機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE 作:meitoken
ミケールを捕える。それしか考えていなかったキラの耳にも今のは聞こえていた。
「ラクス!?」
〈待て、クライン総裁!〉
〈ラクス、待って!〉
ムウとユリが止めるが、突然通信が遮断された。
異変はアークエンジェルにも発生した。
「強力な電波干渉です!全ての通信が途絶!」
ヒメコ・ユリーの報告より先にモニターが突然ノイズにまみれた。だが、通信が全て!?
王城で待機していたミレニアムもこの異変に気付いていた。突然暴走を始めてユーラシアに向かったキラを止めるべく『ブラックナイツ』が動くのをラクスが承認したタイミングで突然アークエンジェルとの通信が切れた。
「NJダズラーによるジャミングです!」
アルバートはすぐにその正体を察知した。
「これはまだ実用段階に至っていない!量子スパッタリングの制御をどう解決したんだ!?これはユーラシアでもブルーコスモスでもない!」
いつものアルバートの独り言が聞こえてきた。NJダズラーとはNジャマーが持つ通信障害機能をより発展させたものだ。だが、連合でもザフトでもまだ実用段階には至っていない。
コンパスは勿論まだ使えないし、連合も同じ。その脱走集団のブルーコスモスなど論外。
まさか!?
コノエはアルバートの独り言からこの通信障害の黒幕に気付いた!まずい!もし、そうならばこちらは完全に分断された!今頃アークエンジェルと前線のMS部隊も通信が取れていない!目と耳を塞がれてしまった状態で敵陣に孤立させられた!そして、もしこれを仕掛けたのが連中ならば!
「ルナマリア機、緊急発進!狙撃用ライフルと通信用スレッドもだ!」
何が起こるか分からない!ルナマリアを今のうちに待機させておかなければ!
『良いぞ、シュラ。君の役目を果たせ。』
『了解。』
『二分で片付ける。』
『キャハハハ、死んじゃえー!』
『ブラックナイツ』は一斉に制御下にある無人機を砲撃モードにした。目標はフリーダムだ。
ミケールを追うキラは『ブラックナイツ』が突然自分をロックオンしてきたのに気付いた。
反転してライフルを構えるが、ビームは特殊な装甲にはじかれてライフルを対艦刀で斬られる。更にもう一機がシールドを切り裂き、一斉にミサイルを撃たれた。
無防備な状態で多数のミサイルを撃たれてPSでも強度の低い左翼とビーム砲が破壊されてフリーダムは飛行機能を失い、不時着した。
「やめろ、なんで!」
その時、頭に声が響いた。『ブラックナイツ』のグリフィンだ。
『なんで?周りを見てみな。』
キラは気付いた。そこにあったのはユーラシア軍のMSと戦車の残骸だ。
「どういうことだ?」
〈キラ!〉
通信が繋がらないのに合わせてユリがスピーカーをオンにして呼びかけてきた。集音機能で声が聞こえる。
「ね、姉さん!?これ…僕が?」
〈正気に戻ったのね!『ブラックナイツ』、キラは正気に戻ったわ!攻撃を中止して!〉
『お前を殺す。』
『ごめんねぇ、ラクス姫はもうあんたいらないってさ!』
だが、『ブラックナイツ』はユリの声を無視して攻撃を続ける。隊長のシュラが乗るシヴァと隊員のルドラ…ガーネットとエメラルドが斬りかかり、キラはそれを受け流す。
シヴァの剣を受け止めるが、パワー負けする。そこへ更にジンとディンのミサイル攻撃が来た。
「もうやめて!キラは…」
『お前も邪魔だ。』
頭に声が響いた。作戦前に識別コードをもらったブラックナイトスコードミトラ、フェイト・ヴォウジェのカスタム機が目の前にいる。更に両脇から隊員機のルドラが挟んでくる。
『フェイトはお前が気に入らないんだよ!』
『恨むなら、粗悪品に生まれた自分を恨みなさい!』
他の二人…ドミニクのルビーとハイディのトパーズが斬りかかった。ルビーの剣を空に飛んで躱すが、後ろからトパーズが斬りかかった。なんとかそれを躱すが、ミサイルでシールドを吹き飛ばされ、そこへミトラが対艦刀とビームサーベルで斬りかかった。なんとかビームサーベルと対艦刀で受け止める。そのまま、二機は去って行った。
「私まで…!まさか、あんた達!?」
こいつら、まさか最初からこれが目的!?
