機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE   作:meitoken

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ここから、みんな大暴れを始めます。


PHASE-7 ミレニアム…前編

「航跡を分析してファウンデーションのシャトルが向かった宙域を絞り込みました。」

 

「オーブの情報と合わせると、ラクスは恐らく…」

 

メイリンとアスランが持っている情報を照らし合わせ、ラクスがいるのは……L1の…

 

「アルテミス要塞…厄介ね。」

 

かつてユーラシアが保有していた宇宙要塞。あそこの馬鹿な連中のせいで酷い目に遭わされた記憶が蘇る。あの後、ユーラシアが放棄して少し前に「民衆の君主」と謳われる実業家フェアネス・ツヴァイクレが持っていたが、売却したという話もある。恐らく、ファウンデーションが買い取ったのだろう。

 

「確かにな……人質を確保するには最適すぎる。」

 

シオンが言うとおりだ。光波防御帯…通称アルテミスの傘で普通の方法では突破できない。四年経ってもその防御力は健在だ。

 

「トリィとブルーの量子ネットワークを使えばラクスの位置は特定できる。」

 

「じゃあ、まず近づくところからね。」

 

ユリの言葉にキラは少し顔を伏せる。

 

「もしも……まだラクスが持っていてくれるなら、だけど。」

 

「自信を持って…彼氏のプレゼントなんだから。」

 

レナが肩を軽く叩いた。

 

「艦はどうするんですか?こっちにはまともに戦えるMSもないし。」

 

シンの言うとおり、ラクスの居場所も分かった。後は足だ。

 

「艦を調達することは出来るかもね。まあ、ちょっと荒っぽいやり方だけど。」

 

「MSの方は私がなんとかできるかも。」

 

エリカ・シモンズが地下の格納庫に案内すると、そこには……懐かしいMSがたたずんでいた。

 

「うそ…リドレス。」

 

「クリエイター…!」

 

それだけではない、ダイダロスで使われていたデスティニーとインパルス。加えて、ストライクフリーダム、フレイムアフェクション、リスポンドブレイブ、ネオトゥルース。

 

エルドアで失った機体に比べれば旧式だが、それでもその性能は高い。

 

「アスハ代表から預かって新型融合炉と新装備の性能評価実験に使っていたの。こういう事態を想定していたわけじゃないんだけど。」

 

「流石ね……カガリとフブキも良い仕事してくれるわ。」

 

ユリが嬉しそうだ。

 

「ああ、流石にウインドとシューターでやるのは死ににいくようなものだ。」

 

「そうね……正直助けられるかは賭けだった。」

 

シオンとレナも少し、安堵していた。

 

「駆動系と武装は昔のままだけど、コントロールシステムは最新のものにアップデートしてあるわ。『ブラックナイツ』に対抗するには心許ないでしょうけど。」

 

「いや、これさえあればあんな奴らなんかに!」

 

シンが一番嬉しそうだ。

 

「ああ……エルドアでの借りを返してやる。」

 

「そうね…今度はこっちが攻める番だわ。」

 

カインとアリスも気合いを入れている。後は、これで宇宙に上がる足を確保するだけだ。

 

「そうだわ、キラ。行く前に…」

 

ユリから一発、ビンタが入った。そして、レナも反対の頬にビンタを入れた。

 

「っつぅ…まだ結構痛いのに。」

 

「グーじゃないだけマシだと思いなさい。前にアスランを殴り損ねた分もあるんだから。」

 

「散々喚いて、私達をいないように扱った罰よ!」

 

ユリとレナに思い切り睨まれ……整備のために呼ばれていたシュウも微笑ましく見ていた。

 

「ごめん。」

 

 

 

日付が変わった深夜……潜水服を着た者達がミレニアムに取りついた。

 

「艦長、インジェクションアタックです!」

 

「そうか。」

 

アルバートにコノエが頷いた。

 

艦内放送で乗組員への退避が通達された。艦内で有毒ガスが発生したとのことだ。それから間を置かずに数人の侵入者がブリッジに乗り込んで銃を向ける。

 

「動かないで!」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

アーサーが大げさに両手を挙げるが、アルバートはまるで動じていない。

 

「僕の計算より二分遅かったですね、ヤマト隊長。」

 

艦長席のコノエが侵入者を振り向く。

 

「コノエ艦長?」

 

「出港準備は終わっていますよ、ラミアス大佐。その物騒なものは必要ありませんな。」

 

やはり、生きていた。そして、ミレニアムを乗っ取ってラクスを助けに行くつもりだ。コノエはそれを見越していた。

 

 

 

「動くな…」

 

侵入者を捜すルナマリアは後ろから銃を突きつけられた。

 

「手を上げて、銃を捨てろ。」

 

要求に従い、銃を手渡そうとした。が、ルナマリアは一瞬の隙を突いて侵入者を投げ飛ばして逆に銃を突きつけた。

 

「あ、ルナ!俺、俺!!」

 

潜水服の中から出てきたのは……

 

「シン!?」

 

嘘…本当に……シン?

