機動戦士ガンダムSEED FREEDOM REVERSE   作:meitoken

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遂に始まった自由編。


PHASE-1 世界平和監視機構コンパス…前編

C.E.75、『ブレイク・ザ・ワールド』から始まった地球・プラント間の新たな戦いはプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが提唱するデスティニープランの是非を巡るオーブとの月面基地での戦闘における軌道間全方位砲塔レクイエムの破壊、機動要塞メサイアの陥落によるデュランダルの死によって終結した。

 

軍需産業複合体ロゴスの崩壊で地球各国は経済、政治、軍事共に大打撃を受ける事となる。更にユーラシア連邦内の独立運動による地球連合の分裂、ミケール大佐率いるブルーコスモスのテロ、パトリック・ザラシンパによるナチュラル排斥……未だに多く燻る争いに対し、プラント、オーブ、大西洋連邦は各地への支援及び少数精鋭の軍事力による鎮圧を目的とした『世界平和監視機構コンパス』を創設し、その総裁に二度に渡る大戦を終結させるべく尽力したラクス・クラインを招聘する。

 

その実働部隊には二度の大戦をラクスと共に終結させた伝説の艦アークエンジェル、当時デュランダルの肝いり…今ではデュランダルの飼い犬とさえ一部に揶揄されるミネルバのクルー達が所属し、大西洋連邦からも参加者はいた。

 

しかし、未だに争いの眼は絶えない。

 

 

 

アフリカ共和国オルドリン自治区にMS隊が侵攻した。GAT-01D…通称105ダガー、GAT-04ウィンダムを中心とした連合のMS部隊だ。しかし、彼らは連合の正規軍ではなく、軍を脱走したブルーコスモス派の将兵達だ。

 

夜の街、眠っていた人々はこの危機に逃げ惑い、駐留するザフト軍も迎撃を行うがこの基地に所属するMSはZGMF-1017ジンを初め、71年の旧式のMSばかりだ。それでも、ザフトは踏みとどまっていた。

 

 

 

宇宙を航行する一隻の戦闘艦があった。LHM-BB03Sミレニアム。かつて、ザフトではアークエンジェルに代わる旗印を期待されたミネルバの姉妹艦であり、オーブの技術者も開発に協力したコンパスの最新鋭艦だ。

 

彼らはオルドリン自治区を襲撃したブルーコスモスの迎撃及び、支援のためにMS隊を大気圏に降下させようとしていた。

 

その指揮官は伝説のMSフリーダムのパイロット、キラ・ヤマトだ。彼はオーブ軍准将としてザフトに出向、そのままコンパスに参加している。指揮下には共に戦ったヒルダ・ハーケンら三人、更にかつては敵対していたミネルバのシン・アスカとルナマリア・ホーク、ザフトから出向したアグネス・ギーベンラートが着いている。

 

「フリーダム突入後、シンは政府施設の防衛を。ルナマリアとアグネスは市民の避難を誘導しつつ、オルドリン守備軍を援護。」

 

〈隊長、前線の敵は私がたたきます。是非ご一緒に!〉

 

〈隊長、俺も行きます!〉

 

シンとアグネスが意見するが、キラは却下する。

 

「駄目だ、戦場を広げたくない。」

 

 

 

ミレニアムからまず、ルナマリアのZGMF-2025ゲルググメナースが、続いてアグネスのZGMF-2027ギャンシュトロームが発進する。

 

続いて、STTS-808イモータルジャスティスが発進する。しかし、そのパイロットは過去二度に渡りジャスティスに搭乗したアスラン・ザラではない。

 

「シン・アスカ、ジャスティス行きます!」

 

アスランはコンパスに参加しておらず、代わりにシンがジャスティスに乗っていた。キラからの名指しだ。

 

 

 

続いて、STTS-909ライジングフリーダムがカタパルトに着き、PSがオンになる。

 

「キラ・ヤマト、フリーダム行きます!」

 

フリーダムは発進してすぐにバックパックの装備で頭部を覆い、シールドでコクピット部分を覆ってMA形態に変型する。ジャスティスも同様の装備で、大気圏に突入する。

 