「隊長!?」
ブルーコスモスとの戦闘を続けるシンは胸騒ぎがした。キラの向かった方向へ進むと、『ブラックナイツ』のルドラとガーネットが立ちはだかった。
シンは直感した。胸騒ぎの正体はこいつらだ。
「邪魔をするなぁ!」
ビームライフルを撃つが、妙な装甲にはじかれる。
『学習能力ねえなぁ、お前ごときは相手にならんと証明してやっただろうが!』
ルドラの相手をしている間にジャスティスは無人機のミサイルに撃たれ、異変に気付いたヒルダ・ハーケンのギャンも同じようにミサイルを撃たれる。
同じ頃……通信を途絶された状態では危険だと判断したカインとアリスも『ブラックナイツ』に襲われた。
「なんで、俺達を!?」
『お前達は邪魔なんだよ。』
相手はユウト・タネガシマのブラックナイトスコードカーマの砲撃戦型マラカイトだ。カーマは胸のビーム砲を突然撃ってきた。シールドでそれを防ぐが、すぐさまビームサーベルで斬りかかり、左肩のシールドを破壊された。
「この!」
背中のビーム砲を撃つが、相手の装甲にはじかれた。
「ビーム砲が効かない!?」
驚いた直後、無人機のミサイル攻撃が来て慌ててカリドゥスとライフルで撃ち落とした。だが、その隙を突いてもう一機…ドミニクのルドラが対艦刀で斬りかかり、ライフルを二丁とも斬られてしまう。
「カイン!」
アリスはカインを助けにいこうとしたが、スズネ・タネガシマの近接戦闘型オパールに阻まれた。シールドでビームサーベルを受け止めるが、パワーで押し切られてしまう。
『レナ・クールズじゃないのが残念だけど、あんたで我慢してやるよ!』
無人機のミサイルでアリスはブレイブの体勢を崩された。そこへハイディのルドラがビームライフルを撃ち抜いた。
「こいつら、やっぱりか!」
ダガーとつばぜりあう中、ムウは状況の真意を悟った。
「理由は分からないけど、はめられたのね!!」
ウィンダムをサーベルで両断したレイラもファウンデーションの意図に気付いた。
「罠だわ!」
『ブラックナイツ』が突然、暴走を始めたキラどころかシン達にも攻撃を仕掛けてきた。狙いはまだ分からないが、今回のミケール捕縛への協力は罠だ。
「アークエンジェル前進!マーズ機、ヘルベルト機は味方の撤退を援護!信号弾上げ!キラ君達の救助に向かいます!!」
シュラ達がコンパスの相手をしている間ダニエルのサファイアとリューのスピネルはユーラシア軍の陣地に入っていた。既に警備兵は全員撃ち殺されており、二人は計器を操作していた。
パスコードを入力し、合計三発の発射を設定。一発だけ、時間をずらした。これでこちらの任務は終わりだ。
サファイアとスピネルは陣地を離れた。
だが…飛び立ったところでアークエンジェルを見つけた。
『ああ、見られちゃった?』
『問題ありませんよ、こちらも処理するだけです。』
「MSらしき熱源、距離一万七千!」
ダリダ・ローラハ・チャンドラ二世の報告を聞き、その場所を見るとそこにいたのは『ブラックナイツ』の二機だ。
「ユーラシア軍の大分後方ですよ?なんで、あんなところに。」
アーノルド・ノイマンもその意図を図りかねている。おかしい、何故ユーラシア領内それもかなり後方にいる?
「ミサイルと思われる飛翔体の熱源を感知!光学映像出します!」
今度はミサイル?光学映像を見ると、それに記された記号にマリューは背筋が凍った。
「GLCMマーク72、巡航戦術核ミサイル!ユーラシア軍からです!」
そんな馬鹿な!ユーラシア軍の陣地から何故核が!?いくら、キラが境界線を越えてユーラシアを攻撃したからと言って…いや、すぐ近くから『ブラックナイツ』が飛んだ!まさか!?
