艦刀でリフレクター発生装置を破壊し、更にブレイブがシールドブーメランで円盤を切り裂いた。最後に、トゥルースがライフルの銃剣でコクピットを潰した。

 

 

 

デストロイが撃破される数刻前……デストロイの砲撃に巻き込まれた市街の住民がファウンデーション軍に保護を求めてきた。後方には敵の封じ込めのためにファウンデーションのMS…近衛師団専用のブラックナイトスコードシヴァでシュラは一団の中に妙に落ち着いている人間を見た。

 

気付いて数秒後……市民と将兵を巻き込んで自爆した。

 

「車両及び歩兵部隊は下がれ!」

 

〈なんてことしやがる!〉

 

〈汚いにも程があるわ…!〉

 

グリフィンとハイデマリー…ハイディもこれには唖然としていた。

 

 

 

「なんと卑劣な!エルドア市街地の負傷者を至急救助せよ!」

 

城の司令室からこの戦闘の指揮を執るオルフェはこの蛮行に憤慨し、直ちに救助を命じる。そして、同席しているユーラシア軍高官に向く。

 

「よろしいですね?」

 

高官は数秒うなる。

 

「やむを得ん…エルドア地区に限り、救助活動を許可する。」

 

ブルーコスモスのスパイがアレで終わりとは限らない。まだいるかもしれない以上、巻き込まれるのは罪のない民間人だ。彼らとて、この軍事緩衝地帯にミケールが逃げ込んだために巻き込まれた被害者なのだから、助けないわけには行かない。

 

だが、ラクスも高官達も気付かなかった。オルフェがほくそ笑んでいたことを

 

 

 

「了解。」

 

予定通りだ。

 

シュラのシヴァが先陣を切り、控えていたブラックナイトスコードルドラ、更に後ろに控えていたフェイトのブラックナイトスコードミトラ、スズネとユウトのカーマが新型の推進システムビームマントを翻させて発進する。

 

それに続く形でプラントから買い取り、配備されたジンとディンの有人仕様がエルドア地区に入り、無人機仕様のMSはホストの『ブラックナイツ』に続く。

 

『作戦発動だ。』

 

シュラは全員に呼びかけた。

 

『ああ、任せとけ。』

 

『了解。』

 

『皆殺しぃー!!』

 

リュー、グリフィン、リデラート…リデルが応じる。

 

コンパスのMS隊がブルーコスモスの部隊を撃破してくれたおかげでこちらはスムーズに距離を詰められた。そして……

 

〈闇に堕ちろ、キラ・ヤマト。〉

 

グリフィンがそう口にした。

 

 

 

キラは突然、妙な感覚に襲われた。こんな時に、疲労が出たのかと思い頭を振るが脳裏にいくつもの光景が流れ込む。四年前のメンデルでラウ・ル・クルーゼの呪詛を聞いた記憶、メサイアでデュランダルと対峙した記憶、そしてつい最近の……それらが全てキラの中にある闇を膨れ上がらせる。

 

「ミケール?」

 

見つけた。奴は車両に乗って、どこかへ逃げようとしている。ここまで追い詰めて、もし逃げられたら元の木阿弥だ!

 

 

 

 

シンはキラの様子がおかしいことに気付いた。

 

「隊長?」

 

突然、フリーダムの挙動が変わったと思ったら方向を変えた。

 

「隊長、どうしたんですか!?」

 

〈ミケールを確保する!シン、援護を!〉

 

え、今なんと言った?ミケール?

 

「は?だって…え?」

 

〈奴が逃げる!〉

 

キラはどうしたんだ?だって、そっちは境界線の方向じゃないか!目標とされる砦からどんどん離れている。今、シンの隣ではアグネスのギャンがダガーをビームアックスで両断し、ムウとレイラのムラサメがウィンダムをビームライフルで撃破した。

 

ムウとレイラも異変に気付いた。

 

〈どうした、キラ!境界線に近づいているぞ!何してる!〉

 

〈キラ、聞こえないの!引き返して!〉

 

 

 

キラの突然の転進とミケールを逮捕するという言葉はユリ達にも聞こえた。

 

〈隊長、キラさんの様子が!〉

 

カインの言うとおりだ。何かおかしい。

 

「キラ、どうしたの!そっちは軍事境界線よ!?」

 

〈キラさん、ミケールはそっちじゃありません!〉

 

アリスも呼びかけるが、聞こえていない。

 

〈ちょっと!どうしたの!?〉

 

〈おい、キラ!何をやっている!?〉

 

クレムやグレンも呼びかけるが、キラは答えない。まるで、本当に聞こえていないみたいだ。

 

〈どうしたの、キ…ヤマト隊長!?〉

 

〈ミケールを発見、捕獲する!〉

 

アークエンジェルのマリューも呼びかけるが、キラの応答は同じだ。

 

 

 

「何故、ユーラシアに!?」

 

「どういうことだ、総裁!」

 

司令室でもフリーダムの軍事境界線への方向転換は確認できた。さしものオルフェもこれには困惑し、ユーラシア軍高官が問い詰めている。

 

「フリーダム、直ちに引き返してください。キラ!」

 

だが、キラにはラクスの言葉さえ聞こえていないのか応答がない。

 

一体、キラに何があった!?

