機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE   作:meitoken

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ここまで来たら、『最早語るまい』です。


FINAL-PHASE 未来へ…前編

「タンホイザー、てぇー!」

 

ミレニアムのタンホイザーで進路を阻む敵艦隊を崩した。もう、ここまで来たら旗艦グルヴェイグは目前だ。

 

「今よ!両舷、全速!」

 

〈敵艦主砲射程、ブラボーマーク31から65!〉

 

指示を受けたアルバートが誘導砲を含めた全ての火器の射程を計算し、マリューは討つべき敵を見定める。今回の戦いを引き起こした元凶…子供の姿をした悪魔を。

 

「目標、敵旗艦!ぶつけてでも墜とす!」

 

 

 

ミレニアムがグルヴェイグを目指し始めた頃、ジャガンナートのブルクハルトがミレニアムへ向かっていた。体当たりを仕掛けてでも撃沈するつもりだ。

 

「忘れはせんぞ…死者の流した血を!恨みを!忘れることなどぉぉぉ!!」

 

多くの同志が命を落とした。ナチュラル共を屈服させ、コーディネイターの未来を作る者達が!!

 

このまま裏切り者のコーディネイターとナチュラルが共にある汚らわしい艦をたたき落としてやる!そう思ったとき、目の前にMSが現れた。

 

黒い機体…ブリッツだ。

 

やられる!ジャガンナートは凍り付き、指揮を忘れてしまいクルーも手が止まった。が、ブリッツは上へ飛んでいき、全員が呆気にとられた。それが命取りになった。

 

 

 

「忘れてねえよ…」

 

ジャガンナートの叫びにディアッカは応えた。そう、敵も味方も多くが血を流した。敵どころか自分達も滅ぼしかねないほどに。

 

彼女と出会わなければ、敵もそれだけの血と恨みを……涙を流し続けていた事を考えも、学びもしなかった。

 

バスターのビームガンとランチャー、ミサイルがブルクハルトのスラスターを破壊した。

 

 

 

「忘れられません。」

 

今でもあの時の光景が、キール・フロックが死んだ時の後悔がよぎる。もう少し、違っていれば彼は死ななかったのでは?と。

 

だが、分かっている。それで自分が死んだところでアスラン達が涙を流すことを……彼を殺したキラ・ヤマトやレナ・クールズを殺してもアスランやシオンが自分を殺しに来て、今度は彼女がアスラン達を殺しに行く繰り返しだ。

 

ブリッツのビームライフルとシールドのビーム砲がブルクハルトの主砲と副砲を破壊する。推力も武器も失ったブルクハルトは、最早丸裸になっていた。

 

 

 

デュエルが再びブルクハルトのブリッジの前に出て、かつてはブリッツに搭載されていたランサーダートをブルクハルトのブリッジに撃ち込んだ。

 

「だからこそ、こんな事はもうやめねばならんのだ。」

 

恨みを銃弾に乗せるのは容易い。誰にだって、出来ることだ。しかし、だからといって繰り返せばいつまで経っても平和は来ない。

 

許せ、等と口にする気はない。例え恨みを抱えたままでも銃を下ろさないと永遠にこんなことが続く。いずれ生まれる子や、孫達にまでその火の粉を被らせることになるのだ。

 

 

 

カルロは焦っていた。さっきから、旧式三機相手に翻弄されている。むしろ、どんどん追い込まれていた。

 

「くそっ!旧人類の分際で!!」

 

アビスのビームランスを弾き飛ばした。勝てる!

 

その瞬間、アビスが組み付いた。

 

「ふん!旧式のパワーで…!?」

 

〈じゃあ、読んでみな!〉

 

パイロット…イリア・カシムの声が聞こえた。その言葉にカルロは反射的に思考を読んだ。

 

見えた。自爆だ。このゼロ距離で自爆されれば、ルドラでも無事では済まない。

 

「くそ!放せ!放せ!」

 

〈あいよ。〉

 

「え?」

 

自爆する、かと思ったらアビスはあっさり離れた。その次の瞬間、アビスのシールドの連装砲とカオスのレールガンがルドラの頭部を破壊した。

 

「心に蓋をした!?」

 

〈いや、本気だったけどやめただけ。〉

 

〈意外と弱点あるのね、アコードにも。〉

 

カオスのミサキ・グールドも口にした。弱点…その言葉にカルロは逆上した。

 

「俺に弱点などあるものか!俺はアコードだ!!」

 

分身して、カオスを攻撃する。シールドを切り落とされたカオスはこのまま両断される。いや、左足のクローを展開してルドラの右腕を捕まえた。その隙を突いて、アビスも左腕を押さえる。

 

「二対一でも結果は同じだ!」

 

〈そう……じゃあ、三対一ならどう?〉

 

セイバーのリュウ・アスカの声だ。どこだ!?