ヒメコがその疑惑を肯定する報告を告げる。
「『ブラックナイツ』二機、本艦へ向かってきます!」
「本国からだ。ユーラシア領内から戦術核ミサイルの発射が確認された。」
その報告に司令室の全員の顔色が失われる。
「目標は!?」
「…ここだ。」
よりにもよって、王城に核攻撃!?馬鹿な!
誰もがそう思う。だが、発射されてしまった以上猶予はない。
「総員退避!全市にも緊急避難指示を!可能な限り、住民は地下へ退避させる!」
オルフェの指示にしたがい、ラクスも含め全員が王城から退避を開始する。
「ミレニアムに緊急通信を!」
「駄目です!依然として通信不能!」
「本艦、ロックされました!」
二機の攻撃で主砲のゴットフリートが破壊される。
「ゴットフリート一番、二番被弾!」
「対空戦闘!イーゲルシュテルン、ウォンバットてぇー!ダメージコントロール開始!」
だが、『ブラックナイツ』の装甲はイーゲルシュテルンの迎撃ではびくともせず、ヘルダートも躱される。それどころか、ヘルダートもイーゲルシュテルンも破壊される。
「イーゲルシュテルン、ヘルダート使用不能!」
「ミサイルと思われる熱源、多数急速に接近!」
「フレア弾散布!面舵、全速!」
アークエンジェルが進路を変え、フレア弾で無人機から撃たれるミサイルをやり過ごそうとするが数が多すぎる。対空砲を失った戦艦など只の的だ。副砲のバリアントもミサイルの直撃を受けてしまい、もはやアークエンジェルは丸裸になってしまう。
マーズ・シメオンとヘルベルト・フォン・ラインハルトのゲルググはアークエンジェルを攻撃する二機のルドラと交戦していた。しかし、ビームライフルが全く効かない。
「ビームが通じねえ!」
〈これが噂のフェムテク(FT)装甲ってやつか!〉
PS装甲でMSに搭載される兵装はビームが重視されるようになったこの時代。だが、ならばとビーム砲に対して有用な装甲も開発されるようになるのが世の常。ラミネート装甲やアンチビーム爆雷よりも強力なFT装甲は理論上は存在した。まさかファウンデーションはそれを実用化していたとは!
ユーラシア軍の後方陣地では核が誤射されたという報告に慌ただしくなっていた。
「誤射?誤射で済まされるか!核だぞ!」
「一体、どこの間抜けが…!」
いくらフリーダムが軍事境界線を越えたからと言って、いきなり核攻撃など。そんなことをすれば非難はこちらも被るのに!
「駄目です!こちらのコントロールを受け付けません!」
「少将!ファウンデーション王宮より直接通信が!」
「繋げ!」
だが、それより先に彼らは焼け死んだ。外にいる兵士達も巻き込まれた。
リデルのガーネットが彼らを撃ち殺したのだ。
「ブリッジ遮蔽!急速潜行!」
「は!ベント開け!ミレニアム、急速潜行!」
ミレニアムは万が一に備えて海に潜り退避した。ルナマリアも狙撃に失敗したら即座に海に逃げる手はずだ。
核は合計二発。信管にNジャマーキャンセラーがある以上、信管を破壊すれば爆発しない。精密射撃が求められる。
ブリッジの皆が固唾を呑んで見守る中……ルナマリアは一発目を撃ち抜いた。爆発していない。
元ミネルバ副長のアーサー・トラインが歓声を上げた直後……
「二発目がコースを変えた!」
「えええ!?」
アルバートの報告に大げさに驚いた。
「退避しろ、ルナマリア!そいつは狙撃できん!」
「そんなのやってみなきゃ!!」
あのオーブの時と同じだ。あの時、ジブリールのシャトルを撃ち落とせなかったせいでプラントは撃たれた。そして、それがオーブを滅ぼさせる絶好の口実をデュランダルに与えてしまったのだ。
「いっけえぇぇぇぇ!!!」
首都イシュタリアの上空にミサイルが見え、レールガンとビームライフルを一斉に撃った。だが、どれもかすることなく通り過ぎた。
これ以上は無理だ!
