機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE   作:meitoken

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FINAL-PHASE 未来へ…後編

カルラはドラグーンを失っても尚、高い戦闘力を誇っていた。対艦刀とライフルでフリーダムを追うとき…

 

「オルフェ、シュラが!」

 

「シュラ…!」

 

イングリットに言われるまでもなく、オルフェも感じ取った。シュラの敗北と死を。

 

最初にグリフィン達六人が倒れ、次にユウトとスズネ、カルロが倒れた。そして…

 

馬鹿な、シュラまで!

 

「くそっ…虫けら共が!」

 

〈オルフェ、イングリット。もう、やめましょう。〉

 

ラクスだ。しかし、オルフェは耳を貸さない。

 

「貴女は自分より劣っているからその男を選んだのだ!劣った者達に囲まれ、崇拝されるのがそんなに心地よいか!」

 

いくら優れていても、キラは所詮アコードではない。アスラン・ザラも同じだ。そんな者達に囲まれて、崇められたいという矮小な感情で彼らと共にいるとは!

 

「なんと身勝手で冷たい女だ!馬鹿共が戦い続け滅びようが、一向に構わぬということか!!」

 

自分の使命を認めず、私の手を取らないばかりか何という醜い女だ!!

 

フリーダムが翼に付属した刀を抜き、カルラと接近戦を繰り広げる。

 

 

 

 

フェイトはアフェクションを前に、最早理性を失っていた。粗悪品の分際で、中々倒れない忌々しい女。

 

「何故、貴様ごときが俺にここまで!ヒビキ博士の失敗作で捨てられる運命の貴様が!」

 

〈私達を産んだお母さんが守ってくれたから今、生きているのよ!!〉

 

「ふざけるな!その母親だって、研究成果が惜しかったに過ぎない!貴様らの今の親だって、そうであろう!!」

 

ミトラはアフェクションを押しのけ、ビームランチャーを撃つ

 

 

 

ビームランチャーを躱したユリはその言葉に怒りがわき上がった。

 

「父さんも母さんも、私達がそうだと教えなかった!それは、私達を愛しているからこそよ!」

 

〈何!?〉

 

そう、一時期は恨んだ。なんで、自分とキラをコーディネイターにしたのか、と。だが、メンデルで真実を知り、会って理解した。普通の子供として育って欲しかったからだ。

 

ユリは覚えている。月の幼年学校で課題をサボるキラを叱った母を、プラントでナチュラル蔑視の感情に毒されて欲しくないと願った父を。それは、どこの家庭にでもある普通の親子だった。

 

ミトラが再び対艦刀で斬りかかり、ビームシールドとサーベルで止める。

 

〈貴様に何が分かる!いくら愛そうとも手に入れられない苦しみ!ならば、オルフェを超えて俺が世界を統べる!その伴侶の座を持ってすれば、イングリットは俺のモノになる!!〉

 

あの秘書官のことをこいつは……言動を聞けば分かる。だが、ユリはそれだけは否定する。この男がどれほど彼女を愛しているかは分からない。それでも……

 

「もう一度言う!愛は売買するものでも見返りで与えて、与えられるものじゃない!」

 

そう、愛は買い物するものじゃない。無償で与えられるもの。生みの母のキラとカガリに向けたあの微笑みは、間違いなく子を愛する母の顔だ。ユリもキラを愛している。それは成功体や失敗作ではない、姉弟だからだ。

 

「あんたがその人を好きなら、その人に向き合わなきゃダメなのよ!」

 

〈ほざけええぇぇええ!!〉

 

ミトラにゼロ距離からレールガンを喰らわせ、ドラグーンを展開した。ドラグーンはビーム砲でミトラを攻撃するがFT装甲に阻まれる。そんなこと百も承知。だが、ライフルは別だ。複数方向からのビームでライフルを失った。

 