 

メインカメラを潰され、視界が制限されてもサブカメラはあるが……

 

「上!?」

 

セイバーが右腕を破壊し、そのままカオスのビームサーベルとアビスが拾ったビームランスでコクピットを貫き、セイバーが頭上からサーベルを突き刺した。

 

「な、何故…!?こんな、蟻共の!」

 

俺に勝てる者など、オルフェやシュラ以外にいるはずがないのに!何故!?こんな蟻に、この俺が!!

 

 

 

感覚を研ぎ澄ませたリュウはカオスとアビスが振り払われるタイミングもスローモーションのように見えた。そのタイミングで腕を斬り、とどめを刺した。

 

「弱いから人は群がるのよ…一人が出来ることなんて、たかがしれてるわ。」

 

こいつらアコードはデスティニープラン前提のコーディネイター……自分の力で何でも成してきたのだろう。それが、弱点なのかもしれない。

 

リュウは知っている。国の重責を背負ったカガリとフブキが奮戦していたことを…今はアスランやリュウだけじゃない。シオンやレナも支えていることを。

 

「ヤキン・ドゥーエの時も、そうだったものね。フブキ…」

 

 

 

フブキ・クラ・アスハはキャバリアー経由で送られる戦術リンクでセイバーが『ブラックナイツ』を撃破したのを確認した。

 

「無事だったか……」

 

愛する女性の無事に安堵し、フブキは一息着く。イリアとミサキも一緒にいた。あの二人も一緒だったのなら確かに、格上でも簡単には負けないだろう。

 

「一人ではない…愛し、支えてくれる人から学ぶことが出来る……父上のおっしゃったとおりですね。」

 

あの日、ツキユキを受け取ったウズミの録音メッセージを思いだし、フブキは改めて歩くことを決意した。一人ではない。カガリもフブキも…

 

 

 

「蟻も群れればカブトムシを倒す…ってな。」

 

イリアは配属された時、ミゲル・アイマンから聞いた言葉を思い出す。あの頃、連合は戦闘機の延長扱いだったMAメビウスが主力だった。それに対し、ザフトのジンは圧倒的な戦力で3対1とも言われていた。それでも、「蟻も群れればカブトムシを倒す」と表現した。

 

これは、正にその実践だった。

 

 

 

「蟻だって、自分よりずっと大きい虫を食べる奴がいるのよ?」

 

シオンから、地球の南米にはジャガーだって撃退できる蟻がいると聞いたことがある。軍隊アリだ……アレは極端だが、今回の自分達もそれだ。

 

アコードというジャガーに並のコーディネイターという名の蟻が連携して、勝利した。コーディネイターだから、絶対に全てナチュラルに勝って当たり前でないのと同じようにアコードだって同じ。

 

こいつらはそうした事を学ぶことも、発想を養う機会もなかったのだ。ある意味、アークエンジェルのクルーと出会わなかったアスランやミサキの末路の一つだったのだろう。

 

 

 

ブレイブとトゥルースは二機のカーマと激しく撃ち合い、斬り合っていた。正に互いに一歩も譲らない戦いだった。ユウトはシオンの力量に驚いた。只のコーディネイターのきょうだいでここまでやるとは思わなかった。

 

「だが、勝つのは俺達だ!スズネ、シンクロアタックで決めるぞ!」

 

〈良いの?〉

 

「つまらん挑発に乗るのは終わりだ!」

 

ユウトはシオンの思考を読む。これほどの力の源泉たる思考は……!?

 

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!

 

な、なんだこれは!?殺意!憎悪!妄執!