ゲルググとギャンは脚部に装備された大気圏突入用装備で大気圏に突入する。

 

 

 

地上ではウィンダムとダガーが旧式のMSで構成された守備軍を圧倒し、更にかつてユーラシア西部を焼け野原にしたGFAS-X1デストロイが街を焼き払う。

 

一機のウィンダムがジンを撃破した後、避難しようとした市民を狙った。それをビームが撃ち抜いた。コンパスのMS隊だ。

 

〈こちらは世界平和監視機構コンパス、攻撃部隊に告ぐ。直ちに戦闘を停止せよ。〉

 

だが、キラの呼びかけに応じるわけもなくMS隊はこちらに標的を変える。

 

フリーダムはジェットストライカーを装備したウィンダムをあっという間に撃破し、シンもまたシールドを市民のために突き刺しておき、ビームブーメランをサーベルモードにしてダガーやウィンダムの腕と足、カメラを破壊して戦闘力を奪う。

 

ルナマリアのゲルググもシールドを突き立てることで市民を守る防壁にしてMS隊を迎撃する。

 

「アグネス、援護しろ!」

 

〈何言ってんの?私の機体は近接戦用、援護はあんたよ!〉

 

同期のパイロットはシンの要請を無視してシールドのビームカッターでダガーを真っ二つにして、ビームガトリングでダガーを撃破する。撃破された二機は爆発する。

 

アグネスは命令を聞いていなかったのか?アレでは、市民が巻き込まれてしまうではないか!

 

なんとかシンはコクピットをやらないように相手の武器を奪う形で後退するようにしている。やってみて分かる。只撃破する方が遙かに簡単なのが。これを普段の戦闘スタイルにしていたキラやアスランがいかに規格外な強さなのか、シンは実感していた。

 

そのキラはMS形態に変形したデストロイが射出した両腕をビームサーベルとシールドブーメランで撃墜し、更にデストロイの胸のビーム砲とバックパックにフルバーストモードで砲撃して発射口を潰し、シールドブーメランも使い首を飛ばした。バックパックを破壊されたデストロイはそのまま仰向けに倒れた。

 

「くそっ、出る幕ないじゃん!」

 

 

 

MS隊が後退を開始した。オルドリン自治区の隣に位置するカナジに後退して体勢を立て直すつもりだ。しかし、ザフトはそれを追撃した。

 

現在のブルーコスモス盟主ミケール大佐がカナジにいるという情報があるからだ。

 

「警告します。進軍を中止してください!ミケール大佐はここにはいません!これ以上の戦闘継続は市民への被害があります!」

 

だが、ザフトのMS隊はそれを聞かない。

 

「形勢が変わればこれか!」

 

『だが誰も選ばない。人は忘れる、そして繰り返す。』

 

あの時、メサイアでデュランダルに言われた言葉が蘇る。

 

彼の言う通り、一年程度で忘れて繰り返している。

 

同時に、あの男の言葉が蘇る。

 

『まだ苦しみたいか!いつかは、やがていつかはと!そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けてきた!』

 

いつかはと信じて戦っている。だが、終わる気配などない。この光景はキラが見た。ヤキン・ドゥーエであのガンマ線レーザー砲ジェネシスの砲撃後に後退した連合へのザフトによる攻撃だ。

 

ミケールがいない以上、これ以上の攻撃はもはや意味がない。言っても聞かない。こうなったら、実力で止めるしかない!