 

「いってえ……あれ?」

 

この声…間違いなく、シンだ!

 

「シン!!」

 

ルナマリアは思いきり抱きついた。そして…

 

「馬鹿!馬鹿!もう、死んだかと思ったじゃないの!!」

 

平手打ちを何発も食らわせてやった。

 

「いってぇ…死ぬ!ほんと死ぬ…!!」

 

「じゃあ、俺達が殺してやろうか?」

 

正面から声がした。

 

「いで!…あだ!!なんで、お前らまで殴るんだよ!!」

 

二人、いた。カインとアリスだ。今、二人でシンの頭を殴った。カインは眼鏡をかけ直して怒る。

 

「笑えないジョークをこんな時にやるからよ!げんこつなだけマシだと思いなさい!!レイとルゥなら小一時間はお説教よ!?」

 

「うぅ…やめてくれ。あの二人なら地獄からでも説教しに来そうだから。」

 

「だったら、少しは空気を読め。」

 

 

 

ミレニアムがハイジャックされたという報告をジャガンナートが掌握したプラント政府、及び大西洋連邦にオーブ政府から通達が入った。ファウンデーションにも伝わった。

 

だが……相手がこれに騙されてくれる保証はない。これは時間との勝負だ。ブリッジに主だったメンバーが集まり、作戦会議を行う。

 

「僕らはアルテミス要塞に潜入し、ラクスを救出する。」

 

「ミラージュコロイドで敵の探知をくぐり、接近する。……ニコルがやったのと同じだな?」

 

シオンの問いにアスランが頷く。

 

「ああ…」

 

実際、相手が傘で守っている以上超長距離砲撃で仕掛けたところで致命傷を与える前に傘を展開されれば意味がないし、展開していない状態で近づいても気付かれればおしまい。ならば、ステルスが出来るミラージュコロイドしかない。

 

格納庫にいるシュウが報告をする。

 

〈『ブラックナイツ』に対抗するため、持ってこれるだけのレールガンを入れました。全機、標準装備はいけます。〉

 

〈インパルスの装備も搬入完了しました。〉

 

マードックとミレニアムの正規クルー達がMSと武装の確認を行う。

 

「FT装甲への対抗手段は出来た。後は、奴らの思考を読む能力だが……」

 

「示し合わせても読まれれば終わりだ。各々で考えて展開した方が良い。」

 

「まあ、戦場なんてそんな物だ。台本通りに全てうまく行けば、苦労はない。」

 

アスランとシオンが言うように読まれる以上、前もって段取りを決めるだけ無駄だ。各々でやるしかない。

 

「我々は主力艦隊を突破して月へ…」

 

「囮になる、という事ね。」

 

コノエとマリューはミレニアムの方針を決め、アルバートが問題のレクイエムについて全員に説明する。

 

「こちらの素性が知れれば、奴らはすぐにオーブを襲う。その前にレクイエムを無力化します。レクイエム本体はシールドに覆われていて、通常火力による破壊は不可能。ビーム中継ポイントはミラージュコロイドによって偽装されていて、発射されるまではどこに存在するのか予想できない。」

 

連合とデュランダルの時は廃棄コロニーを使っていた。だが、こちらの数歩先を行く技術のファウンデーションはミラージュコロイドで中継点を隠すというかつてのリスクをカバーしている。確かにこれでは狙えない。しかし……

 

「ただ、一カ所を除いて。第一中継ポイントだけは必ずレクイエムの真上、射線上にあります。発射直前であれば確実に。」

 

「この弱点だけは変えようもないからな。」

 

かつてミネルバで攻略したときは中継点を月艦隊が攻撃していた。その隙にミネルバが本体を叩いた。今回はそれをミレニアムだけで行わなければならない上にラクス救出という条件もつく。ミネルバがやったときよりも、アークエンジェルがやったときよりも遙かに難易度の高い作戦だ。

 

「アラスカといい、ジェネシスといい、私達いつもギリギリね。」

 

「ギリギリなんて毎度の事よ。」

 

ユリとレナが軽口を叩く。

 

 

 

ミレニアムの整備クルー及びブリッジクルーの何人かはハイジャックされたという体裁のために降ろされた。代わりにアークエンジェルのクルーが入り込んでおり、操舵士としてノイマンも乗艦している。

 

「では、ラミアス艦長。」

 

「え?いえ、そういうわけには!」

 

この艦はコノエが艦長だ。ハイジャック犯のマリューが指揮を執るわけには…

 

「この艦は今はコンパスでもザフトでもない。反逆者、いわば海賊です。それに相応しい戦い方を知る人がこの席に座るべきだ。」

 

キラやアスラン、アークエンジェルのクルーの皆がそれに笑顔で同調している。これからの戦いはそういうものだ。

 