だが、ミトラは怯まない。対艦刀とビームランチャーで反撃を仕掛ける。ドラグーンの攻撃さえもかわし、肉薄した。ユリもライフルをソードモードに変更して、サーベルで向かう。ビームランチャーを躱し、剣を受け止める。

 

「アスランとカガリも、フブキとリュウもそう!損得で愛し合っているんじゃない!その人だから愛している!あんただってそうじゃないの!?」

 

対艦刀をサーベルとライフルで受け流し、そのまま左腕のサーベルで相手の対艦刀を右腕ごと奪った。そして、その隙を突いてドラグーン六基がビームスパイクになったミトラを貫いた。

 

 

 

「…そ、その人だから…愛している?」

 

ユリの言葉にフェイトは聞き入った。もう、死ぬのに……

 

お、俺は世界を統べる。なんで?そ、それは……イングリットに…俺を見て、欲しいから。

 

だが、それは何故?そうだ、俺はイングリットを………

 

答えを得るその瞬間、フェイトは機体と共に炎に飲まれた。

 

 

 

〈教官!ザフトの旗艦が撃沈しました!〉

 

レイラは生徒達をサポートしながらクーデター派のMSを迎撃していた。

 

「遠くないうちに指揮系統が乱れるわ!残ったMS隊でレクイエムに向かう部隊の援護!」

 

〈我々は!?〉

 

「貴方達は自分と艦を守ることに専念しなさい!ほら、早速来たわよ!?」

 

ローラシア級がクサナギに向かって主砲を撃ってきた。レイラはリフターを展開して、鑑底部にあるカプセルから突っ込んでローラシア級を貫通させた。

 

さらに、生徒のM1に近づいたザクをビームサーベルで両断する。

 

「急いでね、みんな!」

 

 

 

「教官、ミレニアムを追撃する艦があります!数は十隻近く!」

 

ナタルは生徒の報告を聞き、モニターを見る。まずい、今の速度だとグルヴェイグに近づく前にミレニアムが捕まる。

 

「本艦はミレニアムの援護に回る!ローエングリン発射と同時に敵追撃艦隊に突撃を敢行!」

 

ナタルの指示通り、エクスシアのローエングリンが追撃するファウンデーションの艦隊を何隻か沈めた。完全にミレニアムに集中していた敵は不意を突かれた。

 

「MS隊、艦隊に接近戦!ミレニアムを攻撃させるな!」

 

〈了解!〉

 

エクスシアはゴットフリートとバリアントを撃ちながら艦隊を次々と沈めるか、航行不能にした。更に、ウィンダムとダガーがファウンデーションのジン部隊を撃墜し、艦隊にも攻撃する。

 

〈ナタル!〉

 

モニターにマリューが映った。

 

「ラミアス艦長、後方は本艦が!そちらは早く敵の旗艦を!」

 

〈ありがとう!〉

 

 

 

『ブラックナイツ』を退けたシンはレクイエムに向かい、アグネスを退けたルナマリアと合流した。

 

〈シン!〉

 

「レクイエムを破壊する!」

 

〈坊主!〉

 

ムウだ、どうやら無事だったようだ。

 

「おっさん!」

 

〈おっさんじゃない!お前の装備を受け取れ!〉

 

次にディアッカ・エルスマンが映った。

 

〈ルナマリア、そいつを使え!〉

 

アカツキがゼウスシルエットをデスティニーに換装する。元々デスティニー用の装備なので、これが本来の用途だ。インパルスもミーティアを装備した。

 

「行くぞ、ルナ!」

 

〈いつでも!〉

 

ジャスティスが後から追ってきて、ファウンデーション軍、ザフト軍が前に出る。その時、後ろから強力なビームが撃たれた。

 

シンはそれがトゥルースだと分かった。シオンは何も言わずに再び二連装ビーム砲で艦隊をなぎ払い、進路を開く。ブレイブもまた、後ろから追ってくるMS隊を次々と戦闘不能にする。

 