 

シオンから感じるのはこれまでユウトが読んだこともない途方もない闇だ。しかも、その闇の中にある情動も読んだ。

 

「こ、こいつ!妹とかつての仲間以外は死んでいいだと!?」

 

こいつは人類のことなど、どうでも良い。妹やかつての部隊の仲間、アークエンジェルやエターナルにいた者達……そのオマケでオーブの両親や友人以外は生きようが死のうがどうでも良い!

 

 

 

スズネはレナの思考を読んだ。この女の思考を読んで、シオン・クールズの分とユウトと共有して……

 

生きて帰る生きて帰る生きて帰る生きて帰る!!

 

生きて帰る…それのみだ。その先に……シオンと…イリア・カシムとミサキ・グールドが見えた。三人にコーヒーを入れる光景……その中にキラ・ヤマトやアスラン・ザラもいる。

 

「な、こ…この女…!こんな時に、こんな光景!?」

 

思わず、目が眩むほどの光だった。だが……

 

 

 

『ぐあああああ!!!』

 

『いやああああ!!!』

 

二人は光と闇、その中でも余りに両極端なものを見て、意識をリンクしたためにそれが一度に混ざり合い錯乱した。

 

 

 

シオンは相当極端なものを見たのだと理解した。だが、これを逃さない手はない!相手の動きが止まっている!

 

二人は何も言わずに敵へ向かった。ただし、シオンは接近戦型のオパール…レナは砲撃型のマラカイトだ。

 

シオンは銃剣でオパールの右腕を破壊し、更にガンランチャーとレールガンで頭部を破壊して胸部の装甲を損傷させた。

 

 

 

レナは相手が自分達の思考を読んで、何か途方もないものを見たのだと理解した。だが、それを分析するのは後だ。レナはマラカイトの左腕をビームソードで両断し、更に胸のビーム砲をビームサーベルで損傷させた。

 

〈ひ…ひぃ…ひぃ…!〉

 

「どうしたの?」

 

 

 

「ひ…ひ……ひっ…!」

 

ユウトは震えていた。怖い。怖い…なんで、俺が恐怖などを!?

 

この男が怖い!いや、この兄妹が怖い!余りにも極端なものを抱えて、何故こんな連携が!意識をリンクできないのに!

 

〈ゆ、ユウト……焦らないで!勝つのは私達よ!所詮はこけおどしよ!!〉

 

スズネの声で正気に戻ったユウトはビームランチャーを構える。

 

そうだ、勝つのは俺達だ!

 

あんな物を見せられるなら、思考を読まなければ良い!

 

再び相手を戻して、二機は撃ち合う。だが、ユウトは先ほどまでよりも操縦に正確さがなかった。ビームシールドに阻まれて近づかれた。

 

馬鹿な!火力重視の機体で接近戦だと!?

 

「お、俺は…俺達は人類を導くアコードだ!」

 

 

 

「知ったことか!俺は貴様らを殺す!他の人間共がどうなろうと知らん!!」

 

ビームサーベルでランチャーを両断し、銃剣をコクピットにたたき込んだ。

 

〈ぐぼぉぁ!!〉

 

断末魔が聞こえたが、知らない。ビームライフルで撃ち抜いてとどめを刺した。

 

 

 

「わ、私を惑わすなんて…やるじゃないの!!」

 

スズネはビームソードでブレイブと斬り合う。片手があればまだ充分だ。

 

つばぜりあったビームソードをたたき折り、更に蹴りでシールドを弾き飛ばした。

 

「今度こそ私の勝ちよ!」

 

 

 

「私だって負けられない!生きて、帰るために!!」

 

シン達がどうなろうと知ったことではない。レナもそれは同じ。レナは只、帰りたいだけ。兄と一緒に…仲間達の元へ。

 

シールドを弾かれるよりやや早くビームサーベルを抜いてもう片方の腕を両断し、更に弾かれたシールドを掴んでサーベルを展開して頭上からたたき込んだ。

 

〈ま、負ける!?アコードが…私が!?〉

 

 

 

ジャスティスとシヴァは激しい剣戟を躱していた。シュラはジャスティスのサーベルを受け止め、足のビームサーベルでジャスティスのビームブレイドを受け止めた。

 

「お前は強いな、アスラン・ザラ!」

 

最強か、とは思っていたかまさかこれほどまでとは。地上でも強いと感じていた。確かにアコードを除けば最強の名に違わぬ実力だ。

 

「だが、やはり俺の敵ではない。勝つことが俺に与えられた役目、それが俺の存在する意味だ!」

 

アスランの思考が動いたのを感じた。

 

「無駄だ!思考を閉ざすことはできん!」

 

シュラはアスランの思考を読んだ。だが、見えてきたのは何だ?