「…分かりました。では、コノエ大佐には副長をお願いします。」

 

「喜んで!」

 

コノエが敬礼をする中、本来の副長のアーサーは外された。

 

「え、ええええ!?」

 

 

 

ミレニアムは出港準備を整え、港から発進した。それから間を置かずして護衛艦群がやってきた。

 

〈停船せよ!ミレニアム、直ちに停船せよ!従わない場合は貴艦を攻撃する!〉

 

当然だ。この艦は今海賊にハイジャックされたのだから。だが、止まるわけにはいかない。

 

「進路このまま、両舷第二戦速!」

 

マリューの指示に従い、ミレニアムは進み続ける。

 

 

 

「では、発砲を許可する!分かっているな、艦長?」

 

護衛艦群旗艦ヨシツネのブリッジで司令官が艦長に確認を取る。

 

「は!百発百外しはトダカ海将仕込みです。撃ちぃーかたぁー、初め!!!」

 

護衛艦群とムラサメがミレニアムにミサイルを撃った。

 

 

 

アルテミスでそれをオルフェは見ていた。

 

「茶番だな…」

 

一発も当てないで、あたかもハイジャックされたミレニアムを止めようとするように撃つその腕だけは大したものだが……まあ、いい。これで口実は出来た。

 

 

 

〈我々の警告を無視してくれたようですね、オーブは。〉

 

オルフェ・ラム・タオだ。どこからかは分からないが、通信をしてきている。

 

「なんの話だ。回答までの時間はまだあるはずだぞ!こちらは今、貴国の要求を議会に諮っている!」

 

〈見え透いた小細工だ。ミレニアムの動きはこちらも掴んでいる。〉

 

気付かれている!

 

〈十分後、貴国に向けレクイエムを発射する。〉

 

「待ってくれ!ミレニアムは何者かにハイジャックされたのだ!先ほどプラントにも…」

 

〈言ったはずだ、少しでも動きがあれば撃つと。〉

 

「誤解だ!我々はこの件になんの…」

 

言い終えるより先に通信が切られた。

 

「カガリ!」

 

フブキがすぐに行動に移すべきだと進言する。

 

「全市民の避難を急がせ、オーブ軍は全力でこれを支援せよ!政府機能はオノゴロ島防空施設へ移す!」

 

「カガリ姉様…」

 

「急げ、十分しかない!」

 

「首長家も直ちに退避を!万が一の時は……!」

 

フブキの言葉の意味を悟り、トーヤを初め首長達も行動を開始する。

 

 

 

ミレニアムはオーブ軍の追撃を振り切って離水し、発進した。

 

「艦長!…ああ、ファウンデーションが!」

 

アーサーが一度本来の艦長を振り返り、慌てて現在の艦長のマリューに向き直る。レクイエムを撃つべく、ファウンデーションが動き出したのだ。

 

「やはり、騙されてはくれんか!」

 

「向こうは初めからオーブを撃つつもりだったのよ!口実さえあれば!」

 

 

 

「後を頼むぞ、トーヤ。」

 

「カガリ姉様、フブキ兄様、お気をつけて。」

 

トーヤがヘリに乗って行政府を離れ、かつての仲間のミリアリア・ハウとサイ・アーガイルがやってくる。

 

「アスハ代表!ストライクルージュ、キャバリアーアイフリッド2、準備完了です!急いで!」

 

「代表補佐、デュエルペイルも発進準備完了しております!」

 

同じヘリオポリスの学生で、キラ達と違う道を辿りながら合流したメイ・ハーベストも来た。

 

「よし、お前も一緒に来い!」

 

カガリは代表首長官邸地下に収容されていたMBF-02ストライクルージュのコクピットで祈った。

 

お父様、民をお守りください…!

 

またもオーブは危機に見舞われた。だが、国民の未来を売り渡すような行為、出来るわけがない。そして、従ったからと言って必ず助かる保証はない。デュランダルの時もそうだったのだ。

 

そして、姉弟達に祈る。

 

キラ…ユリ…!

 

カガリの最愛の人が、アスランが一緒にいる。二人は大丈夫だ。こちらは今、代表として自分が成すべきことをやる!

 

 

 

フブキもデュエルペイルのコクピットで父に祈った。

 

父上、カガリは成長しました。俺もそれを支えます。どうか…カガリを、国民を守ってください。

 

そして、親友と愛する女性を想う。

 

リュウ、レナ、シオン……頼むぞ!!

 

 

 

 




ストライクフリーダム、フレイムアフェクション、リスポンドブレイブ、ネオトゥルース、デスティニー、リドレス、クリエイター復活です。



後、キラはユリとレナに平手打ち。シンはカインとアリスにげんこつを喰らいました。

良い具合に緊張ほぐれたかも。



ミレニアムを乗っ取った際、個人的にはミネルバの「えぇー!?」を降ろしても良かったと思ったときがある。
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