 

 

 

このままではユーラシア領内に入ってしまう!一体、キラに何が!?

 

元々、キラは喧嘩だって得意じゃないし好まない子だ。ヘリオポリスの時からずっと無理をして……砂漠の頃はフレイ・アルスターが…あの時のことを思い出すと腹が立つがそれでもキラの精神の安定に繋がったのはユリも否定できない。アンドリュー・バルトフェルドとの戦いでまた疲弊したところをカガリやフブキのおかげで落ち着いた矢先にトールが……

 

余りに浮き沈みの激しい事態に襲われ続け、前の戦争ではなんとかなっていたがデスティニープランを否定したことで招かれた戦いでも彼は自らを酷使し続けていた。

 

ラクスにもその事は相談されていた。だから、ミケールの捕縛が終わったら長期休暇を取らせてあげるべきと助言した。だが、それより先にキラの心が破綻してしまった?

 

もし、そうならなんとかしないと!

 

「私がキラを連れ戻すわ!レイラさん、指揮の代理をお願いします!ユーラシア軍にもそれを伝えて!!」

 

〈ええ、急いで!〉

 

 

 

フェイトはフリーダムの挙動が変わり、間もなく進路を変えたのを見つけた。狙い通りだ。

 

しかも、ある程度予測していたが嬉しいオマケも釣れた。

 

『俺の獲物には手を出すな?』

 

『分かってるよ。』

 

『まあ、お前が負けるわけないさ。』

 

『そうよね…あんな粗悪品。』

 

フェイトが念を押し、ドミニク、カルロ、ハイディが頷いた。だが、スズネとユウトは

 

『私達は本人じゃないのよ?』

 

『まあ、あいつらのMSで我慢してやるさ。』

 

この異常事態を前にして、『ブラックナイツ』は誰一人として困惑していなかった。むしろ…予定通りだとほくそ笑んでいた。

 

 

 

〈キラ、引き返して!〉

 

アフェクションが追いついてきた。だが、キラはユリの言っていることが理解できない。

 

「なんでここで引き返すんだ!ミケールに逃げられる!!」

 

ブルーコスモスのMSと戦車が砲撃してきた。

 

「まだ、抵抗するのか!」

 

〈キラ、やめろ!〉

 

〈駄目よ、キラ君!〉

 

〈やめて、キラ!ユーラシア軍よ!〉

 

ムウやマリュー、ユリが止めるがキラの頭にあるのはミケールを捕えてこの戦争を終わらせるという意志のみ。

 

「終わらせる、ここで!!」

 

 

 

フリーダムは遂にユーラシア軍に攻撃した。ユリも何度も呼びかけているが、まるで効果がない。だからといって、撃たせるわけにもいかない。

 

「これは明確な侵略行為だ!」

 

「キラ!キラ、聞こえないのですか!?」

 

〈ミケールだ!ここであいつを逃がすわけにはいかない!〉

 

ミケール!?そんな、馬鹿な!何故それでユーラシアに!?

 

「これは当方の意志ではない!ヤマト隊長の独断です!」

 

「初めからそのつもりでコンパスを引き込んだのだろう?ならば、こちらも対抗手段を執る!」

 

「かくなる上は、姫!」

 

「待ってください、必ず訳があるはずです!ヤマト隊長は…」

 

「明らかに譫妄状態にあります。或いは反逆。」

 

「あり得ません!」

 

ラクスは否定する。だが、現実にフリーダムはミケールを捕縛すると言ってユーラシア領内に攻め込んでしまった。一体、どうしてしまった?

 

「コンパスが事態を収拾出来ないのであれば、我らにお任せください!これまでの外交努力が全て無に帰すのですよ。人的被害が出てしまっては本末転倒、たった一人の暴走によって!」

 

オルフェの言うとおりだ……せっかく、ここまでこぎ着けてミケールを捕縛するはずだったのに……このタイミングでキラが…壊れてしまった?

 

ここで、総裁として自分が下す判断は…

 

「分かりました…………止めてください、キラを…」

 

その言葉に隣に座る秘書のリオ・マオが呆然とした。

 

「…ヤマト准将への攻撃を許可するという意味ですね?」

 

キラもユリも准将だが、この場合のヤマト准将はキラのこと。それは誰だって分かっている。だから…

 

「はい……ユリには、手を出さないでください。」

 

ユリがキラを止めるために追っていることは既にユーラシアの高官も承諾しているし、実際にアフェクションから何度もキラに呼びかけがあるのは彼らも聞いている。

 

「……アフェクションの後退を。」

 

ユーラシアの高官も目標をキラに限定する、という形で了承した。

 

この時、ラクスは気付いていなかった。自分が最悪の選択をしてしまったことに……




デストロイはコンパスに合わせて二機出てきました。ただし、こっちは両腕がないMA形態でしか使えない上にあの大砲がない。あったらエルドアは一発で廃墟ですから。

ユリはキラと違って、カインやアリスともうまく連携をしています。ここはやはりお姉ちゃん故の貫禄?

尚、レイラのムラサメはムウと同じでグレンとクレムは一般機よりスラスターのパワーが上がっている程度です。一般機を10、ムウとレイラを20とするなら、グレンとクレムは13、4。



そして、後半からは遂にあの最悪の展開です。
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