 

カガリ……

 

女…カガリ・ユラ・アスハなのは分かる。だが…その女が、一糸まとわぬ姿でキスを迫るのが見えた。

 

「うぉあああああああああああああああ!!!!!」

 

な、なんだこれは!?こいつは何を考えているんだ!!

 

「貴様ぁ…神聖な戦いの場で、何という破廉恥な妄想を!!!」

 

怒り任せにシュラは突っ込み、もう一度思考を読む。女の姿に惑わされるな!奴の先にある動きを……ジャスティスが左に飛ぶ。

 

見えた!

 

シールドのクローを振るうが、それは空振りになった。ジャスティスは右に飛んだ。

 

「何!?」

 

レールガンに持ち替えたジャスティスの攻撃でシヴァは右腕を失った。

 

「馬鹿な…何故だ!?」

 

〈本当に使えないな。〉

 

何故、思考とは逆の…!?

 

さっきから後ろに飛んでいる支援機……そして、改めて思考を読んだ。アレで地球の味方と機体の操縦をリンクしている。

 

「リモート操作か!?」

 

 

 

地球のカガリはキャバリアーを経由してジャスティスをリモート操作してシヴァを攻撃した。あくまで示し合わせたのはこのタイミングだけで、指示はアスランから来る事になっていたが……

 

「破廉恥な妄想?」

 

相手との会話は聞こえていた。そして、その意味を悟ったカガリは顔を赤くし、表情を引きつらせた。

 

「アスランっ…!」

 

一体、何を考えたんだ!帰ってきたら、絶対に問い詰めてやる!!

 

 

 

「卑怯者めがあぁぁ!!」

 

再びシュラは突っ込んだ。思考を読んでも通じないなら、正面からねじ伏せるだけだ!!

 

右腕を失っても尚、シヴァは凄まじい戦闘力を発揮する。ジャスティスのシールドを弾き飛ばし、右腕を足のサーベルで切り飛ばした。

 

「やはり俺の方が上だ!」

 

 

 

「強さは力じゃない!生きる意志だ!」

 

そう、強さは単純な力じゃない!技術でもない!それを支えるのは、意志!生きるということだ!!

 

カガリがあの時言った。

 

『生きる方が戦いだ!』

 

そう、生きること…人生とは正に戦いだ。単純な戦争の強さしか知らないこいつらに負けるわけにはいかない!!

 

アスランは感覚を研ぎ澄まして…最後まで温存していた、頭部に追加されたビームホーンをシヴァに振り下ろした。

 

 

 

ジャスティスのビームホーンが振り下ろされ、シヴァはビームに焼かれた。

 

「俺が…負ける!?」

 

そんな、馬鹿な!勝つことが俺に与えられた役目!ここで負けたら!!

 

ビームに焼き尽くされるまで、シュラは勝利に執着し続けていた。

 

 




前編でジャガンナートにイザーク、ディアッカに加えてニコルも引導を渡しました。ディアッカがエンジン、ニコルが武器、イザークがブリッジです。実はイリアとミサキもここで入れようとしたけど、それだとちょっと…と思ってカルロも出しました。



そのカルロは思考を読める故に本気で自爆すると思った隙が敗因になりました。正に戦場のアドリブ…そして、ミゲルの教えで勝ったのも私なりのアコードへのアンチテーゼ?のつもりです。

フブキは直接戦わず、今回は裏方とカガリのサポートでした。でも、リュウの心の支えというある種のサポートで戦いました。



ユウトとスズネ…実はどうやって倒すか悩みました。アスランとカガリがやったように、一度だけ相手を入れ替えることは二人で示し合わせてました。ただ、タイミングがつかめなかった。そこへ二人が思考を読んで、意識をリンクしたからシオンとレナの両極端なものを見て、負けてしまいました。



実はアスランの破廉恥な妄想…ちょっと表現に悩んでました。



そして、BGMのイメージとしてリュウ、イリア、ミサキはイザークのパート、シオンとレナはアスランのパートで勝ったとお思いください。そのあたりがループ再生される感じかも
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