ルナマリアは機体を海に潜らせた。直後に凄まじい衝撃が海にも響いてルナマリアは機体の制御に手一杯になる。
『ブラックナイツ』の攻撃を受け続けたアークエンジェルは遂に飛ぶことさえ出来なくなってしまった。
「ゴットフリート、イーゲルシュテルン全滅!機関停止!炎が弾薬庫に迫ります!」
もう、無理だ。あのヘリオポリスからずっと乗ってきたこの艦は遂に沈むときが来たのだ。
「エンジン切り離せ!艦を放棄する!総員対艦!」
シュウは負傷したクルーに肩を貸していた。
「しっかりして!」
「す、すまん!」
「急げ!扉を閉める!!」
古株のコジロー・マードックに促され、シュウは負傷したクルーと共に出た。間一髪、退避に完了した。
ファウンデーションのMS隊に攻撃されているのは聞いた。理由は分からないが、罠なのはシュウも聞いた。
ユリ…大丈夫なのか?
エンジンを切り離したアークエンジェルは谷間に不時着した。
〈姐さんの留守にこんな好き放題は!〉
マーズが吠えてハルバードで斬りかかるが、ルドラは突然消えた。それに気付いたとき、マーズもヘルベルトも機体を両断された。
「ちっ、これが怪物!」
〈すまねえ、姐さん!」
歴戦のザフトパイロットはファウンデーションの怪物に敗れた。
三発目の核が発射され、カルロがその発射台を破壊した。これで、証拠は残らない。後は核で全て消えてくれる。
ブリッジの四人が退避した直後、サファイアがブリッジを狙った。マリューはすぐにパネルを操作して艦長席の緊急退避システムを作動させる。直後、ブリッジが撃たれて無人機のミサイル攻撃が艦を破壊する。
「おまえらー!!」
マリューはどうなった!みんなは!!
長い間、親しんだ艦が破壊されたムウは二機のルドラに突っ込む。しかし、ムウの腕を持ってしてもルドラを追い切れず、スピネルの剣で右腕を破壊された。
「くそーー!!」
ムウの一族に伝わるあの特有の直感が来た。ムウはサファイアにバルカンを撃つが、効果がなく頭を切り飛ばされた。だが、そのタイミングで腰のミサイルを撃ってサファイアの剣を吹き飛ばし、衝撃に合わせて離脱した。
「アークエンジェルが!?」
『よそ見してんじゃねえよ!』
エメラルドが凄まじいスピードで接近し、ジャスティスを真っ二つにした。
シンは緊急用の装備でなんとか脱出する。だが、エメラルドが追ってきた。握りつぶされる!
そう思ったとき……ヒルダのギャンがスレイヤーウィップでエメラルドの腕を掴んでミサイルを撃つ。ミサイルがシンとMSを切り離し、何発かは両断されたジャスティスに直撃して爆発した。
ジャスティスの爆発が目眩ましになってくれたおかげでギャンがやってきた。
「捕まれ、坊主!」
ヒルダがハッチから乗り出して、シンはその手を掴んだ。
カインはライフルを破壊された後、ビームサーベルでなんとか二機の攻撃を凌いでいた。だが、スピードもパワーも相手が圧倒的に上。その上トゥルースはビーム砲が主兵装だ。
「シン!」
カインはアークエンジェルだけでなく、シンまでやられた事に気付いた。
『お前もすぐに一緒に行くよ!』
『死にな!!』
ビームサーベルで斬られる瞬間…
「くそぉぉぉ!!!!」
至近距離で両肩のミサイルを全て撃った。だが、撃つタイミングで二機が消えた。怯んだときには二機のビームサーベルがトゥルースを貫いた。
が、直後に……何かが二機を撃った。
「ん?」
モニターにはMSが映り、ユウトはそれを見て逆に唖然とした。GAT-X107シューター……四年前の旧式じゃないか。
「馬鹿にしすぎだ…」
無人機のミサイル攻撃を誘導するが、フライトユニットに乗ったシューターはそれを引きつけ、逆にバルカンとレールガンで全て撃ち落としてこちらにビームライフルを撃つ。機体を?否、狙ったのはライフルだ。ライフルを手放したために機体は無傷だが、ユウトは敵の腕に驚嘆した。
「あの距離と弾幕から!?」
これほどの射撃をあんな旧式で!?