〈シン!〉

 

〈遅れてごめん!〉

 

カインとアリスも合流した。リドレスはアサルトシュラウドを失っているが、本隊は無傷だ。右腕にビームバズーカ、背中にはレールガンを二丁背負ったまま右から攻撃するMSと艦隊を撃墜し、カインも左から攻撃してくるMSを腰のクローサーベルで両断するか、背中のクロービーム砲で艦隊を沈める、またはMSのコクピットをクローで押しつぶしていた。

 

追撃のミサイルが撃たれた。迎撃しようとしたとき、別のMSが阻んだ。セイバー、カオス、アビスだ。

 

「姉さん!」

 

〈グズグズしない!〉

 

「ああ!」

 

セイバーとカオスは機動力でMS隊の中に突っ込んでかき回す。アビスは後ろから追ってくるMS隊をビーム砲で砲撃して撃ち落とす。更にアフェクションも更に相手の後ろからドラグーンで艦隊のエンジンを破壊し、MSの戦闘力を奪う。後ろから追ってくる部隊は逆に挟まれて完全に身動きが取れなくなった。そして、正面の敵はミーティアとゼウスシルエットの火力でなぎ払われていく。

 

 

 

ミレニアムはグルヴェイグを目前に捉えた。

 

「突貫する!艦首衝角ゴウテン起動!全砲門、近接装填!」

 

艦首に搭載されたこの武器は拠点攻撃用の装備…元々は強硬派が穏健派の叛乱防止に開発したのだが、今回は逆に強硬派を操る黒幕を討つために起動させた。

 

グルヴェイグだけでなく、残った艦隊やMSもミレニアムに攻撃をする。しかし、再びミーティアを装備したデュエルが艦隊を沈め、ゲルググとブリッツ、ブランとミントがザクやジンを撃墜し、最早ミレニアムは止まらなかった。

 

「総員、衝撃に備えて!!」

 

迎撃をくぐり抜け、ミレニアムの艦首はグルヴェイグに突っ込んだ。

 

 

 

アウラはグルヴェイグのブリッジにミレニアムが突っ込んだ衝撃で重傷を負った。だが、恐怖はない。あったのは勝利の確信だ。

 

レクイエムはもう間もなく発射される。

 

ここで私が死んだところで、レクイエムが発射されれば私の勝ちだ。せめてオーブを道連れにしてやる!

 

 

 

「命に優れている、劣っているはありません。誰もが誰かにとって、尊い存在です。」

 

〈では、何故私は愛されない!?〉

 

その言葉を聞いて、キラはなんとなく理解した。この男は、只愛されたいだけなのかもしれない。恐らく、生みの親であるアウラからは道具としての愛しか向けられていない。

 

「いいえ、誰かが必ず貴方を見ています。今ではなくとも、未来にいる誰か……余りに近すぎて、気付かない誰か。」

 

〈未来など、いい!私は今貴女が欲しい!!〉

 

つばぜりあうなか、フリーダムのディスラプターでカルラは左腕を奪われた。それでも尚、オルフェは叫ぶ。

 

〈人の愚かさ故に我らは生まれた!平和だ、平等だと口にしながら他者に変わることを要求し、決して自ら変わろうとしない!〉

 

「そんな事はない!」

 

変わることは出来る!自分やアスランが、シンがそうだったのだ。

 

〈だからいつの時代も争いは絶えない!恨みを忘れず、破滅に瀕しているというのに、目先の損得や思い込みに取り憑かれ、足を引っ張り合う!みんな愚か者だ!!〉

 

何だろう……まるで、自分に無理矢理言い聞かせている。そんな気がしている。

 

〈導く者が必要なのだ!この分断と流血の歴史を終わらせる!それが我らの生まれた意味だ!〉

 

「人は必要から生まれるのではありません。」

 

フリーダムはビームサーベルと刀…フツノミタマでカルラに突っ込んだ。

 

「愛から生まれるのです!」

 

「僕は自分の手で、未来を選ぶ!」

 

そうだ、例え世界がどんな形になろうと僕は!僕達は自分の手で未来を選ぶんだ!!