 

今も尚、後退するダガーをジンが滅多刺しにして、さらなる獲物を求めて攻撃する。

 

キラはそんなジンの腕をサーベルで切り裂き、他のジン部隊とウィンダムもサーベルで戦闘力を奪う。

 

〈引っ込んでいろ!奴らはミランの仇!〉

 

「何故、分からないんだ!」

 

仲間をやられたジンのパイロットはハッチが開いた状態で突っ込んできた。そのジンの足を破壊して倒れさせ、空から攻撃してくるウィンダムもシールドブーメランとレールガンで手足を破壊し、地上のMS隊も同じように徹底的に戦闘力を奪ってやった。

 

その様は正に裁きを下すために神意を知らしめる天使のようだ。ただし、ナチュラルだけ、コーディネイターだけを裁くのではない。戦いをやめない者達、全てを裁いている。

 

 

 

アグネスはキラの戦闘力を見て、感嘆した。

 

「やっぱり、シンとは格が違うわね。」

 

デストロイのデータはアグネスも知っている。最初に現れたやつを撃破したのもキラだったというし、今回も一瞬でデストロイを撃破し、更に暴走するザフトと反撃しようとするブルーコスモスもあっという間に制圧した。もはや、どちらも戦意を失っている。

 

やっぱり、彼こそが私に相応しいわ。あの伝説のフリーダムのパイロット。アスラン・ザラ、シオン・クールズも良い。次点でイザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィ。ナチュラルではあるが、フブキ・クラ・アスハも悪くない。

 

だが、それでも一番はキラだ。私に相応しいのは彼だし、彼に相応しいのはこの私よ。

 

 

 

戦いが終わり、LCAM-01XAアークエンジェルがオルドリン自治区にやってきた。STTS-606アドミナブルトゥルース、STTS-707フォワードブレイブ、STTS-908インティメイトアフェクションがオーブ軍のSTTS/F-400ムラサメ改を二機つれて救援物資の入ったコンテナと仮設救護所の資材を持って現れた。海からは大西洋連邦から派遣された部隊が同様の装備を運んでいるが、つい先ほど連合のMS部隊に襲われた市民達の心情を配慮し、こちらはアークエンジェルを経由する形で運んでもらう事になった。

 

大西洋連邦から派遣された部隊の下士官が状況に不満を述べる。

 

「コンパスが必要なのは分かります。しかし、いくらプラントの経済特区とはいえ地球の都市です。オーブ軍ならともかく、ザフト出向部隊に任せるしかないとは。」

 

「そう言うな…襲ったのは連合のMS部隊だ。我々が無神経に出てみろ。市民が恐怖に駆られ、我々に襲ってくる。駐留軍のザフト軍将兵だって同じだ。」

 

だが、これを連合の元同僚達がやったという事実には忸怩たる想いがある。彼らの狙いは分かる。ザフトにカナジに攻め込ませて、地球とプラントの再度の開戦の口実を得るのが目的だ。まだ、一年しか経っていない上にロゴスの壊滅による傷も大きい。それでもまだ、戦争をやりたがるとは。

 

「コーディネイターとわかり合うことよりも、それを殺すための戦争をやりたがる同胞を止める方が難しいのかもしれぬな。コーディネイターへの憎しみ、ナチュラルへの蔑視……どちらも質が悪い。」

 

指揮官のその言葉に、プラントと足並みを揃えるべきと考える彼らは皆沈黙という形で同意した。

 

 

 

「こちらはコンパス所属艦アークエンジェルのユリ・ヤマト准将。救援物資を運搬しました。」

 

〈こちらはオルドリン守備軍、協力に感謝する。しばしそのまま待機のち、誘導に従うように。〉

 

ユリ・ヤマトはインティメイトアフェクションが持った物資を送った。一つの街が一晩でこんな姿になるなんて。それだけ、多くの人間が死んだ。今分かっているだけでも二百人を超えている。そのうち、どんどん増えていくだろう。恐らく、その大半は民間人になるのは想像に難くない。

 

報告によれば、キラはカナジに攻め込もうとした部隊を力尽くで抑えたという。その気持ちはよく分かる。相手を滅ぼすまで戦おうとして、その果てに自分達も滅びかけたのをユリも見ているからだ。

 

ユリ達アークエンジェル部隊が鎮圧に赴いた際にも同じ事が起こった。デストロイこそいなかったが、報復に動いたMS部隊を全員で止める羽目になってしまったからだ。

 

 

 

カイン・L・B・アルベルトはアドミナブルトゥルースのコクピットで瓦礫の撤去を行っていた。そこから、生き埋めになっていた市民を発見した。まだ、息がある。

 