「まさか、シオン・クールズ?」
『ユウト、時間だ。』
後ろからムラサメが撃ってきた。楽に勝てる相手だが、これ以上ここに留まれば巻き込まれてしまう。こんな下等な連中の巻き添えで死ぬのはごめんだ。
脱出したカインはシューターの正確な射撃に圧倒された。あれほどの射撃を出来るのはキラやユリ、アスラン以外では………
「シオン?」
「カイン、早く!」
クレムが乗り出した。今は逃げる方が先だ。カインはムラサメに走り寄った。
アリスはシールドのサーベルとビームサーベルで応戦していた。対艦刀のビーム砲を撃つが、さっきからまるで効果がない。アンチビーム爆雷やラミネート装甲じゃない。ビームに特化した…まさかFT装甲!?
ビームが効かない上にこちらは接近戦主体。相手は接近戦型と汎用型…しかもポテンシャルも上。
「くっ…!このままじゃあ……!」
『勝てないわよ…!』
『あんた達は負けるのが決まっているの!』
頭に声が響いた。直後……オパールにパワーで押し負け、対艦刀で両腕を破壊された。そして、ルドラによって両足を破壊されて地面にたたきつけられた。
『じゃあ、念入りに…!』
何かが二機を撃った。ビームライフルだ。
スズネは撃ってきたのがGAT-X106ウインドだと気付いた。
「そんな旧式で?」
ウインドはフライトユニットに外付けされたレールガンとミサイルを全て撃ってこちらを牽制する。更にムラサメが一機狙ってきた。
『スズネ、雑魚に構うな。』
ユウトに呼ばれた。
『ごめん、ちょっと味見させて。』
ウインドに対艦刀で斬りかかった。ウインドは左腕のアンカーを発射したが、容易く躱す。対艦刀同士で押し合うが、四年前の旧式ではルドラをカスタマイズしたカーマには勝てない。
だが、押し切られたのを逆に利用したウインドはフライトユニットのミサイルとレールガンでカーマを撃った。衝撃でスズネは怯んだ。その隙にウインドはさっきのブレイブの元へ向かっていた。ムラサメもそちらへ向かう。
「レナ・クールズね……」
確かにそこそこやる。だが、すぐに核で吹き飛ぶ。
ブレイブのコクピットから出たアリスはグレンのムラサメに拾われていた。
「アリス、無事か!?」
「グレン…ええ、なんとか。でも…なんでレナさんが?」
〈説明は後よ!死にたいの!?〉
ユリはミトラと交戦していた。最初は空中戦でなんとかせめぎ合っていたが、無人機の砲撃で右翼を失って地上戦へ移行していた。
「つ、強い!」
機体もそうだが、パイロットもだ。あのラウ・ル・クルーゼやレイス・シェイドと五分?いや、それ以上!?
ミトラは先ほどから剣でこちらを圧倒する。距離を取ってレールガンで反撃しようとしたが、先に腰のビームランチャーで撃たれる。
『貴様は俺達に勝てない!』
また、頭に声が響いた。
「何故!?」
『貴様は出来損ないの弟にも劣る粗悪品だ!!』
キラが…出来損ない?
「あんた達が…あの子の何を知っているっていうの!?」
『俺達に劣る!それ以外知る必要はない!!』
対艦刀で左腕を斬られ、動力がオーバーロード寸前でPSダウンを起こした。そのままとどめを刺されると思われたとき……後ろからの砲撃で後退した。
〈ユリ!〉
〈機体を捨てて!〉
「シュウ!レイラさん!!」
シュウはGAT-X104フレイムだ…しかもマルチプルストライカーを装備している。ガトリングストライカーのガトリングとミサイルでミトラを攻撃し、ムラサメもミトラをミサイルで攻撃する。
「駄目!逃げて!!」
フレイムとムラサメでどうにかなる相手ではない!二人共殺される!!