 

カルラの剣を弾き、フリーダムの刀はカルラを貫いた。

 

 

 

インパルスがミーティアのビームソードでリフレクター発生装置を破壊し、レクイエム本隊は無防備になった。シンは奥にある砲の本体めがけてバンカーバスターを撃つ。超高出力の実弾砲はレクイエム本体を貫通し、奥の反応炉も貫いた。今度こそ、レクイエムは完全に破壊された。

 

デュランダルがプラン導入に併せて見出したパイロットによって。

 

 

 

グルヴェイグもまた、ゼロ距離からのミレニアムの砲撃でアウラ共々完全に撃沈された。ファウンデーションの女帝にして、今回の戦いを引き起こした元凶は消えた。

 

 

 

「馬鹿な…!私には…使命が…!」

 

ここで、負けたら…私は…!

 

さっき、フェイトまでも倒れたのを感じた。シュラに続き、フェイトまで敗れてもう自分しかいないのに。

 

「もう良いのよ、オルフェ。」

 

ふと、先ほどから自分を抱き締める優しい声に気付いた。

 

「イングリット?」

 

「私は知っているから…」

 

何だろう…つい先刻殴ったばかりだというのに寄り添ってきて…………

 

 

 

『必要だから愛するのではありません!愛しているから必要なのです!』

 

『愛されることに資格なんて必要ない!』

 

ラクスとキラの言葉を思い出す。イングリットはここにいたって、気付いた。

 

良いんだ…愛して、資格なんか必要ないんだ。

 

脱出できるかもしれない。だが、イングリットはそれを選ばなかった。

 

愛している……愛しているわ、オルフェ。

 

 

 

カルラの爆発を見届け、ラクスはキラの肩に手を置いた。

 

あの二人は、確かにラクスにとってきょうだいだった。そして……自分の影だ。自らに課せられた役目に囚われ、それ以外の生き方を知らず、知ることも出来ず、選べないようにアウラに育てられた。

 

彼らの行いは世界の歴史に残る凶行だった。しかし、同時に人間の悪性の…デスティニープランの犠牲者だった。彼女と同じように。

 

そして、最後の瞬間に……オルフェは、イングリットの愛に気づけたのだろうか?

 

キラが手を添えて、振り向く。二人は何も言わずに微笑み、フリーダムは地球へ向かった。

 

 




ユリとフェイトの戦いも決着しました。フェイトは好きな女に良いところを見せようと必死な面はあるけど、それは酷く歪になって…王様になってその妃の玉座を与えればイングリットは振り向いてくれると想い続けていた。

ユリの言葉で、自分が何でイングリットを手に入れたかったのか…多分、その答えは死ぬ瞬間に得たでしょう。

思考を読めるアコードでも、イングリットの何気ない態度で気持ちに気付いてしまったフェイト。その上で正面からイングリットに告白していれば、例え振られてもこうはならなかったと想います。ある意味で、シオンの気持ちを認めなかったアリスの末路、或いは玉砕して自分の気持ちに整理をつけたカインになり損ねた。



そして、初めて見たときはキラとラクス、アスランとカガリ、イザークとディアッカ、シンとルナマリア以上にオルフェとイングリットが印象に残りました。

オルフェの叫びは、自分に無理矢理言い聞かせているように今は感じると共に、他の生き方を出来ない不満と疑念、対等の目線に立てる相手がいない孤独があったでは?と感じました。シュラとイングリットでさえ、アコードの序列でいえば二人は下だから。

オルフェとイングリットに対する私の印象は、キラとラクス、アスランとカガリ、シンとルナマリアになれなかった二人です



次はラクスのあのモノローグと戦いが終わった後のみんなをオリジナルで書きます。
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