「こちらコンパス所属MS、トゥルース。生存者を発見、救援を請う。」

 

だが、この状況下では救援は来ない。そこに一機のムラサメが降りてきた。

 

〈あたしが近くの救護施設に運ぶわ。最悪、アークエンジェルか大西洋連邦の艦で。〉

 

恋人のクレマンス・オルグレンだ。

 

「重傷者が多い。余り揺らさないように。」

 

〈分かってる。〉

 

ムラサメは重傷者を手でそっと包み込み、ゆっくりと低空で飛ぶ。

 

 

 

フォワードブレイブのアリス・シュナイダーは恋人のグレン・フレイアのムラサメと共に倒壊した施設の残骸を持ち上げ、移動させた。その中にいる人々が閉じ込められており、生存者の救援にアークエンジェルと自治政府、ザフトの部隊が向かう。

 

〈デストロイで街を破壊した俺が、今度はそれを助ける。奇妙なものだな。〉

 

「グレンは…」

 

〈コーディネイターを殺すのが良いことだと教えられ、何の疑いもなくやってきたのは事実だ。受け入れるナチュラルに対してもな。〉

 

ブルーコスモスの洗脳パイロットだったグレンの言葉には重みがある。彼はベルリンでこれをやった張本人だからだ。彼なりの償いもあるのか、こうした救援活動には熱を入れている。それは彼の同僚のクレムも同じだった。

 

 

 

「キラ・ヤマト………准将以下四名、乗艦許可願います。」

 

「許可します。」

 

まだ自分の軍階級になれていないキラにマリュー・ラミアスとムウ・ラ・フラガが敬礼で返すと、マリューが親しみのある口調に戻る。

 

「お疲れ様。」

 

「よう、全機…特に問題はなさそうだな。」

 

ムウが深刻な雰囲気を払うかのような口調で話しかけてくる。

 

「どうだ?新型にはなれたか?」

 

「はい。」

 

「ええ、まあ。」

 

「被害の状況は?」

 

「今のところ死者は257名、内民間人が68名。多分もっと増えるわ。今、ユリさん達も救助に当たっているけど、間に合わなかった人も多いそうだから。」

 

「今回も母艦はなし。MS部隊だけで一気に奇襲だ。」

 

「ミケールのネットワークですね。」

 

「だけど、彼の参戦はフェイク。ザフトに国境侵犯をさせるのが狙いよ。」

 

これまでと同じだ。ミレニアムの部隊が鎮圧した戦闘も、アークエンジェルが鎮圧に出た戦闘も同じ。毎度自分の名前を使って、ザフトをおびき出して国境侵犯をさせて戦争の口実を作る。戦争とは行かなくても、地球国家の対プラント感情を悪化させる事が出来る。

 

「あいつら、いつまでこんな事続けるんすか!?」

 

シンは我慢が出来なくなって思わず、聞いてしまう。

 

「最初から帰還を想定しない作戦なんて、パイロットも機体をもちませんよ!」

 

そう、あの部隊は事実上捨て駒にされている。向こうもそれを承知でやっている。

 

「でも続いている……だから、問題なんだ。」

 

「根の深い問題だぜ、実際。」

 

 

 

 




オルドリン自治区にアークエンジェルだけでなく、大西洋連邦の救援も来ているように書きました。

あの惨状はどう見ても、アークエンジェルと現地部隊だけじゃ足りませんから。ただし、連合の軍人という理由で彼らは行きたくても行けないから、物資や周辺の警戒止まり。当人達も複雑な心境です。コーディネイターどうこう以前にです。



そして、カインは自分の中で大きなしこりになっていたシオン、アリスは恋敵のブレイブです。本人が希望し、キラとユリのお墨付きです。ただ、シオンの信用がマイナスまで振り切れているのを考えると…こいつらの手垢がついた機体なんて乗りたくないって良いそう。レナも半分似たような感情かも。

なにせ、二人はキラ達ほど聖人じゃありません。
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