案の定、ミトラのビームランチャーでフレイムは右腕を撃ち抜かれてムラサメもビームサーベルで応戦するが、躱されて左腕を破壊された。
『…ちっ、時間切れか。』
「え?」
ミトラはこちらを放置して飛び立った。
「あ…キラは!?」
キラはシヴァに圧倒されていた。先ほどからこちらの攻撃は全ていなされ、それ以上に相手の攻撃が凄まじい。反撃のレールガンを破壊され、モニターでは動力が過負荷でオーバーヒート仕掛けている。
『貴様は勝てない!』
シュラの声が響いた。
「何を!?」
『それがお前の定めだからだ!』
定め!?一体、それは!!
シヴァの胸部が開き、大量のニードルが発射されてフリーダムを串刺しにする。キラは辛うじて身体をひねって致命傷を避けた。
「そいつは私がもらう!」
アグネスは上空でこれまで状況を静観していた。あの夜、シュラから全てを聞かされた。私の価値を分かってくれるのはシュラだ!分からない男なんかいらない!!
シュラの攻撃で右腕を失ったフリーダムの左腕を切り落とし、更に両足を破壊した。
キラがコクピットから出てきたのが見えた。
いらない!私の価値を分かってくれないこんな男!殺してやる!
ビームアックスを振り下ろそうとしたとき、後ろから撃たれた。
一機の赤いMSが来た。ザフトの水中用によく似たフォルムだ。背中に飛行ユニットを装備したその機体はZGMF-MM07ズゴック。今回の調査のために用意されたアスランのMSだ。頭部とリフターのミサイルで情報にあったシヴァを攻撃し、キラから遠ざける。シヴァとズゴックはせめぎ合い、クローとサーベルで斬り合う。
「出来る!」
なんて強い機体とパイロットだ!確かに、キラでも勝てないのもうなずける!!
「やる!」
シュラは赤いMSの動きに見入った。キラも相当強かったが、こいつも強い!そして、この赤いMS……
「アスラン・ザラか…」
『シュラ、時間だよ。』
リデルに呼ばれた。残念…せっかく待ち望んでいた好敵手に会えたのに。
まあ、いい……
『来るかい?』
シュラはギャンのアグネスに声をかける。
〈…行くわ、貴方と。〉
どのみち、今ので飛行装備を破壊された。ここにいたって死ぬだけだ。
マリューはブリッジを脱出した後、後部デッキで力尽きる寸前だった。砲撃の火災が広がり、呼吸するだけで肺が焼けそうだ。このまま死ぬのか、と思われたとき…
「すまん、待たせた。」
「…遅いわよ。」
ムウだ。なんとかムウのムラサメに乗り込んで、マリューは脱出した。
キラはアグネスのギャンがシヴァに運ばれるのを呆然と眺めた。
「アグネス、どうして…」
あの時、彼女を拒んだからその恨みで?
〈逃げるぞ、キラ!〉
アスランに呼ばれ、キラは我に返った。
〈アークエンジェルの人達も一緒です!〉
元ミネルバのクルーでダイダロスで共に戦ったメイリン・ホークも来ていた。キラは促されるままに乗り込んだ。
コンパスが離脱する頃……最後の核ミサイルがエルドアで爆発した。市街地にいたファウンデーションの軍も、住民も……放棄されたアークエンジェルも、砦から逃げようとしたミケールも、全てが焼き尽くされた。
ラクスはエルドアに核が撃たれたと聞き、泣き崩れた。
「キラ…!」
その報告を聞いていたオルフェとアウラが笑っていたことにさえ気づけなかった。
今回は長くなりました。
ご多分に漏れず、ブレイブ、トゥルース、アフェクションも惨敗しました。しかもブレイブとトゥルースの場合は武器の殆どがビームでフリーダムとアフェクションと違い実弾兵器が殆どないから余計悪条件でした。トゥルースに至っては銃剣付きのライフルは真っ先にやられる始末。
シュウはアークエンジェルが撃破された際になんとかフレイムで飛び出して助けに行きました。といっても、ピーキーなパーフェクトフレイムだから振り回されて殆ど乗りこなせてません。あのまま戦ってたら、絶対にシュウとレイラは殺されてます。結果として核で命拾いしました。
ちなみにウインドとシューターはダガー同様にOSや操縦系が改良されてウィンダムならやれる程度になってます。
そして、ここはやはりアークエンジェルの撃沈がショックでした。実は実際に見たりするまで、ライジングとイモータルは駄目でもアークエンジェルは大丈夫だと思ってたから。